アラフォー傭兵の幻想戦記

アイイロモンペ

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第3章 高原の岩山の上の鳥(?)

第31話 鳥に襲われた村

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 政府に悪感情を抱く少年ソワンを家に送って言った帰り、変な爺さんに絡まれた。
『鳥の王の祟り』とか、おかしなことを口走っている。
 迷信を信じている爺さんか、少し痴呆症気味の爺さんではないかと思い、無視して帰ろうとしたら、ご丁寧に喰い付いた奴がいた。

 もちろん、ナンシーである。

「おじさん、また面白いことになるかもしれないよ。
どうせホテルに帰っても監視されるだけで息が詰まるから。
どっかでこのお爺ちゃんの話聞いて行こうよ。」

 ナンシーの言うとおり盗聴器だらけのホテルにいるのも気詰まりではあるが、この爺さんの話聞くのか?


     **********


 最近すっかり不思議な出来事にはまっているナンシーに、半ば無理やり連れられて爺さんと一緒に小汚い居酒屋に来た。

 ナンシー、お前、結構こういう不衛生な店平気で来るよな。

 爺さんはどぶろくのような酒を頼んでいたが、俺とナンシーはビールにした。
だって、どぶろくとビールしかないんだから。

 ナンシーの通訳で話をすると、この爺さんはソワンが住んでいた村の長老らしい。
 この村には古より鳥の王と交わした盟約があり、十年に一度心身ともに健康な若い男を生け贄として鳥の王に差し出さねばならないそうだ。
 
 ちょうど今年が十年目に当たり、生け贄を差し出す予定であったが集団離村してしまったため、生け贄を差し出せてないと言う。
 ちなみに、この手の話で盟約と言うと村の方にも何かメリットがるような気がするが、村は一方的に生け贄を取られるだけらしい。

 というのは、その昔、鳥の王は頻繁に村を襲い、男をさらって行ったらしい。
 このままでは、村の男がいなくなってしまい、村が維持できなくなると懸念した当時の長老が、鳥の王と掛け合い十年に一度一人だけと言う盟約を交わしたらしい。
 無秩序に攫われなくなったのがメリットと言えばメリットだが、今となっては旨味がないな。

 せめて、あの国がこの高原を支配下に置くときに、鳥の王があの国の軍を追い払うとかすれば、村人から感謝もされ、村が無くなることもなかったろうに。


「ねえ、おじさん、明日その村見に行ってみない?」

ほら来た、ナンシーの興味本位に火中の栗を拾いにいく行動。

「やめとけって、お前の想像通りなら、高濃度の放射能汚染地域だぜ。
それに、政府軍が厳重に閉鎖しているに決まっているだろう。」

「やだな、おじさん、誰もソワン達がいた村まで行くと入ってないじゃん。
もし、このお爺ちゃんの言うことが本当なら、近隣の村が襲われると思わない?」

ナンシーは目を輝かせながら、そう言った。

あ、そう。どうしても行きたいわけね。
まあ、機材の調子も確認する必要があるし、明日はドライブと行きますか。


     **********


 で、早朝俺達は長老の案内で、村の方角に向かって車を走らせた。
このハンヴィー、ずいぶん古臭いけど何年前のもんだ?
この高原の悪路走っても平気なんだろうな。

「おじさん、やばいよ。これ以上行ったら本当に不味い。そろそろ引き返そう。」

とナンシーがスマフォの簡易放射線測定アプリを見ながら言った時、前方に小さな村が見えた。


 ナンシーが、真剣な顔でこれ以上進むのはまずいと言っているので、この村が現時点で最果ての村なんであろう。

 村の様子を窺うと……?

 村が鳥に襲われていた。
その数十羽以上、一羽一羽が人と同等以上の大きさの鳥が人に襲い掛かっている、
よく見ると、人を傷つけるのが目的ではなく、どうやら人を攫いたいようだ。
手加減して襲っているので、なかなか人を捕まえられないように見える。


 俺は、スタングレネードを一発、村人を襲う鳥達のほぼ真ん中に放り投げた。

 響き渡る大音響と共にまばゆい光が辺りを包む、可哀そうに村人達が目を押さえて蹲っている。
ごめん、緊急事態だ許してくれ。鳥に攫われるよりはいいだろう。

 しかし、効果覿面だった。音が効いたのか光が効いたのかは判らないが、鳥達が落下して痙攣している。


「ラッキー、ナンシー、あの鳥生け捕りにするぞ。痙攣している間にロープでふん縛れ。」

 俺とナンシーは、手分けをして鳥を生け捕りにすべく、ロープを手に駆け出した。


 俺は、痙攣して倒れている鳥を押さえ付けてロープで縛ろうとした所で、初めて気付いた。
 え、なんだこの鳥、おっぱいがあるぞ、剥き出しの陰部なんか人間の女と変わらないじゃないか。
慌てていて気が付かなかったけど、よく見ると人間の顔しているじゃないか。

 そう言えば、昔の長老は鳥の王と交渉したとか言ってたよな。嘴じゃ喋れないか。


「おじさん、わたし、こういう鳥知ってるよ。ハーピーって言うんだよ、ファンタジーの世界では。」

 
 はい、はい、またそういう展開ですか。








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