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第5章 渡りに船と言いますが…
第65話 おじいさまの依頼
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おじいさまは私に帝国皇帝の使者としてアルビオン王国の首相に親書を届けろと言いました。
十五歳の小娘に?意味不明です。
「大国の首相に宛てた親書を私が届けるのですか?
もっと、適任の方がいらっしゃるのでは。
外務畑の高級官吏とか、皇族の方とか?」
「ああ、そのよう適任の者を使えないから、ロッテ、そなたに依頼しているのだ。
今回の親書の内容は、暴れん坊のセルビア共和国の皇帝に包囲網を築くため、アルビオン王国に同盟を持ちかけるものだ。
帝国の主要な人物がアルビオンに航れば、帝国の動きがセルベチアに気取られる恐れがある。それでは困るのだ。」
もうすぐ雪も解けて大規模な軍隊を動かせる季節になります。
冬の間、なりを潜めていたセルベチア軍の動きが再び活発になることを皇帝は危惧しているようです。
さて、領土の広さでは大陸で最大の国である神聖帝国は、実は軍事面では弱国だそうです。
その最大の理由は、指揮系統が統一できていないこと。
神聖帝国は独立した小国が緩やかに連合を組んだもので、兵力は帝国を構成する諸侯が保有しています。当然、指揮権は各々の諸侯が持っているそうです。
一応、帝国に侵略行為がなされると皇帝の指揮下で統一行動がなされることになっていますが上手く機能していないのが実情のようです。
皇帝が、実際に兵力を保有する諸侯に命じ、諸侯が保有する軍の上層部に命じ、やっと兵に命令が届くのです。上手く機能しないのも当然です。
さらに悪いことには、諸侯により兵装がマチマチで統一行動をとるのが難しいそうです。
まあ、その辺のことは素人の私にはよくわかりませんが、一言で言えば寄せ集めの弊害がでているということでしょうね。
一方で、セルベチア共和国は戦上手な皇帝の下、指揮系統が統一され、兵装も近代的な物に統一されているそうです。
しかも、セルベチア皇帝が実権を握ってから、セルベチア軍は各地で勝利を収めていて、兵士の士気が高まっています。
そして、目の前にいる私のおじいさまなる人物、戦下手で評判の人物です。
というより、この一族、家訓が示すように戦争にあまり乗り気ではないのです。
セルベチア皇帝の覇権意欲が非常に強く、帝国の領土を虎視眈々と狙っていることに、おじいさまは胃が痛くなる思いだそうです。
そんな、おじいさまが望みを託したのが、セルベチア共和国と狭い海峡を挟んで存在する大国アルビオン王国を同盟国に引き込むこと。
アルビオン王国は島国で面積こそ大きくはありませんが、強大な軍事力を持ち世界各地に広大な植民地を有する大国です。
アルビオン王国を味方に引き込むことにより、セルベチアを包囲して迂闊に戦争を起こさせないようにしたいというのがおじいさまの狙いのようです。
「ロッテがアルビオン王国を視察したいと言っておるとハンスから聞いてな、丁度良いと思ったのだ。
まさか、十五やそこらの娘が皇帝からの親書を携えているとは誰も思うまい。
こちらの動きをセルベチアに気取られることなくアルビオン王国に接触できるチャンスだと思ってな。」
年齢が十五歳とまだ子供であることに加え、普段、アルムの森に引き篭っていて顔が知られていない私であればセルベチアはマークしていないだろうということで白羽の矢が立ったようです。
**********
「でも、おじいさま、もうそろそろセルベチアが軍事行動を起こす季節ではないのですか。
今から同盟を持ちかけるのでは遅いのでは?
それに、ハンスさんからは、ルーネス川沿いはどこが戦場になっても不思議ではないので、アルビオンに行くのは延期した方が良いと忠告されたのですが。」
もう春分も過ぎました、大陸北部でも平野部や雪解けが進んでいるはずです。
四月になれば、雪もなくなり軍の移動に支障がなくなるはずです。
「こちらも、セルベチア軍の動向には気を配っているし、ルーネス川流域の守りは固めている。
セルベチアが侵攻してきたとしても、しばらくは持ちこたえることができる。
その間にアルビオンを同盟に引き込めれば御の字だ。」
非常に綱渡りですね、そもそも自力で勝てるとはまったく考えていないようです。
おじいさまの言い方は、アルビオンを同盟に引き込めればめっけもん程度にしか聞こえません。
「おじいさまは、私に弾丸が飛び交うルーネス川を下れとおっしゃるのですか?」
「いやいや、かわいい孫娘にそんなことをさせる訳がないであろう。
アルビオンに行く方法は何もルーネス川を使うだけではないではないか。」
いえ、馬車で陸路を行くのは苦行ですし、船の何倍も時間が掛かります。
それに、陸路の方がむしろ戦争に巻き込まれるような気がします。
「そこにあるダーヌビウス川を下れば良いだろう。
セルベチアとの国境になっているルーネス川と違ってダーヌビウス川は帝国の中を流れている。
これほど安全な交通手段はないぞ。」
おじいさまが窓の外を指差しながら無茶苦茶な事を言いました。
ダーヌビウス川、ルーネス川と並ぶ大河で大型の船が行き来できる重要な交通手段となっています。
ただし、流れる方向が逆です。
ルーネス川は北に向かって流れノルド海に注ぎます。
ノルド海に出るとアルビオンは目と鼻の先です。ルーネス川下りを含めておよそ千マイルの船旅です。
一方のダーヌビウス川、南に流れてポントス海に注ぎます。ここまでで、千マイルあるのです。
更にポントス海からアクデニス海を通って大洋にでてそこから北に向かいます。
そのルートは検討もしませんでしたので定かではありませんが、五千マイルはくだらないと思います。
「おじいさま、それは無理です。
ダーヌビウス川経由では、ルーネス川を用いたときの五倍以上の距離があります。
私はそんな長い期間、館を留守にすることは出来ません。
大切なハーブ畑の世話をしないとなりませんし、国境の峠の守りもそんな長い期間放棄する訳にはいかないでしょう。
セルベチアはアルム山脈越えを諦めていないかも知れないと聞いていますが。」
私がそう主張すると、おじいさまは言いました。
「ロッテであればそれを可能にすることが出来るであろう。
そなた、今日はどうやってここまでやって来た?」
おじいさまは船の客室に転移魔法の発動媒体を設置しろと言いました。
乗船したら自分が借りた客室に発動媒体を設置して転移魔法で帰ってくれば良いと。
転移魔法を使っていることを余人に知られたくないのであれば、食事の時間だけ船に戻れば良いだろう言いました。
「出来る限り良い船を手配しておこう、客室も最上級のものをな。
乗船していないものが下船する時にいるのは拙いので、乗船はしてもらう。
その後は、そなたの便利な魔法をつかって戻ってくれば良い。
何も、何ヶ月間も退屈な船旅を律儀に続ける必要もあるまい。
ちゃんと報酬は払うし、往復の旅費の他にアルビオン滞在中の旅費もこちらで持つとしよう。
アルビオンを色々と視察したいのであろう。
親書の中にそなたの視察に便宜を図ってもらえるように一筆書いておくぞ。
同行者もそこにいる侍女をはじめ、適当に連れてくるが良い。
どうだ、引き受けてはくれぬか。」
親書をアルビオン王国の首相に届ければ、あとは自由でその間の旅費は帝国持ち、私に損はないです。
しかも、数ヶ月に及ぶ船旅はいくつかの大きな港に寄港することとなります。
うまくすれば、途中に寄る異国の町を見聞することが出来るかもしれませんね。
少し考慮したのち、私はおじいさまの依頼を受けることにしました。
「ロッテが引き受けてくれて助かった。
大至急で船と親書の手配をするので、一週間後また来てもらえるかの。
それまでに、旅支度を整えておいてくれ。」
私は一週間後に再びここを訪れる約束をして、おじいさまの許を辞しました。
一週間ですか、かなり慌ただしく準備をすることになりそうです。
**********
お読みいただき有り難うございます。
今日も20時にもう1話投稿いたします。
引き続きお読み頂けたら幸いです。
*お願い
9月1日から始まりましたアルファポリスの第13回ファンタジー小説大賞にこの作品をエントリーしています。
応援してくださる方がいらっしゃいましたら、本作品に投票して頂けるととても嬉しいです。
ぶしつけにこのようなお願いをして恐縮ですが、よろしくお願いします。
投票は、PCの方は表題ページの左上、「作品の情報」の上の『黄色いボタン』です。
スマホアプリの方は表題ページの「しおりから読む」の上の『オレンジ色のボタン』です。
十五歳の小娘に?意味不明です。
「大国の首相に宛てた親書を私が届けるのですか?
もっと、適任の方がいらっしゃるのでは。
外務畑の高級官吏とか、皇族の方とか?」
「ああ、そのよう適任の者を使えないから、ロッテ、そなたに依頼しているのだ。
今回の親書の内容は、暴れん坊のセルビア共和国の皇帝に包囲網を築くため、アルビオン王国に同盟を持ちかけるものだ。
帝国の主要な人物がアルビオンに航れば、帝国の動きがセルベチアに気取られる恐れがある。それでは困るのだ。」
もうすぐ雪も解けて大規模な軍隊を動かせる季節になります。
冬の間、なりを潜めていたセルベチア軍の動きが再び活発になることを皇帝は危惧しているようです。
さて、領土の広さでは大陸で最大の国である神聖帝国は、実は軍事面では弱国だそうです。
その最大の理由は、指揮系統が統一できていないこと。
神聖帝国は独立した小国が緩やかに連合を組んだもので、兵力は帝国を構成する諸侯が保有しています。当然、指揮権は各々の諸侯が持っているそうです。
一応、帝国に侵略行為がなされると皇帝の指揮下で統一行動がなされることになっていますが上手く機能していないのが実情のようです。
皇帝が、実際に兵力を保有する諸侯に命じ、諸侯が保有する軍の上層部に命じ、やっと兵に命令が届くのです。上手く機能しないのも当然です。
さらに悪いことには、諸侯により兵装がマチマチで統一行動をとるのが難しいそうです。
まあ、その辺のことは素人の私にはよくわかりませんが、一言で言えば寄せ集めの弊害がでているということでしょうね。
一方で、セルベチア共和国は戦上手な皇帝の下、指揮系統が統一され、兵装も近代的な物に統一されているそうです。
しかも、セルベチア皇帝が実権を握ってから、セルベチア軍は各地で勝利を収めていて、兵士の士気が高まっています。
そして、目の前にいる私のおじいさまなる人物、戦下手で評判の人物です。
というより、この一族、家訓が示すように戦争にあまり乗り気ではないのです。
セルベチア皇帝の覇権意欲が非常に強く、帝国の領土を虎視眈々と狙っていることに、おじいさまは胃が痛くなる思いだそうです。
そんな、おじいさまが望みを託したのが、セルベチア共和国と狭い海峡を挟んで存在する大国アルビオン王国を同盟国に引き込むこと。
アルビオン王国は島国で面積こそ大きくはありませんが、強大な軍事力を持ち世界各地に広大な植民地を有する大国です。
アルビオン王国を味方に引き込むことにより、セルベチアを包囲して迂闊に戦争を起こさせないようにしたいというのがおじいさまの狙いのようです。
「ロッテがアルビオン王国を視察したいと言っておるとハンスから聞いてな、丁度良いと思ったのだ。
まさか、十五やそこらの娘が皇帝からの親書を携えているとは誰も思うまい。
こちらの動きをセルベチアに気取られることなくアルビオン王国に接触できるチャンスだと思ってな。」
年齢が十五歳とまだ子供であることに加え、普段、アルムの森に引き篭っていて顔が知られていない私であればセルベチアはマークしていないだろうということで白羽の矢が立ったようです。
**********
「でも、おじいさま、もうそろそろセルベチアが軍事行動を起こす季節ではないのですか。
今から同盟を持ちかけるのでは遅いのでは?
それに、ハンスさんからは、ルーネス川沿いはどこが戦場になっても不思議ではないので、アルビオンに行くのは延期した方が良いと忠告されたのですが。」
もう春分も過ぎました、大陸北部でも平野部や雪解けが進んでいるはずです。
四月になれば、雪もなくなり軍の移動に支障がなくなるはずです。
「こちらも、セルベチア軍の動向には気を配っているし、ルーネス川流域の守りは固めている。
セルベチアが侵攻してきたとしても、しばらくは持ちこたえることができる。
その間にアルビオンを同盟に引き込めれば御の字だ。」
非常に綱渡りですね、そもそも自力で勝てるとはまったく考えていないようです。
おじいさまの言い方は、アルビオンを同盟に引き込めればめっけもん程度にしか聞こえません。
「おじいさまは、私に弾丸が飛び交うルーネス川を下れとおっしゃるのですか?」
「いやいや、かわいい孫娘にそんなことをさせる訳がないであろう。
アルビオンに行く方法は何もルーネス川を使うだけではないではないか。」
いえ、馬車で陸路を行くのは苦行ですし、船の何倍も時間が掛かります。
それに、陸路の方がむしろ戦争に巻き込まれるような気がします。
「そこにあるダーヌビウス川を下れば良いだろう。
セルベチアとの国境になっているルーネス川と違ってダーヌビウス川は帝国の中を流れている。
これほど安全な交通手段はないぞ。」
おじいさまが窓の外を指差しながら無茶苦茶な事を言いました。
ダーヌビウス川、ルーネス川と並ぶ大河で大型の船が行き来できる重要な交通手段となっています。
ただし、流れる方向が逆です。
ルーネス川は北に向かって流れノルド海に注ぎます。
ノルド海に出るとアルビオンは目と鼻の先です。ルーネス川下りを含めておよそ千マイルの船旅です。
一方のダーヌビウス川、南に流れてポントス海に注ぎます。ここまでで、千マイルあるのです。
更にポントス海からアクデニス海を通って大洋にでてそこから北に向かいます。
そのルートは検討もしませんでしたので定かではありませんが、五千マイルはくだらないと思います。
「おじいさま、それは無理です。
ダーヌビウス川経由では、ルーネス川を用いたときの五倍以上の距離があります。
私はそんな長い期間、館を留守にすることは出来ません。
大切なハーブ畑の世話をしないとなりませんし、国境の峠の守りもそんな長い期間放棄する訳にはいかないでしょう。
セルベチアはアルム山脈越えを諦めていないかも知れないと聞いていますが。」
私がそう主張すると、おじいさまは言いました。
「ロッテであればそれを可能にすることが出来るであろう。
そなた、今日はどうやってここまでやって来た?」
おじいさまは船の客室に転移魔法の発動媒体を設置しろと言いました。
乗船したら自分が借りた客室に発動媒体を設置して転移魔法で帰ってくれば良いと。
転移魔法を使っていることを余人に知られたくないのであれば、食事の時間だけ船に戻れば良いだろう言いました。
「出来る限り良い船を手配しておこう、客室も最上級のものをな。
乗船していないものが下船する時にいるのは拙いので、乗船はしてもらう。
その後は、そなたの便利な魔法をつかって戻ってくれば良い。
何も、何ヶ月間も退屈な船旅を律儀に続ける必要もあるまい。
ちゃんと報酬は払うし、往復の旅費の他にアルビオン滞在中の旅費もこちらで持つとしよう。
アルビオンを色々と視察したいのであろう。
親書の中にそなたの視察に便宜を図ってもらえるように一筆書いておくぞ。
同行者もそこにいる侍女をはじめ、適当に連れてくるが良い。
どうだ、引き受けてはくれぬか。」
親書をアルビオン王国の首相に届ければ、あとは自由でその間の旅費は帝国持ち、私に損はないです。
しかも、数ヶ月に及ぶ船旅はいくつかの大きな港に寄港することとなります。
うまくすれば、途中に寄る異国の町を見聞することが出来るかもしれませんね。
少し考慮したのち、私はおじいさまの依頼を受けることにしました。
「ロッテが引き受けてくれて助かった。
大至急で船と親書の手配をするので、一週間後また来てもらえるかの。
それまでに、旅支度を整えておいてくれ。」
私は一週間後に再びここを訪れる約束をして、おじいさまの許を辞しました。
一週間ですか、かなり慌ただしく準備をすることになりそうです。
**********
お読みいただき有り難うございます。
今日も20時にもう1話投稿いたします。
引き続きお読み頂けたら幸いです。
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9月1日から始まりましたアルファポリスの第13回ファンタジー小説大賞にこの作品をエントリーしています。
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