498 / 580
第18章 冬、繫栄する島国で遭遇したのは
第494話 大図書館のヒンシュク買い
しおりを挟む
さて、風呂上がりに子供達にハーブティーを淹れてあげて私達も寛いでいると…。
「最近、わたし、大アルビオン博物館の付属図書館がお気に入りなんです。
あの図書館凄く大きくて。
一説には過去に記されたありとあらゆる本が集められているとか。
広々とした、陽当りの良い閲覧室で、古今東西の英知に触れることができるなんて最高の一時です。」
ハーブティーを手にしたノノちゃんが、マイブームだと言って大図書館の話をしてくれました。
ノノちゃんが通う女学校は、大図書館にほど近く休みの日には散歩がてら歩いて行き。
午後の一時を、静かな閲覧室で本を読むのが至高の時間なのだそうです。
この子の向学心の強さには感心しますね。
夏前に、ノノちゃんが報告に来た時、二年生の成績表を持ってきました。
それを見ると、二年連続で学年主席の成績を収めたようでした。
アルビオン王国一と言われている女学校で、主席をとるのは並大抵の努力では無いはずです。
それでだけ勉学に励みながら、クララちゃんとアリスちゃんの家庭教師をしているのです。
私だったら、それだけで疲れてしまうことでしょう。
空いている時間に、図書館に行って更に知識を養うなんてとてもできそうにありません。
「それで、とても静かで居心地の良い図書館だと思っていたんです。
ですが、…。」
それまで、楽しそうに話をしていたノノちゃんが、顔を曇らせたのです。
「あら、大図書館で何かあったの?」
私が尋ねると。
「それが、わたしは平日は女学校があるし。
休日も、大部分がクララちゃん、アリスちゃんと過ごしているので。
大図書館で本を読んで過ごす時間はほんの一時だけなので。
それまでは、たまたま、時間が重ならなかったから知らなかったのです。
先日、お気に入りの詩集を読みながら、午後の一時を過ごしていたら。
静寂が支配する閲覧室の中で奇声が上がったのです。
『起て!万国の労働者!』って。
わたし、ドキッとしました。
静かな閲覧室で、突然、あんな大声を出されるとビックリしちゃいます。」
とても美しい詩にうっとりとしていたノノちゃんは、その奇声に現実に引き戻されたそうです。
驚いて閲覧室を見回すと、…。
暑苦しい風体の青年がブツブツと独り言を言いながら黙々と書き物をしていたそうです。
何が暑苦しいかって、無造作に伸ばした凄いヒゲ面だそうで。
ノノちゃんは、ヒゲくらい剃ったらと突っ込みたくなったと言います。
よく見るとまだ三十歳いっているか、いってないかの年齢なのに、とんでもなく老けて見えるそうです。
そして、休日はそこそこ人がいる閲覧室のなのですが。
その男の回りは、周囲三ヤードくらい誰も座っていなかったとのことです。
ノノちゃんが呆然としてると、丁度近くを通りかかった図書館の司書さんが言ったそうです。
「あら、あなた、初めてだった?
ごめんなさいね、驚いたでしょう。
あの方、この図書館の常連さんでね。
何時もあの席に座って書き物をしているのよ。
いつもブツブツ独り言を言っていて、時々さっきみたいに奇声を上げるの。」
どうやら、ノノちゃんが知らなかっただけで、その図書館の名物的な人物だったらしいです。
『大図書館の顰蹙買い』って。
司書さんが言うには、奇声を上げるものですから、規則違反で出禁にしたいそうですが。
何時でも、奇声を上げている訳でもなく、普段は黙々と書き物をしているそうなのです。
まあ、黙々と言っても、普段から独り言を言っているのですが。
本に没頭して、独り言を呟く人はその男だけではないため、摘まみ出す訳にもいかないそうです。
とは言え、むさ苦しいヒゲ面で常にブツクサと独り言を呟いているのです。
その男は、常々、他の来館者のヒンシュクを買っていると言います。
その男を気味悪がって周囲の席に座る人はいないとのことですし。
その男のことを知らずに、たまたま近くの席に座った人は、気味悪がってすぐに席を移すそうです。
その司書さんも、時々静かにするようにと注意するそうですが。
その男は、ぎょろりとした目で睨み付けるだけで一言も発しないそうです。
独り言は言うのに、注意されても返事もしないのですね。
それって、いったいどんな偏屈者ですか。
**********
「でも、わたし、気になったんです、その男のことが。
試しに、その男の近くに行って何をブツクサ言っているのか。
耳を澄ませて聞いてみたんです。」
何と言う怖い物知らずなんでしょう。
周囲の人がみな気味悪がっている人の傍に寄っていって、独り言を聞きとろうなんて。
「ノノちゃん、危ないことをしちゃダメよ。
頭のネジが一本外れちゃっている人って何をするか分からないんだから。」
思わず、私はノノちゃんに注意してしまいました。
「いえ、その男、ブツクサ言っているのは、…。
自分が執筆している書き物の内容を口に出して整理しているようなんです。
わたし、まだ勉強不足なので、よくわかりませんが。
どうやら、書いている内容は経済? に関するモノのようなんです。
わたし、そっちの方は全く無知なものですから。
『何を書いてらしゃるのですか』って声を掛けちゃったんです。」
いや、ノノちゃん、それは怖い物知らずにもほどがありますよ。
何か危害を加えられたどうするつもりなんですか。
「するとその男はこんなことを言ったんです。」
**********
<ノノちゃんの回想>
「なんだ、小娘、良い身なりをしてるがブルジョワジーの子供か?
それとも、時代の流れに逆行しようという貴族の娘か?
いずれにしろ、階級闘争の敵であるお前たちに話して聞かせる事などないわ。
どうせ、お前らに儂の高尚な理論など理解は出来ないだろうからな。」
何なのでしょう、この人。
いきなり喧嘩腰ですか、確かに執筆の邪魔をしちゃったかも知れませんが。
それに、執筆の邪魔をしたことに腹を立てているにしては、言っていることが変です。
何か、話が嚙み合っていないと言うか…。
「ええっと、何に腹を立てているのかは存じませんが。
わたし、ブルジョワジーでも、貴族でもありませんよ。
アルム山脈の麓の貧農の生まれなんです。
この服装は、わたしの後見人になって留学させてくださった方が揃えてくださったのです。」
「けっ、お花畑なユートピア思想に被れた金持ちがしている慈善運動の恩恵を受けた娘か。
きっと、おまえもその後見人とか言う奴の手下になって。
慈善主義的な社会改革とやらの走狗になるんであろうな。
社会改革は、階級闘争による革命でしか成しえないと言っておるのに。
科学的に物事を考えられない愚物は理想論ばかり振りかざしおって。」
なんか、酷い決めつけですね。
この人にとっては、周りの人はみんな敵なんじゃないでしょうか。
「あの、よくわかりませんが。
あなたはいったい、何と闘っているのでしょうか?
執筆の邪魔をしてしまったのは謝りますが。
別に、わたし、あなたと敵対する関係にあるとは思えないのですが。」
まあ、これで、相手にしてもらえないなら引き下がろうと思いました。
別にどうしても知りたいわけではないし。
ただ、毎日、同じ席に座って黙々と書き物をしているという事に興味を持っただけですから。
すると、
「小娘、おまえ、儂のことを知らんのか?」
知らんのかと言われても、そんな有名な方なのですか?
「はい、今日初めてお目に掛りました。
わたし、近くの女学校に留学しているノノと申します。
あなたは有名な方なのです?」
「儂か、聞いて驚け。儂はケール・メルクス。
世界中の労働者たちを一致団結させて、ブルジョア共をうち滅ぼす革命を目指す者。
労働者たちによるユートピア、協産主義国家の創設を目指す思想的指導者だ。
この儂を知らんなんてなんて無知蒙昧、嘆かわしい娘だ。
どれ、これを一冊恵んでやろう、儂が最近書いた『協産党宣言』という名著だ。
これを読んで世界の真理を知ればよい。
労働者による革命は人類全体の解放なんだ、起て万国の労働者!」
この人、自分に酔ってます。
自分が最近書いた書物を名著というなんて、ヤバい感じの人です。
ブルジョア共をうち滅ぼす革命を目指すなんて、アブないこと言ってますし。
「もしもし、そこのお二人さん、この図書館の閲覧室は私語厳禁です。
ご静粛にと、壁にも張ってあるでしょう。
今日は、もう退室して頂けませんか。
従わないないと出禁にしますよ。」
ほら、大きな声でまた『起て万国の労働者!』なんて叫ぶから司書さんに怒られちゃったじゃないですか。
<回想終わり>
**********
「と、そんなことがあったんです。
で、渡された『協産党宣言』という本。
パラパラと目を通したんですが…。
何がなんやらで。
十六の小娘には難しすぎて良く分かりませんでした。」
そんなことを言ってノノちゃんは笑っていました。
笑っているノノちゃんの表情を見る限り、深刻な問題という訳では無さそうです。
どうやら、茶飲み話として、最近出会った変な人の話題を持ち出しただけのようです。
ノノちゃんが、頭のネジが一本外れた人に危害を加えられたとかじゃなくて良かったです。
「それでですね。
一緒に図書館から摘まみ出されちゃったでしょう。
それで、変な連帯感を持たれちゃったみたいで…。
図書館で顔を合わせると、『よお、同志ノノよ!』って声を掛けられるようになっちゃったんです。
わたし、同志になんてなった覚えないのに。
細かいことは分かりませんが、暴力で社会をひっくり返すなんて。
わたしには、賛同できません。」
ノノちゃん、頭が良いものですから、色々な人に好かれるのですが。
また、厄介そうな人に好かれたものです。
「それで、何か困ったことになっているのかしら?
何か困ったら、遠慮なく言ってね。
私が力になってあげるから。」
「いえ、何も困ったことはありません。
ただ、この人と割とお話するようになって一つ分かったことがあるんです。
この人、天才だって。」
えっ、紙一重ってやつですか?
「最近、わたし、大アルビオン博物館の付属図書館がお気に入りなんです。
あの図書館凄く大きくて。
一説には過去に記されたありとあらゆる本が集められているとか。
広々とした、陽当りの良い閲覧室で、古今東西の英知に触れることができるなんて最高の一時です。」
ハーブティーを手にしたノノちゃんが、マイブームだと言って大図書館の話をしてくれました。
ノノちゃんが通う女学校は、大図書館にほど近く休みの日には散歩がてら歩いて行き。
午後の一時を、静かな閲覧室で本を読むのが至高の時間なのだそうです。
この子の向学心の強さには感心しますね。
夏前に、ノノちゃんが報告に来た時、二年生の成績表を持ってきました。
それを見ると、二年連続で学年主席の成績を収めたようでした。
アルビオン王国一と言われている女学校で、主席をとるのは並大抵の努力では無いはずです。
それでだけ勉学に励みながら、クララちゃんとアリスちゃんの家庭教師をしているのです。
私だったら、それだけで疲れてしまうことでしょう。
空いている時間に、図書館に行って更に知識を養うなんてとてもできそうにありません。
「それで、とても静かで居心地の良い図書館だと思っていたんです。
ですが、…。」
それまで、楽しそうに話をしていたノノちゃんが、顔を曇らせたのです。
「あら、大図書館で何かあったの?」
私が尋ねると。
「それが、わたしは平日は女学校があるし。
休日も、大部分がクララちゃん、アリスちゃんと過ごしているので。
大図書館で本を読んで過ごす時間はほんの一時だけなので。
それまでは、たまたま、時間が重ならなかったから知らなかったのです。
先日、お気に入りの詩集を読みながら、午後の一時を過ごしていたら。
静寂が支配する閲覧室の中で奇声が上がったのです。
『起て!万国の労働者!』って。
わたし、ドキッとしました。
静かな閲覧室で、突然、あんな大声を出されるとビックリしちゃいます。」
とても美しい詩にうっとりとしていたノノちゃんは、その奇声に現実に引き戻されたそうです。
驚いて閲覧室を見回すと、…。
暑苦しい風体の青年がブツブツと独り言を言いながら黙々と書き物をしていたそうです。
何が暑苦しいかって、無造作に伸ばした凄いヒゲ面だそうで。
ノノちゃんは、ヒゲくらい剃ったらと突っ込みたくなったと言います。
よく見るとまだ三十歳いっているか、いってないかの年齢なのに、とんでもなく老けて見えるそうです。
そして、休日はそこそこ人がいる閲覧室のなのですが。
その男の回りは、周囲三ヤードくらい誰も座っていなかったとのことです。
ノノちゃんが呆然としてると、丁度近くを通りかかった図書館の司書さんが言ったそうです。
「あら、あなた、初めてだった?
ごめんなさいね、驚いたでしょう。
あの方、この図書館の常連さんでね。
何時もあの席に座って書き物をしているのよ。
いつもブツブツ独り言を言っていて、時々さっきみたいに奇声を上げるの。」
どうやら、ノノちゃんが知らなかっただけで、その図書館の名物的な人物だったらしいです。
『大図書館の顰蹙買い』って。
司書さんが言うには、奇声を上げるものですから、規則違反で出禁にしたいそうですが。
何時でも、奇声を上げている訳でもなく、普段は黙々と書き物をしているそうなのです。
まあ、黙々と言っても、普段から独り言を言っているのですが。
本に没頭して、独り言を呟く人はその男だけではないため、摘まみ出す訳にもいかないそうです。
とは言え、むさ苦しいヒゲ面で常にブツクサと独り言を呟いているのです。
その男は、常々、他の来館者のヒンシュクを買っていると言います。
その男を気味悪がって周囲の席に座る人はいないとのことですし。
その男のことを知らずに、たまたま近くの席に座った人は、気味悪がってすぐに席を移すそうです。
その司書さんも、時々静かにするようにと注意するそうですが。
その男は、ぎょろりとした目で睨み付けるだけで一言も発しないそうです。
独り言は言うのに、注意されても返事もしないのですね。
それって、いったいどんな偏屈者ですか。
**********
「でも、わたし、気になったんです、その男のことが。
試しに、その男の近くに行って何をブツクサ言っているのか。
耳を澄ませて聞いてみたんです。」
何と言う怖い物知らずなんでしょう。
周囲の人がみな気味悪がっている人の傍に寄っていって、独り言を聞きとろうなんて。
「ノノちゃん、危ないことをしちゃダメよ。
頭のネジが一本外れちゃっている人って何をするか分からないんだから。」
思わず、私はノノちゃんに注意してしまいました。
「いえ、その男、ブツクサ言っているのは、…。
自分が執筆している書き物の内容を口に出して整理しているようなんです。
わたし、まだ勉強不足なので、よくわかりませんが。
どうやら、書いている内容は経済? に関するモノのようなんです。
わたし、そっちの方は全く無知なものですから。
『何を書いてらしゃるのですか』って声を掛けちゃったんです。」
いや、ノノちゃん、それは怖い物知らずにもほどがありますよ。
何か危害を加えられたどうするつもりなんですか。
「するとその男はこんなことを言ったんです。」
**********
<ノノちゃんの回想>
「なんだ、小娘、良い身なりをしてるがブルジョワジーの子供か?
それとも、時代の流れに逆行しようという貴族の娘か?
いずれにしろ、階級闘争の敵であるお前たちに話して聞かせる事などないわ。
どうせ、お前らに儂の高尚な理論など理解は出来ないだろうからな。」
何なのでしょう、この人。
いきなり喧嘩腰ですか、確かに執筆の邪魔をしちゃったかも知れませんが。
それに、執筆の邪魔をしたことに腹を立てているにしては、言っていることが変です。
何か、話が嚙み合っていないと言うか…。
「ええっと、何に腹を立てているのかは存じませんが。
わたし、ブルジョワジーでも、貴族でもありませんよ。
アルム山脈の麓の貧農の生まれなんです。
この服装は、わたしの後見人になって留学させてくださった方が揃えてくださったのです。」
「けっ、お花畑なユートピア思想に被れた金持ちがしている慈善運動の恩恵を受けた娘か。
きっと、おまえもその後見人とか言う奴の手下になって。
慈善主義的な社会改革とやらの走狗になるんであろうな。
社会改革は、階級闘争による革命でしか成しえないと言っておるのに。
科学的に物事を考えられない愚物は理想論ばかり振りかざしおって。」
なんか、酷い決めつけですね。
この人にとっては、周りの人はみんな敵なんじゃないでしょうか。
「あの、よくわかりませんが。
あなたはいったい、何と闘っているのでしょうか?
執筆の邪魔をしてしまったのは謝りますが。
別に、わたし、あなたと敵対する関係にあるとは思えないのですが。」
まあ、これで、相手にしてもらえないなら引き下がろうと思いました。
別にどうしても知りたいわけではないし。
ただ、毎日、同じ席に座って黙々と書き物をしているという事に興味を持っただけですから。
すると、
「小娘、おまえ、儂のことを知らんのか?」
知らんのかと言われても、そんな有名な方なのですか?
「はい、今日初めてお目に掛りました。
わたし、近くの女学校に留学しているノノと申します。
あなたは有名な方なのです?」
「儂か、聞いて驚け。儂はケール・メルクス。
世界中の労働者たちを一致団結させて、ブルジョア共をうち滅ぼす革命を目指す者。
労働者たちによるユートピア、協産主義国家の創設を目指す思想的指導者だ。
この儂を知らんなんてなんて無知蒙昧、嘆かわしい娘だ。
どれ、これを一冊恵んでやろう、儂が最近書いた『協産党宣言』という名著だ。
これを読んで世界の真理を知ればよい。
労働者による革命は人類全体の解放なんだ、起て万国の労働者!」
この人、自分に酔ってます。
自分が最近書いた書物を名著というなんて、ヤバい感じの人です。
ブルジョア共をうち滅ぼす革命を目指すなんて、アブないこと言ってますし。
「もしもし、そこのお二人さん、この図書館の閲覧室は私語厳禁です。
ご静粛にと、壁にも張ってあるでしょう。
今日は、もう退室して頂けませんか。
従わないないと出禁にしますよ。」
ほら、大きな声でまた『起て万国の労働者!』なんて叫ぶから司書さんに怒られちゃったじゃないですか。
<回想終わり>
**********
「と、そんなことがあったんです。
で、渡された『協産党宣言』という本。
パラパラと目を通したんですが…。
何がなんやらで。
十六の小娘には難しすぎて良く分かりませんでした。」
そんなことを言ってノノちゃんは笑っていました。
笑っているノノちゃんの表情を見る限り、深刻な問題という訳では無さそうです。
どうやら、茶飲み話として、最近出会った変な人の話題を持ち出しただけのようです。
ノノちゃんが、頭のネジが一本外れた人に危害を加えられたとかじゃなくて良かったです。
「それでですね。
一緒に図書館から摘まみ出されちゃったでしょう。
それで、変な連帯感を持たれちゃったみたいで…。
図書館で顔を合わせると、『よお、同志ノノよ!』って声を掛けられるようになっちゃったんです。
わたし、同志になんてなった覚えないのに。
細かいことは分かりませんが、暴力で社会をひっくり返すなんて。
わたしには、賛同できません。」
ノノちゃん、頭が良いものですから、色々な人に好かれるのですが。
また、厄介そうな人に好かれたものです。
「それで、何か困ったことになっているのかしら?
何か困ったら、遠慮なく言ってね。
私が力になってあげるから。」
「いえ、何も困ったことはありません。
ただ、この人と割とお話するようになって一つ分かったことがあるんです。
この人、天才だって。」
えっ、紙一重ってやつですか?
1
お気に入りに追加
327
あなたにおすすめの小説
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。
美少女に転生して料理して生きてくことになりました。
ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。
飲めないお酒を飲んでぶったおれた。
気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。
その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです
ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。
女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。
前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る!
そんな変わった公爵令嬢の物語。
アルファポリスOnly
2019/4/21 完結しました。
沢山のお気に入り、本当に感謝します。
7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。
2021年9月。
ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。
10月、再び完結に戻します。
御声援御愛読ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる