407 / 580
第16章 冬から春へ、時は流れます
第404話 頭が痛い事が多いようで…
しおりを挟む
アルムハイムへ戻った私は、おじいさまへの挨拶を兼ねて帝都へ赴きます。
兼ねてと言うのは、一番の目的は侍女のベルタさんを迎えに行くことだからです。
ベルタさん、今年の冬は、数年振りに帝都の自宅で過ごしていました。
何でも、怪しい思想に被れている長男の性根を叩き直したいとのことで。
私の一族が借りている皇宮の一室に転移すると。
「ロッテやー!、久しいのうー!
よう来た、よう来た!」
数ヶ月ぶりにおじいさまの許を訪ねると、妙にハイテンションで迎えてくださいました。
この冬は、一度も顔を出さなかったためでしょうか?
そう言えば、四ヶ月ぶりの対面になりますか。
「ご無沙汰しております、おじいさま。
お元気そうで何よりです。
今日は、ご機嫌ですのね。
いつにも増して、熱烈な歓迎に感じますが。」
私が、おじいさまがご機嫌な訳を窺うと。
「やっと、あの鬱陶しいプルーシャ王が帰ったのだ。
そこに、可愛い孫娘が顔を見せてくれれば上機嫌にもなるわい。」
厳しい冬の間、社会活動が停滞する時期にあわせて帝都で帝国議会が催されます。
帝国各地が雪に閉ざされる前に、帝国各地から諸侯が集まります。
そこで帝国の運営に関する議事が話し合われ、予算等の重要事項が決められます。
そして、雪解けのこの時期、諸侯は自領を経営するために各地へ散って行くのです。
「プルーシャ王めが、二年も前の事をネチネチと。
煩くってかなわんわ。
最近は、何かにつけて、私が弱腰すぎると食ってかかりおる。」
二年も前の事というのは、一昨年の夏にあった講和会議のことです。
この会議で決まったセルベチアとの講和の条件に今でも不満を持っているそうで。
プルーシャ王は、何かにつけこの件を蒸し返し、会議を主催したおじいさまを責めるそうです。
セルベチアに奪われていた領地を取り戻し、十分な金銭賠償も受けたのに何が不満なのでしょうね。
ホント、わがままな困ったちゃんです。
「あやつの覇権主義にも困ったものだ。
まあ、セルベチアとの和平は、奴の領土的野心を満たせない結果であったからな。
あやつはどうしてもエルゼス地方を諦めきれんらしいわ。
それと、アルビオン王国との同盟関係もだ。
早く、破棄しろとせっつかれて難儀しておるわ。」
軍事力の強化に力を注いでるプルーシャ王、『鉄は国家なり』なんて言っています。
軍艦を、鉄砲を、大砲をと、鉄は軍備拡張に無くてはならないものです。
そんな鉄を豊富に産するエルゼス地方は、プルーシャ王の垂涎の的でした。
そのエルゼス地方が、第三国であるクラーシュバルツ王国の手に渡ってしまいました。
それは、おじいさまの立ち合いのもとで決められたことで。
エルゼス地方の帰属に関し、手を咥えて見ていたおじいさまを弱腰となじるそうです。
また、対セルベチア戦の為に結んだアルビオン王国と帝国の軍事同盟ですが。
和平会議の際に、戦時下だけではなく恒久的な同盟関係に見直されたました。
ですが、プルーシャ王にとって、アルビオン王国との同盟関係は邪魔でしかないのです。
海軍力を増強して、アルビオンから海外植民地を掠め取ることを虎視眈々と狙っているのですから。
そんな訳で、冬の間中、顔をあわすと嫌味や不平不満を言われたとのことで。
おじいさまは、うんざりしていたそうです。
「そんな訳で、帝国議会が閉会し、やっと奴が自分の領邦へ帰ったところなのだ。
ホッとしたところに、可愛い孫が顔を見せたのだから、機嫌も良くなるに決まっておろう。」
「そうでしたのか。
お疲れ様です、おじいさま。
そうですわ、もうすぐ建設中のホテルが完成しますの。
開業前に一度ご案内しますわ。
温泉もありますので、是非疲れを癒していってください。」
せっかくですので、おじいさまにもホテルの評価をして頂きましょう。
お疲れ気味のおじいさまの息抜きにもなるでしょうし、一石二鳥です。
「おお、もう完成するのか。
それは、楽しみじゃ。
是非とも、行かせてもらおう。」
嬉しそうなおじいさまの言葉が返って来ます。
おじいさまも、ホテルが完成するのを心待ちにしてくださった様子でした。
********
おじいさまと冬の間にあった出来事などを話していると。
「姫様、お待たせして申し訳ございません。
少々、お約束の時間に遅れてしまいましたね。」
旅行カバンをするずると引き摺って現れたベルタさん。
懐から取り出した懐中時計を見ながら、私に謝罪します。
「別に謝る事は無いわ。
貴族社会だって、然して時間に厳格な訳でもないしね。
私はおじいさまと楽しい時間を過ごしていたから気にしないで。」
私の工房で作っているような三日で一分も狂わない時計など、他では作れないのです。
帝国製の時計などでは、一日で十分も狂う物も珍しくありません。
ですから、当然時間にもルーズになります。
約束に十分遅れたところで目くじらを立てる人はいません。
いえ、実際のところ十分遅れているかも定かではないのですから。
「すみません、姫様。
出掛けに少しごたついたものですから、お待たせしたのでないかと。」
なんでも、息子さんが私の許に戻るのを邪魔したそうです。
名門貴族の夫人が、出自も知れない成り上がり貴族に傅くのは恥ずべき事なのですって。
「仮にも皇帝陛下の血を引く姫様に対して余りに不遜な言いよう。
私は、思い切り息子に拳骨を落としてきましたよ。
貴族の血筋ばかりに拘るおかしな連中に感化されてしまって。」
どうやら、この冬、自宅に戻った目的は果たせなかった様子です。
ベルタさんの長男、ベルタさんが嫁いできた伯爵家の跡取り息子なのですが。
伝統派と言われる一派の考えにすっかり感化されてしまったようです。
おじいさまは、アルビオン王国に比べて立ち遅れている帝国の近代化に腐心しています。
そのために、優秀な人材を身分に囚われずに幅広く登用する必要性を訴えていると言います。
アルビオン王国の近代化は、優秀な市民層の活躍に負うところが大きいですから。
ところが、それに強硬に反対する勢力があります。
政は貴族の領分であり、民が口出しするのはおこがましいと主張する人々です。
伝統派と呼ばれるその一派は、貴族の血筋を何よりも尊い物と考えています。
アルビオンやセルベチアのような市民層の台頭を快く思っていません。
「その様子だと、ご子息の再教育は上手くいかなかったようですね。」
私がそう水を向けると。
「ええ、そうなんですよ。
うちのバカ息子ったら、市民の登用なんて以ての外だと言って。
陛下の事も、民に阿るなど皇帝にあるまじきことだなんて言うのですよ。
時流を読まないといけないと注意しても全然耳を貸しません。
昔は素直に言う事を聞く良い子だったのですが、何処で道を踏み外したのか…。」
ベルタさんは、アルビオン王国で見聞きした繁栄の様子を語って聞かせたそうです。
そして、地位に胡坐をかいていた貴族の没落と市民階級の台頭に触れ。
帝国でも、旧態依然とした貴族のありようでは没落してしまうと諭したそうです。
ですが、ベルタさんの言う事など、長男は全く意に介さなかったようです。
それどころか、夜な夜な、何処かへ出掛けて行っては怪しげな事を吹き込まれるようで…。
「最近では、おかしなことを言うんですよ。
帝国の近代化に必要なのは市民の力では無いだなんて。
今帝国に必要なのは強力なリーダーシップを持つ皇帝の存在だって言って。
その皇帝の下で中央集権を推し進めて、上からの近代化を進めるとか。
抵抗する民は力で押さえつければ良いとか。
一体誰から、そんな傲慢な考えを吹き込まれたのやら…。」
そんな言葉をもらして、ため息をつくベルタさん。
えっ、それって…。
私、そんなことを口にしている人に覚えがあります。
そう思って、おじいさまの顔を窺うと。
おじいさまも同じことを思った様子で、私に頷きました。
まさか、あのタヌキ、帝国の若手貴族にロクでもない事を吹き込んでいる?
兼ねてと言うのは、一番の目的は侍女のベルタさんを迎えに行くことだからです。
ベルタさん、今年の冬は、数年振りに帝都の自宅で過ごしていました。
何でも、怪しい思想に被れている長男の性根を叩き直したいとのことで。
私の一族が借りている皇宮の一室に転移すると。
「ロッテやー!、久しいのうー!
よう来た、よう来た!」
数ヶ月ぶりにおじいさまの許を訪ねると、妙にハイテンションで迎えてくださいました。
この冬は、一度も顔を出さなかったためでしょうか?
そう言えば、四ヶ月ぶりの対面になりますか。
「ご無沙汰しております、おじいさま。
お元気そうで何よりです。
今日は、ご機嫌ですのね。
いつにも増して、熱烈な歓迎に感じますが。」
私が、おじいさまがご機嫌な訳を窺うと。
「やっと、あの鬱陶しいプルーシャ王が帰ったのだ。
そこに、可愛い孫娘が顔を見せてくれれば上機嫌にもなるわい。」
厳しい冬の間、社会活動が停滞する時期にあわせて帝都で帝国議会が催されます。
帝国各地が雪に閉ざされる前に、帝国各地から諸侯が集まります。
そこで帝国の運営に関する議事が話し合われ、予算等の重要事項が決められます。
そして、雪解けのこの時期、諸侯は自領を経営するために各地へ散って行くのです。
「プルーシャ王めが、二年も前の事をネチネチと。
煩くってかなわんわ。
最近は、何かにつけて、私が弱腰すぎると食ってかかりおる。」
二年も前の事というのは、一昨年の夏にあった講和会議のことです。
この会議で決まったセルベチアとの講和の条件に今でも不満を持っているそうで。
プルーシャ王は、何かにつけこの件を蒸し返し、会議を主催したおじいさまを責めるそうです。
セルベチアに奪われていた領地を取り戻し、十分な金銭賠償も受けたのに何が不満なのでしょうね。
ホント、わがままな困ったちゃんです。
「あやつの覇権主義にも困ったものだ。
まあ、セルベチアとの和平は、奴の領土的野心を満たせない結果であったからな。
あやつはどうしてもエルゼス地方を諦めきれんらしいわ。
それと、アルビオン王国との同盟関係もだ。
早く、破棄しろとせっつかれて難儀しておるわ。」
軍事力の強化に力を注いでるプルーシャ王、『鉄は国家なり』なんて言っています。
軍艦を、鉄砲を、大砲をと、鉄は軍備拡張に無くてはならないものです。
そんな鉄を豊富に産するエルゼス地方は、プルーシャ王の垂涎の的でした。
そのエルゼス地方が、第三国であるクラーシュバルツ王国の手に渡ってしまいました。
それは、おじいさまの立ち合いのもとで決められたことで。
エルゼス地方の帰属に関し、手を咥えて見ていたおじいさまを弱腰となじるそうです。
また、対セルベチア戦の為に結んだアルビオン王国と帝国の軍事同盟ですが。
和平会議の際に、戦時下だけではなく恒久的な同盟関係に見直されたました。
ですが、プルーシャ王にとって、アルビオン王国との同盟関係は邪魔でしかないのです。
海軍力を増強して、アルビオンから海外植民地を掠め取ることを虎視眈々と狙っているのですから。
そんな訳で、冬の間中、顔をあわすと嫌味や不平不満を言われたとのことで。
おじいさまは、うんざりしていたそうです。
「そんな訳で、帝国議会が閉会し、やっと奴が自分の領邦へ帰ったところなのだ。
ホッとしたところに、可愛い孫が顔を見せたのだから、機嫌も良くなるに決まっておろう。」
「そうでしたのか。
お疲れ様です、おじいさま。
そうですわ、もうすぐ建設中のホテルが完成しますの。
開業前に一度ご案内しますわ。
温泉もありますので、是非疲れを癒していってください。」
せっかくですので、おじいさまにもホテルの評価をして頂きましょう。
お疲れ気味のおじいさまの息抜きにもなるでしょうし、一石二鳥です。
「おお、もう完成するのか。
それは、楽しみじゃ。
是非とも、行かせてもらおう。」
嬉しそうなおじいさまの言葉が返って来ます。
おじいさまも、ホテルが完成するのを心待ちにしてくださった様子でした。
********
おじいさまと冬の間にあった出来事などを話していると。
「姫様、お待たせして申し訳ございません。
少々、お約束の時間に遅れてしまいましたね。」
旅行カバンをするずると引き摺って現れたベルタさん。
懐から取り出した懐中時計を見ながら、私に謝罪します。
「別に謝る事は無いわ。
貴族社会だって、然して時間に厳格な訳でもないしね。
私はおじいさまと楽しい時間を過ごしていたから気にしないで。」
私の工房で作っているような三日で一分も狂わない時計など、他では作れないのです。
帝国製の時計などでは、一日で十分も狂う物も珍しくありません。
ですから、当然時間にもルーズになります。
約束に十分遅れたところで目くじらを立てる人はいません。
いえ、実際のところ十分遅れているかも定かではないのですから。
「すみません、姫様。
出掛けに少しごたついたものですから、お待たせしたのでないかと。」
なんでも、息子さんが私の許に戻るのを邪魔したそうです。
名門貴族の夫人が、出自も知れない成り上がり貴族に傅くのは恥ずべき事なのですって。
「仮にも皇帝陛下の血を引く姫様に対して余りに不遜な言いよう。
私は、思い切り息子に拳骨を落としてきましたよ。
貴族の血筋ばかりに拘るおかしな連中に感化されてしまって。」
どうやら、この冬、自宅に戻った目的は果たせなかった様子です。
ベルタさんの長男、ベルタさんが嫁いできた伯爵家の跡取り息子なのですが。
伝統派と言われる一派の考えにすっかり感化されてしまったようです。
おじいさまは、アルビオン王国に比べて立ち遅れている帝国の近代化に腐心しています。
そのために、優秀な人材を身分に囚われずに幅広く登用する必要性を訴えていると言います。
アルビオン王国の近代化は、優秀な市民層の活躍に負うところが大きいですから。
ところが、それに強硬に反対する勢力があります。
政は貴族の領分であり、民が口出しするのはおこがましいと主張する人々です。
伝統派と呼ばれるその一派は、貴族の血筋を何よりも尊い物と考えています。
アルビオンやセルベチアのような市民層の台頭を快く思っていません。
「その様子だと、ご子息の再教育は上手くいかなかったようですね。」
私がそう水を向けると。
「ええ、そうなんですよ。
うちのバカ息子ったら、市民の登用なんて以ての外だと言って。
陛下の事も、民に阿るなど皇帝にあるまじきことだなんて言うのですよ。
時流を読まないといけないと注意しても全然耳を貸しません。
昔は素直に言う事を聞く良い子だったのですが、何処で道を踏み外したのか…。」
ベルタさんは、アルビオン王国で見聞きした繁栄の様子を語って聞かせたそうです。
そして、地位に胡坐をかいていた貴族の没落と市民階級の台頭に触れ。
帝国でも、旧態依然とした貴族のありようでは没落してしまうと諭したそうです。
ですが、ベルタさんの言う事など、長男は全く意に介さなかったようです。
それどころか、夜な夜な、何処かへ出掛けて行っては怪しげな事を吹き込まれるようで…。
「最近では、おかしなことを言うんですよ。
帝国の近代化に必要なのは市民の力では無いだなんて。
今帝国に必要なのは強力なリーダーシップを持つ皇帝の存在だって言って。
その皇帝の下で中央集権を推し進めて、上からの近代化を進めるとか。
抵抗する民は力で押さえつければ良いとか。
一体誰から、そんな傲慢な考えを吹き込まれたのやら…。」
そんな言葉をもらして、ため息をつくベルタさん。
えっ、それって…。
私、そんなことを口にしている人に覚えがあります。
そう思って、おじいさまの顔を窺うと。
おじいさまも同じことを思った様子で、私に頷きました。
まさか、あのタヌキ、帝国の若手貴族にロクでもない事を吹き込んでいる?
1
お気に入りに追加
323
あなたにおすすめの小説
【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
私はお母様の奴隷じゃありません。「出てけ」とおっしゃるなら、望み通り出ていきます【完結】
小平ニコ
ファンタジー
主人公レベッカは、幼いころから母親に冷たく当たられ、家庭内の雑務を全て押し付けられてきた。
他の姉妹たちとは明らかに違う、奴隷のような扱いを受けても、いつか母親が自分を愛してくれると信じ、出来得る限りの努力を続けてきたレベッカだったが、16歳の誕生日に突然、公爵の館に奉公に行けと命じられる。
それは『家を出て行け』と言われているのと同じであり、レベッカはショックを受ける。しかし、奉公先の人々は皆優しく、主であるハーヴィン公爵はとても美しい人で、レベッカは彼にとても気に入られる。
友達もでき、忙しいながらも幸せな毎日を送るレベッカ。そんなある日のこと、妹のキャリーがいきなり公爵の館を訪れた。……キャリーは、レベッカに支払われた給料を回収しに来たのだ。
レベッカは、金銭に対する執着などなかったが、あまりにも身勝手で悪辣なキャリーに怒り、彼女を追い返す。それをきっかけに、公爵家の人々も巻き込む形で、レベッカと実家の姉妹たちは争うことになる。
そして、姉妹たちがそれぞれ悪行の報いを受けた後。
レベッカはとうとう、母親と直接対峙するのだった……
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
夫に用無しと捨てられたので薬師になって幸せになります。
光子
恋愛
この世界には、魔力病という、まだ治療法の見つかっていない未知の病が存在する。私の両親も、義理の母親も、その病によって亡くなった。
最後まで私の幸せを祈って死んで行った家族のために、私は絶対、幸せになってみせる。
たとえ、離婚した元夫であるクレオパス子爵が、市民に落ち、幸せに暮らしている私を連れ戻そうとしていても、私は、あんな地獄になんか戻らない。
地獄に連れ戻されそうになった私を救ってくれた、同じ薬師であるフォルク様と一緒に、私はいつか必ず、魔力病を治す薬を作ってみせる。
天国から見守っているお義母様達に、いつか立派な薬師になった姿を見てもらうの。そうしたら、きっと、私のことを褒めてくれるよね。自慢の娘だって、思ってくれるよね――――
不定期更新。
この世界は私の考えた世界の話です。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。
「婚約を破棄したい」と私に何度も言うのなら、皆にも知ってもらいましょう
天宮有
恋愛
「お前との婚約を破棄したい」それが伯爵令嬢ルナの婚約者モグルド王子の口癖だ。
侯爵令嬢ヒリスが好きなモグルドは、ルナを蔑み暴言を吐いていた。
その暴言によって、モグルドはルナとの婚約を破棄することとなる。
ヒリスを新しい婚約者にした後にモグルドはルナの力を知るも、全てが遅かった。
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる