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第2章 南海の珊瑚の森の女王様
第22話 珊瑚の森の女王様
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さて、気が付くとナンシーの後ろに、どえらい迫力の美女が立っていた。
体つきが大きいわけじゃないんだ、風格というか、存在感というか、オーラというか、そんな奴?
中華王朝物の映画に出てきそうな、赤と金を基調とした派手で豪華な漢服風の衣装を纏っている。
黒髪は結い上げて、長い金の簪を挿してる。あの、金のひらひらしたのが垂れ下がってる奴。
とっても綺麗な鼻梁をして、口元も整っている。
が、切れ長の目の眼光が怖すぎる。取って喰われそうな雰囲気っての?
「ようこそ、現世の国のもの。われは、隠世の国が一つニーラ国の女王ミクズメ。
われらが怨敵、 サハギン族の襲撃を撃退したこと改めて感謝するぞ。」
何か貫禄があると思ったら女王様だったか。
「おじさん、おじさん、あいさつ、あいさつ、それと自己紹介。」
えい、わかったからつつくな。お前のそれ地味に痛いぞ。
「お初にお目にかかります、女王様。わたくし、ケントと申します。隣にいるのは同僚のナンシーです。」
「はじまめまして、ナンシーと申します。」
「よい、よい、堅苦しい挨拶など抜きじゃ。今宵、汝らを我が宮に招き宴でもしようぞ。」
俺たちは、ミクズメ女王の招きを受けることになった。
「おじさんと仕事していると、信じられない事が起きるね。素人童貞の祟りじゃない。」
うるせいよ、お前のせいかもしれないだろ?
**********
ミクズメ女王を乗せて、指示されるがままに操艇していたら、目の前に巨大な島が現れた。
いつの間にか霧は晴れ、雲ひとつない青空が広がっている。
港には街が広がっており、やや高台になったところには朱塗りの宮殿が建っていた。
港に船をつけると、女王を迎えに豪華な馬車が来ていた。
俺たちも女王と一緒に馬車に乗せられ宮殿へ向かうこととなった。
俺は、女王を相手に何を話してよいかわからず、終始無言であったが、
「ねえ、おじさん、気が付いた?今馬車を引いている馬、足元から太腿まで鱗が合ったよ。
あれ、ケルピーって奴じゃない?初めて見たよ。」
お前、良くこの状況でしゃべれるな……。少しは空気読めよ……。
いや、俺だって鱗のある馬なんか見たことないよ。そもそも、鱗がある段階で馬じゃないだろう。
で、ついた女王の宮殿、雰囲気は沖縄の首里城のような朱塗りの宮殿である。
突っ込みどころ満載なのは、所々に生えているのが巨大な珊瑚であるところ。
テーブル珊瑚じゃないぞ、宝飾品に使うような桃色珊瑚がにょきにょき生えている。
***********
宮殿の応接に通された俺たちは、拒否権もなくこの国の事情を聞かされた。
知ったからには、協力させられるんだろうな。これも拒否権なく……。
要約するとこうだ。
サハギン族は、太古の昔からこの国と敵対している。それは、サハギン族が大挙してこの国を襲い、この国の国民を拉致していくからだ。
サハギン族は男しかおらず、繁殖のため女しかいないこの国に目をつけたらしい。
一方で、この国では、定期的に人間の世界から男を招き繁殖しているそうだ。
従来、二つの勢力は拮抗しており、サハギン族の襲撃を水際で撃退していた。
情勢が変化したのは、つい最近で、どこからかサハギン族が火を吹く大筒を備えた船を手に入れたらしい。
この船からの砲撃により、サハギン族を水際で食い止めるのが難しくなっているそうだ。
うーん、こっちの国、女しかいないんだったら、仲良くしたほうがいいんじゃないか?
「嫌に決まっているだろう。アホたれ!!
あいつらと番うと魚臭い男しか生まれないんだぞ。そんなのわが種族の沽券にかかわる。
やはり、見目麗しい女子を残すためには、人間の男の種が一番じゃ。」
ああそう、人間の男と交わると必ず人間型の女の子が生まれるのね。不思議な種族だ。
大筒を備えた船か?きっと人の世からの漂流物だ。どのくらいの時代のものだろう?
江戸末期の蒸気船くらいなら、Mk.Ⅴ SOCで何とかなりそうだけど、それ以降の時代のものじゃ太刀打ちできないぞ。
性能はともかく、大きさが違いすぎる。二十五ミリ砲なんかじゃ、小さな穴があく程度だ。
そんな、俺の懸念は斟酌されず、女王は半ば命令のようにサハギン撃退に協力しろと言ってくる。
どうやら、俺たちに拒否権はないようだ。
おい、ナンシー、お前なんでそんなに嬉しそうなんだよ!
体つきが大きいわけじゃないんだ、風格というか、存在感というか、オーラというか、そんな奴?
中華王朝物の映画に出てきそうな、赤と金を基調とした派手で豪華な漢服風の衣装を纏っている。
黒髪は結い上げて、長い金の簪を挿してる。あの、金のひらひらしたのが垂れ下がってる奴。
とっても綺麗な鼻梁をして、口元も整っている。
が、切れ長の目の眼光が怖すぎる。取って喰われそうな雰囲気っての?
「ようこそ、現世の国のもの。われは、隠世の国が一つニーラ国の女王ミクズメ。
われらが怨敵、 サハギン族の襲撃を撃退したこと改めて感謝するぞ。」
何か貫禄があると思ったら女王様だったか。
「おじさん、おじさん、あいさつ、あいさつ、それと自己紹介。」
えい、わかったからつつくな。お前のそれ地味に痛いぞ。
「お初にお目にかかります、女王様。わたくし、ケントと申します。隣にいるのは同僚のナンシーです。」
「はじまめまして、ナンシーと申します。」
「よい、よい、堅苦しい挨拶など抜きじゃ。今宵、汝らを我が宮に招き宴でもしようぞ。」
俺たちは、ミクズメ女王の招きを受けることになった。
「おじさんと仕事していると、信じられない事が起きるね。素人童貞の祟りじゃない。」
うるせいよ、お前のせいかもしれないだろ?
**********
ミクズメ女王を乗せて、指示されるがままに操艇していたら、目の前に巨大な島が現れた。
いつの間にか霧は晴れ、雲ひとつない青空が広がっている。
港には街が広がっており、やや高台になったところには朱塗りの宮殿が建っていた。
港に船をつけると、女王を迎えに豪華な馬車が来ていた。
俺たちも女王と一緒に馬車に乗せられ宮殿へ向かうこととなった。
俺は、女王を相手に何を話してよいかわからず、終始無言であったが、
「ねえ、おじさん、気が付いた?今馬車を引いている馬、足元から太腿まで鱗が合ったよ。
あれ、ケルピーって奴じゃない?初めて見たよ。」
お前、良くこの状況でしゃべれるな……。少しは空気読めよ……。
いや、俺だって鱗のある馬なんか見たことないよ。そもそも、鱗がある段階で馬じゃないだろう。
で、ついた女王の宮殿、雰囲気は沖縄の首里城のような朱塗りの宮殿である。
突っ込みどころ満載なのは、所々に生えているのが巨大な珊瑚であるところ。
テーブル珊瑚じゃないぞ、宝飾品に使うような桃色珊瑚がにょきにょき生えている。
***********
宮殿の応接に通された俺たちは、拒否権もなくこの国の事情を聞かされた。
知ったからには、協力させられるんだろうな。これも拒否権なく……。
要約するとこうだ。
サハギン族は、太古の昔からこの国と敵対している。それは、サハギン族が大挙してこの国を襲い、この国の国民を拉致していくからだ。
サハギン族は男しかおらず、繁殖のため女しかいないこの国に目をつけたらしい。
一方で、この国では、定期的に人間の世界から男を招き繁殖しているそうだ。
従来、二つの勢力は拮抗しており、サハギン族の襲撃を水際で撃退していた。
情勢が変化したのは、つい最近で、どこからかサハギン族が火を吹く大筒を備えた船を手に入れたらしい。
この船からの砲撃により、サハギン族を水際で食い止めるのが難しくなっているそうだ。
うーん、こっちの国、女しかいないんだったら、仲良くしたほうがいいんじゃないか?
「嫌に決まっているだろう。アホたれ!!
あいつらと番うと魚臭い男しか生まれないんだぞ。そんなのわが種族の沽券にかかわる。
やはり、見目麗しい女子を残すためには、人間の男の種が一番じゃ。」
ああそう、人間の男と交わると必ず人間型の女の子が生まれるのね。不思議な種族だ。
大筒を備えた船か?きっと人の世からの漂流物だ。どのくらいの時代のものだろう?
江戸末期の蒸気船くらいなら、Mk.Ⅴ SOCで何とかなりそうだけど、それ以降の時代のものじゃ太刀打ちできないぞ。
性能はともかく、大きさが違いすぎる。二十五ミリ砲なんかじゃ、小さな穴があく程度だ。
そんな、俺の懸念は斟酌されず、女王は半ば命令のようにサハギン撃退に協力しろと言ってくる。
どうやら、俺たちに拒否権はないようだ。
おい、ナンシー、お前なんでそんなに嬉しそうなんだよ!
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