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第1章 砂漠の中の大森林のお姫様
第15話 シューネヴァルトの不思議
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シューネヴァルトの反乱は実にあっけなく終結した。
実際、ナンシーは殺り足りないと不満をたれている。いや、宮殿内の敵は全部お前が殺っただろ。
貴族が好き勝手できる国を作るという、シューネヴァルト公爵の実にくだらない野望は、文字通り泡沫の如く弾けて消えた。
ナンシーが殺り足りないと騒ぐものだから、俺とナンシーは自宅で軟禁されていた宰相他の重鎮達を解放して歩いた。
解放された重鎮達は感謝してくれたが、邸宅を血の海された家人達には嫌な顔をされた。
まあ、反乱に組した連中は問答無用で射殺したからな。
そして、一段落した現在、俺は大公宮に用意された客間の浴室で入浴している。
例によって、メイドが服を脱がせてくれて、体を洗ってくれているのだが、今回つけられたメイドは侯爵邸の時と違って明らかに未成年ではない。
今回、反乱鎮圧を手伝うに当たって、恩賞に若い女を抱きたいと願い出た。
このメイドは、手を出していいのだろうか?
そう、悩んでいる間に、メイドは髪を洗い、腕を洗い、胸を洗い、背中を洗い、ついに愚息に指先が移った。
例によって、非常に丁寧な洗い方で、石鹸を泡立て、指先で優しく洗ってくれる。
汚れがたまりやすいカリ首辺りを中心に、あくまでも優しく指先を動かすメイド。
もちろん、そのまま、裏筋も優しく洗ってくれる。
俺の愚息は、いつでも突撃できる状態で、青筋を立てている。
突撃していいんだろうか?
メイドの表情は、硬くいきり立つ愚息をさわっても、ピクリともしない。
やっぱり、このメイドに手をつけるのは駄目なんだろうか?
俺のそんな悩みをよそに、メイドは俺を洗い終わり、メイドに促されるまま湯船から上がり、体を拭かれ、クラリス姫が用意してくれた正装に着替え、晩餐会の会場に案内されるのであった。
半ば項垂れて参加した夜会ではあったが、クラリス姫から救国の英雄と紹介され、周囲の貴族たちからも概ね好意的な態度で対応されたこともあって、少し気分は持ち直した。
夜会のあと、クラリス姫から呼び止められて、俺とナンシーは応接室へ通された。
そこには、宰相とノルデンシュタット候がおり、恩賞の話かと思ったが、七日後にクラリス姫の大公就任の戴冠式を行うので参加して欲しいとの依頼であった。
さすがに、ベイルートに帰投するのがそれだけ遅れて良いものかと思ったので、後ほど返答するとした。
**********
ナンシーを連れて俺に当てられた部屋に戻って、俺は携帯電話でメタボ支局長に連絡を入れた。
帰投後にもらえる有給休暇を先にもらえないかと聞いたところ、十日後までに戻ればかまわないとの回答だった。
よし、クラリス姫の戴冠式を見られるぞ。
俺は、その旨をナンシーに伝えると、
「おじさんの携帯、ベイルートに通じたの?」
と聞かれた。何言ってんだこいつ。
「俺の携帯は、お前のスマホみたいに最新のものではないが、軍用の衛星通信が使える優れもんなんだぜ。世界中どこにいても通じない場所なんてないぞ。」
「私のスマホは通じないよ。ほら、アンテナ立っていない。」
こんな大森林の中に中継基地があるとは思えんし、普通通じないだろう。
「いや、おじさん、これだけ大きな街なんだよ。この街の中に基地局が無い方がおかしいよ。」
ナンシーは何が言いたいんだ。俺に分かるように話して欲しいもんだ。
「おじさん、なんもかんも、みんなおかしいでしょう。
そもそも、何で銃砲がないのよ。剣と弓と投石器だよ。どこの中世よ。
それに、今日この街の中あっちこっち見たじゃない。
気付かなかった?自動車はおろか自転車が一台もないのよ。
おじさん、ヨーロッパに古い街って行ったことあるでしょう。
古い街って狭い路地が多いから自転車が重宝してるんだよ。」
だから、結論はなんだ?
「ここは、地球とは別の空間かもしれないよ。」
「いや、それはないだろ?だって、ナビに表示されているし、なにより携帯通じたぞ。」
「おじさん、傭兵やって二十五年、この道を何度か通ったって言ったよね。
今までこんな森あった?
私はね、異なる空間が何らかの理由で、地球上のこの位置に重なっているんじゃないかと思っているの。」
「俺には良くわかんないな。ただ、貴重な経験できたと思っときゃいいじゃないか。
戴冠式を間近に見る機会なんて、もう一生ないぞ。
こうやって、宮殿でメイドに傅かれることももうないと思う。楽しんどこうよ。」
「本当に、おじさんってのんきだよね。ある意味大物だ。」
ナンシーは呆れて出て行ったしまった。
俺は、クラリス姫に要求した恩賞の娘が訪ねてくるかもしれないと心待ちにしていたが、結局一人もやってこなかった。
***********
翌朝、俺はクラリス姫の執務室を訪れ、戴冠式に参列できる旨を伝えた。
恩賞は、戴冠式後、大公としての名前で行うことにしたいとクラリスは言った。
ちょってまて、俺たちは戴冠式の翌日、遅くても翌々日にはここを発つぞ。
金品はいいかも知れんが、女はどうなるんだ。
ナンシーに会ったら非常に艶々した顔をしていた。
なんかいいことあったかと聞いたら、昨晩イケメンが三人訪ねてきて朝まで搾り取ったと言っていた。
俺の分はどうした…・・・
実際、ナンシーは殺り足りないと不満をたれている。いや、宮殿内の敵は全部お前が殺っただろ。
貴族が好き勝手できる国を作るという、シューネヴァルト公爵の実にくだらない野望は、文字通り泡沫の如く弾けて消えた。
ナンシーが殺り足りないと騒ぐものだから、俺とナンシーは自宅で軟禁されていた宰相他の重鎮達を解放して歩いた。
解放された重鎮達は感謝してくれたが、邸宅を血の海された家人達には嫌な顔をされた。
まあ、反乱に組した連中は問答無用で射殺したからな。
そして、一段落した現在、俺は大公宮に用意された客間の浴室で入浴している。
例によって、メイドが服を脱がせてくれて、体を洗ってくれているのだが、今回つけられたメイドは侯爵邸の時と違って明らかに未成年ではない。
今回、反乱鎮圧を手伝うに当たって、恩賞に若い女を抱きたいと願い出た。
このメイドは、手を出していいのだろうか?
そう、悩んでいる間に、メイドは髪を洗い、腕を洗い、胸を洗い、背中を洗い、ついに愚息に指先が移った。
例によって、非常に丁寧な洗い方で、石鹸を泡立て、指先で優しく洗ってくれる。
汚れがたまりやすいカリ首辺りを中心に、あくまでも優しく指先を動かすメイド。
もちろん、そのまま、裏筋も優しく洗ってくれる。
俺の愚息は、いつでも突撃できる状態で、青筋を立てている。
突撃していいんだろうか?
メイドの表情は、硬くいきり立つ愚息をさわっても、ピクリともしない。
やっぱり、このメイドに手をつけるのは駄目なんだろうか?
俺のそんな悩みをよそに、メイドは俺を洗い終わり、メイドに促されるまま湯船から上がり、体を拭かれ、クラリス姫が用意してくれた正装に着替え、晩餐会の会場に案内されるのであった。
半ば項垂れて参加した夜会ではあったが、クラリス姫から救国の英雄と紹介され、周囲の貴族たちからも概ね好意的な態度で対応されたこともあって、少し気分は持ち直した。
夜会のあと、クラリス姫から呼び止められて、俺とナンシーは応接室へ通された。
そこには、宰相とノルデンシュタット候がおり、恩賞の話かと思ったが、七日後にクラリス姫の大公就任の戴冠式を行うので参加して欲しいとの依頼であった。
さすがに、ベイルートに帰投するのがそれだけ遅れて良いものかと思ったので、後ほど返答するとした。
**********
ナンシーを連れて俺に当てられた部屋に戻って、俺は携帯電話でメタボ支局長に連絡を入れた。
帰投後にもらえる有給休暇を先にもらえないかと聞いたところ、十日後までに戻ればかまわないとの回答だった。
よし、クラリス姫の戴冠式を見られるぞ。
俺は、その旨をナンシーに伝えると、
「おじさんの携帯、ベイルートに通じたの?」
と聞かれた。何言ってんだこいつ。
「俺の携帯は、お前のスマホみたいに最新のものではないが、軍用の衛星通信が使える優れもんなんだぜ。世界中どこにいても通じない場所なんてないぞ。」
「私のスマホは通じないよ。ほら、アンテナ立っていない。」
こんな大森林の中に中継基地があるとは思えんし、普通通じないだろう。
「いや、おじさん、これだけ大きな街なんだよ。この街の中に基地局が無い方がおかしいよ。」
ナンシーは何が言いたいんだ。俺に分かるように話して欲しいもんだ。
「おじさん、なんもかんも、みんなおかしいでしょう。
そもそも、何で銃砲がないのよ。剣と弓と投石器だよ。どこの中世よ。
それに、今日この街の中あっちこっち見たじゃない。
気付かなかった?自動車はおろか自転車が一台もないのよ。
おじさん、ヨーロッパに古い街って行ったことあるでしょう。
古い街って狭い路地が多いから自転車が重宝してるんだよ。」
だから、結論はなんだ?
「ここは、地球とは別の空間かもしれないよ。」
「いや、それはないだろ?だって、ナビに表示されているし、なにより携帯通じたぞ。」
「おじさん、傭兵やって二十五年、この道を何度か通ったって言ったよね。
今までこんな森あった?
私はね、異なる空間が何らかの理由で、地球上のこの位置に重なっているんじゃないかと思っているの。」
「俺には良くわかんないな。ただ、貴重な経験できたと思っときゃいいじゃないか。
戴冠式を間近に見る機会なんて、もう一生ないぞ。
こうやって、宮殿でメイドに傅かれることももうないと思う。楽しんどこうよ。」
「本当に、おじさんってのんきだよね。ある意味大物だ。」
ナンシーは呆れて出て行ったしまった。
俺は、クラリス姫に要求した恩賞の娘が訪ねてくるかもしれないと心待ちにしていたが、結局一人もやってこなかった。
***********
翌朝、俺はクラリス姫の執務室を訪れ、戴冠式に参列できる旨を伝えた。
恩賞は、戴冠式後、大公としての名前で行うことにしたいとクラリスは言った。
ちょってまて、俺たちは戴冠式の翌日、遅くても翌々日にはここを発つぞ。
金品はいいかも知れんが、女はどうなるんだ。
ナンシーに会ったら非常に艶々した顔をしていた。
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俺の分はどうした…・・・
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