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第13章 春、芽生えの季節に
第287話 えっ、もう出来たのですか
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そして、まんまとオークレフトさんの奸計にのせられた悪ガキ共はせっせと働き…。
「何なのでしょうか、そこら辺に這い蹲っている者達は?
まるで屍のようなのですが…。」
私の隣でリーナがそんな呟きを漏らします。
ここ数日、鉄道の敷設作業は大詰めで、夜を徹しての作業が続いたようです。
目の前では、宿舎へ帰る気力もないほど疲れた見習い達が、地下道の壁面を背もたれにして眠り込んでいます。
「オークレフトさん、あれほど就業時間はきちんと守るように言い付けたのに。
徹夜作業なんていったい何を考えているのですか。
見習い達の健康を気遣ってもらわないと困ります。」
余りの惨状に、私が苦情を言うと、オークレフトさんは頭を掻きながら答えます。
「いやぁ、申し訳ございません。
もうすぐ完成だと思ったら、つい、仕事に没頭してしまいました。
時間を忘れて仕事をしていて、見習い工達が仕事を終えていないのに気付きませんでした。
こいつら、僕が気付いていないのを良いことに、残業代目当てで作業を続けていたんですね。
安心してください、女性工員には一切残業はさせていませんので。
残業時間中は、現場監督を任せている彼女も帰して、僕が直接指示を出していましたから。」
オークレフトさん、足元に寝転がる見習い達を見ながら、
「凄い執念ですね、娼館なんて、そこまでして行きたいものですかね。」
などとのんきに呟いています。
「何が安心してくださいですか…、呆れた。
直接指示を出すのであれば、ちゃんと時間管理をしてください。
この子達、疲れ切っているではないですか。
それで、完成したのですか?
あなたがリーナを呼んで欲しいと言うので連れて来ましたのよ。」
「はい、ご覧ください。
見習い工達が頑張ってくれたおかげで、予想外に早く完成を見ました。
これから、実際に車両を走らせてみますので、試乗にお付き合いください。」
オークレフトさんは、そう言うとスタスタと歩き始めました。
連れてこられたのは、領主館の前にある広場の地下、そこに設けられた駅の列車乗り場でした。
目の前には二両編成の電車、車両は台車の上に客室が取り付けられているため乗降口が大分高い位置にあります。
このため、列車の乗り場は島状に一段高くなっていて列車の乗降口と同じ高さになっています。
お客さんは乗り降りの時に段差を上り下りしないで良いように気遣われています。
「駅の部分は電灯が多く設置してあるから明るいのは分かるのですが。
この線路に使っている部分の地下道全体が、心なしか明るいような気がするのですが。
さっきいた工房と領主館を結ぶ地下道より電灯を設置する間隔を狭めたのですか。」
リーナが駅の列車乗り場の端に立って、地下道の先を見ながら言いました。
「いえ、電灯の設置間隔は工房から続く地下道と変えていませんよ。あまり増やしても無駄ですから。
これは、セピアさんに協力して頂いた賜物です。
作業していたら、セピアさんがふらっとやって来て、何か手伝う事は無いかと言うのです。
ですから、ダメもとで聞いてみました。
トンネルの壁面を磨き上げられた大理石のように出来ないかと。
壁面が白い方が光を反射して、同じ数の電灯でも効率よく明るく出来るんです。
セピアさんが簡単だというのでお願いしました。
見違えるほど明るくなったでしょう。
ショコラーデ一箱でこれだけのことをしてもらえるなんて、とっても有り難いです。」
どうやら、食いしん坊のセピアちゃん、手伝いに来たのではなく、本当はお菓子をねだりに来たようです。
「どう、おいら、役に立っているでしょう。
ほめて、ほめて!」
自分の話題となったのでセピアちゃんが姿を現しました。
とても得意気にしていますが、リーナは恥ずかしそうに俯いてしまいました。
ええ、三マイルもある地下道の壁面を全て大理石に変えるなんて驚きです。
賞賛に値する働きだとは思います、それがリーナに隠れてお菓子をたかりに行ったのでなければ…。
ジト目でセピアちゃんを見つめる私とは対照的に、オークレフトさんはしきりにヨイショしていました。
セピアちゃんをおだてて、これからも上手く使おうという魂胆ですね。
********
さて電車ですが、乗り込んでみると、客車内にも電灯が灯りとても明るい空間でした。
アルビオン王国で乗った蒸気機関車は客車内に照明がなく、トンネルの中は真っ暗でした。
やはり、暗闇というのは不安を覚えるもので、車内が明るいとホッとします。
車内には、車両の左右の壁面を背にする形で、長いベンチ状の座席が設けられていました。
座席は、木製の簡素なもので布すら張られていません。
もちろん、ささくれで衣服が傷まないように、座席の表面は滑らかに研磨が施されてはいますが。
「座席は馬車のように対面ではないのですね。
それに木製のベンチとは、試験運航にしても随分と簡素なのではありませんか。」
「いえ、シャルロッテ様。
無料で乗客を乗せるからと言ってケチった訳ではありません。
この路線は、環状でわずか十五分で一周してしまいます。
つまり、たいていの場合、乗車する時間は十五分以内なのです。
座席に座ってゆっくり歓談する時間もありません。
ですので、対面式ではなく、乗り降りし易いようにこうした座席配置にしました。
木製の座席ですが、鉄道は平坦なレールの上を走ますので、馬車のような振動がありません。
これから、実際に乗り心地を確かめて頂きますが、腰やお尻が痛くなることはないはずです。
おそらく、この木製のベンチでも、馬車よりも乗り心地が良く感じるはずです。」
オークレフトさんはそう説明したあと、なにやらごそごそと準備をしているようでしたが。
「では、走らせてみますね。
お二方とも、座席におかけください。」
促されて私とリーナが座席に着くと、車両はゆっくりと動き始めます。
たしかに揺れませんでした。馬車のような振動がないので、お尻が痛いという事はありません。
そうこうしているうちに列車は次の駅に停車しました、この間数分です。
「いかがですか、一駅で降りる方なら堅い座席も全く気にならないと思いませんか。」
「そうですね。
こんな硬い座席では揺れる度にお尻が打ち付けられて痛いのでは。
最初はそう思っていました。
ですが、ほとんど揺れないので、硬い座席が気になりませんでした。
考えてみれば、揺れないのであれば屋敷の庭園や公園に置かれた木製のベンチに座るのと同じ。
ベンチに座って二、三十分、おしゃべりしていることもありますからね。
それを考えれば、十五分くらいは何でもございませんね。」
オークレフトさんの問いにリーナが答えました。
また、座席は左右の壁に沿った形で設けられているため、その間に広い通路が出来ます。
混雑した時は、このスペースに立って乗車してもらうのだと言います。
天井から革製の平たい紐のような物がぶら下がっていて、何かなと思っていました。
立っている乗客には、これに掴まってもらうのだそうです。
健康な方であれば、数分くらいなら立っていても苦になりませんね。
最初の駅に列車を停車させたまま、オークレフトさんの案内で地上に上がってみました。
「ここは、教会前広場…。
たった数分で、目の前はすぐに教会ですか…。
私の足で歩けば、ここまでゆうに十五分はかかるのに。
たしかに素晴らしいです。これなら冬場の礼拝も苦になりません。」
駅の階段を上がって地上に出ると、すぐ目の前には聖教の教会があります。
リーナは、わずか数分で教会前まで来たことに驚き、この鉄道の利便性を認識したようでした。
その後も、オークレフトさんは駅ごとに列車を停めて、駅の地上部がある場所を案内してくれました。
私達は、本来であれば十五分で一周する行程を一時間以上かけてじっくりと視察することになりました。
そして、視察を終えたリーナが口にしたのは。
「予想以上の出来栄えです。
車両の乗り心地も申し分ありませんし、徒歩や馬車に比べとても速いのも気に入りました。
ですが、なにより駅の配置と地上の開口部の向きがとてもよく考えられています。
町の住民がよく利用する場所にあり、地上に出ると主要な施設が正面になるように作られているのが親切です。」
今回、一周三マイルの路線に六つの駅を設けたので、駅間はだいたい二、三分になります。
それで、シューネフルトの主要な施設がある場所は網羅しています。
地下の駅から地上に出た時に、道に迷わないようにランドマークとなる建物が正面となるように出口を作りました。
リーナはそれをとても気に入ってくれたようです。
********
さて、この鉄道ですが、もちろんすぐに開業とはいきませんでした。
その後二ヶ月を掛けて試験走行と運転手や車掌の育成をすることになります。
そして、無事開業にこぎつけたのは、新緑の季節が過ぎ、そろそろ汗ばむ陽気となる初夏の事でした。
開業した鉄道は、無料という事もあって、シューネフルトの住民にとても歓迎されます。
そして、あっという間に住民の足になったのです。
その辺のことは後ほど、またお話する機会があると思います。
リーナと一緒に試乗してから開業までの間、私が何をしていたかと言うと…。
街灯に鉄道と、舞台仕掛けが大分整ってきたので次の一手を打つことにしました。
もうすぐやって来る夏を見据えて、少し仕込みをしようとあちこちを飛び回る事にしたのです。
「何なのでしょうか、そこら辺に這い蹲っている者達は?
まるで屍のようなのですが…。」
私の隣でリーナがそんな呟きを漏らします。
ここ数日、鉄道の敷設作業は大詰めで、夜を徹しての作業が続いたようです。
目の前では、宿舎へ帰る気力もないほど疲れた見習い達が、地下道の壁面を背もたれにして眠り込んでいます。
「オークレフトさん、あれほど就業時間はきちんと守るように言い付けたのに。
徹夜作業なんていったい何を考えているのですか。
見習い達の健康を気遣ってもらわないと困ります。」
余りの惨状に、私が苦情を言うと、オークレフトさんは頭を掻きながら答えます。
「いやぁ、申し訳ございません。
もうすぐ完成だと思ったら、つい、仕事に没頭してしまいました。
時間を忘れて仕事をしていて、見習い工達が仕事を終えていないのに気付きませんでした。
こいつら、僕が気付いていないのを良いことに、残業代目当てで作業を続けていたんですね。
安心してください、女性工員には一切残業はさせていませんので。
残業時間中は、現場監督を任せている彼女も帰して、僕が直接指示を出していましたから。」
オークレフトさん、足元に寝転がる見習い達を見ながら、
「凄い執念ですね、娼館なんて、そこまでして行きたいものですかね。」
などとのんきに呟いています。
「何が安心してくださいですか…、呆れた。
直接指示を出すのであれば、ちゃんと時間管理をしてください。
この子達、疲れ切っているではないですか。
それで、完成したのですか?
あなたがリーナを呼んで欲しいと言うので連れて来ましたのよ。」
「はい、ご覧ください。
見習い工達が頑張ってくれたおかげで、予想外に早く完成を見ました。
これから、実際に車両を走らせてみますので、試乗にお付き合いください。」
オークレフトさんは、そう言うとスタスタと歩き始めました。
連れてこられたのは、領主館の前にある広場の地下、そこに設けられた駅の列車乗り場でした。
目の前には二両編成の電車、車両は台車の上に客室が取り付けられているため乗降口が大分高い位置にあります。
このため、列車の乗り場は島状に一段高くなっていて列車の乗降口と同じ高さになっています。
お客さんは乗り降りの時に段差を上り下りしないで良いように気遣われています。
「駅の部分は電灯が多く設置してあるから明るいのは分かるのですが。
この線路に使っている部分の地下道全体が、心なしか明るいような気がするのですが。
さっきいた工房と領主館を結ぶ地下道より電灯を設置する間隔を狭めたのですか。」
リーナが駅の列車乗り場の端に立って、地下道の先を見ながら言いました。
「いえ、電灯の設置間隔は工房から続く地下道と変えていませんよ。あまり増やしても無駄ですから。
これは、セピアさんに協力して頂いた賜物です。
作業していたら、セピアさんがふらっとやって来て、何か手伝う事は無いかと言うのです。
ですから、ダメもとで聞いてみました。
トンネルの壁面を磨き上げられた大理石のように出来ないかと。
壁面が白い方が光を反射して、同じ数の電灯でも効率よく明るく出来るんです。
セピアさんが簡単だというのでお願いしました。
見違えるほど明るくなったでしょう。
ショコラーデ一箱でこれだけのことをしてもらえるなんて、とっても有り難いです。」
どうやら、食いしん坊のセピアちゃん、手伝いに来たのではなく、本当はお菓子をねだりに来たようです。
「どう、おいら、役に立っているでしょう。
ほめて、ほめて!」
自分の話題となったのでセピアちゃんが姿を現しました。
とても得意気にしていますが、リーナは恥ずかしそうに俯いてしまいました。
ええ、三マイルもある地下道の壁面を全て大理石に変えるなんて驚きです。
賞賛に値する働きだとは思います、それがリーナに隠れてお菓子をたかりに行ったのでなければ…。
ジト目でセピアちゃんを見つめる私とは対照的に、オークレフトさんはしきりにヨイショしていました。
セピアちゃんをおだてて、これからも上手く使おうという魂胆ですね。
********
さて電車ですが、乗り込んでみると、客車内にも電灯が灯りとても明るい空間でした。
アルビオン王国で乗った蒸気機関車は客車内に照明がなく、トンネルの中は真っ暗でした。
やはり、暗闇というのは不安を覚えるもので、車内が明るいとホッとします。
車内には、車両の左右の壁面を背にする形で、長いベンチ状の座席が設けられていました。
座席は、木製の簡素なもので布すら張られていません。
もちろん、ささくれで衣服が傷まないように、座席の表面は滑らかに研磨が施されてはいますが。
「座席は馬車のように対面ではないのですね。
それに木製のベンチとは、試験運航にしても随分と簡素なのではありませんか。」
「いえ、シャルロッテ様。
無料で乗客を乗せるからと言ってケチった訳ではありません。
この路線は、環状でわずか十五分で一周してしまいます。
つまり、たいていの場合、乗車する時間は十五分以内なのです。
座席に座ってゆっくり歓談する時間もありません。
ですので、対面式ではなく、乗り降りし易いようにこうした座席配置にしました。
木製の座席ですが、鉄道は平坦なレールの上を走ますので、馬車のような振動がありません。
これから、実際に乗り心地を確かめて頂きますが、腰やお尻が痛くなることはないはずです。
おそらく、この木製のベンチでも、馬車よりも乗り心地が良く感じるはずです。」
オークレフトさんはそう説明したあと、なにやらごそごそと準備をしているようでしたが。
「では、走らせてみますね。
お二方とも、座席におかけください。」
促されて私とリーナが座席に着くと、車両はゆっくりと動き始めます。
たしかに揺れませんでした。馬車のような振動がないので、お尻が痛いという事はありません。
そうこうしているうちに列車は次の駅に停車しました、この間数分です。
「いかがですか、一駅で降りる方なら堅い座席も全く気にならないと思いませんか。」
「そうですね。
こんな硬い座席では揺れる度にお尻が打ち付けられて痛いのでは。
最初はそう思っていました。
ですが、ほとんど揺れないので、硬い座席が気になりませんでした。
考えてみれば、揺れないのであれば屋敷の庭園や公園に置かれた木製のベンチに座るのと同じ。
ベンチに座って二、三十分、おしゃべりしていることもありますからね。
それを考えれば、十五分くらいは何でもございませんね。」
オークレフトさんの問いにリーナが答えました。
また、座席は左右の壁に沿った形で設けられているため、その間に広い通路が出来ます。
混雑した時は、このスペースに立って乗車してもらうのだと言います。
天井から革製の平たい紐のような物がぶら下がっていて、何かなと思っていました。
立っている乗客には、これに掴まってもらうのだそうです。
健康な方であれば、数分くらいなら立っていても苦になりませんね。
最初の駅に列車を停車させたまま、オークレフトさんの案内で地上に上がってみました。
「ここは、教会前広場…。
たった数分で、目の前はすぐに教会ですか…。
私の足で歩けば、ここまでゆうに十五分はかかるのに。
たしかに素晴らしいです。これなら冬場の礼拝も苦になりません。」
駅の階段を上がって地上に出ると、すぐ目の前には聖教の教会があります。
リーナは、わずか数分で教会前まで来たことに驚き、この鉄道の利便性を認識したようでした。
その後も、オークレフトさんは駅ごとに列車を停めて、駅の地上部がある場所を案内してくれました。
私達は、本来であれば十五分で一周する行程を一時間以上かけてじっくりと視察することになりました。
そして、視察を終えたリーナが口にしたのは。
「予想以上の出来栄えです。
車両の乗り心地も申し分ありませんし、徒歩や馬車に比べとても速いのも気に入りました。
ですが、なにより駅の配置と地上の開口部の向きがとてもよく考えられています。
町の住民がよく利用する場所にあり、地上に出ると主要な施設が正面になるように作られているのが親切です。」
今回、一周三マイルの路線に六つの駅を設けたので、駅間はだいたい二、三分になります。
それで、シューネフルトの主要な施設がある場所は網羅しています。
地下の駅から地上に出た時に、道に迷わないようにランドマークとなる建物が正面となるように出口を作りました。
リーナはそれをとても気に入ってくれたようです。
********
さて、この鉄道ですが、もちろんすぐに開業とはいきませんでした。
その後二ヶ月を掛けて試験走行と運転手や車掌の育成をすることになります。
そして、無事開業にこぎつけたのは、新緑の季節が過ぎ、そろそろ汗ばむ陽気となる初夏の事でした。
開業した鉄道は、無料という事もあって、シューネフルトの住民にとても歓迎されます。
そして、あっという間に住民の足になったのです。
その辺のことは後ほど、またお話する機会があると思います。
リーナと一緒に試乗してから開業までの間、私が何をしていたかと言うと…。
街灯に鉄道と、舞台仕掛けが大分整ってきたので次の一手を打つことにしました。
もうすぐやって来る夏を見据えて、少し仕込みをしようとあちこちを飛び回る事にしたのです。
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