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第1章 砂漠の中の大森林のお姫様
第12話 ノルデンシュタット開放戦
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ノルデンシュタットまで着てみると、街から黒煙が上がっている。
城門前の二十メートル道路には、投石器が組まれ、何百人かの兵士が集まっている。
相変わらず歴史物の映画を見ているようだ。
どうやら、黒煙の原因は、あの投石器で焼いた石を城内に撃ち込んだせいらしい。
「おじさん、あれ凄いね。
ビデオに撮っておきたいよね。本格歴史スペクタルだよ。」
「さすがに、撮影機器は持っていないぞ。
ナンシー、オメーはスマホ持っていただろ、最近のスマホって動画も高画質で取れるんだろ。
俺は、ガラケーしか使わないから知らんのだが。」
俺がナンシーとのんきな会話をしていると、投石器から再び真っ赤に焼かれた大きな石が撃ち出された。
シュッ
という風切音と共に、赤々と熱せられた十五センチほどの石が放物線を描いて城内へ飛び込んでいく。
なんとも牧歌的な風景だが、あれが直撃したなら木造家屋など大変なことになる。
「ナンシーよー、先日の謝礼貰うためには、あれ排除しないとならんよなー。
どうする、謝礼は諦めてとっとと帰るか?」
「またまた、おじさんたら、そんなこと言っときながら、戦う気満々じゃない。
あんな中世の軍みたいなの蹴散らすのなんか、あっという間だよね。
ちなみに、私は、ミッションがあっけなく終っちゃって欲求不満なの。
もうちょっと殺りたかったからちょうど良いわ。」
ナンシー、この間、テロリストを大量虐殺して、凄い体の火照りを持て余してたじゃん。
あれでも殺り足りなかったのかよ。
体が火照っても俺は相手しないぞ。
**********
ナンシーの同意も得たので、目の前の軍勢を排除することにする。
「おーい、ナンシー、得物は何にする。」
「中世の軍を相手に、あんまり良い得物使う必要もないよ勿体ない。
おじさんが、ミニミで銃弾ばら撒いて、抜けてきた奴を私がライフルで始末すれば良いんじゃね。
最初に、人がいっぱいいるとこにアップル(M六七手榴弾)を幾つか放り込んどけば効果抜群だよね。」
俺は、ミニミを肩から提げて、アップルを3つもってL-ATVを降りた。
んじゃあ、サクッと行きましょうかね。
腰のぶら下げておいたアップルを一つ手に取り、安全ピンを抜いて、人が一番密集していそうな所へ放り投げる。
それを場所を変えてあと二回繰り返した。
アップルは、重さ、形状ともにいい具合である。
非力な俺でも二〇メートル以上放り投げることができる。
「この間も思ったんだけど、何であいつら後を全く警戒していないんすかね?
しかもあんなに固まっていたら、『アップルを投込んで下さい』って言ってるようなもんじゃないすか。
馬鹿なんですかね。」
と言いながら、ナンシーも嬉々としてアップルを放り投げていた。
こいつ、本当に嬉しそうな顔しながら、殺戮行為をするよな。
俺とナンシーによって、兵の密集地点に投げ込まれたアップルは、ダーンという炸裂音と共に周囲に死を撒き散らした。
中心から、二、三メートルの範囲に居た奴は助かるまい。
密集していたし六発で五十人以上は屠ったか?
そして、その数倍の兵士が、アップルの破片で戦闘不能になっている。
辺りには、体から血を流して蹲っている兵士があふれていた。
他方で、アップルが撒き散らした死の洗礼を免れた兵士達は混乱していた。
今まで、自分達が一方的に攻撃していたのに、どこからともなく攻撃されたのだから。
実際、戦場の熱気に中てられていた兵士の中で、足元にアップルが転がったのに気付いた奴が何人いただろうか。
突然の惨劇の狼狽している兵士達に向かって、俺は愛用のミニミ軽機関銃の五.五六ミリ弾をばら撒いていく。
射撃の腕がショボい俺と違って、「ライフルが恋人」と言って憚らないナンシーは、指揮官らしき身なりの良い者を見つけてはヘッドショットをかましている。
ナンシーは、「ウケケ」という嫌な笑い声を上げながら、敵兵を屠っていた。
十分も銃弾を撒き散らかしたであろうか、立っている者は両手を挙げて降参の意を示していた。
射撃を停止したナンシーは、
「やっぱりライフルはいいわ、撃ったときの反動がビンビン子宮に響いてくる。
もうベチャベチャに濡れちゃったわ。
今ここで、おじさんのコック使わせてもらっていい?」
と火照った顔で言ってきた。
嫌だよ!城壁の上から守備兵たちが見てるじゃないか。
俺は、降参した連中を、武器を捨てさせて両手を挙げるよう指示し、俺の前に横一列に並ばせた。
するとナンシーが、
「武器を隠し持っていないか検める。
全員その場で、身に着けているもの全てを外せ。」
と勝手に命令しやがった。
「貴様!貴族たるわしに向かって公衆の面前で裸になれというのか!」
と、小太りの中年男が激高し声を荒げた。
パ-ン
中年男は二の句をつく間もなかった。有無も言わさずナンシーが銃を撃っていた。
額を打ち抜かれた中年男は衝撃で後ろへ倒れ込んだ。
「誰も、お前みたいなヒキガエルの裸なんか見たくないよ。
おい、他に死にたい奴はいるか?」
というナンシーの言葉に、その場の捕虜どもは顔色を悪くし、そそくさと脱ぎ始めた。
横一列に裸で並んだ男達を眺めるように、ナンシーは列に沿ってゆっくり移動した。
そして、初陣だったのであろうか、まだ年若い兵士の前で立ち止まり、屈んだ。
ナンシーに股間を熟視されることになった少年兵は思わず両手で股間を隠そうとするが、
「誰が、両手を下げて良いと言った!」
と怒鳴れて股間を隠すのを諦めた。
「おじさん、すごいわこの子、こんなひ弱で未だ体も出来上がっていないのに、こんな凶暴なモノ持っているのよ。
将来有望だわ!」
ナンシーは俺に向かってそれはそれは良い顔で言った。
結局ナンシーは、この少年を含めて、華奢な雰囲気の少年兵三名を、自分の横に並ばせて、
「この者たちの尋問は私が執り行います。
この者達が、知っている敵兵の情報を明朝までに全て聞き出しますので、ご期待ください。」
と言いやがった。
こいつ朝まで搾り取るつもりか。
城門前の二十メートル道路には、投石器が組まれ、何百人かの兵士が集まっている。
相変わらず歴史物の映画を見ているようだ。
どうやら、黒煙の原因は、あの投石器で焼いた石を城内に撃ち込んだせいらしい。
「おじさん、あれ凄いね。
ビデオに撮っておきたいよね。本格歴史スペクタルだよ。」
「さすがに、撮影機器は持っていないぞ。
ナンシー、オメーはスマホ持っていただろ、最近のスマホって動画も高画質で取れるんだろ。
俺は、ガラケーしか使わないから知らんのだが。」
俺がナンシーとのんきな会話をしていると、投石器から再び真っ赤に焼かれた大きな石が撃ち出された。
シュッ
という風切音と共に、赤々と熱せられた十五センチほどの石が放物線を描いて城内へ飛び込んでいく。
なんとも牧歌的な風景だが、あれが直撃したなら木造家屋など大変なことになる。
「ナンシーよー、先日の謝礼貰うためには、あれ排除しないとならんよなー。
どうする、謝礼は諦めてとっとと帰るか?」
「またまた、おじさんたら、そんなこと言っときながら、戦う気満々じゃない。
あんな中世の軍みたいなの蹴散らすのなんか、あっという間だよね。
ちなみに、私は、ミッションがあっけなく終っちゃって欲求不満なの。
もうちょっと殺りたかったからちょうど良いわ。」
ナンシー、この間、テロリストを大量虐殺して、凄い体の火照りを持て余してたじゃん。
あれでも殺り足りなかったのかよ。
体が火照っても俺は相手しないぞ。
**********
ナンシーの同意も得たので、目の前の軍勢を排除することにする。
「おーい、ナンシー、得物は何にする。」
「中世の軍を相手に、あんまり良い得物使う必要もないよ勿体ない。
おじさんが、ミニミで銃弾ばら撒いて、抜けてきた奴を私がライフルで始末すれば良いんじゃね。
最初に、人がいっぱいいるとこにアップル(M六七手榴弾)を幾つか放り込んどけば効果抜群だよね。」
俺は、ミニミを肩から提げて、アップルを3つもってL-ATVを降りた。
んじゃあ、サクッと行きましょうかね。
腰のぶら下げておいたアップルを一つ手に取り、安全ピンを抜いて、人が一番密集していそうな所へ放り投げる。
それを場所を変えてあと二回繰り返した。
アップルは、重さ、形状ともにいい具合である。
非力な俺でも二〇メートル以上放り投げることができる。
「この間も思ったんだけど、何であいつら後を全く警戒していないんすかね?
しかもあんなに固まっていたら、『アップルを投込んで下さい』って言ってるようなもんじゃないすか。
馬鹿なんですかね。」
と言いながら、ナンシーも嬉々としてアップルを放り投げていた。
こいつ、本当に嬉しそうな顔しながら、殺戮行為をするよな。
俺とナンシーによって、兵の密集地点に投げ込まれたアップルは、ダーンという炸裂音と共に周囲に死を撒き散らした。
中心から、二、三メートルの範囲に居た奴は助かるまい。
密集していたし六発で五十人以上は屠ったか?
そして、その数倍の兵士が、アップルの破片で戦闘不能になっている。
辺りには、体から血を流して蹲っている兵士があふれていた。
他方で、アップルが撒き散らした死の洗礼を免れた兵士達は混乱していた。
今まで、自分達が一方的に攻撃していたのに、どこからともなく攻撃されたのだから。
実際、戦場の熱気に中てられていた兵士の中で、足元にアップルが転がったのに気付いた奴が何人いただろうか。
突然の惨劇の狼狽している兵士達に向かって、俺は愛用のミニミ軽機関銃の五.五六ミリ弾をばら撒いていく。
射撃の腕がショボい俺と違って、「ライフルが恋人」と言って憚らないナンシーは、指揮官らしき身なりの良い者を見つけてはヘッドショットをかましている。
ナンシーは、「ウケケ」という嫌な笑い声を上げながら、敵兵を屠っていた。
十分も銃弾を撒き散らかしたであろうか、立っている者は両手を挙げて降参の意を示していた。
射撃を停止したナンシーは、
「やっぱりライフルはいいわ、撃ったときの反動がビンビン子宮に響いてくる。
もうベチャベチャに濡れちゃったわ。
今ここで、おじさんのコック使わせてもらっていい?」
と火照った顔で言ってきた。
嫌だよ!城壁の上から守備兵たちが見てるじゃないか。
俺は、降参した連中を、武器を捨てさせて両手を挙げるよう指示し、俺の前に横一列に並ばせた。
するとナンシーが、
「武器を隠し持っていないか検める。
全員その場で、身に着けているもの全てを外せ。」
と勝手に命令しやがった。
「貴様!貴族たるわしに向かって公衆の面前で裸になれというのか!」
と、小太りの中年男が激高し声を荒げた。
パ-ン
中年男は二の句をつく間もなかった。有無も言わさずナンシーが銃を撃っていた。
額を打ち抜かれた中年男は衝撃で後ろへ倒れ込んだ。
「誰も、お前みたいなヒキガエルの裸なんか見たくないよ。
おい、他に死にたい奴はいるか?」
というナンシーの言葉に、その場の捕虜どもは顔色を悪くし、そそくさと脱ぎ始めた。
横一列に裸で並んだ男達を眺めるように、ナンシーは列に沿ってゆっくり移動した。
そして、初陣だったのであろうか、まだ年若い兵士の前で立ち止まり、屈んだ。
ナンシーに股間を熟視されることになった少年兵は思わず両手で股間を隠そうとするが、
「誰が、両手を下げて良いと言った!」
と怒鳴れて股間を隠すのを諦めた。
「おじさん、すごいわこの子、こんなひ弱で未だ体も出来上がっていないのに、こんな凶暴なモノ持っているのよ。
将来有望だわ!」
ナンシーは俺に向かってそれはそれは良い顔で言った。
結局ナンシーは、この少年を含めて、華奢な雰囲気の少年兵三名を、自分の横に並ばせて、
「この者たちの尋問は私が執り行います。
この者達が、知っている敵兵の情報を明朝までに全て聞き出しますので、ご期待ください。」
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こいつ朝まで搾り取るつもりか。
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