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第10章 動き出す時間
第247話 その夜、部屋にやって来たのは
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宮殿の中に用意された部屋はとても贅を凝らした空間でした。
今私が手にしている花瓶にしても、この半島にある港町で作られた、とても高価なカットガラスの製品です。
水晶のように輝く花瓶を手に、『宗教って儲かるんだ…。』と埒もない事を考えている時の事です。
不意に扉がノックされる音が響きました。
夜もだいぶ遅い時間です。
こんな時間に誰かしらと、怪訝に思いつつ扉を開くと。
扉の前に立っていたのは、おじいさまと同じ年代に見える老紳士でした。
「夜分遅くに申し訳ない。
淑女の部屋を訪ねる時間ではないが、白昼堂々とあなたにお目に掛かれる立場ではないので赦してくだされ。
なあに、ご覧の通り枯れた爺ゆえ、身の危険はあるまい。
一つ、部屋に入れてもらえんだろうか、少し話がしたくての。」
そう言った老紳士は、金糸の刺繡がなされた白い聖職者の服を身にまとっています。
どうやら、高位の聖職者の方のようです。
ここは聖教の総本山、高位の聖職者が沢山いますので、どの位の立場の方かはうかがい知れませんが。
「ええ、立ち話も何ですので、お入りになってください。
お茶でも入れさせていただきます。」
私が部屋に迎え入れると、老紳士は足を引きずるようにして入ってきました。
足か、腰を痛めているのでしょうか、とても不自由な思いをしているようです。
「足はどうされたのですか?」
「いやなに、元々は歳のせいなのだがな。
何年か前に、セルベチアの都まで呼ばれてな。
渋々、老体に鞭打って行ってきたのだ。
まあ、普通に往復するくらいなら、こんな事にはならなかっただろうが。
よりにもよって、セルベチアの若造が儂を監禁したのだよ。
監視の目をかいくぐって、逃げ出したのだがな。
それから、ここまでの無茶な逃避行が体に響いてな。
酷く腰を痛めてしまって、このありさまだよ。」
席に案内しながら尋ねると返ってきた言葉がこれでした。
何年か前にセルベチアに呼ばれ、監禁…。
私は老紳士の言葉に思い当たるふしがありました。もしや、この方は…。
********
「どうぞ、これは私が育てたカモミールで作ったお茶ですの。
安眠を誘う効果があると同時に、体を温める作用があるそうです。
定かではありませんが、腰痛などにも効くと言われています。」
私が老紳士の前に、カモミールティーのカップを置くと。
「おお、これは有り難い。
最近は夜もよく寝付け無くてな、こう言うのは助かるわい。」
さっそくお茶を口にした老紳士が、一服した後に口を開きます。
「まだ名乗ってもいなかったのう。
儂の名はジョルジュと言う、一般には他の名で呼ばれておるが、これが本名でな。
今宵は、あなたにお礼が言いたくて、こうして訪ねてきたのだ。
本来であれば、白昼堂々と儂の部屋にお招きして正式に感謝の意を伝えたいのだが。
儂もこの聖教を束ねる身、異教徒、しかも魔女を名乗るあなたに頭を下げる訳にはいかんもんでな。
立場というのは堅苦しいものよの。」
やはり、この方が教皇聖下でしたか。
「お初にお目にかかります、聖下。
お目にかかれて光栄です。
私が当代のアルムハイム伯、シャルロッテ・フォン・アルムハイムでございます。」
「まあ、そんなに畏まらないでおくれ。
それと、この場は聖下はやめておくれ、そう呼ばれると立場の問題が出て来てしまう。
ここは、ジョルジュ爺とでも呼んでもらおうか。
あなたの爺さんと同じ歳であるし、そう呼ぶにも抵抗なかろう。」
「ジョルジュお爺様は私の祖父が誰かご存じなのですか?」
「ああ、儂らの世代では有名な話であるぞ、先々代のアルムハイム伯の話は。
若き女伯が褒賞に皇帝の種を望んだと、宮廷雀の口に乗って大陸中で噂されたものだ。」
おばあさまったら、一族の恥を大陸中に晒すような真似をして…。
「話が逸れてしまったな。
昨年は藁にも縋る気持ちで神に祈りを捧げていた信者たちを救ってくれて有り難う。
流行り病に苦しむアルビオンの民を救ってくれて有り難う。
聖教を代表してと言えないのが心苦しいが、儂個人として心から感謝を申し上げる。」
そう言って、教皇聖下、いえ、ジョルジュお爺さんは深々と頭を下げたのです。
「ジョルジュお爺様、頭を上げてください。
私にも、聖教のご機嫌を取っておこうと言う打算があったのですから。」
「いや、たとえ、そうだとしてもだ。
聞けば、あなたの祖先は我が教団に迫害されてアルムハイムの地に隠れ住んだと言うではないか。
恨まれることこそすれ、助けてもらえるスジではない。
にも拘らず、信徒たちを救ってくれたアルムハイム伯の寛大な心には頭が下がる思いだ。
しかも、その前には古き盟約に従いセルベチアの軍が国境を超えるのを防いでくれたのであろう。
弐百年も前の盟約、忘れていても誰も文句を言わんものを。
あなたの働きに頭を下げずして、誰に頭を下げろというか。」
教皇聖下自ら、こうして訪ねてくださったのです。
ここは素直に感謝されておくことにします。
「そうですか、感謝の気持ちは確かに受け取りました。
ジョルジュお爺様にそう言って頂いて、私も嬉しいです。」
ゴマをする訳ではありませんが、私はこの心根の優しい老人に一つの申し出をすることにしました。
「ジョルジュお爺様、そのお体では何かと不自由でしょう。
今ここで、癒して差し上げましょう。
アクアちゃん、お願いできるかな?」
「ええ、話はうかがっておりました。大分、無理がたたったようですわね。
その様子ではお辛いでしょう、すぐに癒して差し上げますわ。」
私の呼びかけに応じて、傍らに現れた水の精霊アクアちゃん。
その姿を目にしてジョルジュお爺さんが目を丸くします。
「アルムハイム伯、その可愛いお嬢さんはどなたかな?」
「この子は私が契約している水の精霊、アクアちゃん。
アクアちゃんは弱った体を癒す力を持っているのですよ。
昨年、大聖堂で怪我や病に苦しむ人々を癒してくれたのもこの子です。」
「大聖堂と言うと、あの目撃された天使様と言うのはそちらの精霊ですか?」
私が紹介している間にもアクアちゃんは力を振るい始めました。
すると、天から青白い光の欠片がキラキラと降り注ぎます。
しばらくすると、その光の慈雨も消え去って…。
「痛くない…、腰が、足が、痛みが消えている…。
奇跡だ…。」
どうやら、無事に癒しの効果が発現したようです。
しばらく、放心していたジョルジュお爺さんでしたが。
「アルムハイム伯、それとそちらの精霊様、有り難うございます。
もう二度と自分の足で自由に歩き回ることなど出来ないと諦めていました。
もう歳だから仕方が無いと自分に言い聞かせていたのです。
これならまた宮殿の裏の庭園を散歩できる、もう叶わない事だと思っていたのに。」
我に返ってそう言った時はとても晴れやかな顔をしていました。
何でも、ジョルジュお爺さんにとって、宮殿の裏に広がる庭園を散歩する事が唯一の息抜きだったそうです。
教皇という立場上自由に外を出歩くことが出来ないですものね。
セルベチアから戻って以降、足腰の痛みでそれが難しくなり、気分も塞ぎがちになったと言います。
「当代のアルムハイム伯も奇跡のような力をお持ちなのですね。
私が若いころ目にした先々代のアルムハイム伯を彷彿とさせられました。
あの皇帝に『種』を望んだ時のことです。
その年は酷い旱魃に見舞われ、このままでは大飢饉が避けられないと思われていたのです。
そんな時です。先々代のアルムハイム伯が皇帝の許に現れ協力を申し出てくれました。
アルムハイム伯は帝国中を巡って、まさに慈雨をもたらしたのです。
若き日の私が赴いていた管区でも、アルムハイム伯が雨を降らしてくれました。
その時、農民たちはアルムハイム伯を『聖女様』と呼び跪いていました。
ええ、若き日の先々代は、それは美しく、神々しかった…。
私には女神が降臨したかのように映りましたよ。」
ジョルジュお爺さんが遠い目をして話をしてくれました。
そんな話だったのですね、『種』の事ばかり話題になって元がどんな話だか知りませんでした。
その時おばあさまは言ったそうです。
「よしとくれ、『聖女様』なんて言われたら、背中がムズムズするよ。
それに『聖女様』と崇められるようなタダ働きをした訳じゃないからね。
皇帝からはたんまりと礼をもらうから気にせんでおいてくれ。」
その礼というのが、『種』というオチなのですね…。
今私が手にしている花瓶にしても、この半島にある港町で作られた、とても高価なカットガラスの製品です。
水晶のように輝く花瓶を手に、『宗教って儲かるんだ…。』と埒もない事を考えている時の事です。
不意に扉がノックされる音が響きました。
夜もだいぶ遅い時間です。
こんな時間に誰かしらと、怪訝に思いつつ扉を開くと。
扉の前に立っていたのは、おじいさまと同じ年代に見える老紳士でした。
「夜分遅くに申し訳ない。
淑女の部屋を訪ねる時間ではないが、白昼堂々とあなたにお目に掛かれる立場ではないので赦してくだされ。
なあに、ご覧の通り枯れた爺ゆえ、身の危険はあるまい。
一つ、部屋に入れてもらえんだろうか、少し話がしたくての。」
そう言った老紳士は、金糸の刺繡がなされた白い聖職者の服を身にまとっています。
どうやら、高位の聖職者の方のようです。
ここは聖教の総本山、高位の聖職者が沢山いますので、どの位の立場の方かはうかがい知れませんが。
「ええ、立ち話も何ですので、お入りになってください。
お茶でも入れさせていただきます。」
私が部屋に迎え入れると、老紳士は足を引きずるようにして入ってきました。
足か、腰を痛めているのでしょうか、とても不自由な思いをしているようです。
「足はどうされたのですか?」
「いやなに、元々は歳のせいなのだがな。
何年か前に、セルベチアの都まで呼ばれてな。
渋々、老体に鞭打って行ってきたのだ。
まあ、普通に往復するくらいなら、こんな事にはならなかっただろうが。
よりにもよって、セルベチアの若造が儂を監禁したのだよ。
監視の目をかいくぐって、逃げ出したのだがな。
それから、ここまでの無茶な逃避行が体に響いてな。
酷く腰を痛めてしまって、このありさまだよ。」
席に案内しながら尋ねると返ってきた言葉がこれでした。
何年か前にセルベチアに呼ばれ、監禁…。
私は老紳士の言葉に思い当たるふしがありました。もしや、この方は…。
********
「どうぞ、これは私が育てたカモミールで作ったお茶ですの。
安眠を誘う効果があると同時に、体を温める作用があるそうです。
定かではありませんが、腰痛などにも効くと言われています。」
私が老紳士の前に、カモミールティーのカップを置くと。
「おお、これは有り難い。
最近は夜もよく寝付け無くてな、こう言うのは助かるわい。」
さっそくお茶を口にした老紳士が、一服した後に口を開きます。
「まだ名乗ってもいなかったのう。
儂の名はジョルジュと言う、一般には他の名で呼ばれておるが、これが本名でな。
今宵は、あなたにお礼が言いたくて、こうして訪ねてきたのだ。
本来であれば、白昼堂々と儂の部屋にお招きして正式に感謝の意を伝えたいのだが。
儂もこの聖教を束ねる身、異教徒、しかも魔女を名乗るあなたに頭を下げる訳にはいかんもんでな。
立場というのは堅苦しいものよの。」
やはり、この方が教皇聖下でしたか。
「お初にお目にかかります、聖下。
お目にかかれて光栄です。
私が当代のアルムハイム伯、シャルロッテ・フォン・アルムハイムでございます。」
「まあ、そんなに畏まらないでおくれ。
それと、この場は聖下はやめておくれ、そう呼ばれると立場の問題が出て来てしまう。
ここは、ジョルジュ爺とでも呼んでもらおうか。
あなたの爺さんと同じ歳であるし、そう呼ぶにも抵抗なかろう。」
「ジョルジュお爺様は私の祖父が誰かご存じなのですか?」
「ああ、儂らの世代では有名な話であるぞ、先々代のアルムハイム伯の話は。
若き女伯が褒賞に皇帝の種を望んだと、宮廷雀の口に乗って大陸中で噂されたものだ。」
おばあさまったら、一族の恥を大陸中に晒すような真似をして…。
「話が逸れてしまったな。
昨年は藁にも縋る気持ちで神に祈りを捧げていた信者たちを救ってくれて有り難う。
流行り病に苦しむアルビオンの民を救ってくれて有り難う。
聖教を代表してと言えないのが心苦しいが、儂個人として心から感謝を申し上げる。」
そう言って、教皇聖下、いえ、ジョルジュお爺さんは深々と頭を下げたのです。
「ジョルジュお爺様、頭を上げてください。
私にも、聖教のご機嫌を取っておこうと言う打算があったのですから。」
「いや、たとえ、そうだとしてもだ。
聞けば、あなたの祖先は我が教団に迫害されてアルムハイムの地に隠れ住んだと言うではないか。
恨まれることこそすれ、助けてもらえるスジではない。
にも拘らず、信徒たちを救ってくれたアルムハイム伯の寛大な心には頭が下がる思いだ。
しかも、その前には古き盟約に従いセルベチアの軍が国境を超えるのを防いでくれたのであろう。
弐百年も前の盟約、忘れていても誰も文句を言わんものを。
あなたの働きに頭を下げずして、誰に頭を下げろというか。」
教皇聖下自ら、こうして訪ねてくださったのです。
ここは素直に感謝されておくことにします。
「そうですか、感謝の気持ちは確かに受け取りました。
ジョルジュお爺様にそう言って頂いて、私も嬉しいです。」
ゴマをする訳ではありませんが、私はこの心根の優しい老人に一つの申し出をすることにしました。
「ジョルジュお爺様、そのお体では何かと不自由でしょう。
今ここで、癒して差し上げましょう。
アクアちゃん、お願いできるかな?」
「ええ、話はうかがっておりました。大分、無理がたたったようですわね。
その様子ではお辛いでしょう、すぐに癒して差し上げますわ。」
私の呼びかけに応じて、傍らに現れた水の精霊アクアちゃん。
その姿を目にしてジョルジュお爺さんが目を丸くします。
「アルムハイム伯、その可愛いお嬢さんはどなたかな?」
「この子は私が契約している水の精霊、アクアちゃん。
アクアちゃんは弱った体を癒す力を持っているのですよ。
昨年、大聖堂で怪我や病に苦しむ人々を癒してくれたのもこの子です。」
「大聖堂と言うと、あの目撃された天使様と言うのはそちらの精霊ですか?」
私が紹介している間にもアクアちゃんは力を振るい始めました。
すると、天から青白い光の欠片がキラキラと降り注ぎます。
しばらくすると、その光の慈雨も消え去って…。
「痛くない…、腰が、足が、痛みが消えている…。
奇跡だ…。」
どうやら、無事に癒しの効果が発現したようです。
しばらく、放心していたジョルジュお爺さんでしたが。
「アルムハイム伯、それとそちらの精霊様、有り難うございます。
もう二度と自分の足で自由に歩き回ることなど出来ないと諦めていました。
もう歳だから仕方が無いと自分に言い聞かせていたのです。
これならまた宮殿の裏の庭園を散歩できる、もう叶わない事だと思っていたのに。」
我に返ってそう言った時はとても晴れやかな顔をしていました。
何でも、ジョルジュお爺さんにとって、宮殿の裏に広がる庭園を散歩する事が唯一の息抜きだったそうです。
教皇という立場上自由に外を出歩くことが出来ないですものね。
セルベチアから戻って以降、足腰の痛みでそれが難しくなり、気分も塞ぎがちになったと言います。
「当代のアルムハイム伯も奇跡のような力をお持ちなのですね。
私が若いころ目にした先々代のアルムハイム伯を彷彿とさせられました。
あの皇帝に『種』を望んだ時のことです。
その年は酷い旱魃に見舞われ、このままでは大飢饉が避けられないと思われていたのです。
そんな時です。先々代のアルムハイム伯が皇帝の許に現れ協力を申し出てくれました。
アルムハイム伯は帝国中を巡って、まさに慈雨をもたらしたのです。
若き日の私が赴いていた管区でも、アルムハイム伯が雨を降らしてくれました。
その時、農民たちはアルムハイム伯を『聖女様』と呼び跪いていました。
ええ、若き日の先々代は、それは美しく、神々しかった…。
私には女神が降臨したかのように映りましたよ。」
ジョルジュお爺さんが遠い目をして話をしてくれました。
そんな話だったのですね、『種』の事ばかり話題になって元がどんな話だか知りませんでした。
その時おばあさまは言ったそうです。
「よしとくれ、『聖女様』なんて言われたら、背中がムズムズするよ。
それに『聖女様』と崇められるようなタダ働きをした訳じゃないからね。
皇帝からはたんまりと礼をもらうから気にせんでおいてくれ。」
その礼というのが、『種』というオチなのですね…。
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