アラフォー傭兵の幻想戦記

アイイロモンペ

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第1章 砂漠の中の大森林のお姫様

第8話 姫さまを無事送り届ける

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 俺はL-ATVまで戻って、姫さまに全部片付いた旨を伝えた。
クラリス姫は、L-ATVの窓から全部見ていたようで青い顔をしていた。


「姫さん、ノルデンシュタット候に会えるように城の兵に呼び掛けた方が良いんじゃないですか。
それと、敵兵の捕縛と死体の処理も城の兵士に命じたほうが良いですよ。」


 そう言って、俺はL-ATVを城門の前まで進めた。
城門までの道には、死体や怪我人が転がっていたが気にせず踏み越えることとした。
やらないよ、退かすの、面倒だもん。


 クラリス姫がL-ATVの窓から顔を出し、城壁の上の兵士に呼び掛けたところ、しばらくして初老に紳士が現れた。
どうやら、老紳士がノルデンシュタット候らしく、クラリス姫の確認すると兵士に城門を開けさせた。
城門まで出てきたノルデンシュタット候は、クラリス姫の無事を喜び、彼女をきつく抱きしめた。
 ひとしきりクラリス姫との再会を喜んだ後、ノルデンシュタット候は改めて周囲を見回して、門前の惨状を見た。
ノルデンシュタット候は、顔をしかめた後に兵士に対し死体や怪我人を片付けるよう指示した。
 クラリス姫をノルデンシュタット候の館に通したいというので、ノルデンシュタット候も後部座席に乗せてL-ATVで館に向かった。


 城内の道をのろのろ進む。本当に歩くような速度のため、結構時間がかかった。
この間、俺はクラリス姫を保護してからここまでの経緯を説明した。
また、クラリス姫は叔父による反乱の一部始終をノルデンシュタット候に説明していた。


 ノルデンシュタット候の館に着いたときには、既に日は西に傾いていた。
ノルデンシュタット候は持て成しをしたいし、謝礼についても話し合いたいと言って今日は泊まっていくように言ってきた。
 このまま進めばテロリストの勢力圏で夜を明かすことになるので、安全なこの城郭都市で宿を得られるのは有り難かった。
 俺達はノルデンシュタット候の申し出を受けることにした。


    **********


 俺とナンシーは、別々の客間に通された。
俺に与えられた客間は二十畳位の広さはあるだろうか、天蓋付きの大きなベッド、材質は黒檀と思われる意匠の凝らされたローテーブル、革張りのソファーなどが置いてあった。

 見た目は豪華だがあまり座り心地のよくないソファーに腰掛けて寛いでいると、メイドから入浴の準備ができたと浴室に案内された。


 浴室は、石の床に猫足のバスタブが置いてあるだけで、洗い場は無かった。
バスタブの中で体を洗うのだろう。バスタブは俺が入るには十分な大きさだ。
 浴室に入るとメイドは俺の服を脱がせ始めた。
 メイドは、年の頃は二十前くらいか、華奢な体躯だが出るところは出ていて俺好みの体つきだった。
俺は、そういうご奉仕があるのかと期待し、息子も硬くなっていた。
俺は、素っ裸になると、湯が張られている浴槽に浸かるように促された。
俺が湯に浸かっている間にメイドが脱ぐのかと思ったが、メイドは服を着たままだった。
 そういえば、上流階級の連中は服の脱ぎ着をメイドにやらせるというのをどこかで聞いたことがあった。
それに、思い至った俺の息子はガッカリと萎んでしまった。

 俺の体が程よく温まった頃、メイドは浴槽の中の俺を髪の毛からつま先まで体の隅々を丁寧に洗ってくれた。
そう、俺の息子も洗ってくれるのである。
そういう奉仕は無いことはわかってはいるが、年若いメイドの白魚のような指で洗われると硬くなってしまう。
汚れがたまりやすいカリの下の部分とかをやさしく洗われたときには不覚にも漏らすかと思った。
 年若くてもメイドはプロでそんな俺の息子を見ても顔色一つ変えず、淡々と俺を洗っていた。


    ***********


 入浴後は、夕食に呼ばれた。夕食は豪華なものであったが、味は見た目ほどではなかった。
 夕食後、お茶を飲みながら俺とナンシーは、ノルデンシュタット候と話をすることとなった。

 ノルデンシュタット候は孫娘でもあるクラリス姫を無事届けてくれたことのに改めて感謝の意を述べてくれた。
ノルデンシュタット候は相応の報酬を用意するのでしばらくここに滞在して欲しいと言った。

更に、

「門前でのあなた方の戦い振りは見せてもらった。是非とも公都奪還戦に協力して欲しい。」

と言われたので、

「クラリス姫に最初に説明した通り、俺たちは急を要する仕事の最中であり、これ以上の協力はできない。」

とはっきり断った。


 ノルデンシュタット候は不満げであったが、クラリス姫が「無理を押し付けることはできない。」ととりなしてくれたことから、ノルデンシュタット候は渋々ではあるが俺たちへの協力要請を断念した。


 俺たちは、明朝早い時間にここを辞すことにした。

 謝礼については、後日仕事の帰りに寄ると言ったら、クラリス姫は俺の手を取って「絶対に来てください。約束ですよ。」と言っていた。

 そんなに気を使うこと無いのに。


 こうして俺達は、行き倒れていた姫さまを無事送り届け、当初の任務に戻るのであった。



「なあ、おじさん、これ絶対に変でしょう。
 シリア砂漠の中にこの大森林がある時点でおかしいと思ったのに、何なのあの兵隊は、まるで中世の戦争じゃない。
 それに、おじさん、あれ見えていないの?この城郭都市ってあんなでっかい湖の畔にあるんだよ。
 ナビ見てよ。この街はおろか、あんなでっかい湖がナビに無いっておかしいじゃん。
 ほら、国によっては地図があんまり整備されていないので、町が載っていないというのはありうるよ。でもね、湖とかは衛星写真から位置や形状が特定できるんだから普通載ってるでしょう。」


 でもよナンシー、ほらナビを見ると順調に目的地に向かっているんだぜ。
無事着いたら、何もおかしくないって事だろう。
そういう心配は、目的地にたどり着かなかったらしようぜ。


 俺は、自分が学がないこと自覚しているから、単に俺が知らない国があったんだとしか思っていないんだよ。
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