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第8章 冬が来ます
第180話 それを一日、二日でやってしまいますか…
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先日ノミーちゃんに作ってもらった地下道、その両端の開口部そのままにしておくと雪に埋もれてしまいます。
その日は、両端の開口部を覆うように建屋を作ってもらいました。
もちろん、植物の精霊ドリーちゃんお得意のログハウス(丸太小屋)です。
最初に小さな開口部のリーナの館の方を小さな建屋で覆いました。
そして、急ぐこともないので地下道を通ってのんびりと工房まで歩くのですが。
「すごいね!
人間の発想には驚きだよ。
火を熾す訳でも、魔法を使う訳でもないのにこんなに明るくできるなんて。」
私の肩の上に乗ったドリーちゃんがオークレフトさんの設置した電気灯に感心しています。
人から見たら精霊の力や魔法の方が驚きなのですが、ドリーちゃんからしたら自分の力や魔法の方が自然な事です。
そして、精霊の生きる長い時間の流れの中で見てきた人の使う灯りは、必ず何かを燃やした火の灯りだったのです。
それが今、火も魔法も使わずに暗闇の中を真昼のような明るさに照らしているのです。
ドリーちゃんが驚くのも無理がないことかもしれません。
「本当ね。
オークレフトさんの発想力って凄いと思うわ。
あれでもうすこし、精霊の力に頼るのを控えてもらえれば文句無しなのだけど。」
「アハハ!
あいつ、遠慮て言うものを知らないものね。
でも、一応気は使っているよね。
何か頼みたいことがあると、いつもお菓子を用意してるし。」
私の肩の上でカラカラと笑うドリーちゃん。
ドリーちゃんは、さほどオークレフトさんのことを悪く思っていないようです。
「みんな、あいつのこと警戒しているのよ。
ロッテちゃんが良いように使われてしまうのじゃないかと。
今まで、ロッテちゃんの周りには男の人がいなかったからね。
ロッテちゃんが悪い男に騙されないようにって目を光らせているの。
でも、私はそれほど悪い奴だとは思ってないよ。
なんだかんだ言っても、あいつのやることってロッテちゃんの役に立っているもの。」
以前も精霊達が言っていましたが、私ってそんなに危なっかしく見えるのでしょうか?
過保護すぎる気がするのですが…。
ともかく、みんな、私が悪い男に引っ掛からないように目を光らせているみたいですね。
ジョンさんに比べオークレフトさんが私に馴れ馴れしく接するのでみんな警戒していたようです。
馴れ馴れしいと言うより遠慮がないと言った方が正確なのですが。
ただ、先日ノミーちゃんが言ったように、アルビオン王国の王都を見て精霊達は危機感を持ったとのことです。
あんな場所には住めないと。
その点、オークレフトさんの考えていることは、水は汚さない、空気は汚さない、木もなるべく伐らないです。
非常に精霊達と親和性の良い計画なのです。上手く運べばですけど…。
ですから、精霊達のオークレフトさんに対する評価も上がっているそうなのです。
ショコラーデに釣られた訳ではないのですね…。餌付けされた訳ではないようで安心しました。
「そうね、オークレフトさんの言うようにアルム山麓の自然の美しさで有閑階級を呼び込めれば良いわね。
それで、地元にお金を落としてもらうの。
そうなれば、宿屋に食事処、それにお土産物屋なんかもすることが出来るわね。
そんな風にアルム山麓に住む人の働き口が増えたら、もう傭兵や娼婦になる必要もなくなる。
彼自身は自分の興味の赴くまま、好きなものが作れればそれで良いみたいだけど。
彼の持っている計画はアルム山麓に住む人の生活を一変するものになるわね。」
オークレフトさんに、ジョンさん、二人の奇才に巡り会えた私はすごく運が良いのかも知れません。
**********
ドリーちゃんと喋りながら歩いていると二十分などあっという間です。
工房の地下まで辿り着いた私はドリーちゃんに開口部を覆う建物を造ってもらえるようにお願いします。
こちらの開口部は、実験用の資材を地下に運び込むために、幅が十ヤードと広く建屋はとても大きくなります。
その建屋の中で運びこむ資材の組み立てや加工もしようと言うので尚更です。
「それだけ大きな建物じゃ、一日がかりだね。
明日に朝には出来ると思うから待ってて!」
私の話を聞いて、事前にオークレフトさんが欲しい建屋の位置に張った縄の範囲を見てドリーちゃんが言いました。
ドリーちゃんの言葉を聞いて、じゃあ私はアルムハイムの館へ戻ろうかと思っていると。
「シャルロッテ様、良い所にお見えになりました。
実は少々お願いしたことがあるのです。」
館へ帰ろうとしている私を見つけて、オークレフトさんが工房から出て来ました。
「どうかしましたか、何か問題でも起こりましたか?」
「先日地下通路に電気灯を設置したら銅線が無くなりました。
購入に行きたいので、アルビオン王国に連れて行って欲しいのですが。」
聞くところによると使用した銅線は、オークレフトさんが自腹を切った物とのことでした。
いけませんね、ちゃんと経費は請求してもらわないと、ちゃんとお支払するのに。
最初から送電実験をするつもりで、アルビオン王国で購入して持ってきたようです。
「それは構いませんが、銅だったらセルベチア軍からせしめたものが結構な量がありますよ。
あれは、オークレフトさんの要望を無視してインゴットにしてしまったので。
私が責任持って、インゴットを銅線に変えてもらうように、ノミーちゃんに頼んであげましょう。」
「いえ、単に銅線が必要ならばそれで良いのですが。
安全に扱うため銅線をゴムで被覆する必要があるのです。
あんなものを必要とする者は私くらいしかいないので特別に頼んで作ってもらいました。
ですので、前回頼んだところに依頼しようと思っているのです。」
オークレフトさんの話では、銅線をゴムで被覆したものなどどこを探しても売っていないそうです。
ですから、懇意にしている職人さんのところで特別に作ってもらっているのだそうです。
私がセルベチアからせしめた銅のインゴットは後々必要となるだろうからそれまで保存しておいて欲しいとのことです。
「わかりました。
そう言う事であれば、アルビオン王国までお連れしましょう。
でも、銅線を切らすたびにアルビオン王国へ買いに行くのも不便ですね。
この近辺では出来ないものでしょうか?そのゴムで覆う加工って…。」
「加工自体は難しくもないのです。たぶん、僕でもできます。
問題は材料の天然ゴムが手に入らないことです。
あれは南方の温暖な地に生えるゴムの木の樹液から作るのですが。
潤沢に入手できるのは南方に広大な植民地を抱えているアルビオン王国くらいなのです。」
あまり一般的な素材では無いため、現状ではこの辺りでゴムの材料を潤沢に手に入れるのは難しいそうです。
不足する度にアルビオン王国まで発注しに行くのも手間ですし、毎月一定量購入することにしましょうか。
毎月日を決めて納入してもらえば、その日アルビオン王国の屋敷で納品を待っていれば良いですからね。
私がそう考えている時です。
「あんた、そのゴムの木ってどんな樹木かわかる?」
私の肩の上にいたドリーちゃんがオークレフトさんに尋ねたのです。
「ちょっと待っていてください。」
そう言い残してオークレフトさんは自分の宿舎へ向かって行きました。
しばらく待っていると、なにやら重そうな本を一冊抱えて戻ってきます。
「これがゴムの木です。」
オークレフトさんが開いて見せたのは、非常に緻密に描かれた植物図鑑の一ページでした。
この植物図鑑、大変立派な装丁で植物はフルカラーで緻密に描かれており、とても高価なモノのようです。
「なんだー、この木でいいの?
これなら種を持っているよ。
あんたでも簡単にできるのなら、ここに植えて樹液を採ったら?
樹液を採るまでやってあげるよ。」
「えっ、ドリーちゃん、この木、熱帯に生えるって書いてありますよ。」
「そのくらい、簡単だよ!
ただ、冬越しは出来ないかな。
樹液を採ったら、薪にしちゃうね。」
どうやら、ドリーちゃんは私達の計画に積極的に力を貸してくれる気のようです。
植物の精霊としては、アルビオン王国のように森が少なくなってしまうのを絶対に避けたいのでしょう。
「それは大変に助かります。
天然ゴムの樹液がたくさん手に入れば、ゴム製の手袋や長靴なども出来るので有り難いです。」
私とドリーちゃんの会話を聞いていたオークレフトさんが、ドリーちゃんに感謝の言葉を掛けました。
どうやら、天然ゴムは他にも使い道があるようです。
であれば、ドリーちゃんの好意を無にすると言う選択肢はないですね。
「それじゃあ、ドリーちゃん、お言葉に甘えてゴムの木を生やしてもらおうかしら。
樹液を採り終わったら枯らしてしまうのなら、この敷地の一角でも良いわね。
広く空いている部分に植えてもらおうとしましょう。
一応、認識阻害の結界を張っておくわね、部外者に見られると拙いから。」
いきなり何もない空き地に林が出来て、一、二日でそれが無くなるなどということを街道を通った人に目撃されると変な噂が立ちかねません。
私は一旦館に戻り、館の周囲に打ち込んであるのと同じ認識阻害系の魔法を組み込んだ結界杭を取って来ました。
「じゃあ、この結界杭で囲った敷地の中でゴムの木を植えてもらえるかな。」
私は工房の敷地の奥まった場所にある広い空き地を結界杭で囲って、ドリーちゃんに指し示しました。
「了解だよ!
そうだね、先に建物を建てちゃうからゴムの樹液が取れるのは三日後かな。
それまで、少し待っていてね。」
相変わらず、人知の及ばない世界です。
普通、樹木って成長するのに十年ではきかないくらいの時間が掛かりますよね。
それが三日後には樹液を絞り終わっているって…。
きっとその時には林は更地になって、ゴムの木は薪に姿を変えているのでしょうね。
その日は、両端の開口部を覆うように建屋を作ってもらいました。
もちろん、植物の精霊ドリーちゃんお得意のログハウス(丸太小屋)です。
最初に小さな開口部のリーナの館の方を小さな建屋で覆いました。
そして、急ぐこともないので地下道を通ってのんびりと工房まで歩くのですが。
「すごいね!
人間の発想には驚きだよ。
火を熾す訳でも、魔法を使う訳でもないのにこんなに明るくできるなんて。」
私の肩の上に乗ったドリーちゃんがオークレフトさんの設置した電気灯に感心しています。
人から見たら精霊の力や魔法の方が驚きなのですが、ドリーちゃんからしたら自分の力や魔法の方が自然な事です。
そして、精霊の生きる長い時間の流れの中で見てきた人の使う灯りは、必ず何かを燃やした火の灯りだったのです。
それが今、火も魔法も使わずに暗闇の中を真昼のような明るさに照らしているのです。
ドリーちゃんが驚くのも無理がないことかもしれません。
「本当ね。
オークレフトさんの発想力って凄いと思うわ。
あれでもうすこし、精霊の力に頼るのを控えてもらえれば文句無しなのだけど。」
「アハハ!
あいつ、遠慮て言うものを知らないものね。
でも、一応気は使っているよね。
何か頼みたいことがあると、いつもお菓子を用意してるし。」
私の肩の上でカラカラと笑うドリーちゃん。
ドリーちゃんは、さほどオークレフトさんのことを悪く思っていないようです。
「みんな、あいつのこと警戒しているのよ。
ロッテちゃんが良いように使われてしまうのじゃないかと。
今まで、ロッテちゃんの周りには男の人がいなかったからね。
ロッテちゃんが悪い男に騙されないようにって目を光らせているの。
でも、私はそれほど悪い奴だとは思ってないよ。
なんだかんだ言っても、あいつのやることってロッテちゃんの役に立っているもの。」
以前も精霊達が言っていましたが、私ってそんなに危なっかしく見えるのでしょうか?
過保護すぎる気がするのですが…。
ともかく、みんな、私が悪い男に引っ掛からないように目を光らせているみたいですね。
ジョンさんに比べオークレフトさんが私に馴れ馴れしく接するのでみんな警戒していたようです。
馴れ馴れしいと言うより遠慮がないと言った方が正確なのですが。
ただ、先日ノミーちゃんが言ったように、アルビオン王国の王都を見て精霊達は危機感を持ったとのことです。
あんな場所には住めないと。
その点、オークレフトさんの考えていることは、水は汚さない、空気は汚さない、木もなるべく伐らないです。
非常に精霊達と親和性の良い計画なのです。上手く運べばですけど…。
ですから、精霊達のオークレフトさんに対する評価も上がっているそうなのです。
ショコラーデに釣られた訳ではないのですね…。餌付けされた訳ではないようで安心しました。
「そうね、オークレフトさんの言うようにアルム山麓の自然の美しさで有閑階級を呼び込めれば良いわね。
それで、地元にお金を落としてもらうの。
そうなれば、宿屋に食事処、それにお土産物屋なんかもすることが出来るわね。
そんな風にアルム山麓に住む人の働き口が増えたら、もう傭兵や娼婦になる必要もなくなる。
彼自身は自分の興味の赴くまま、好きなものが作れればそれで良いみたいだけど。
彼の持っている計画はアルム山麓に住む人の生活を一変するものになるわね。」
オークレフトさんに、ジョンさん、二人の奇才に巡り会えた私はすごく運が良いのかも知れません。
**********
ドリーちゃんと喋りながら歩いていると二十分などあっという間です。
工房の地下まで辿り着いた私はドリーちゃんに開口部を覆う建物を造ってもらえるようにお願いします。
こちらの開口部は、実験用の資材を地下に運び込むために、幅が十ヤードと広く建屋はとても大きくなります。
その建屋の中で運びこむ資材の組み立てや加工もしようと言うので尚更です。
「それだけ大きな建物じゃ、一日がかりだね。
明日に朝には出来ると思うから待ってて!」
私の話を聞いて、事前にオークレフトさんが欲しい建屋の位置に張った縄の範囲を見てドリーちゃんが言いました。
ドリーちゃんの言葉を聞いて、じゃあ私はアルムハイムの館へ戻ろうかと思っていると。
「シャルロッテ様、良い所にお見えになりました。
実は少々お願いしたことがあるのです。」
館へ帰ろうとしている私を見つけて、オークレフトさんが工房から出て来ました。
「どうかしましたか、何か問題でも起こりましたか?」
「先日地下通路に電気灯を設置したら銅線が無くなりました。
購入に行きたいので、アルビオン王国に連れて行って欲しいのですが。」
聞くところによると使用した銅線は、オークレフトさんが自腹を切った物とのことでした。
いけませんね、ちゃんと経費は請求してもらわないと、ちゃんとお支払するのに。
最初から送電実験をするつもりで、アルビオン王国で購入して持ってきたようです。
「それは構いませんが、銅だったらセルベチア軍からせしめたものが結構な量がありますよ。
あれは、オークレフトさんの要望を無視してインゴットにしてしまったので。
私が責任持って、インゴットを銅線に変えてもらうように、ノミーちゃんに頼んであげましょう。」
「いえ、単に銅線が必要ならばそれで良いのですが。
安全に扱うため銅線をゴムで被覆する必要があるのです。
あんなものを必要とする者は私くらいしかいないので特別に頼んで作ってもらいました。
ですので、前回頼んだところに依頼しようと思っているのです。」
オークレフトさんの話では、銅線をゴムで被覆したものなどどこを探しても売っていないそうです。
ですから、懇意にしている職人さんのところで特別に作ってもらっているのだそうです。
私がセルベチアからせしめた銅のインゴットは後々必要となるだろうからそれまで保存しておいて欲しいとのことです。
「わかりました。
そう言う事であれば、アルビオン王国までお連れしましょう。
でも、銅線を切らすたびにアルビオン王国へ買いに行くのも不便ですね。
この近辺では出来ないものでしょうか?そのゴムで覆う加工って…。」
「加工自体は難しくもないのです。たぶん、僕でもできます。
問題は材料の天然ゴムが手に入らないことです。
あれは南方の温暖な地に生えるゴムの木の樹液から作るのですが。
潤沢に入手できるのは南方に広大な植民地を抱えているアルビオン王国くらいなのです。」
あまり一般的な素材では無いため、現状ではこの辺りでゴムの材料を潤沢に手に入れるのは難しいそうです。
不足する度にアルビオン王国まで発注しに行くのも手間ですし、毎月一定量購入することにしましょうか。
毎月日を決めて納入してもらえば、その日アルビオン王国の屋敷で納品を待っていれば良いですからね。
私がそう考えている時です。
「あんた、そのゴムの木ってどんな樹木かわかる?」
私の肩の上にいたドリーちゃんがオークレフトさんに尋ねたのです。
「ちょっと待っていてください。」
そう言い残してオークレフトさんは自分の宿舎へ向かって行きました。
しばらく待っていると、なにやら重そうな本を一冊抱えて戻ってきます。
「これがゴムの木です。」
オークレフトさんが開いて見せたのは、非常に緻密に描かれた植物図鑑の一ページでした。
この植物図鑑、大変立派な装丁で植物はフルカラーで緻密に描かれており、とても高価なモノのようです。
「なんだー、この木でいいの?
これなら種を持っているよ。
あんたでも簡単にできるのなら、ここに植えて樹液を採ったら?
樹液を採るまでやってあげるよ。」
「えっ、ドリーちゃん、この木、熱帯に生えるって書いてありますよ。」
「そのくらい、簡単だよ!
ただ、冬越しは出来ないかな。
樹液を採ったら、薪にしちゃうね。」
どうやら、ドリーちゃんは私達の計画に積極的に力を貸してくれる気のようです。
植物の精霊としては、アルビオン王国のように森が少なくなってしまうのを絶対に避けたいのでしょう。
「それは大変に助かります。
天然ゴムの樹液がたくさん手に入れば、ゴム製の手袋や長靴なども出来るので有り難いです。」
私とドリーちゃんの会話を聞いていたオークレフトさんが、ドリーちゃんに感謝の言葉を掛けました。
どうやら、天然ゴムは他にも使い道があるようです。
であれば、ドリーちゃんの好意を無にすると言う選択肢はないですね。
「それじゃあ、ドリーちゃん、お言葉に甘えてゴムの木を生やしてもらおうかしら。
樹液を採り終わったら枯らしてしまうのなら、この敷地の一角でも良いわね。
広く空いている部分に植えてもらおうとしましょう。
一応、認識阻害の結界を張っておくわね、部外者に見られると拙いから。」
いきなり何もない空き地に林が出来て、一、二日でそれが無くなるなどということを街道を通った人に目撃されると変な噂が立ちかねません。
私は一旦館に戻り、館の周囲に打ち込んであるのと同じ認識阻害系の魔法を組み込んだ結界杭を取って来ました。
「じゃあ、この結界杭で囲った敷地の中でゴムの木を植えてもらえるかな。」
私は工房の敷地の奥まった場所にある広い空き地を結界杭で囲って、ドリーちゃんに指し示しました。
「了解だよ!
そうだね、先に建物を建てちゃうからゴムの樹液が取れるのは三日後かな。
それまで、少し待っていてね。」
相変わらず、人知の及ばない世界です。
普通、樹木って成長するのに十年ではきかないくらいの時間が掛かりますよね。
それが三日後には樹液を絞り終わっているって…。
きっとその時には林は更地になって、ゴムの木は薪に姿を変えているのでしょうね。
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