アラフォー傭兵の幻想戦記

アイイロモンペ

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第3章 高原の岩山の上の鳥(?)

第36話 襲撃の後で

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 大宴会である。目の前にはよくわからない白く濁った酒と山海の珍味がこれでもかと並んでいる。
場所は例によってクマリー様の家の大広間だ。
 集まって空の民たちは、みな一様に艶々とした良い顔をしており、憑き物が落ちたようである。

 みな交替でここに顔を出しているらしい、クマリー様の両脇に座っている俺とナンシーにみなが感謝の言葉をかけてくれる。
 ここに集まって空の民たちは、俺達に感謝した後ひとしきり飲み食いをして、オスと交尾するために出て行く。交替で今まで交尾していたものが入ってくるというローテーションになっているようだ。

 
 感謝してくれるのはいいが、股座またぐらから子種を溢しながら挨拶に来るのはやめてくれ。
飯が不味くなる。
 あ、そこ、俺の膳の上にザーメンを垂らすな、食えなくなるだろうが!


     **********


 宴もたけなわ、良い具合に夜もふけてきた。

「こら、おぬしちゃんと飲んでいるか?」

とクマリー様が行ってきた。

俺、濁り酒って苦手なんだよな、特にこのドロッとした喉ごしの酒は好みでない。
ここまで、何とか飲まないでごまかしてきたが飲んでないことに気付いたか?

「いえ、俺は、下戸なんでお酒はちょっと……。」

「この大酒のみが何嘘ついてるんですか。おじさん、お酒大好きな癖して、このお酒の見た目がザーメンみたいだから嫌なんでしょう。」

おい、こら酔っ払い、何てこと言いやがるんだ。
ナンシーお前はこういうの平気で飲んでいるよな。

「なんだ、わしの酒が飲めないというのか?」

「ほら、こうなる…。」

結局、苦手な酒をしこたま飲ませられてしまったじゃないか。

こちらもほろ酔い加減になってきたとき、クマリー様が言った。

「それでおぬしら今回世話になった褒美は何が良い。欲しいものを言ってみろ。」

「お金、それと何か珍しいもの。」

ナンシー、お前即答だな。

「カネか?でもおぬしらの国で使えるカネは持ち合わせておらんぞ。」

「じゃあ、金でちょうだい。金貨でも、延べ棒でも、延べ板でもいいよ。」

「金貨だったら、今回攫ってきたオスの国で大昔に使っていた金貨が山ほどあるぞ。
わしらはいらんから好きなだけ持っていくと良い。
珍しいものと言ってもな……、そうだ、仙桃を持っていくとよい。
現世うつしよの者はみなが欲しがるというぞ。」

「仙桃?なんだそれ、珍しいのか?」

「いや、その辺の桃の木にいくらでも生っておるぞ。人が食すと不老長寿になるというだけじゃ。」

「それ、良い!!私はそれが欲しいな。」

 ナンシー、不老長寿なんてなってどうするんだ?知り合いがみな先に死んじまうのだぞ。

「何だ、ケント、お前はいらないみたいだな。何か欲しいものはないのか。
もしないのなら、わしに種付けする権利を与えようか。」

いえ、それはパスの方向で。嫌だよ、俺、死ぬまで吸い取られそうで。
こいつら、ハーピーじゃなくてサキュバスなんじゃないかと思えてきたよ。
そもそも、俺は獣姦の趣味はないだよ。いくら陰部が人と同じといっても鳥だぞ。

「種付けの権利はいらんが、こんなものあるか?」

「何じゃつれないな。そんな物が欲しいのなら幾らでもあるぞ好きなだけ持って行け。」

よし面白いことになったぞ。


 結局ずいぶんと飲まされ、ほろ酔いを通り越して本格的に酔ってしまった。
もうベッドに行って寝よう。


     **********


 うん、今何時だ?まだ、真っ暗か?
イチモツに何か絡み付いている?しっとり濡れていて柔らかく包みこむ様な絶妙な絞め具合だ。
目を開くと、見知らぬ女が俺の上で腰を振っていた。
ああ、これは夢か。そういえば、チューリッヒを出てからご無沙汰だったもんな。
意識してなかったが、俺も欲求不満だったんだな。

チュン、チュン

 鳥のさえずりに目を覚ますと、俺のベッドの上には大股広げてイビキをかいているナンシーと股間から子種を垂れ流しているクマリー様がいた。
 もちろん、ナンシーの股間からも大量の子種が零れている。


「こらぁ!!お前ら何やってるんだ。」

「おじさん、ごめんね。我慢できなかったんだよ。
私、チューリッヒを出てからご無沙汰だったから、体がうずいちゃって。
クマリー様がおじさんに夜這いをかけると聞いて、ついご相伴に預かっちゃったの。
いままで、自分で慰めて我慢していたんだから、一回ぐらい許してよ、お願い。」

 何が『つい』だよ、それに股間から零れているその量、絶対に一回じゃないよな。

「うるさいぞ。何を朝っぱらから、男が女々しいことを言っておるのだ。
メスに懇願されたら、子種を分け与えるのはオスの義務だろうに。」

 ナンシーと言いあっていると、俺達の話声にクマリー様が目を覚ました。
いや、ナンシーを抱くのが嫌なのは、こいつが性病持ちだからで。
おい、ナンシー、性病は全部治っているんだろうな?俺にうつしたらコンビ解消だぞ。


「時に、ケントよ、たっぷりと子種はもらったぞ。これで次代の長の心配もなくなったな。
めでたいことよ。
ケントは次代の長の親だからいつでも歓迎するぞ。気楽に遊びに来るとよい。」

 一発で妊娠確定ですか?スゲーな空の民。

 ちくしょう、獣に性病持ち、絶対にやりたくない女二人とやってしまった。
せめて、俺が起きるまでにいなくなっていれば、夢だと思っていられたのに。







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