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第15章 秋から冬へ、仕込みの季節です
第359話 お姉ちゃんが手伝ってくれるそうです
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私には朧げな記憶しかありませんが、私のことは良く覚えているらしいネーナさん。
やはり、四歳児と六歳児の差は大きいようです。
「私、姫ちゃんの所へ行くようになって、妹が出来たみたいで嬉しかったの。
うちって、威張りんぼうの兄ちゃんしかいなかったからね。
母さんにくっついて皇宮に上がるのが楽しみだった。
なのに、姫ちゃんたら、急にいなくちゃって。
十年以上も音沙汰無しなのですもの、ねーちゃ、寂しかったわ。」
わざと子供のような言葉遣いで、昔を懐かしむネーナさん。
「いや、私自身、ここで過ごした記憶が無かったのですから。
音沙汰がないと責められても…。」
「また、そんな悲しい事を言う。
あんなに一緒に遊んだのに忘れられちゃうなんて…。
ねーちゃ、本当に悲しいわ。シク、シク」
「……。」
シクシクって、そんな言葉に出して泣きまねをしなくても…。
あからさまなウソ泣きをしながら私を責めるネーナさん。
私、からかわれているのですよね?
「まあ、冗談はこの辺にしておきましょうか。
四歳児の記憶力に過大な期待はしていないから、気にしないで良いわ。
でも、本当に久しぶりね、姫ちゃん。
奇麗になっちゃって、その艶やかな黒髪なんてアンネローゼ様そっくり。
で、最近、なんか面白い事をしているんだって。
母さんから聞いているわよ。」
この数年、ブラウニー隊と一緒になって私の世話をしてくれているベルタさんですが。
休み無しで働いてもらう訳にもいきませんし、たまにはご家族の許に帰さないといけません。
侍女と言っても、皇帝陛下に直接仕えるベルタさんは有力貴族の奥様なのですから。
なので、たまに休みを取って頂き、帝都へ連れて帰っていたのですが。
その時に、私の話はネーナさんに筒抜けになっていたようです。
「面白い事って…。
たまたま、良い拾い物をしたので、少し事業を始めただけですよ。
町の不潔さに嫌気が差して逃げ出してきた技術者と行き倒れの時計職人。
二人とも稀有な才能の持ち主だったおかげで、滑り出しから順調に行っています。」
「それだけじゃないでしょう。
姫ちゃんの隣の領地の救民活動に力を入れていると聞いたわ。
今、隣国の次期女王が隣の領地の領主をしているんですって。
その子と組んで、色々面白い事をしているんでしょう。
私も混ぜてもらおうかと思って。」
「はあぁ?」
ベルタさんの言っていた、アルムハイムへ来たいと希望していた人の一人ってネーナさんですか。
でも、皇宮の最奥に仕える高位貴族の令嬢であるネーナさんが、そう簡単に国を出られるとは思えません。
それに…。
********
「混ぜてもらおうかって、…。
今日、ここに来た目的はベルタさんから聞いていますか?
今建設中のホテルを手伝ってくれる方を勧誘しに来たのです。
つい数日前までに採用した領民の娘に対して指導をしながら、接客をしてくれる方を探しに来ました。
お客様は平民の方が多くなると思いますが、…。
それでも貴族の方に接するのと同じように対応してもらえますか。」
帝国では、貴族と平民の身分差は絶対です。
国によって多少の差はありますが、…。
平民が許可なく貴族と話しをすることは出来ないとか、貴族と平民の結婚は認められないとか、そんなことは割りと普通にあります。
そんな環境で育って来たネーナさんに、平民のお客さんに対する接客が出来るか疑問です。
私が問い掛けると、ネーナさんはあきれ顔になりました。
そして…。
「なあに、カビの生えたような事を言ってるの。
私なんか、週に何度も帝都のカフェに行ってお茶しているわよ。
もちろん、平民のお客さんに混じって。
皇帝陛下もお忍びでよく行かれてるわよ。
時々、平民のお客さんと談笑しているのを見かけるもの。」
ネーナさんはとてもリベラルな方のようです。
休日に街を出歩いては、カフェによって一休みしているとネーナさんは言います。
でも、以前におじいさまが言っていた、カフェに通っているという話は本当だったのですね。
「まあ、そんな風潮に顔をしかめる貴族もいることは確かだけどね。
貴族が平民に混じってカフェを飲む、ましてや平民と気軽に言葉を交わすなんてけしからんって。
姫ちゃんの言う通り、身分差を弁えないと駄目だという貴族の方が多数派かも知れないわね。
うちのお兄様なんて、その典型なのよ。
貴族風吹かせて、尊大で…、革命があったら真っ先に断頭台に上げられる口だと思うわ。」
ネーナさんって、お兄さんと仲が悪いのでしょうか。
先程から、さりげなくなく会話の中にお兄さんの悪口を挟んできます。
「その点、私はそんな貴族風を吹かせる気は毛頭ないわ。
この夏だって、姫ちゃんがアルビオン王国から招いたお客様と楽しくお話させていただいたわ。
それに領民の娘に接客の指導をするのだって抵抗はないわ。
それとね、夏にアルムハイムへ行ったメンバーの中で、他にも姫ちゃんの所で働きたいって仲間がいるのよ。
その子達、すっかりアルム地方の風景が気に入っちゃってね。
アルム地方に永住したいのですって。」
尚も話を続けたネーナさん、先月手伝ってくれた人達の中でアルム地方に魅せられた方がいる事に触れました。
「そのことは、ベルタさんから伺いました。
ベルタさんにも言ったのですが、仕事を手伝って頂いた八月はアルム地方ではとても良い季節です。
でも、冬の厳しさは帝都の比ではありませんよ。
冬は三ヤード以上の雪が積もり、村や町が陸の孤島状態になります。
私の館など周りに家一軒ありませんから、文字通りの陸の孤島です。
帝都で生まれ育った貴族のお嬢様に、そんな環境が我慢できるでしょうか。」
「大丈夫じゃないかと思うけどね。
帝都は確かに三ヤードも雪が積もる事は無いけど、冬はけっこう雪の日が多いわよ。
まあ、他の子達には、その辺の説明を十分すれば良いと思うわ。
他の子の事はともかく、私は絶対に姫ちゃんの所に行くわよ。
可愛い妹分の力になりたいと思うのは当然じゃない。
忘れちゃったかもしれないけど、私は姫ちゃんの事を本当の妹のように思っていたの。
私が皇宮の侍女になったのだって、姫ちゃんが戻って来たと母さんから知らされたからだもの。」
そんな嬉しい事を言ってくれたネーナさん、どうやら私の許に来る気満々です。
脇で話を聞いていたベルタさんも、とても満足そうに微笑んでいました。
これは、断れる状況では無いですね。
「それじゃあ、ネーナさん、これからよろしくお願いします。」
私はネーナさんの押し切られて、私の許に来てもらう事にしたのです。
********
私の返事を聞いたネーナさんですが…。
「やった!これであのバカ兄貴から逃れられる。
さっき言ったように貴族風吹かせた傲慢な兄ちゃんなんだけど。
類は友を呼ぶでね。
兄ちゃんの仲間たちも旧態依然とした貴族観を持つ連中ばっかりなのよ。
で、兄ちゃんは仲間の結束を固めるためだなんてぬかして。
私を自分の仲間のところに嫁がせようとするものだから、正直うんざりしてたのよね。
母さんには、以前から私も姫ちゃんのところに行きたいと言っていたのだけど。
今日の話は本当に渡りに船だったわ。
可愛い妹分の力になれるし、鬱陶しい兄貴から逃げられる。
これぞ、まさに一石二鳥よ。」
などと、ぶっちゃけました。
夏の間、私の館でお客様の応接を手伝っている時に、ネーナさんはアルビオン王国の事情を大分耳にした様子です。
そして、アルビオン王国の最近の急発展は平民の力によるところが大きいと知ったようでした。
アルビオン王国の話を聞くうちに、旧態依然とした貴族制度は時代の流れにあわないと感じたそうです。
その時頭に浮かんだのは、『うちの兄ちゃん、絶対に没落する。』だったそうです。
そのつるんでいる仲間たちと一緒に。
もう結婚適齢期のネーナさん、なんとか泥船に乗るのは避けたいと思っていたそうです。
そこに今日の話、まさに渡りに船だったようです。
いえ、ベルタさんは愛娘を救うつもりで私をここへ引っ張ってきたのでしょうね。
やはり、四歳児と六歳児の差は大きいようです。
「私、姫ちゃんの所へ行くようになって、妹が出来たみたいで嬉しかったの。
うちって、威張りんぼうの兄ちゃんしかいなかったからね。
母さんにくっついて皇宮に上がるのが楽しみだった。
なのに、姫ちゃんたら、急にいなくちゃって。
十年以上も音沙汰無しなのですもの、ねーちゃ、寂しかったわ。」
わざと子供のような言葉遣いで、昔を懐かしむネーナさん。
「いや、私自身、ここで過ごした記憶が無かったのですから。
音沙汰がないと責められても…。」
「また、そんな悲しい事を言う。
あんなに一緒に遊んだのに忘れられちゃうなんて…。
ねーちゃ、本当に悲しいわ。シク、シク」
「……。」
シクシクって、そんな言葉に出して泣きまねをしなくても…。
あからさまなウソ泣きをしながら私を責めるネーナさん。
私、からかわれているのですよね?
「まあ、冗談はこの辺にしておきましょうか。
四歳児の記憶力に過大な期待はしていないから、気にしないで良いわ。
でも、本当に久しぶりね、姫ちゃん。
奇麗になっちゃって、その艶やかな黒髪なんてアンネローゼ様そっくり。
で、最近、なんか面白い事をしているんだって。
母さんから聞いているわよ。」
この数年、ブラウニー隊と一緒になって私の世話をしてくれているベルタさんですが。
休み無しで働いてもらう訳にもいきませんし、たまにはご家族の許に帰さないといけません。
侍女と言っても、皇帝陛下に直接仕えるベルタさんは有力貴族の奥様なのですから。
なので、たまに休みを取って頂き、帝都へ連れて帰っていたのですが。
その時に、私の話はネーナさんに筒抜けになっていたようです。
「面白い事って…。
たまたま、良い拾い物をしたので、少し事業を始めただけですよ。
町の不潔さに嫌気が差して逃げ出してきた技術者と行き倒れの時計職人。
二人とも稀有な才能の持ち主だったおかげで、滑り出しから順調に行っています。」
「それだけじゃないでしょう。
姫ちゃんの隣の領地の救民活動に力を入れていると聞いたわ。
今、隣国の次期女王が隣の領地の領主をしているんですって。
その子と組んで、色々面白い事をしているんでしょう。
私も混ぜてもらおうかと思って。」
「はあぁ?」
ベルタさんの言っていた、アルムハイムへ来たいと希望していた人の一人ってネーナさんですか。
でも、皇宮の最奥に仕える高位貴族の令嬢であるネーナさんが、そう簡単に国を出られるとは思えません。
それに…。
********
「混ぜてもらおうかって、…。
今日、ここに来た目的はベルタさんから聞いていますか?
今建設中のホテルを手伝ってくれる方を勧誘しに来たのです。
つい数日前までに採用した領民の娘に対して指導をしながら、接客をしてくれる方を探しに来ました。
お客様は平民の方が多くなると思いますが、…。
それでも貴族の方に接するのと同じように対応してもらえますか。」
帝国では、貴族と平民の身分差は絶対です。
国によって多少の差はありますが、…。
平民が許可なく貴族と話しをすることは出来ないとか、貴族と平民の結婚は認められないとか、そんなことは割りと普通にあります。
そんな環境で育って来たネーナさんに、平民のお客さんに対する接客が出来るか疑問です。
私が問い掛けると、ネーナさんはあきれ顔になりました。
そして…。
「なあに、カビの生えたような事を言ってるの。
私なんか、週に何度も帝都のカフェに行ってお茶しているわよ。
もちろん、平民のお客さんに混じって。
皇帝陛下もお忍びでよく行かれてるわよ。
時々、平民のお客さんと談笑しているのを見かけるもの。」
ネーナさんはとてもリベラルな方のようです。
休日に街を出歩いては、カフェによって一休みしているとネーナさんは言います。
でも、以前におじいさまが言っていた、カフェに通っているという話は本当だったのですね。
「まあ、そんな風潮に顔をしかめる貴族もいることは確かだけどね。
貴族が平民に混じってカフェを飲む、ましてや平民と気軽に言葉を交わすなんてけしからんって。
姫ちゃんの言う通り、身分差を弁えないと駄目だという貴族の方が多数派かも知れないわね。
うちのお兄様なんて、その典型なのよ。
貴族風吹かせて、尊大で…、革命があったら真っ先に断頭台に上げられる口だと思うわ。」
ネーナさんって、お兄さんと仲が悪いのでしょうか。
先程から、さりげなくなく会話の中にお兄さんの悪口を挟んできます。
「その点、私はそんな貴族風を吹かせる気は毛頭ないわ。
この夏だって、姫ちゃんがアルビオン王国から招いたお客様と楽しくお話させていただいたわ。
それに領民の娘に接客の指導をするのだって抵抗はないわ。
それとね、夏にアルムハイムへ行ったメンバーの中で、他にも姫ちゃんの所で働きたいって仲間がいるのよ。
その子達、すっかりアルム地方の風景が気に入っちゃってね。
アルム地方に永住したいのですって。」
尚も話を続けたネーナさん、先月手伝ってくれた人達の中でアルム地方に魅せられた方がいる事に触れました。
「そのことは、ベルタさんから伺いました。
ベルタさんにも言ったのですが、仕事を手伝って頂いた八月はアルム地方ではとても良い季節です。
でも、冬の厳しさは帝都の比ではありませんよ。
冬は三ヤード以上の雪が積もり、村や町が陸の孤島状態になります。
私の館など周りに家一軒ありませんから、文字通りの陸の孤島です。
帝都で生まれ育った貴族のお嬢様に、そんな環境が我慢できるでしょうか。」
「大丈夫じゃないかと思うけどね。
帝都は確かに三ヤードも雪が積もる事は無いけど、冬はけっこう雪の日が多いわよ。
まあ、他の子達には、その辺の説明を十分すれば良いと思うわ。
他の子の事はともかく、私は絶対に姫ちゃんの所に行くわよ。
可愛い妹分の力になりたいと思うのは当然じゃない。
忘れちゃったかもしれないけど、私は姫ちゃんの事を本当の妹のように思っていたの。
私が皇宮の侍女になったのだって、姫ちゃんが戻って来たと母さんから知らされたからだもの。」
そんな嬉しい事を言ってくれたネーナさん、どうやら私の許に来る気満々です。
脇で話を聞いていたベルタさんも、とても満足そうに微笑んでいました。
これは、断れる状況では無いですね。
「それじゃあ、ネーナさん、これからよろしくお願いします。」
私はネーナさんの押し切られて、私の許に来てもらう事にしたのです。
********
私の返事を聞いたネーナさんですが…。
「やった!これであのバカ兄貴から逃れられる。
さっき言ったように貴族風吹かせた傲慢な兄ちゃんなんだけど。
類は友を呼ぶでね。
兄ちゃんの仲間たちも旧態依然とした貴族観を持つ連中ばっかりなのよ。
で、兄ちゃんは仲間の結束を固めるためだなんてぬかして。
私を自分の仲間のところに嫁がせようとするものだから、正直うんざりしてたのよね。
母さんには、以前から私も姫ちゃんのところに行きたいと言っていたのだけど。
今日の話は本当に渡りに船だったわ。
可愛い妹分の力になれるし、鬱陶しい兄貴から逃げられる。
これぞ、まさに一石二鳥よ。」
などと、ぶっちゃけました。
夏の間、私の館でお客様の応接を手伝っている時に、ネーナさんはアルビオン王国の事情を大分耳にした様子です。
そして、アルビオン王国の最近の急発展は平民の力によるところが大きいと知ったようでした。
アルビオン王国の話を聞くうちに、旧態依然とした貴族制度は時代の流れにあわないと感じたそうです。
その時頭に浮かんだのは、『うちの兄ちゃん、絶対に没落する。』だったそうです。
そのつるんでいる仲間たちと一緒に。
もう結婚適齢期のネーナさん、なんとか泥船に乗るのは避けたいと思っていたそうです。
そこに今日の話、まさに渡りに船だったようです。
いえ、ベルタさんは愛娘を救うつもりで私をここへ引っ張ってきたのでしょうね。
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