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第18章 冬、繫栄する島国で遭遇したのは
第518話 これからについて話しました
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身寄りをなくした子供達を保護する場所に当たりを付けた私達は王都へ戻ることにしました。
「ナショナルトラストのメンバーに、先ほどの建物を施設に使う同意を取り付けないといけないわね。」
と言うメアリーさんを王宮へ送り、館に帰ってくると。
「シャルロッテ姫様、お帰りなさいませ。
アリィシャちゃんに言伝された通り、保護した皆さんにはお風呂に入ってもらいました。
先ほど服屋さんも見えて、全員に一揃え服を支給しました。
今はみんな、客室棟のリビングスペースで休んでもらっています。」
エントランスホールで出迎えてくれたベルタさんが、保護した人達の状況を報告してくれます。
ベルタさんに言われた客室棟の部屋を尋ねると。
部屋の大人達には悲壮感が漂っていました。
皆さん、肉親を亡くされているので無理からぬことです。
特に、旦那さんを失くして、子供を抱えたお母さん二人は先行きにとても不安を感じている様子でした。
二人とも、自分の子供を抱きしめて無言で俯いていました。
その一方で、子供達は、お腹が膨れ、お風呂で温まったので体がホッとしたのでしょう。
ソファーでスヤスヤと寝息を立てている姿が多く見られました。
「シャルロッテ様、お帰りなさいませ。
村のみんなを助けてくれて有り難うございました。
温かい食事を与えて頂いた上に、みんなに服まで揃えて下さり感謝致します。」
私に気付いたメイちゃんが、感謝の言葉と共に頭を下げました。
「良いのよ、私に出来ることをしたまでだから。
でも、ごめんなさいね、ここにいる人達しか救うことが出来なくて。」
「いえ、そんな事はございません。
風の精霊さんが言ってたように、シャルロッテ様だから間に合ったのだと思います。
シャルロッテ様以外の方に助けを求めていたら、ここにいる人達も助からなかったことでしょう。
昨日の今日で、村にまで救いの手を差し伸べてくださるなんて普通では出来ないことです。
私があの海岸に辿り着くまでに何日も掛かったのですから。
シャルロッテ様と小さな精霊さん達の不思議な力のおかげで、これだけの人の救われました。
本当に感謝いたします。」
昨日両親を弔ったばかりだというのに、メイちゃんは感謝の言葉を口にするとともに気丈にも笑って見せたのです。
すると、メイちゃんの後ろから一人の成人女性が姿を見せました。
「シャルロッテ様、先程は失礼なことを申してしまい、申し訳ございませんでした。
メイから話を聞かされました。
メイは昨日海岸で倒れているところを救われ、メイの話を聞いて私達を助けに来てくださったと。
ここは、村から遠く離れた場所で、本来なら一日では来ることが出来ないのだと。
わずか一日で救いの手を差し伸べて下さり。
暖かい食べ物、温かい服、そして温かい居場所を与えてくださり、感謝致します。
私は貴族というのは強欲で、血も涙もない人達だと思っていました。
シャルロッテ様の様な慈悲深い貴族の方がおられるなど、思いも寄りませんでした。」
ここへ連れて来る際に、私に対して疑念の言葉を口にした方です。
私の支援が、何かしらの見返りを期待してのモノではないかという疑念を持っていました。
**********
皆さん、だいぶリラックスできたようですし。
ここで休んでいる間に、メイちゃんが色々と話してくれた様子で私に対する不信感も払拭されたようです。
なので、私は今後のことについて皆さんに説明することにしました。
「村で説明した通り、皆さんにはしばらくの間、この館で弱った体を癒して頂きます。
その間の衣食住は、私が支援させて頂きますので心配は要りません。
ただ、肉親を亡くした小さなお子さんが多いので、年長者は小さな子の世話をお願いします。」
私の言葉を聞いて無邪気な男の子の声が聞こえました。
「明日もお腹一杯メシが食えるのか、こんな暖かいところにいて良いのか。
やったー!」
きっと、この子にはもう両親に会うことは叶わないだという事が理解できていないのだと思います。
そうでなければ、こんなに無邪気に喜んでなどいられる訳がありません。
ですが、まだ両親が亡くなったことを理解できない幼い彼にとっては話が違います。
今まで食べる物に事欠き、隙間風の吹き込む家で僅かばかりの薪を燃やして暖を取っていました。
それだけに、空腹に耐えることも、凍える想いもせずに済むことが余程嬉しいのでしょう。
そんな無邪気な男の子を見詰める大人たちは、とても居た堪れないという表情をしていました。
「それで、シャルロッテ様。
そう長い期間は、こちらでお世話になっている訳にはいかないと思いますが。
私達はここを出た後は、どうすればよろしいのでしょうか。」
やはり、成人している方は、この館を出てからのことに不安を感じている様子です。
両親なり、旦那さんなり、一緒に働いていた人と農地を失ってしまったのですから当然です。
「現在、王家を中心とした慈善団体を結成し、身寄りをなくした子供達の保護施設を造る計画を進めています。
今日、さっそく施設として利用する建物の目星を付けてきました。
現時点の計画では、受け入れの準備が整ったら皆さんにはそこに移って頂くことになっています。
今ここにいる就労可能年齢の方々については、施設で子供たちのお世話をする職員として雇用することを予定しています。
ですから、今ここにおられる方は全て、生活の保障を受けられることになります。
もし、計画に変更が出てここにいる方の雇用が叶わない場合であっても、キチンとした仕事を紹介しますので安心してください。」
私は、メアリーさんと馬車の中で打ち合わせして来たことを皆さんに知らせることにしました。
早い者勝ちではないですが、今ここにいる十五歳以上の人を保護施設の職員として雇うことにしたのです。
後の村の方については、不足する人数だけ雇う形になります。
職にあぶれる方が出てくるかも知れませんが、予算制約上全員を雇い入れるのは難しそうです。
その場合、私としては、希望があれば可能な限り私の工房やホテルで雇用しようとは考えているのですが。
ただ、国を捨てて、言葉に通じないアルム地方へ来ても良いと言う方がいればですが。
私の言葉を聞いて、年長者も一応は安心した様子で、安堵の声が聞こえていました。
**********
「それで、保護施設として利用しようと検討している建物ですが。
貴族の別邸として利用していた建物で、とても広くて、立派な建物です。
この館に負けずとても綺麗で、隙間風の心配もありませんが。
一つ特殊な事情があります。
私の館にも共通する事なので、紹介しておきます。」
私の言葉に合わせて、目の前の空中にステラちゃんが姿を現しました。
「はーい!こんにちは!」
右手を斜め上に差し出して、元気に挨拶するステラちゃん。
朝から、水や風の精霊が堂々と姿を現して作業をしていました。
精霊とだけは知らせておきましたが、詳しい説明は抜きにしていました。
「シャルロッテ様、そちらも精霊さんですか?」
いきなり現れたステラちゃんに、目を丸くして尋ねてくる方がいます。
「時間が無いので詳しい説明はしませんでしたが、私は沢山の精霊と共に暮らしています。
この子は、ブラウニーのステラちゃん、たった一人で百年以上にわたりこの館を維持してきました。
この館がこんなにキレイに保たれているのは、ひとえにステラちゃんのおかげです。
今は、ステラちゃんの他にも十人ほどブラウニーが住んでますが、ステラちゃんがリーダーです。
皆さんの食べる食事も、ステラちゃんが作っているので、感謝の心をもって接してくださいね。」
「ステラです、みなさん、よろしくね。」
自己紹介したステラちゃんを目にして、可愛いという感想が皆さんの中から聞こえ。
年長者からは、子供の頃にお伽話で聞いたブラウニーが実在したことに驚く声もありました。
明るく、可愛いステラちゃんはとても好感を持たれた様子です。
「見ての通り、ブラウニーはとても可愛いのですが。
このように姿を見せている事は少ないので、気味が悪いと言う方々がいるのです。
現にこの建物は私が買い取るまで、幽霊屋敷と言われ買い手がいなかったのです。
実は、今度子供達の保護施設として使う予定の建物も、ブラウニーが住んでいます。
そのため、やはり、幽霊屋敷と言われていました。
ですが、ブラウニーが維持してくれたので、すぐにも住めるような状態が保たれています。
今回、保護施設として利用するに当たり、ブラウニーに食事の用意や建物の維持などをお願いしてきました。
皆さんが、保護施設に移った時にはブラウニー達が姿を見せてくれますので。
仲良く、感謝の気持ちを持って接してくださいね。」
その後、子供達からその屋敷のことやブラウニーの事について色々と尋ねられました。
尋ねられたことに対して、詳しく話してあげると子供達は保護施設に移ることを楽しみにしてくれたようです。
子供達は、施設のブラウニー達と仲良くなりたいと言っています。
これならブラウニー達と仲良く暮らしてくれるだろうという感触が持てました。
メアリーさんが段取りをつけてさえくだされば、すんなりと保護施設に移れそうです。
「ナショナルトラストのメンバーに、先ほどの建物を施設に使う同意を取り付けないといけないわね。」
と言うメアリーさんを王宮へ送り、館に帰ってくると。
「シャルロッテ姫様、お帰りなさいませ。
アリィシャちゃんに言伝された通り、保護した皆さんにはお風呂に入ってもらいました。
先ほど服屋さんも見えて、全員に一揃え服を支給しました。
今はみんな、客室棟のリビングスペースで休んでもらっています。」
エントランスホールで出迎えてくれたベルタさんが、保護した人達の状況を報告してくれます。
ベルタさんに言われた客室棟の部屋を尋ねると。
部屋の大人達には悲壮感が漂っていました。
皆さん、肉親を亡くされているので無理からぬことです。
特に、旦那さんを失くして、子供を抱えたお母さん二人は先行きにとても不安を感じている様子でした。
二人とも、自分の子供を抱きしめて無言で俯いていました。
その一方で、子供達は、お腹が膨れ、お風呂で温まったので体がホッとしたのでしょう。
ソファーでスヤスヤと寝息を立てている姿が多く見られました。
「シャルロッテ様、お帰りなさいませ。
村のみんなを助けてくれて有り難うございました。
温かい食事を与えて頂いた上に、みんなに服まで揃えて下さり感謝致します。」
私に気付いたメイちゃんが、感謝の言葉と共に頭を下げました。
「良いのよ、私に出来ることをしたまでだから。
でも、ごめんなさいね、ここにいる人達しか救うことが出来なくて。」
「いえ、そんな事はございません。
風の精霊さんが言ってたように、シャルロッテ様だから間に合ったのだと思います。
シャルロッテ様以外の方に助けを求めていたら、ここにいる人達も助からなかったことでしょう。
昨日の今日で、村にまで救いの手を差し伸べてくださるなんて普通では出来ないことです。
私があの海岸に辿り着くまでに何日も掛かったのですから。
シャルロッテ様と小さな精霊さん達の不思議な力のおかげで、これだけの人の救われました。
本当に感謝いたします。」
昨日両親を弔ったばかりだというのに、メイちゃんは感謝の言葉を口にするとともに気丈にも笑って見せたのです。
すると、メイちゃんの後ろから一人の成人女性が姿を見せました。
「シャルロッテ様、先程は失礼なことを申してしまい、申し訳ございませんでした。
メイから話を聞かされました。
メイは昨日海岸で倒れているところを救われ、メイの話を聞いて私達を助けに来てくださったと。
ここは、村から遠く離れた場所で、本来なら一日では来ることが出来ないのだと。
わずか一日で救いの手を差し伸べて下さり。
暖かい食べ物、温かい服、そして温かい居場所を与えてくださり、感謝致します。
私は貴族というのは強欲で、血も涙もない人達だと思っていました。
シャルロッテ様の様な慈悲深い貴族の方がおられるなど、思いも寄りませんでした。」
ここへ連れて来る際に、私に対して疑念の言葉を口にした方です。
私の支援が、何かしらの見返りを期待してのモノではないかという疑念を持っていました。
**********
皆さん、だいぶリラックスできたようですし。
ここで休んでいる間に、メイちゃんが色々と話してくれた様子で私に対する不信感も払拭されたようです。
なので、私は今後のことについて皆さんに説明することにしました。
「村で説明した通り、皆さんにはしばらくの間、この館で弱った体を癒して頂きます。
その間の衣食住は、私が支援させて頂きますので心配は要りません。
ただ、肉親を亡くした小さなお子さんが多いので、年長者は小さな子の世話をお願いします。」
私の言葉を聞いて無邪気な男の子の声が聞こえました。
「明日もお腹一杯メシが食えるのか、こんな暖かいところにいて良いのか。
やったー!」
きっと、この子にはもう両親に会うことは叶わないだという事が理解できていないのだと思います。
そうでなければ、こんなに無邪気に喜んでなどいられる訳がありません。
ですが、まだ両親が亡くなったことを理解できない幼い彼にとっては話が違います。
今まで食べる物に事欠き、隙間風の吹き込む家で僅かばかりの薪を燃やして暖を取っていました。
それだけに、空腹に耐えることも、凍える想いもせずに済むことが余程嬉しいのでしょう。
そんな無邪気な男の子を見詰める大人たちは、とても居た堪れないという表情をしていました。
「それで、シャルロッテ様。
そう長い期間は、こちらでお世話になっている訳にはいかないと思いますが。
私達はここを出た後は、どうすればよろしいのでしょうか。」
やはり、成人している方は、この館を出てからのことに不安を感じている様子です。
両親なり、旦那さんなり、一緒に働いていた人と農地を失ってしまったのですから当然です。
「現在、王家を中心とした慈善団体を結成し、身寄りをなくした子供達の保護施設を造る計画を進めています。
今日、さっそく施設として利用する建物の目星を付けてきました。
現時点の計画では、受け入れの準備が整ったら皆さんにはそこに移って頂くことになっています。
今ここにいる就労可能年齢の方々については、施設で子供たちのお世話をする職員として雇用することを予定しています。
ですから、今ここにおられる方は全て、生活の保障を受けられることになります。
もし、計画に変更が出てここにいる方の雇用が叶わない場合であっても、キチンとした仕事を紹介しますので安心してください。」
私は、メアリーさんと馬車の中で打ち合わせして来たことを皆さんに知らせることにしました。
早い者勝ちではないですが、今ここにいる十五歳以上の人を保護施設の職員として雇うことにしたのです。
後の村の方については、不足する人数だけ雇う形になります。
職にあぶれる方が出てくるかも知れませんが、予算制約上全員を雇い入れるのは難しそうです。
その場合、私としては、希望があれば可能な限り私の工房やホテルで雇用しようとは考えているのですが。
ただ、国を捨てて、言葉に通じないアルム地方へ来ても良いと言う方がいればですが。
私の言葉を聞いて、年長者も一応は安心した様子で、安堵の声が聞こえていました。
**********
「それで、保護施設として利用しようと検討している建物ですが。
貴族の別邸として利用していた建物で、とても広くて、立派な建物です。
この館に負けずとても綺麗で、隙間風の心配もありませんが。
一つ特殊な事情があります。
私の館にも共通する事なので、紹介しておきます。」
私の言葉に合わせて、目の前の空中にステラちゃんが姿を現しました。
「はーい!こんにちは!」
右手を斜め上に差し出して、元気に挨拶するステラちゃん。
朝から、水や風の精霊が堂々と姿を現して作業をしていました。
精霊とだけは知らせておきましたが、詳しい説明は抜きにしていました。
「シャルロッテ様、そちらも精霊さんですか?」
いきなり現れたステラちゃんに、目を丸くして尋ねてくる方がいます。
「時間が無いので詳しい説明はしませんでしたが、私は沢山の精霊と共に暮らしています。
この子は、ブラウニーのステラちゃん、たった一人で百年以上にわたりこの館を維持してきました。
この館がこんなにキレイに保たれているのは、ひとえにステラちゃんのおかげです。
今は、ステラちゃんの他にも十人ほどブラウニーが住んでますが、ステラちゃんがリーダーです。
皆さんの食べる食事も、ステラちゃんが作っているので、感謝の心をもって接してくださいね。」
「ステラです、みなさん、よろしくね。」
自己紹介したステラちゃんを目にして、可愛いという感想が皆さんの中から聞こえ。
年長者からは、子供の頃にお伽話で聞いたブラウニーが実在したことに驚く声もありました。
明るく、可愛いステラちゃんはとても好感を持たれた様子です。
「見ての通り、ブラウニーはとても可愛いのですが。
このように姿を見せている事は少ないので、気味が悪いと言う方々がいるのです。
現にこの建物は私が買い取るまで、幽霊屋敷と言われ買い手がいなかったのです。
実は、今度子供達の保護施設として使う予定の建物も、ブラウニーが住んでいます。
そのため、やはり、幽霊屋敷と言われていました。
ですが、ブラウニーが維持してくれたので、すぐにも住めるような状態が保たれています。
今回、保護施設として利用するに当たり、ブラウニーに食事の用意や建物の維持などをお願いしてきました。
皆さんが、保護施設に移った時にはブラウニー達が姿を見せてくれますので。
仲良く、感謝の気持ちを持って接してくださいね。」
その後、子供達からその屋敷のことやブラウニーの事について色々と尋ねられました。
尋ねられたことに対して、詳しく話してあげると子供達は保護施設に移ることを楽しみにしてくれたようです。
子供達は、施設のブラウニー達と仲良くなりたいと言っています。
これならブラウニー達と仲良く暮らしてくれるだろうという感触が持てました。
メアリーさんが段取りをつけてさえくだされば、すんなりと保護施設に移れそうです。
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