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第17章 夏、季節外れの嵐が通り過ぎます
第476話 この人の存在を忘れていました
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すっかり、オークレフトさんのプランに魅入られてしまったリーナ。
そんなリーナの様子に満足気なオークレフトさんは、私に向かい。
「では、シャルロッテ様、私とカロリーネ殿下を工房へ連れて行って頂けますか。
ここでは、具体的な打ち合わせは出来ませんから。」
うん? 何か異なことを言いますね。
リーナが示した地図とオークレフトさんのプランがあれば、大まかな打ち合わせはできるのでは。
どうせ、予算を含む詳細はことは、設計図面ができない事には相談できないのですから。
今、ここでやってしまえば良いのでは?
「ねえ、オークレフトさん、リーナも忙しいでしょうし。
わざわざ、工房へ出向いてもらわなくても、今ここで打ち合わせすれば良いのでは?」
すると、オークレフトさんは、「こいつ、何を言っているんだ」と言わんばかりの怪訝な顔を私に向けました。
「来年の夏までに、そこそこの大きさの宿屋を複数建設するのですよ。
もう、期間は一年を切ってしまっています。
大至急、宿屋の建物の設計をして、見積もりを作らないと間に合わないですよ。
電気の配線も建物の設計に織り込んでもらわないといけませんからね。
プロに相談しないでどうするんですか。」
「プロですか?」
私が問い返すと…。
「ほら、シャルロッテ様はお忘れになっている。
私は技術屋ですから、建築の事は門外漢です。
シャルロッテ様、専属の建築家を雇ったじゃないですか。
何も仕事をさせずに遊ばせていると思ったら、忘れてらしたんですね。」
オークレフトさんに指摘されて、やっと思い出しました。
新市街のホテルを建てる時に、内装工事の設計と現場監督をさせるために建築家を専属にしたのを。
単発の発注をする予定でしたが、多額の借金を肩代わりさせられることになり。
私の下で働かせながら借金を返済させることにしたんでしたっけね。
すっかり忘れていました。
「そうでしたね、フランクさんと言いましたっけ。
あの方、今どうしていますか?」
「シャルロッテ様が仕事を発注しないのを良い事に。
日がな一日、事務所で転寝していたり。
シューネフルトまで行って街をふらついたりしてますよ。
シャルロッテ様から毎月給金を頂きながら自堕落な生活をしていて良い身分ですよ。」
あはは、私が忘れていたので文句も言えませんね。
じゃあ、半年近く遊ばせていた分、キリキリ働いてもらいましょうか。
********
ということで、三人で工房までやって来て。
植物の精霊ドリーちゃんに建ててもらった一棟のログハウスの前に立っています。
フランクさんに与えた仕事場は他の人とは違い、事務所の裏に居住用のスペースを付けた形となっています。
私が使っている工房全体の管理用の事務棟とほぼ同じ間取りのモノを建ててもらいました。
「おーい、フランクさん、シャルロッテ様とお客様がお見えだぞ。
仕事の依頼だ。」
事務所の外からオークレフトさんが大きな声で呼びかけると。
事務所の中でドタバタと騒がしい音がして、やがて建物の扉が開かれました。
扉の向こうから姿を現したフランクさん、ヨレヨレの服をきて、ボサボサの髪をしています。
それに顔つきは、まさに寝起きといった感じで、少しぼんやりしていました。
「フランクさん、また昼間から居眠りですか?」
オークレフトさんの嫌味を込めた一言に。
「居眠りだなんて失礼だな。
俺は、新しい建築物のインスピレーションを得るために思索に耽っていただけだ。
思考にのめり込んでしまって、少し意識を手放しちまっただけじゃないか。」
やっぱり、居眠りしていたのですね…。
「お久しぶりです、フランクさん、少し間が空いてしまいましたが仕事です。
今回は短い期間で、複数の建物の設計と見積もりをお願いしますのでよろしく頼みますよ。
春からこっち、大分鋭気を養われたでしょうから、一、二週間寝なくても大丈夫でしょう。
そのインスピレーションとやらを存分に発揮してくださいね。」
少し嫌味でしたでしょうか、存在を失念していた私にも落ち度があるのですから。
「おっ、やっと仕事ですか。
俺、忘れられてるんじゃないかと心配してたんですよ。
ホテルの工事が終ってからこっち、一言も無かったものですから。
まあ、毎月給金は頂いてますし、食事も風呂もありますんで。
極楽のような生活ではあったのですが。」
存在を忘れていたことに苦情を言われるかと思いましたが、…。
まあ、極楽のような生活だったのなら、文句も無いでしょう。
「ごめんなさいね、春からこっち、戦争とかあって事業が滞ってたのよ。
本当は、第二、第三のホテルを建設する予定があって。
その設計を頼むはずだったのだけど遅延してしまってるの。
それで、今回の仕事の説明をしたいのだけど良いかしら。」
「ええ、仕事なら大歓迎です。
久しぶり何で、腕がなりますよ。」
フランクさんは、久々の仕事に目を輝かせました。
********
で、フランクさんの事務所に足を踏み入れ…。
「少し散らかっていて申し訳ございません。
どうぞ、打ち合わせテーブルの椅子におかけください。」
「これが打ち合わせテーブルですか?」
フランクさんに席を進められたリーナが戸惑いの声を上げます。
ええ、アルビオン王国にあったフランクさんの事務所を彷彿とさせられましたよ。
事務所の中は足の踏み場もないくらい散らかっていて…。
勧められた打ち合わせテーブルなど、本や書類が無造作に積み上げられています。
リーナの戸惑いも解かります。
椅子に座ると本や書類が視界を遮って対面に座る人の顔が見えないのですもの。
これでは、打ち合わせなど出来るとは思えません。
取り敢えず、面と向かって打ち合わせができるように、目の前のモノを退かそうとしたら。
「あっ、それは動かさないでください。
他の人には、散らかっている部屋にしか見えないでしょうが。
俺の使い易いように、物を配置しているんです。
移動されたら何処に何があるか分からなくなります。」
いえ、これで使い易いように配置してあると言われても、…。
私には、唯々、散らかっているようにしか見えないのですが。
これでは落ち着いて打ち合わせも出来そうもありませんので、どうしようかと思っていると…。
「キャアアアア!」
普段、大きな声など上げる事のないリーナが、私のすぐ耳元で悲鳴を上げました。
何事かと思いリーナの方を振り向くと、目の前に積まれた書類の隙間から…。
カサカサカサ
何やら、茶色い物体がリーナの目の前をカサカサと音を立てて走り過ぎていき…。
いったん止まったかと思ったら、翅を広げ…、飛んで来ました…、私の方へ。
「*$%#*!!!」
もうパニックです。
********
あんな汚らわしい虫がいるとこでは落ち着いて話も出来ません。
私達は、私に使っている事務室に場所を変えて打ち合わせをする事にしました。
「あらま、シャルロッテ様、あの汚部屋に入られたのですか。
わたしも何度も掃除をしようとしたのですが、させて下さらないのです。
何でも、動かされると仕事に差し障りがあると言われまして。」
お茶を淹れてくれながら、この工房の庶務全般を一手に引き受けてくれているカーラが笑っていました。
私はテーブルの正面に座るフランクさんに。
「掃除をしなさい。」
「いえ、あれは散らかっているのではないのです。
俺の仕事が効率的に出来るように考えて配置しているんです。
あれでも、俺は何処に何があるかちゃんと把握しているんですよ。」
「掃除しなさい、これは業務命令です。」
「いえ、ですが…。」
「あなた、私が借金を肩代わりしてあげた時なんて言いました。
『何でもします。』と言いましたよね。
何なら、あの時立て替えてあげたお金、今ここで返しますか?」
「いえ、だから…。
分かりました、掃除します。」
「分かってくだされば結構です。」
まだ、仕事をしていないのにどっと疲れました。
やっと、本題に入れそうです。
「私の隣にいるのは、今回の仕事の依頼主です。
私の友人、シューネフルトの領主カロリーネ男爵。
リーナは色々と肩書があって筆頭は、王太女殿下。
クラーシュバルツ王国の次期女王です。
あなた、ここの国の次期女王に悲鳴をあげさせたのですよ。」
「次期女王…。
これは、大変失礼を致しました。
何卒、お赦しください。」
フランクさん、ここにきて平謝りです。
さすがに、次期女王にアブラムシが飛んで行ったのは拙いと思ったのでしょう。
「さて、今回の仕事ですが。
今、リーナがシューネフルトの新市街地の本格的な開発を計画しています。
差し当たって、来年の夏まで幾つか宿屋を建てたいそうです。
外観や部屋の間取りなど、リーナの希望を良く聞いたうえで設計と見積もりをしてください。
今回の建物には、オークレフトさんが新たに開発した電灯を各部屋に設置する計画ですので。
オークレフトさんともよく相談をして建物の構造を考えてくださいね。」
私がフランクさんに指示すると、リーナが続けて要望を伝えました。
「シューネフルトの新市街は、リゾート地としてのアルム地方の玄関となる街です。
高級リゾートに相応しい、シックで上品な佇まいの街にしたいと思っています。
グランドデザインを統一した整然とした街並みにしたいので。
今回、手始めに建てる宿屋の建物が、建物の高さや外観の基準になります。
良い案を出してくれることを期待しています。」
リーナは今回依頼する宿屋が新市街地に建てる全ての建物の基準になると告げます。
それだけ、フランクさんは責任重大なのですが。
「俺が設計する建物が、街全体の建物の規格の基準になるんですか。
こりゃ、すげえや。
客に代金踏み倒されたり、死刑になりそうになったりと。
このところ、散々な目に遭って来たけど。
やっと俺の仕事が、陽の目を見る時がやって来たぜ。
俺、渾身の作品で殿下のご要望に応えて見せますので、ご期待ください。」
とうのフランクさんは、プレッシャーを感じるどころかやる気満々のようです。
しかし、散々な目って、死刑になりそうだったのは自業自得ではないですか…。
フランクさん、迂闊なところがある人ですが、腕は確かなようですので。
その仕事ぶりに期待することにしましょう。
そんなリーナの様子に満足気なオークレフトさんは、私に向かい。
「では、シャルロッテ様、私とカロリーネ殿下を工房へ連れて行って頂けますか。
ここでは、具体的な打ち合わせは出来ませんから。」
うん? 何か異なことを言いますね。
リーナが示した地図とオークレフトさんのプランがあれば、大まかな打ち合わせはできるのでは。
どうせ、予算を含む詳細はことは、設計図面ができない事には相談できないのですから。
今、ここでやってしまえば良いのでは?
「ねえ、オークレフトさん、リーナも忙しいでしょうし。
わざわざ、工房へ出向いてもらわなくても、今ここで打ち合わせすれば良いのでは?」
すると、オークレフトさんは、「こいつ、何を言っているんだ」と言わんばかりの怪訝な顔を私に向けました。
「来年の夏までに、そこそこの大きさの宿屋を複数建設するのですよ。
もう、期間は一年を切ってしまっています。
大至急、宿屋の建物の設計をして、見積もりを作らないと間に合わないですよ。
電気の配線も建物の設計に織り込んでもらわないといけませんからね。
プロに相談しないでどうするんですか。」
「プロですか?」
私が問い返すと…。
「ほら、シャルロッテ様はお忘れになっている。
私は技術屋ですから、建築の事は門外漢です。
シャルロッテ様、専属の建築家を雇ったじゃないですか。
何も仕事をさせずに遊ばせていると思ったら、忘れてらしたんですね。」
オークレフトさんに指摘されて、やっと思い出しました。
新市街のホテルを建てる時に、内装工事の設計と現場監督をさせるために建築家を専属にしたのを。
単発の発注をする予定でしたが、多額の借金を肩代わりさせられることになり。
私の下で働かせながら借金を返済させることにしたんでしたっけね。
すっかり忘れていました。
「そうでしたね、フランクさんと言いましたっけ。
あの方、今どうしていますか?」
「シャルロッテ様が仕事を発注しないのを良い事に。
日がな一日、事務所で転寝していたり。
シューネフルトまで行って街をふらついたりしてますよ。
シャルロッテ様から毎月給金を頂きながら自堕落な生活をしていて良い身分ですよ。」
あはは、私が忘れていたので文句も言えませんね。
じゃあ、半年近く遊ばせていた分、キリキリ働いてもらいましょうか。
********
ということで、三人で工房までやって来て。
植物の精霊ドリーちゃんに建ててもらった一棟のログハウスの前に立っています。
フランクさんに与えた仕事場は他の人とは違い、事務所の裏に居住用のスペースを付けた形となっています。
私が使っている工房全体の管理用の事務棟とほぼ同じ間取りのモノを建ててもらいました。
「おーい、フランクさん、シャルロッテ様とお客様がお見えだぞ。
仕事の依頼だ。」
事務所の外からオークレフトさんが大きな声で呼びかけると。
事務所の中でドタバタと騒がしい音がして、やがて建物の扉が開かれました。
扉の向こうから姿を現したフランクさん、ヨレヨレの服をきて、ボサボサの髪をしています。
それに顔つきは、まさに寝起きといった感じで、少しぼんやりしていました。
「フランクさん、また昼間から居眠りですか?」
オークレフトさんの嫌味を込めた一言に。
「居眠りだなんて失礼だな。
俺は、新しい建築物のインスピレーションを得るために思索に耽っていただけだ。
思考にのめり込んでしまって、少し意識を手放しちまっただけじゃないか。」
やっぱり、居眠りしていたのですね…。
「お久しぶりです、フランクさん、少し間が空いてしまいましたが仕事です。
今回は短い期間で、複数の建物の設計と見積もりをお願いしますのでよろしく頼みますよ。
春からこっち、大分鋭気を養われたでしょうから、一、二週間寝なくても大丈夫でしょう。
そのインスピレーションとやらを存分に発揮してくださいね。」
少し嫌味でしたでしょうか、存在を失念していた私にも落ち度があるのですから。
「おっ、やっと仕事ですか。
俺、忘れられてるんじゃないかと心配してたんですよ。
ホテルの工事が終ってからこっち、一言も無かったものですから。
まあ、毎月給金は頂いてますし、食事も風呂もありますんで。
極楽のような生活ではあったのですが。」
存在を忘れていたことに苦情を言われるかと思いましたが、…。
まあ、極楽のような生活だったのなら、文句も無いでしょう。
「ごめんなさいね、春からこっち、戦争とかあって事業が滞ってたのよ。
本当は、第二、第三のホテルを建設する予定があって。
その設計を頼むはずだったのだけど遅延してしまってるの。
それで、今回の仕事の説明をしたいのだけど良いかしら。」
「ええ、仕事なら大歓迎です。
久しぶり何で、腕がなりますよ。」
フランクさんは、久々の仕事に目を輝かせました。
********
で、フランクさんの事務所に足を踏み入れ…。
「少し散らかっていて申し訳ございません。
どうぞ、打ち合わせテーブルの椅子におかけください。」
「これが打ち合わせテーブルですか?」
フランクさんに席を進められたリーナが戸惑いの声を上げます。
ええ、アルビオン王国にあったフランクさんの事務所を彷彿とさせられましたよ。
事務所の中は足の踏み場もないくらい散らかっていて…。
勧められた打ち合わせテーブルなど、本や書類が無造作に積み上げられています。
リーナの戸惑いも解かります。
椅子に座ると本や書類が視界を遮って対面に座る人の顔が見えないのですもの。
これでは、打ち合わせなど出来るとは思えません。
取り敢えず、面と向かって打ち合わせができるように、目の前のモノを退かそうとしたら。
「あっ、それは動かさないでください。
他の人には、散らかっている部屋にしか見えないでしょうが。
俺の使い易いように、物を配置しているんです。
移動されたら何処に何があるか分からなくなります。」
いえ、これで使い易いように配置してあると言われても、…。
私には、唯々、散らかっているようにしか見えないのですが。
これでは落ち着いて打ち合わせも出来そうもありませんので、どうしようかと思っていると…。
「キャアアアア!」
普段、大きな声など上げる事のないリーナが、私のすぐ耳元で悲鳴を上げました。
何事かと思いリーナの方を振り向くと、目の前に積まれた書類の隙間から…。
カサカサカサ
何やら、茶色い物体がリーナの目の前をカサカサと音を立てて走り過ぎていき…。
いったん止まったかと思ったら、翅を広げ…、飛んで来ました…、私の方へ。
「*$%#*!!!」
もうパニックです。
********
あんな汚らわしい虫がいるとこでは落ち着いて話も出来ません。
私達は、私に使っている事務室に場所を変えて打ち合わせをする事にしました。
「あらま、シャルロッテ様、あの汚部屋に入られたのですか。
わたしも何度も掃除をしようとしたのですが、させて下さらないのです。
何でも、動かされると仕事に差し障りがあると言われまして。」
お茶を淹れてくれながら、この工房の庶務全般を一手に引き受けてくれているカーラが笑っていました。
私はテーブルの正面に座るフランクさんに。
「掃除をしなさい。」
「いえ、あれは散らかっているのではないのです。
俺の仕事が効率的に出来るように考えて配置しているんです。
あれでも、俺は何処に何があるかちゃんと把握しているんですよ。」
「掃除しなさい、これは業務命令です。」
「いえ、ですが…。」
「あなた、私が借金を肩代わりしてあげた時なんて言いました。
『何でもします。』と言いましたよね。
何なら、あの時立て替えてあげたお金、今ここで返しますか?」
「いえ、だから…。
分かりました、掃除します。」
「分かってくだされば結構です。」
まだ、仕事をしていないのにどっと疲れました。
やっと、本題に入れそうです。
「私の隣にいるのは、今回の仕事の依頼主です。
私の友人、シューネフルトの領主カロリーネ男爵。
リーナは色々と肩書があって筆頭は、王太女殿下。
クラーシュバルツ王国の次期女王です。
あなた、ここの国の次期女王に悲鳴をあげさせたのですよ。」
「次期女王…。
これは、大変失礼を致しました。
何卒、お赦しください。」
フランクさん、ここにきて平謝りです。
さすがに、次期女王にアブラムシが飛んで行ったのは拙いと思ったのでしょう。
「さて、今回の仕事ですが。
今、リーナがシューネフルトの新市街地の本格的な開発を計画しています。
差し当たって、来年の夏まで幾つか宿屋を建てたいそうです。
外観や部屋の間取りなど、リーナの希望を良く聞いたうえで設計と見積もりをしてください。
今回の建物には、オークレフトさんが新たに開発した電灯を各部屋に設置する計画ですので。
オークレフトさんともよく相談をして建物の構造を考えてくださいね。」
私がフランクさんに指示すると、リーナが続けて要望を伝えました。
「シューネフルトの新市街は、リゾート地としてのアルム地方の玄関となる街です。
高級リゾートに相応しい、シックで上品な佇まいの街にしたいと思っています。
グランドデザインを統一した整然とした街並みにしたいので。
今回、手始めに建てる宿屋の建物が、建物の高さや外観の基準になります。
良い案を出してくれることを期待しています。」
リーナは今回依頼する宿屋が新市街地に建てる全ての建物の基準になると告げます。
それだけ、フランクさんは責任重大なのですが。
「俺が設計する建物が、街全体の建物の規格の基準になるんですか。
こりゃ、すげえや。
客に代金踏み倒されたり、死刑になりそうになったりと。
このところ、散々な目に遭って来たけど。
やっと俺の仕事が、陽の目を見る時がやって来たぜ。
俺、渾身の作品で殿下のご要望に応えて見せますので、ご期待ください。」
とうのフランクさんは、プレッシャーを感じるどころかやる気満々のようです。
しかし、散々な目って、死刑になりそうだったのは自業自得ではないですか…。
フランクさん、迂闊なところがある人ですが、腕は確かなようですので。
その仕事ぶりに期待することにしましょう。
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