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第2章 南海の珊瑚の森の女王様
第19話 マラッカ海峡に立つ
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俺とナンシーは、港湾都市ムラカの港に立っていた。
昨日ヤンから聞いたミッションの内容はこうだ。
マラッカ海峡の海賊は、マレーシア、インドネシア両政府の取り締まり強化によって大幅に減少している。
一方で、海賊連中も巧妙なっており、現在生き残っている連中は、逃げ足が速く当局の取り締まり船を察知すると速やかに逃げるため、大々的に取り締まるのが難しいらしい。
今回、俺たちにお鉢が回ってきたミッションは、海賊達に気取られないように単独で行動し、可能であれば海賊の拠点を掴むこと、それが困難であれば海賊を速やかに排除することでる。
俺たちは、ヤンに指定された波止場に着いた、そこには作業着を着た数名の男達が待っていた。
「お、お前らがヤンさんが言っていたハインツのエージェントか?
俺は、整備屋のアダムだ。こいつを整備してお前らに渡せとヤンさんに言われて待っていた。
と言っても、ヤンさんの無茶振りで今整備が終わったばかりなんだけどな。
ほれ、引渡し書にサインをくれ。」
俺は、書類にサインをしアダムに差し出す。
「イカした船じゃねーか。整備はばっちりなんだろな。」
「そうだろう、そうだろう。整備もばっちりさ、古い船だが新品同様にオーバーホールしてあるよ。
そのせいで、俺たちゃ大忙しだったぜ。
こいつ、払い下げ品であっちこっち痛んでて、一週間で新品同様に整備しろなんて無茶振りもいいところだぜ。
まあ、金払いも良かったから、頑張ったけどな。」
「おじさん、うちの会社って儲かってるのかな。今回も随分いいもの出してくれたじゃない。
Mk.Ⅴ特殊作戦艇なんて初めて乗るよ。
どれどれ、兵装はM三八機関砲と二連装M二重機関銃で、それが両舷か、良いね痺れるね。
でも、これ二人で乗るの?足りなくない?
最低でも、操縦二人に、射手四人は必要でしょう。
おじさんが操縦して、私一人で四つの銃座面倒見るの?」
確かに、こいつ動かすだけなら一人でもいけるかもしれないけど、絶対は補助はいるよな、だってコンパネは前二席にわたっているもんな。
それに、銃架は両舷に二つずつ設えてある。
いざとなったら、船を停めて二人で攻撃しろってか。
「いや、社長からもヤンからも応援が来るとは聞いていないぞ。
そもそも、俺もここに来るまで、今回支給される機材の説明を受けてなかったもんな。」
「おじさん、アバウト過ぎ。機材ぐらい前もって聞いておいてよ。」
「ナンシー、うちの会社はな、いつも金が無いんで直前まで機材が決まらない場合が多かったんだ。
だから、聞くだけ無駄だと思って聞かない習慣ができちまったのさ。
俺の方からリクエストできるのは、携行武器だけだぜ。
だいたい、今回だって『良い囮になるから漁船で行け』って言われてもおかしくないと思ってたぞ。
そもそも、そんな事言うんだったら、ナンシーお前が聞けばよかったじゃないか。」
だいたい、払い下げ品だといっても、こんな凄ぇ船を用意してくれるとは思わなかったぞ。前回といい、今回といい、羽振りの良いこって。
よしよし、俺愛用のミニミ軽機関銃とカールグスタフもちゃんとあるな。
「おーい、ナンシー、弾薬が十分あるか確認しておけよ。」
**********
で、今、俺が何をしているかというと、船の操縦の練習をしている。
考えてみれば、俺も無意識のうちに誰か操縦士が付くものだと思っていたらしい。
自分で動かすなんて考えてもいなかった。
ナンシーに頼もうと思ったら、「嫌だ、私は射手をやる。」といって取り合ってもくれなかった。
でも、スゲーなこいつ。平気で時速八十キロ以上出る。
しかし、揺れも凄い操縦していても酔いそうになった、隣のナンシーはげっそりと青い顔をしている。
ナンシーに聞いたところ、こいつは時速六十五ノット以上出せるらしい、キロ換算で百二十キロか、絶対無理だな。船はもっても、乗っている俺達がもたないぜ。
ところで、俺、船舶免許持っていないけど大丈夫なのか?
**********
既に三日が過ぎた。まだ、俺たちはミッションを始めてなかった。
そもそも、操艇から俺たちにやれというのが無茶なんだ。
社長に電話で文句を言ったら、この船を買ったら予算がなくなったんだと。結局それか。
そうそう、船舶免許の話、社長に言ったら「事故るな」って言われた。
海賊退治のために政府に雇われているので、事故らなければ当局は免許を検めたりしないって。
いいのか、それ。
ともかく、三日間、朝から晩まで操艇の練習をした甲斐あって何とか操縦できるようになった。
ナンシーも船酔いしなくなって、射撃も十分出来そうである。
さて、遅くなったけどミッションを始めましょうか。
**********
で、例によって俺は無知だから知らなかったぜ。
ナンシーによるとマラッカ海峡って世界有数の船舶通貨数だと言う事だけど、こんなに多いとは思わなかったぞ。
そもそも、良くこんなところで海賊なんかできるな。街中で引ったくりするようなもんだぞ。
で、よくみると小さな島がいっぱいあるんだ。
ヒットアンドウェイで、ひったくったら小島に隠れるんだろうな。
どうやって探すんだ、これ?
「おじさん、気長にいこうよ。
だって、めぼしい海賊は、この十年で各国が狩っちゃったんでしょう。
残りは、しぶとく生き残った狡賢い奴らばっかしだから、私らみたいな傭兵家業に回ってきたんだ。
クライアントだって、大成果なんて期待してないよ。
今回の契約期間は三ヶ月だっけ、ボウズだと契約不履行だって難癖付けられそうだけど一件摘発しとけば文句も出ないって。」
それもそうか、のんびりやるしかねえな。
昨日ヤンから聞いたミッションの内容はこうだ。
マラッカ海峡の海賊は、マレーシア、インドネシア両政府の取り締まり強化によって大幅に減少している。
一方で、海賊連中も巧妙なっており、現在生き残っている連中は、逃げ足が速く当局の取り締まり船を察知すると速やかに逃げるため、大々的に取り締まるのが難しいらしい。
今回、俺たちにお鉢が回ってきたミッションは、海賊達に気取られないように単独で行動し、可能であれば海賊の拠点を掴むこと、それが困難であれば海賊を速やかに排除することでる。
俺たちは、ヤンに指定された波止場に着いた、そこには作業着を着た数名の男達が待っていた。
「お、お前らがヤンさんが言っていたハインツのエージェントか?
俺は、整備屋のアダムだ。こいつを整備してお前らに渡せとヤンさんに言われて待っていた。
と言っても、ヤンさんの無茶振りで今整備が終わったばかりなんだけどな。
ほれ、引渡し書にサインをくれ。」
俺は、書類にサインをしアダムに差し出す。
「イカした船じゃねーか。整備はばっちりなんだろな。」
「そうだろう、そうだろう。整備もばっちりさ、古い船だが新品同様にオーバーホールしてあるよ。
そのせいで、俺たちゃ大忙しだったぜ。
こいつ、払い下げ品であっちこっち痛んでて、一週間で新品同様に整備しろなんて無茶振りもいいところだぜ。
まあ、金払いも良かったから、頑張ったけどな。」
「おじさん、うちの会社って儲かってるのかな。今回も随分いいもの出してくれたじゃない。
Mk.Ⅴ特殊作戦艇なんて初めて乗るよ。
どれどれ、兵装はM三八機関砲と二連装M二重機関銃で、それが両舷か、良いね痺れるね。
でも、これ二人で乗るの?足りなくない?
最低でも、操縦二人に、射手四人は必要でしょう。
おじさんが操縦して、私一人で四つの銃座面倒見るの?」
確かに、こいつ動かすだけなら一人でもいけるかもしれないけど、絶対は補助はいるよな、だってコンパネは前二席にわたっているもんな。
それに、銃架は両舷に二つずつ設えてある。
いざとなったら、船を停めて二人で攻撃しろってか。
「いや、社長からもヤンからも応援が来るとは聞いていないぞ。
そもそも、俺もここに来るまで、今回支給される機材の説明を受けてなかったもんな。」
「おじさん、アバウト過ぎ。機材ぐらい前もって聞いておいてよ。」
「ナンシー、うちの会社はな、いつも金が無いんで直前まで機材が決まらない場合が多かったんだ。
だから、聞くだけ無駄だと思って聞かない習慣ができちまったのさ。
俺の方からリクエストできるのは、携行武器だけだぜ。
だいたい、今回だって『良い囮になるから漁船で行け』って言われてもおかしくないと思ってたぞ。
そもそも、そんな事言うんだったら、ナンシーお前が聞けばよかったじゃないか。」
だいたい、払い下げ品だといっても、こんな凄ぇ船を用意してくれるとは思わなかったぞ。前回といい、今回といい、羽振りの良いこって。
よしよし、俺愛用のミニミ軽機関銃とカールグスタフもちゃんとあるな。
「おーい、ナンシー、弾薬が十分あるか確認しておけよ。」
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で、今、俺が何をしているかというと、船の操縦の練習をしている。
考えてみれば、俺も無意識のうちに誰か操縦士が付くものだと思っていたらしい。
自分で動かすなんて考えてもいなかった。
ナンシーに頼もうと思ったら、「嫌だ、私は射手をやる。」といって取り合ってもくれなかった。
でも、スゲーなこいつ。平気で時速八十キロ以上出る。
しかし、揺れも凄い操縦していても酔いそうになった、隣のナンシーはげっそりと青い顔をしている。
ナンシーに聞いたところ、こいつは時速六十五ノット以上出せるらしい、キロ換算で百二十キロか、絶対無理だな。船はもっても、乗っている俺達がもたないぜ。
ところで、俺、船舶免許持っていないけど大丈夫なのか?
**********
既に三日が過ぎた。まだ、俺たちはミッションを始めてなかった。
そもそも、操艇から俺たちにやれというのが無茶なんだ。
社長に電話で文句を言ったら、この船を買ったら予算がなくなったんだと。結局それか。
そうそう、船舶免許の話、社長に言ったら「事故るな」って言われた。
海賊退治のために政府に雇われているので、事故らなければ当局は免許を検めたりしないって。
いいのか、それ。
ともかく、三日間、朝から晩まで操艇の練習をした甲斐あって何とか操縦できるようになった。
ナンシーも船酔いしなくなって、射撃も十分出来そうである。
さて、遅くなったけどミッションを始めましょうか。
**********
で、例によって俺は無知だから知らなかったぜ。
ナンシーによるとマラッカ海峡って世界有数の船舶通貨数だと言う事だけど、こんなに多いとは思わなかったぞ。
そもそも、良くこんなところで海賊なんかできるな。街中で引ったくりするようなもんだぞ。
で、よくみると小さな島がいっぱいあるんだ。
ヒットアンドウェイで、ひったくったら小島に隠れるんだろうな。
どうやって探すんだ、これ?
「おじさん、気長にいこうよ。
だって、めぼしい海賊は、この十年で各国が狩っちゃったんでしょう。
残りは、しぶとく生き残った狡賢い奴らばっかしだから、私らみたいな傭兵家業に回ってきたんだ。
クライアントだって、大成果なんて期待してないよ。
今回の契約期間は三ヶ月だっけ、ボウズだと契約不履行だって難癖付けられそうだけど一件摘発しとけば文句も出ないって。」
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