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第17章 夏、季節外れの嵐が通り過ぎます
第480話 この精霊(こ)いっそ清々しいです
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さて、ナナちゃん達が家に帰っている間に、私とリーナはログハウスの中を見て回ります。
その前に、私はドリーちゃんとノミーちゃんをリーナはセピアとベルデをそれぞれ呼び出しました。
「うん? この丸太小屋をまた造りたいの?
そんなのおやすい御用だよ、幾つでも行けるよ。」
ノミーちゃんが言うと、
「なんだい、水臭いね。
別に他の人の契約精霊に頼まなくてくても良いじゃないか。
このくらいの建物なら、幾らでもアタイが造ってやるよ。」
リーナが契約する植物の精霊ベルデがノミーちゃんに張り合うように言います。
ベルデとしては、契約精霊の自分を差し置いて、ノミーちゃんに頼むのは沽券に関わるのでしょうか。
「有り難う、幾つも建てる事になるから、ベルデちゃんがやってくれるなら助かるわ。
余り、ロッテの手を煩わすのは申し訳ないと思っていたのよ。
ただね、この建物はノミーちゃんが造ったモノでしょう。
同じモノを複製するなら、ノミーちゃんにお願いする方が良いかと思ったの。」
「大丈夫よ。
一通り見て構造さえ把握しちゃえば、幾らでも正確に模倣できるから。
任せておいて。」
ベルデは、胸を張ってログハウスの建設を引き受けていました。
で、実際にログハウスの中をチェックしていくと、最初に…。
「この丸太小屋、随分とガラスを多用しているのね。
これは、うちの食いしん坊に頑張ってもらわないといけないね。」
ロビーの大きなガラス窓を見てベルデが呟きます。
ログハウスの中に入ってすぐのロビーは採光のため大きなガラス窓を設置しました。
ナナちゃん達がロビーで勉強していたのは、ここが一番明るいからですね。
「うん? おいら?
おいらが、この透明な板を作るの…?
こんなの作ったこと無いけど…。」
話しを振られた大地の精霊セピアがガラス窓に手を当ててジッと考え込んでいます。
しばらくガラスに手を当てて考え込んでいたセピアでしたが。
やおら、手をバンザイしたかと思うと…。
「ああ、これ、単一の鉱物で出来てるんだ…。
これ、ノミーが作ったの? 器用だな…。
うーーーーーん、あっ、これ、出来ないや、絶対無理。」
お手上げのようです。
清々しいくらいにきっぱりと無理宣言をしました。
「あんたね、無駄飯ばっかり食べてないで。
少しは役立ちなさいよ!」
「無茶言わないでよ!
単一の鉱物の結晶をこんな風に並べるなんて。
精霊には、普通そんなことできないって。
ロッテちゃんの所のノミーの方が異常だよ。
おいらが作ったらこんな風になっちゃうもん。」
ベルデにツッコまれ抗弁したセピアは、瞬時にして目の前に強大な六角柱を作り出しました。
両端が尖った巨大な六角柱は無色透明でキラキラと輝いています。
「ほら、おいらの能力が劣ってる訳じゃないよ。
あの透明な板とこれで、ほぼ同じ大きさがあるもん。
自然の状態じゃあ、普通はこんな形になるんだもん。
おいら、力業は得意だから、もっともっと大きいのも出来るよ。
でも、これを薄い板状に造るなんて器用な事、おいらには絶対無理!」
どうやらそれは、今まで見たこともない、巨大な水晶の結晶のようです。
結晶配列を組み直して透明な薄い板状にするのは、精霊でも難しいことのようです。
「任せてよ、ガラス板の部分は私が手伝ったげる。
精霊にだって、向き不向きはあるから、仕方ないよ。
セピアには、また別のところで役立ってもらえばいいじゃん。」
セピアの言い分を聞いたノミーちゃんが、ガラス板の製造を引き受けてくれることになりました。
やはり、ノミーちゃんの方が緻密なことは得意のようです。
その後も、天然温泉の浴場を見ては、リーナは水の精霊シアンを呼出して作れないかを相談したりしていました。
その後屋内を隈なく見て回り、外回りのウッドデッキやバーベキュー用の野外調理施設なども案内します。
「これ、良いわね。
一時的な使用ではなく、新市街地の一番外れをログハウスの区画にして永続的に使った方が良いかも。
シューネ湖に面した区画にログハウスを建てて、回りを木で囲んだら良い雰囲気になりそうじゃない。
気張らずにゆったりと寛げる温泉付きの宿って感じで。」
一通り見て回った後、リーナはそんな感想を漏らしていました。
まあ、後々どうするかは、ゆっくり検討すれば良いでしょう。
取り敢えず来年の夏までに必要数造ることが、大事です。
********
ログハウスを一通り見終えて、建設の手順の確認が済んだ頃子供たちが戻って来ました。
「シャルロッテ様、全員の両親から許可をもらってきました。
お世話になりますが、よろしくお願いします。」
ナナちゃんがそう言って頭を下げると。
「「「「「お願いします!」」」」」
ちびっ子五人も、ナナちゃんに倣って頭を下げます。
その仕草をとても愛らしく感じたようで、リーナは破顔していました。
ここと工房を結ぶ転移魔法の敷物を設置してなかったので天馬(もどき)に乗って来ましたが。
アルムハイムの館と結ぶ敷物は設置済みですので、帰りは転移の魔法で一瞬です。
私はアルムハイムの館に戻ると、シューネフルトへ帰るリーナを見送り。
その後、侍女見習いのリンダを伴なってアルビオンの館に転移しました。
もちろん、チビッ子五人とナナちゃんを連れてです。
リンダは何のために連れて来たかと言うと。
「シャルロッテ様、私は馬車の御者なんかしたこと無いぜ。
本当に座っているだけで良いんだろうな。」
ヴァイスの引く馬車の御者台の上で、リンダがそんなボヤキをもらしています。
何時もは侍女のベルタさんに御者台に座ってもらうのですが。
見習いのリンダがいるのですから、なにも貴族のベルタさんに御者の真似事をさせずともと思いました。
ヴァイスに任せておけば、本当は御者など要らないのですが。
御者無しで馬車が街中を走っていようものなら、都市伝説が出来てしまいます。
ですので、形だけでも御者がいるのです。
では、なぜ、大急ぎでアルビオン王国まで来たかと言うと。
「きゃあ、これ可愛い。」
花柄のワンピースを手にした女の子が、キャッキャッと声をあげました。
まだ、七、八歳とは言え、さすが女の子、可愛い服が気に入ったようです。
数日預かって、あちこちに連れまわすことにしたのは良いのですが。
ナナちゃんは冬に預かった時に私が買い揃えた服を着ていますし。
弟君二人は、ノノちゃんがお土産にと買い与えた服を着てきたから良いのです。
でも、他の三人の女の子はと言うと、…。
初めて会った時のノノちゃんみたいに、ボロ布と間違えんばかりの服ではないのですが。
やはり、あの村の子です。
元々古着を買って着るのが標準のため、あちこち継ぎ接ぎが目立ちます。
これでは、連れまわすのに支障が出ます。場所によっては入れてもらえませんから。
なので、最初に訪れたのはアルビオンの王都にある、すっかり常連になった服屋です。
「シャルロッテ様、私は買って頂いたこの服がございますし。
弟達も、ノノお姉ちゃんからお土産にもらった服がありますので。
私達三人の服は要らないのですが…。」
インナーからアウターまで、一点ずつ好きな服を選びなさいと言うとナナちゃんが遠慮していました。
「女の子三人だけに買い与えると、弟君二人が不公平だと思うわ。
私が女の子だけを贔屓しているように思うかも知れないでしょう。
そしたら、私の工房を見せても女の子が贔屓されているだけだと思ちゃうかも知れないわよ。
それともう一点、ナナちゃん達の住んでいる村にはお店が一つも無いわ。
だから、弟君二人は買い物をしたことが無いし、お金の大切さをちゃんと理解していないの。
実際、買い物をしてみて、お金があれば色々なモノが手に入るってことを先ずは理解させないとね。
そうしないとより良い職業に就くという動機が見い出せないでしょう。
全員に服を買い与えて、ナナちゃん一人に買ってあげないのも変でしょう。
一着くらい遠慮しないで良いわよ、秋物の服でも買っておきなさい。」
私が弟君二人もここへ連れて来た目的を話すとナナちゃんも納得した様子で。
「シャルロッテ様、いつもお世話になってしまって申し訳ございません。
それじゃあ、お言葉に甘えさせていただきます。
私、実はこのお店の服大好きなんです。
可愛い形や柄の服がいっぱいあるんで見ているだけで楽しくなります。
こんなに沢山あると迷っちゃいますよね。
そう言って売り場を物色しに行きました。
せっかく、アルビオン王国まで来たのですから、先にこの国を見せましょうか。
服を嬉しそうに選ぶ子供達を眺めながら、私はそう考えていました。
その前に、私はドリーちゃんとノミーちゃんをリーナはセピアとベルデをそれぞれ呼び出しました。
「うん? この丸太小屋をまた造りたいの?
そんなのおやすい御用だよ、幾つでも行けるよ。」
ノミーちゃんが言うと、
「なんだい、水臭いね。
別に他の人の契約精霊に頼まなくてくても良いじゃないか。
このくらいの建物なら、幾らでもアタイが造ってやるよ。」
リーナが契約する植物の精霊ベルデがノミーちゃんに張り合うように言います。
ベルデとしては、契約精霊の自分を差し置いて、ノミーちゃんに頼むのは沽券に関わるのでしょうか。
「有り難う、幾つも建てる事になるから、ベルデちゃんがやってくれるなら助かるわ。
余り、ロッテの手を煩わすのは申し訳ないと思っていたのよ。
ただね、この建物はノミーちゃんが造ったモノでしょう。
同じモノを複製するなら、ノミーちゃんにお願いする方が良いかと思ったの。」
「大丈夫よ。
一通り見て構造さえ把握しちゃえば、幾らでも正確に模倣できるから。
任せておいて。」
ベルデは、胸を張ってログハウスの建設を引き受けていました。
で、実際にログハウスの中をチェックしていくと、最初に…。
「この丸太小屋、随分とガラスを多用しているのね。
これは、うちの食いしん坊に頑張ってもらわないといけないね。」
ロビーの大きなガラス窓を見てベルデが呟きます。
ログハウスの中に入ってすぐのロビーは採光のため大きなガラス窓を設置しました。
ナナちゃん達がロビーで勉強していたのは、ここが一番明るいからですね。
「うん? おいら?
おいらが、この透明な板を作るの…?
こんなの作ったこと無いけど…。」
話しを振られた大地の精霊セピアがガラス窓に手を当ててジッと考え込んでいます。
しばらくガラスに手を当てて考え込んでいたセピアでしたが。
やおら、手をバンザイしたかと思うと…。
「ああ、これ、単一の鉱物で出来てるんだ…。
これ、ノミーが作ったの? 器用だな…。
うーーーーーん、あっ、これ、出来ないや、絶対無理。」
お手上げのようです。
清々しいくらいにきっぱりと無理宣言をしました。
「あんたね、無駄飯ばっかり食べてないで。
少しは役立ちなさいよ!」
「無茶言わないでよ!
単一の鉱物の結晶をこんな風に並べるなんて。
精霊には、普通そんなことできないって。
ロッテちゃんの所のノミーの方が異常だよ。
おいらが作ったらこんな風になっちゃうもん。」
ベルデにツッコまれ抗弁したセピアは、瞬時にして目の前に強大な六角柱を作り出しました。
両端が尖った巨大な六角柱は無色透明でキラキラと輝いています。
「ほら、おいらの能力が劣ってる訳じゃないよ。
あの透明な板とこれで、ほぼ同じ大きさがあるもん。
自然の状態じゃあ、普通はこんな形になるんだもん。
おいら、力業は得意だから、もっともっと大きいのも出来るよ。
でも、これを薄い板状に造るなんて器用な事、おいらには絶対無理!」
どうやらそれは、今まで見たこともない、巨大な水晶の結晶のようです。
結晶配列を組み直して透明な薄い板状にするのは、精霊でも難しいことのようです。
「任せてよ、ガラス板の部分は私が手伝ったげる。
精霊にだって、向き不向きはあるから、仕方ないよ。
セピアには、また別のところで役立ってもらえばいいじゃん。」
セピアの言い分を聞いたノミーちゃんが、ガラス板の製造を引き受けてくれることになりました。
やはり、ノミーちゃんの方が緻密なことは得意のようです。
その後も、天然温泉の浴場を見ては、リーナは水の精霊シアンを呼出して作れないかを相談したりしていました。
その後屋内を隈なく見て回り、外回りのウッドデッキやバーベキュー用の野外調理施設なども案内します。
「これ、良いわね。
一時的な使用ではなく、新市街地の一番外れをログハウスの区画にして永続的に使った方が良いかも。
シューネ湖に面した区画にログハウスを建てて、回りを木で囲んだら良い雰囲気になりそうじゃない。
気張らずにゆったりと寛げる温泉付きの宿って感じで。」
一通り見て回った後、リーナはそんな感想を漏らしていました。
まあ、後々どうするかは、ゆっくり検討すれば良いでしょう。
取り敢えず来年の夏までに必要数造ることが、大事です。
********
ログハウスを一通り見終えて、建設の手順の確認が済んだ頃子供たちが戻って来ました。
「シャルロッテ様、全員の両親から許可をもらってきました。
お世話になりますが、よろしくお願いします。」
ナナちゃんがそう言って頭を下げると。
「「「「「お願いします!」」」」」
ちびっ子五人も、ナナちゃんに倣って頭を下げます。
その仕草をとても愛らしく感じたようで、リーナは破顔していました。
ここと工房を結ぶ転移魔法の敷物を設置してなかったので天馬(もどき)に乗って来ましたが。
アルムハイムの館と結ぶ敷物は設置済みですので、帰りは転移の魔法で一瞬です。
私はアルムハイムの館に戻ると、シューネフルトへ帰るリーナを見送り。
その後、侍女見習いのリンダを伴なってアルビオンの館に転移しました。
もちろん、チビッ子五人とナナちゃんを連れてです。
リンダは何のために連れて来たかと言うと。
「シャルロッテ様、私は馬車の御者なんかしたこと無いぜ。
本当に座っているだけで良いんだろうな。」
ヴァイスの引く馬車の御者台の上で、リンダがそんなボヤキをもらしています。
何時もは侍女のベルタさんに御者台に座ってもらうのですが。
見習いのリンダがいるのですから、なにも貴族のベルタさんに御者の真似事をさせずともと思いました。
ヴァイスに任せておけば、本当は御者など要らないのですが。
御者無しで馬車が街中を走っていようものなら、都市伝説が出来てしまいます。
ですので、形だけでも御者がいるのです。
では、なぜ、大急ぎでアルビオン王国まで来たかと言うと。
「きゃあ、これ可愛い。」
花柄のワンピースを手にした女の子が、キャッキャッと声をあげました。
まだ、七、八歳とは言え、さすが女の子、可愛い服が気に入ったようです。
数日預かって、あちこちに連れまわすことにしたのは良いのですが。
ナナちゃんは冬に預かった時に私が買い揃えた服を着ていますし。
弟君二人は、ノノちゃんがお土産にと買い与えた服を着てきたから良いのです。
でも、他の三人の女の子はと言うと、…。
初めて会った時のノノちゃんみたいに、ボロ布と間違えんばかりの服ではないのですが。
やはり、あの村の子です。
元々古着を買って着るのが標準のため、あちこち継ぎ接ぎが目立ちます。
これでは、連れまわすのに支障が出ます。場所によっては入れてもらえませんから。
なので、最初に訪れたのはアルビオンの王都にある、すっかり常連になった服屋です。
「シャルロッテ様、私は買って頂いたこの服がございますし。
弟達も、ノノお姉ちゃんからお土産にもらった服がありますので。
私達三人の服は要らないのですが…。」
インナーからアウターまで、一点ずつ好きな服を選びなさいと言うとナナちゃんが遠慮していました。
「女の子三人だけに買い与えると、弟君二人が不公平だと思うわ。
私が女の子だけを贔屓しているように思うかも知れないでしょう。
そしたら、私の工房を見せても女の子が贔屓されているだけだと思ちゃうかも知れないわよ。
それともう一点、ナナちゃん達の住んでいる村にはお店が一つも無いわ。
だから、弟君二人は買い物をしたことが無いし、お金の大切さをちゃんと理解していないの。
実際、買い物をしてみて、お金があれば色々なモノが手に入るってことを先ずは理解させないとね。
そうしないとより良い職業に就くという動機が見い出せないでしょう。
全員に服を買い与えて、ナナちゃん一人に買ってあげないのも変でしょう。
一着くらい遠慮しないで良いわよ、秋物の服でも買っておきなさい。」
私が弟君二人もここへ連れて来た目的を話すとナナちゃんも納得した様子で。
「シャルロッテ様、いつもお世話になってしまって申し訳ございません。
それじゃあ、お言葉に甘えさせていただきます。
私、実はこのお店の服大好きなんです。
可愛い形や柄の服がいっぱいあるんで見ているだけで楽しくなります。
こんなに沢山あると迷っちゃいますよね。
そう言って売り場を物色しに行きました。
せっかく、アルビオン王国まで来たのですから、先にこの国を見せましょうか。
服を嬉しそうに選ぶ子供達を眺めながら、私はそう考えていました。
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