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第10章 動き出す時間
第242話 あの日、トリアさんが言ったのは…
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二ヶ月前、トリアさんが下腹部を撫でながら爆弾発言をしたときの話です。
「ええっと、ビクトリアさん、それはどう意味でしょう?
私にはビクトリアさんのお腹の中に、その子の赤ちゃんがいるように聞こえたのですが…。」
ジョージさんがトリアさんに尋ねます。また、話し方が変です。
「イヤだわ、お父様、昨日の今日でまだわかる訳ないでしょう。
いるかも知れないと言うお話ですの。
信じられないなら、証拠をお見せしましょうか。
ロッテさんから、記念に頂いたのですよ、昨晩のシーツ。」
トリアさん、あれを父親に見せるのですか。恥ずかしくないのでしょうか。
そう言えば、王侯貴族の家では結婚式の翌朝、新郎新婦が使ったシーツをバルコニーから下げてお披露目すると聞いたことがあります。
与太話かと思っていたのですが、トリアさんの国ではそういう習慣が実際にあるのでしょうか。
「いや、遠慮しておこう。
娘が純潔であった証を見せてもらう趣味は無いのでな。
それで、その子はいったい何処の子息なのだ。
この館にいるという事は、身元が確かな子なのであろう。」
「ええ、シャルちゃんの名は、シャルル=ルイ・ド・ベルホン=カンティ。
革命で亡くなったセルベチア王の甥にあたります。
きっと、お父様が出席なされる国際会議の鍵となるでしょう。
私、昨日、シャルちゃんと話し合いましたの。
シャルちゃんには、新生セルベチア王国の王になってもらいます。」
「「はああぁ?」」
私とジョージさんの驚きの声が重なります。
シャルちゃんを新王に据えるという事は寝耳に水です。
ジョージさんはそれ以前にシャルちゃんが、セルベチアの王族であったとに驚いているようですが。
「ちょっと、トリアさん。
シャルちゃんは政治には関わらせないと最初に説明したはずです。
第一、シャルちゃん自身が政に関わりたくないと言っていたはずです。」
トリアさんの主張をすんなり受け入れる訳には参りません。
シャルちゃんは政治からは遠ざけると、おじいさまとも相談して決めたのです。
「ええ、それは十分に存じ上げていますわ。
ですが、それはシャルちゃんの存在が争いの種となるのを懸念しての事。
今回はシャルちゃんが、表に出ることによって争いを防ぐことができるのですもの。
セルベチアと大陸の、平和と安定のためにシャルちゃんには王になってもらうことにしました。」
「それは、どういうことでしょうか?」
私がトリアさんの意図を尋ねると、トリアさんは今回のセルベチアと帝国の戦争の発端から話し始めました。
今は、セルベチア皇帝による周辺諸国に対する侵略戦争のように見える今回の戦争。
ですが、最初に仕掛けたのは帝国側です。
市民によって王政が打破され、王族が断頭台に上げられる。
そんなセルベチア革命を目の当たりにした帝国諸侯は、自分の国に革命の火が飛び火する事を恐れました。
『大陸の体制をセルベチア革命前の状態に戻して大陸の秩序を取り戻す。』
それを旗印に、帝国側がセルベチアに戦争を最初に仕掛けたのです。
その戦争の中で、下士官から頭角を現し、皇帝にまで上り詰めたのが、セルベチア皇帝です。
セルベチア皇帝の天才的な采配によって、いつの間にか攻守が逆転してしまったと言うのがざっくりとした顛末です。
帝国が戦勝国となった今、セルベチア革命前の状態に復する事が実現するでしょう。
当然、セルベチアは王政に戻ることになります。
トリアさんはそこに問題があると言います。
「ロッテさん、あなたは貴族の欲深さを甘く見過ぎです。
たしかに、エルゼス地方を分離して戦時補償の対象から切り離す事は良い案だと思います。
国境線をセルベチア革命前の状態に戻しそれ以上の領土割譲は求めず、あとは金銭だけの賠償にする。
それも、領土問題という遺恨を残さないためには良いと思います。
ですが、欲深い国が領土を得ようと考えたら幾らでも手はあるのですよ。」
「えっ、どのようにですか?」
「別に補償で領土の割譲が受けられないのならば、セルベチアそのものを手に入れてしまえば良いではないですか。
それも、会議の中で、一見平和的な手段で。実際には恫喝があるかも知れませんがね。
知っています?大陸にある王家って大概親戚なのですよ。
犬猿の仲の国でさえ、束の間の平和を維持するための人質のように、婚姻を交わすこともあるのですから。
セルベチア革命によって、現在生き延びている高位の王位継承権保有者はシャルちゃんだけです。
後は、いったい何処で血が繋がっているのかという輩ばかり。
この状態で、セルベチアを王政に戻すなどと言ったら、会議は紛糾します。
大陸にある国や有力諸侯が、軒並み自分の一族に連なる者を新王に推してきますよ。」
大陸の有力諸侯であれば大概、一族の中に王位継承権を持つ者がいるのではないかとトリアさんは言います。
継承順位が二十位とか、三十位とかそんな者で良ければということですが。
自分の意のままに動かせる人物を王に据えて、セルベチアを実質的な属国としてしまえば全てが手に入るということです。
王位継承順位からすると決め手に欠く者ばかりで、後ろ盾のごり押しでお互い譲らないだろうとトリアさんは言います。
「セルベチア国内に残る王政復古派の推す人物、もしくはプルーシャ王が推す人物が王に就いたら最悪ね。
私に言わせれば、王政復古なんてモノが無理スジなのよ。
一度自由を知った者、一度権利を手にした者が、王や貴族の身勝手な政治に従う訳がないじゃない。
贅沢三昧で国庫が足りなくなればすぐ増税するような王政復古派。
愚民など力で抑えれば良いなどと平気で口にするようなプルーシャ王。
そんな人達の傀儡となった人物がセルベチアの市民を大人しくさせられる訳ないでしょう。
血の雨が降るのが目に見えるようだわ。
そこで、シャルちゃんの出番よ。
前王の甥っ子にして王位継承順位第一位、旧来の権威を振りかざす人なら反対する人はいないわ。
それと、今セルベチアで主流となっている民主派の市民を治めることが出来るのもシャルちゃんだけだわ。」
それから、トリアさんは、シャルちゃんが王位に就いた後の政治に枠組みを説明したのです。
「なるほど、そう言う事であれば、シャルちゃんがセルベチア王に名乗りを上げることは理解できた。
しかし、ヴィクトリアとの婚姻は話が別だと思うのだが、どう繋がって来るのだ。
だいたい、ヴィクトリアは我が国の女王になるのだし、セルベチアに嫁がせる訳にはいかんであろう。」
「先程も説明したでしょう、『旧来の権威を振りかざす人なら反対する人はいない』と。
つまり、旧来の権威を有り難いと思わない人なら反対しますよ。
そんな人が、突いてくるのがシャルちゃんが強い後ろ盾を持たない事です。
端的に言うと、プルーシャ王は絶対に反対してきます。
だって、プルーシャ王の目には、シャルちゃんの後ろ盾は浪費家の王政復古派だと映るはずですから。
財力の乏しい王政復古派が後ろ盾では、賠償金が支払われる保証がないと難癖をつけてきますわ。
きっと会議の場で言いますわよ。
自分が推す人物が王になれば、プルーシャ王国が賠償金を用立てると。
それに対抗するために、世界に冠たる経済大国である我が国が後ろ盾になると示すのですわ。」
それから、トリアさんはシャル君との婚約が持つ意味やトリアさんの立場についてのプランを詳しく説明しました。
その件は、会議の席で明らかになるでしょう。
「ヴィクトリアの言い分は分かった。
でもな、その…。
おまえが純潔をそうそうに失う意味はあったのか?
そう言うのは、結婚式の後で良かったのではないかと思うぞ。」
さずがに娘の情事の事は聞き難かったのでしょう、ジョージさんは遠慮がちに小声で尋ねます。
「だって、シャルちゃん、王になる自信が無いと言うのですもの。
私がいつでも傍で支えてあげますと、勇気付けようかと思いまして。
それに、シャルちゃん、こんなに可愛いのですもの。
王になったら、お后をあてがおうする輩が沢山出て来ますわ。
変な女にお手付きされる前に、シャルちゃんの初めてを頂いちゃおうかと。
褥で頑張るシャルちゃん、とっても可愛かったですわ。」
トリアさんは、昨晩の事を思い出してか、うっとりした表情で言いました。
最後の言葉聞きたくなかったです。それまでの思慮深い話が台無しです。
ジョージさんも微妙な顔つきになってしまいました。
「ええっと、ビクトリアさん、それはどう意味でしょう?
私にはビクトリアさんのお腹の中に、その子の赤ちゃんがいるように聞こえたのですが…。」
ジョージさんがトリアさんに尋ねます。また、話し方が変です。
「イヤだわ、お父様、昨日の今日でまだわかる訳ないでしょう。
いるかも知れないと言うお話ですの。
信じられないなら、証拠をお見せしましょうか。
ロッテさんから、記念に頂いたのですよ、昨晩のシーツ。」
トリアさん、あれを父親に見せるのですか。恥ずかしくないのでしょうか。
そう言えば、王侯貴族の家では結婚式の翌朝、新郎新婦が使ったシーツをバルコニーから下げてお披露目すると聞いたことがあります。
与太話かと思っていたのですが、トリアさんの国ではそういう習慣が実際にあるのでしょうか。
「いや、遠慮しておこう。
娘が純潔であった証を見せてもらう趣味は無いのでな。
それで、その子はいったい何処の子息なのだ。
この館にいるという事は、身元が確かな子なのであろう。」
「ええ、シャルちゃんの名は、シャルル=ルイ・ド・ベルホン=カンティ。
革命で亡くなったセルベチア王の甥にあたります。
きっと、お父様が出席なされる国際会議の鍵となるでしょう。
私、昨日、シャルちゃんと話し合いましたの。
シャルちゃんには、新生セルベチア王国の王になってもらいます。」
「「はああぁ?」」
私とジョージさんの驚きの声が重なります。
シャルちゃんを新王に据えるという事は寝耳に水です。
ジョージさんはそれ以前にシャルちゃんが、セルベチアの王族であったとに驚いているようですが。
「ちょっと、トリアさん。
シャルちゃんは政治には関わらせないと最初に説明したはずです。
第一、シャルちゃん自身が政に関わりたくないと言っていたはずです。」
トリアさんの主張をすんなり受け入れる訳には参りません。
シャルちゃんは政治からは遠ざけると、おじいさまとも相談して決めたのです。
「ええ、それは十分に存じ上げていますわ。
ですが、それはシャルちゃんの存在が争いの種となるのを懸念しての事。
今回はシャルちゃんが、表に出ることによって争いを防ぐことができるのですもの。
セルベチアと大陸の、平和と安定のためにシャルちゃんには王になってもらうことにしました。」
「それは、どういうことでしょうか?」
私がトリアさんの意図を尋ねると、トリアさんは今回のセルベチアと帝国の戦争の発端から話し始めました。
今は、セルベチア皇帝による周辺諸国に対する侵略戦争のように見える今回の戦争。
ですが、最初に仕掛けたのは帝国側です。
市民によって王政が打破され、王族が断頭台に上げられる。
そんなセルベチア革命を目の当たりにした帝国諸侯は、自分の国に革命の火が飛び火する事を恐れました。
『大陸の体制をセルベチア革命前の状態に戻して大陸の秩序を取り戻す。』
それを旗印に、帝国側がセルベチアに戦争を最初に仕掛けたのです。
その戦争の中で、下士官から頭角を現し、皇帝にまで上り詰めたのが、セルベチア皇帝です。
セルベチア皇帝の天才的な采配によって、いつの間にか攻守が逆転してしまったと言うのがざっくりとした顛末です。
帝国が戦勝国となった今、セルベチア革命前の状態に復する事が実現するでしょう。
当然、セルベチアは王政に戻ることになります。
トリアさんはそこに問題があると言います。
「ロッテさん、あなたは貴族の欲深さを甘く見過ぎです。
たしかに、エルゼス地方を分離して戦時補償の対象から切り離す事は良い案だと思います。
国境線をセルベチア革命前の状態に戻しそれ以上の領土割譲は求めず、あとは金銭だけの賠償にする。
それも、領土問題という遺恨を残さないためには良いと思います。
ですが、欲深い国が領土を得ようと考えたら幾らでも手はあるのですよ。」
「えっ、どのようにですか?」
「別に補償で領土の割譲が受けられないのならば、セルベチアそのものを手に入れてしまえば良いではないですか。
それも、会議の中で、一見平和的な手段で。実際には恫喝があるかも知れませんがね。
知っています?大陸にある王家って大概親戚なのですよ。
犬猿の仲の国でさえ、束の間の平和を維持するための人質のように、婚姻を交わすこともあるのですから。
セルベチア革命によって、現在生き延びている高位の王位継承権保有者はシャルちゃんだけです。
後は、いったい何処で血が繋がっているのかという輩ばかり。
この状態で、セルベチアを王政に戻すなどと言ったら、会議は紛糾します。
大陸にある国や有力諸侯が、軒並み自分の一族に連なる者を新王に推してきますよ。」
大陸の有力諸侯であれば大概、一族の中に王位継承権を持つ者がいるのではないかとトリアさんは言います。
継承順位が二十位とか、三十位とかそんな者で良ければということですが。
自分の意のままに動かせる人物を王に据えて、セルベチアを実質的な属国としてしまえば全てが手に入るということです。
王位継承順位からすると決め手に欠く者ばかりで、後ろ盾のごり押しでお互い譲らないだろうとトリアさんは言います。
「セルベチア国内に残る王政復古派の推す人物、もしくはプルーシャ王が推す人物が王に就いたら最悪ね。
私に言わせれば、王政復古なんてモノが無理スジなのよ。
一度自由を知った者、一度権利を手にした者が、王や貴族の身勝手な政治に従う訳がないじゃない。
贅沢三昧で国庫が足りなくなればすぐ増税するような王政復古派。
愚民など力で抑えれば良いなどと平気で口にするようなプルーシャ王。
そんな人達の傀儡となった人物がセルベチアの市民を大人しくさせられる訳ないでしょう。
血の雨が降るのが目に見えるようだわ。
そこで、シャルちゃんの出番よ。
前王の甥っ子にして王位継承順位第一位、旧来の権威を振りかざす人なら反対する人はいないわ。
それと、今セルベチアで主流となっている民主派の市民を治めることが出来るのもシャルちゃんだけだわ。」
それから、トリアさんは、シャルちゃんが王位に就いた後の政治に枠組みを説明したのです。
「なるほど、そう言う事であれば、シャルちゃんがセルベチア王に名乗りを上げることは理解できた。
しかし、ヴィクトリアとの婚姻は話が別だと思うのだが、どう繋がって来るのだ。
だいたい、ヴィクトリアは我が国の女王になるのだし、セルベチアに嫁がせる訳にはいかんであろう。」
「先程も説明したでしょう、『旧来の権威を振りかざす人なら反対する人はいない』と。
つまり、旧来の権威を有り難いと思わない人なら反対しますよ。
そんな人が、突いてくるのがシャルちゃんが強い後ろ盾を持たない事です。
端的に言うと、プルーシャ王は絶対に反対してきます。
だって、プルーシャ王の目には、シャルちゃんの後ろ盾は浪費家の王政復古派だと映るはずですから。
財力の乏しい王政復古派が後ろ盾では、賠償金が支払われる保証がないと難癖をつけてきますわ。
きっと会議の場で言いますわよ。
自分が推す人物が王になれば、プルーシャ王国が賠償金を用立てると。
それに対抗するために、世界に冠たる経済大国である我が国が後ろ盾になると示すのですわ。」
それから、トリアさんはシャル君との婚約が持つ意味やトリアさんの立場についてのプランを詳しく説明しました。
その件は、会議の席で明らかになるでしょう。
「ヴィクトリアの言い分は分かった。
でもな、その…。
おまえが純潔をそうそうに失う意味はあったのか?
そう言うのは、結婚式の後で良かったのではないかと思うぞ。」
さずがに娘の情事の事は聞き難かったのでしょう、ジョージさんは遠慮がちに小声で尋ねます。
「だって、シャルちゃん、王になる自信が無いと言うのですもの。
私がいつでも傍で支えてあげますと、勇気付けようかと思いまして。
それに、シャルちゃん、こんなに可愛いのですもの。
王になったら、お后をあてがおうする輩が沢山出て来ますわ。
変な女にお手付きされる前に、シャルちゃんの初めてを頂いちゃおうかと。
褥で頑張るシャルちゃん、とっても可愛かったですわ。」
トリアさんは、昨晩の事を思い出してか、うっとりした表情で言いました。
最後の言葉聞きたくなかったです。それまでの思慮深い話が台無しです。
ジョージさんも微妙な顔つきになってしまいました。
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