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第13章 春、芽生えの季節に
第310話 意外でしょうが、彼の考案です
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さて、『流浪の民』の一座の興行を見物して駅まで戻ってた時のことです。
閉ざされた駅の扉の前で、大きな荷物を抱えたご年配の婦人が一人、呆然と佇んでいました。
「お婆さん、どうかしましたか?」
私がその老婦人に声を掛けると、
「ありゃまあ、お貴族のお嬢様に気に掛けて頂けるたぁ、申し訳ないこって。
いやあ、荷物が重いんで電車に乗ろうかと思って来てみたんですが。
扉が閉まっていて、駅に入れないで困っていたんです。」
『今日は鉄道の保守点検及び視察があるので、終日運休します』との張り紙が張られた扉は施錠されています。
どうやら、この老婦人は文字が読めないようで、鉄道が運休している事が分からない様子です
この老婦人、散歩がてら市場に野菜を買いに来たとのことでした。
季節がらキャベツが安くかったので、ザワークラウトにするべく沢山買い込んだそうです。
年老いたこの婦人が持ち帰るには余りに重そうですが、電車に乗れば運べると思ったとのことです。
この婦人、ここから三つ目の駅のすぐそばに住んでいるそうです。
「お婆さん、この張り紙に描いてありますが。
鉄道は今日お休みなのですよ。
この扉を含めて、数日前から町の彼方此方に張り紙がしてあったはずですが。」
「ありゃまあ、そうなのかい。
私は字が読めないものだから、その張り紙に何が書いてあるかわからなかったよ。
でも、困ったね。
私の足では、家まで半時はかかっちまうよ。
こんな大きな荷物を抱えていたらとても歩けないね…。」
老婦人が、ため息交じりに言います。
「お婆さん、こちらの一行は、この鉄道を視察に来られたお偉いさん方なのですが。
もし、よろしかったら、最寄りの駅までお乗せしましょうか?」
私達は鉄道の視察の最中で、これから鉄道を動かす事を告げます。
実は、次の駅が最初のスタート地点、リーナの領主館前広場なのですが。
ここまで、一駅一駅、下車して観光をしてしまったので、半日以上の時間が掛かっています。
通しで一周乗って頂き、十五分で町の主要部を回れる事を実感してもらう予定だったのです。
なので、鉄道をアテに買い物をした老婦人を気の毒に思い、私はこの婦人に同乗を申し出ました。
「そんな、お貴族様とご一緒させて頂くなど、恐れ多くてバチが当たります。
どうか、お気になさらないでくださいませ。
わたしゃ、何とかしますんで。」
「いいえ、どうぞ一緒に乗って行ってください。
充分前から、町の皆さんの目に付く場所に目立つように張り紙したのですが。
文字が読めない方への配慮が足りなかったようです。
その荷物を抱えて歩くのは大変でしょう。」
老夫人は遠慮して私の申し出を辞退しようとしますが、そこにリーナが電車に乗って行くことを勧めます。
「ありゃまあ、これはご領主様ではございませんか。
ご領主様がこんな老いぼれに気を配ってくださるたぁ、有り難いこってす。
本当に、乗せて頂いてよろしいので?」
領主からの心遣いを無碍にするのはかえって無礼かと思った老人は、念押しをしてきます。
リーナが笑顔で頷くと、老婦人は最寄りの駅まで私達に同行する事を決めました。
そうと決まったら、私は、とても沢山のキャベツ入れた麻袋を持つようにオークレフトさんに指示しました。
年老いたご婦人がもって階段を降りるには、重すぎますから。
「お貴族様の従者の方に荷物まで持ってもらって、本当に有り難いこってす。」
そう言って、車両に乗り込み座席に座った老婦人に私は尋ねてみました。
「この鉄道は良く使われるのですか?」
「はい、この歳になると長いこと歩くのは大変で。
ここ数年はあまり出歩かなくなっていたんでさぁ。
ですが、この電車というモノが家の近くを通ったもんですから。
最近はよく出歩くようになりました。
教会やら、市の立つ広場やらに通じていて有り難いこってす。
散歩がてらそこまで歩いて、疲れたら電車に乗って帰ってこれますからね。
本当にこれを作ってくださった領主様には頭が上がんねえです。」
老婦人は嬉しそうにそう言うとリーナに向かって頭を下げました。
そして、続けて言いました。
「だども、聞けば、この電車というのは一年限りとのこと。
こんな便利なもの、出来ればずっと続けて欲しいもんです。」
ええ、この鉄道は本格的な鉄道を作るための実験路線で、対外的には当面の運行を試験的に一年としていました。
ですが、
「安心してください、お婆さん。
一年の試験期間が終わっても、鉄道の運行を続ける方向で今検討しています。
正式に決まったら、お触れを出しますので楽しみにしていてください。」
「そうかい、そうかい。
近所の年寄り連中、私と同じで、この電車に随分と助けられているからね。
ずっと続くとなれば、みんな喜ぶよ。
うんじゃ、お触れが出るのを楽しみにしとくかね。」
リーナの言葉を聞いて嬉しそうにする老婦人、この鉄道が大分役立っているようです。
そうこうしている間に、老婦人の最寄りの駅に着きました。
私は、キャベツの入った麻袋を階段の上まで運ぶように、オークレフトさんに指示しました。
「あれまあ、何から何までご親切に有り難うごぜえます。」
そう言って老婦人はご機嫌で去っていきました。
********
一周して領主館前広場まで戻って来た一行は、そのまま領主館の一室に場所を移しました。
「なるほど、教会や市の立つ広場、それに領主館、町の住民が良く使う施設を上手く網羅してますね。
それを一周十五分で結ぶ。これは便利だ。
あのお婆さんが、この鉄道を重宝していると言うのも頷けます」
ブライトさんがこの鉄道を絶賛すると、ある貴族のご婦人はこんな感想をもらしました。
「私は、列車の中が明るいのが良いと思いました。
それに、蒸気機関車に比べて静かですし、なにより煙臭くないのが良かったですわ。」
「私はそれよりも、この鉄道が町の住民の足として使われているのに感心しましたわ。
アルビオン王国で走っている蒸気機関車はとても運賃が高いのでしょう。
なんでも、女工さんなどでは、一週間の給金を丸々使わないと乗れないと聞いていますわ。
普通のお婆さんが気軽に足代わりに使うなんて、アルビオン王国では考えられませんわ。」
貴族のご婦人方も、ブライトさん達一行の方々も、誰もがオークレフトさんが開発した鉄道を称賛してくださいました。
子供たちも電車はとても気に入ってくれたようで、口々に楽しかったと言っていました。
男の方は皆、オークレフトさんに聞きたいことが沢山あるようですが…。
ご婦人方の視線を気にしてか、難しい話をするのは遠慮しているようでした。少しは空気を読んでくれたようです。
「今日は一日、シューネフルトの町を観て頂き有り難うございました。
この町が今日お越しの皆様に気に入って頂けたのであれば幸いです。
あと、もう一つ、是非とも見て頂きたいものがありますが。
少し遅い時間でないと見られませんので、それまで食事でもしてお待ちいただきたいと思います。」
リーナの言葉に続き、給仕の方が次々と料理を部屋に運び入れます。
この時期、夜八時を過ぎないと暗くなりません。
そのため、それまでの時間をつなぐため、その日の夕食はリーナの方で振る舞ってもらう事にしたのです。
そして、日没後。
馬車を停めている領主館前広場まで歩いて行くと。
「まあ、夜なのに何て明るい広場なのかしら。」
とても感心してくださった様子で、一人のご婦人がそんな呟きを漏らしました。
「これは、街灯か…。
しかし、ガス燈よりはるかに明るいぞ。まるで昼間のようだ。
もしかして、これも電灯なのか。」
ガス燈が最初に設置されたモンテスターの街に工場を持つブライトさんが言いました。
「おっしゃる通り、これも地下に設置したものと同じ電灯です。
この町の主要な街路と広場に二十ヤード間隔で設置してあります。
どうです明るいでしょう。
これから、アルムハイム伯の屋敷へ戻りますが。
その道すがら街灯に照らされた街の風景を楽しんで頂こうと思います。」
オークレフトさんが皆さんに向かって言いました。
リーナに別れを告げて馬車に乗り込んだ一行はアルムハイムへ向けて帰路に付きます。
リーナの館を出て程なくして、馬車は一旦停車しました。
私が馬車を降りたのに気付いた人たちが次々と各々の馬車から下車してきます。
「アルムハイム伯、どうされたのですかな。
お屋敷に帰るのでは…。
これは見事だ…。
私達にこれを見せるために、わざわざ夜まで待ったのですか。」
前触れもなく馬車を停めて下車した私に、怪訝な表情で尋ねてくるブライトさん。
ですが、その言葉は最後まで発せられることはありませんでした。
ライトアップされた周囲の光景に、息をのんだのです。
そう、私達がいるのは町一番の繁華街にある小さな広場。
小さな広場を囲むように建つ建物には、それぞれ趣向を凝らしたフレスコ画が描かれています。
私が最初にこの町を訪れた時に感心した見事な世界樹のフレスコ画もここにあります。
昼間でも美しいのですが、街灯に照らされて夜陰の中に浮かび上がるフレスコ画が殊の外見事なのです。
「まあ、素敵。
この明るい街灯が、町の観光スポットを際立たせる仕掛けになっているのね。」
一人のご婦人がそんな呟きを漏らします。
皆さん、広場を囲む建物に描かれたフレスコ画に見入っていました。
「あの朴念仁のオークレフト君がこんな美的センスがあるなんて、とても信じられん…。」
オークレフトさんと旧知の方がそんな事を言っていました。
でもこれ、オークレフトさんが考案したことなのですよ。
最後に仕掛けたこのサプライズに皆さん、とても喜んでくださいました。
こうして、この日のシューネフルトの観光は、好評のうちに幕を降ろしたのです。
閉ざされた駅の扉の前で、大きな荷物を抱えたご年配の婦人が一人、呆然と佇んでいました。
「お婆さん、どうかしましたか?」
私がその老婦人に声を掛けると、
「ありゃまあ、お貴族のお嬢様に気に掛けて頂けるたぁ、申し訳ないこって。
いやあ、荷物が重いんで電車に乗ろうかと思って来てみたんですが。
扉が閉まっていて、駅に入れないで困っていたんです。」
『今日は鉄道の保守点検及び視察があるので、終日運休します』との張り紙が張られた扉は施錠されています。
どうやら、この老婦人は文字が読めないようで、鉄道が運休している事が分からない様子です
この老婦人、散歩がてら市場に野菜を買いに来たとのことでした。
季節がらキャベツが安くかったので、ザワークラウトにするべく沢山買い込んだそうです。
年老いたこの婦人が持ち帰るには余りに重そうですが、電車に乗れば運べると思ったとのことです。
この婦人、ここから三つ目の駅のすぐそばに住んでいるそうです。
「お婆さん、この張り紙に描いてありますが。
鉄道は今日お休みなのですよ。
この扉を含めて、数日前から町の彼方此方に張り紙がしてあったはずですが。」
「ありゃまあ、そうなのかい。
私は字が読めないものだから、その張り紙に何が書いてあるかわからなかったよ。
でも、困ったね。
私の足では、家まで半時はかかっちまうよ。
こんな大きな荷物を抱えていたらとても歩けないね…。」
老婦人が、ため息交じりに言います。
「お婆さん、こちらの一行は、この鉄道を視察に来られたお偉いさん方なのですが。
もし、よろしかったら、最寄りの駅までお乗せしましょうか?」
私達は鉄道の視察の最中で、これから鉄道を動かす事を告げます。
実は、次の駅が最初のスタート地点、リーナの領主館前広場なのですが。
ここまで、一駅一駅、下車して観光をしてしまったので、半日以上の時間が掛かっています。
通しで一周乗って頂き、十五分で町の主要部を回れる事を実感してもらう予定だったのです。
なので、鉄道をアテに買い物をした老婦人を気の毒に思い、私はこの婦人に同乗を申し出ました。
「そんな、お貴族様とご一緒させて頂くなど、恐れ多くてバチが当たります。
どうか、お気になさらないでくださいませ。
わたしゃ、何とかしますんで。」
「いいえ、どうぞ一緒に乗って行ってください。
充分前から、町の皆さんの目に付く場所に目立つように張り紙したのですが。
文字が読めない方への配慮が足りなかったようです。
その荷物を抱えて歩くのは大変でしょう。」
老夫人は遠慮して私の申し出を辞退しようとしますが、そこにリーナが電車に乗って行くことを勧めます。
「ありゃまあ、これはご領主様ではございませんか。
ご領主様がこんな老いぼれに気を配ってくださるたぁ、有り難いこってす。
本当に、乗せて頂いてよろしいので?」
領主からの心遣いを無碍にするのはかえって無礼かと思った老人は、念押しをしてきます。
リーナが笑顔で頷くと、老婦人は最寄りの駅まで私達に同行する事を決めました。
そうと決まったら、私は、とても沢山のキャベツ入れた麻袋を持つようにオークレフトさんに指示しました。
年老いたご婦人がもって階段を降りるには、重すぎますから。
「お貴族様の従者の方に荷物まで持ってもらって、本当に有り難いこってす。」
そう言って、車両に乗り込み座席に座った老婦人に私は尋ねてみました。
「この鉄道は良く使われるのですか?」
「はい、この歳になると長いこと歩くのは大変で。
ここ数年はあまり出歩かなくなっていたんでさぁ。
ですが、この電車というモノが家の近くを通ったもんですから。
最近はよく出歩くようになりました。
教会やら、市の立つ広場やらに通じていて有り難いこってす。
散歩がてらそこまで歩いて、疲れたら電車に乗って帰ってこれますからね。
本当にこれを作ってくださった領主様には頭が上がんねえです。」
老婦人は嬉しそうにそう言うとリーナに向かって頭を下げました。
そして、続けて言いました。
「だども、聞けば、この電車というのは一年限りとのこと。
こんな便利なもの、出来ればずっと続けて欲しいもんです。」
ええ、この鉄道は本格的な鉄道を作るための実験路線で、対外的には当面の運行を試験的に一年としていました。
ですが、
「安心してください、お婆さん。
一年の試験期間が終わっても、鉄道の運行を続ける方向で今検討しています。
正式に決まったら、お触れを出しますので楽しみにしていてください。」
「そうかい、そうかい。
近所の年寄り連中、私と同じで、この電車に随分と助けられているからね。
ずっと続くとなれば、みんな喜ぶよ。
うんじゃ、お触れが出るのを楽しみにしとくかね。」
リーナの言葉を聞いて嬉しそうにする老婦人、この鉄道が大分役立っているようです。
そうこうしている間に、老婦人の最寄りの駅に着きました。
私は、キャベツの入った麻袋を階段の上まで運ぶように、オークレフトさんに指示しました。
「あれまあ、何から何までご親切に有り難うごぜえます。」
そう言って老婦人はご機嫌で去っていきました。
********
一周して領主館前広場まで戻って来た一行は、そのまま領主館の一室に場所を移しました。
「なるほど、教会や市の立つ広場、それに領主館、町の住民が良く使う施設を上手く網羅してますね。
それを一周十五分で結ぶ。これは便利だ。
あのお婆さんが、この鉄道を重宝していると言うのも頷けます」
ブライトさんがこの鉄道を絶賛すると、ある貴族のご婦人はこんな感想をもらしました。
「私は、列車の中が明るいのが良いと思いました。
それに、蒸気機関車に比べて静かですし、なにより煙臭くないのが良かったですわ。」
「私はそれよりも、この鉄道が町の住民の足として使われているのに感心しましたわ。
アルビオン王国で走っている蒸気機関車はとても運賃が高いのでしょう。
なんでも、女工さんなどでは、一週間の給金を丸々使わないと乗れないと聞いていますわ。
普通のお婆さんが気軽に足代わりに使うなんて、アルビオン王国では考えられませんわ。」
貴族のご婦人方も、ブライトさん達一行の方々も、誰もがオークレフトさんが開発した鉄道を称賛してくださいました。
子供たちも電車はとても気に入ってくれたようで、口々に楽しかったと言っていました。
男の方は皆、オークレフトさんに聞きたいことが沢山あるようですが…。
ご婦人方の視線を気にしてか、難しい話をするのは遠慮しているようでした。少しは空気を読んでくれたようです。
「今日は一日、シューネフルトの町を観て頂き有り難うございました。
この町が今日お越しの皆様に気に入って頂けたのであれば幸いです。
あと、もう一つ、是非とも見て頂きたいものがありますが。
少し遅い時間でないと見られませんので、それまで食事でもしてお待ちいただきたいと思います。」
リーナの言葉に続き、給仕の方が次々と料理を部屋に運び入れます。
この時期、夜八時を過ぎないと暗くなりません。
そのため、それまでの時間をつなぐため、その日の夕食はリーナの方で振る舞ってもらう事にしたのです。
そして、日没後。
馬車を停めている領主館前広場まで歩いて行くと。
「まあ、夜なのに何て明るい広場なのかしら。」
とても感心してくださった様子で、一人のご婦人がそんな呟きを漏らしました。
「これは、街灯か…。
しかし、ガス燈よりはるかに明るいぞ。まるで昼間のようだ。
もしかして、これも電灯なのか。」
ガス燈が最初に設置されたモンテスターの街に工場を持つブライトさんが言いました。
「おっしゃる通り、これも地下に設置したものと同じ電灯です。
この町の主要な街路と広場に二十ヤード間隔で設置してあります。
どうです明るいでしょう。
これから、アルムハイム伯の屋敷へ戻りますが。
その道すがら街灯に照らされた街の風景を楽しんで頂こうと思います。」
オークレフトさんが皆さんに向かって言いました。
リーナに別れを告げて馬車に乗り込んだ一行はアルムハイムへ向けて帰路に付きます。
リーナの館を出て程なくして、馬車は一旦停車しました。
私が馬車を降りたのに気付いた人たちが次々と各々の馬車から下車してきます。
「アルムハイム伯、どうされたのですかな。
お屋敷に帰るのでは…。
これは見事だ…。
私達にこれを見せるために、わざわざ夜まで待ったのですか。」
前触れもなく馬車を停めて下車した私に、怪訝な表情で尋ねてくるブライトさん。
ですが、その言葉は最後まで発せられることはありませんでした。
ライトアップされた周囲の光景に、息をのんだのです。
そう、私達がいるのは町一番の繁華街にある小さな広場。
小さな広場を囲むように建つ建物には、それぞれ趣向を凝らしたフレスコ画が描かれています。
私が最初にこの町を訪れた時に感心した見事な世界樹のフレスコ画もここにあります。
昼間でも美しいのですが、街灯に照らされて夜陰の中に浮かび上がるフレスコ画が殊の外見事なのです。
「まあ、素敵。
この明るい街灯が、町の観光スポットを際立たせる仕掛けになっているのね。」
一人のご婦人がそんな呟きを漏らします。
皆さん、広場を囲む建物に描かれたフレスコ画に見入っていました。
「あの朴念仁のオークレフト君がこんな美的センスがあるなんて、とても信じられん…。」
オークレフトさんと旧知の方がそんな事を言っていました。
でもこれ、オークレフトさんが考案したことなのですよ。
最後に仕掛けたこのサプライズに皆さん、とても喜んでくださいました。
こうして、この日のシューネフルトの観光は、好評のうちに幕を降ろしたのです。
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