アラフォー傭兵の幻想戦記

アイイロモンペ

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第1章 砂漠の中の大森林のお姫様

第3話 私の話

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 ナンシーは、俺の昔話をまじめに聞いてくれたが、一番受けたのが俺が素人童貞ということであった。
 ちなみに、ナンシーは、俺の若い頃より教養があったようで傭兵がスイスの伝統産業だって知っていた。
 ナンシーが自慢げに言うには、現在でもバチカンの守備兵は、スイスの傭兵だとのことだ。
いかん、四十過ぎの俺は知らなかった。


 何もない砂漠を走るのにナンシーは退屈していたのであろう。
俺の昔話を聞いたナンシーは言った。

「おじさんの昔話、面白かったから今度は私の話を聞かせてあげる。」

と言ってナンシーは自分の過去について話し始めた。



     **********


 私は、テキサス州の牧場主の娘として生まれたの。
牧場主ってピンからキリまであって、私は結構裕福な家だったのね。
結構な数の肉牛を飼っていて、今は最近流行のアンガス牛なんかも手がけているわ。


 牧場の天敵ってわかる?
うちの方だと、熊とコヨーテね。
牛を守るためだといって、猟銃の撃ち方をお爺ちゃんが教えてくれるの。
私の母親は、女の子に猟銃の撃ち方を教えるなんてって言って、お爺ちゃんに不満気だったけど。
私は楽しかったわ。


 初めて獲物を仕留めたのは、忘れもしない十二歳のとき。
相手はコヨーテよ。
うちの牧場の子牛を狙って侵入しようとしていたの。
私は、射撃練習の帰りだったわ。
手にしていたのはブローニングマークⅡの三〇八WINモデル。
距離は二〇メートル位だったわ。
引き金を弾いた瞬間子宮に響いたの。
確認するまでもなく、コヨーテに命中したのがわかったわ。


それからだったわ。
銃を撃って獲物を仕留めると子宮がキューンとなって、
プッシーがべちょべちょになるの。
もうあとが大変で、火照りが取れるまで、何度も自分を慰めるの。



私のロストバージンは、十三歳のとき。
忘れもしない熊を初めて仕留めたときだわ。
あの時は、三〇〇ウィンチェスターマグナム弾を三発打ち込んでやっと倒したの。
もう凄い興奮しちゃって、うちの牧童を部屋に連れ込んで彼のコックにむしゃぶりついたわ。


その時私は悟ったの銃と男がなければ私は生きていけないわって。
ハイスクールを卒業するまでは、牧場の近くで熊とコヨーテを狩って、近くの男を咥え込んだわ。


 ハイスクールを卒業すると共に海兵隊に志願したわ。
だって、一番実包を撃てそうなんだもん。


 入隊してからも海兵遠征部隊に志願して最前線ばっかり渡り歩いたの。
昼はテロリストを射殺して、夜は同僚のコックを貪るの、最高に幸せだったわ。
もう、正に天職という感じだった。


 私の人生計画が狂ったのは、去年の中東でやった某原理主義のテロ集団の掃討戦の時。
結構長期にわたる布陣だったのね。
 最初に手をつけた男が失敗だったの。
例によって昼間の戦闘で火照った体を鎮めようと思って部隊の男を摘んだんだ。
そしたら、そいつ淋病を持ってたの。
 で、私ったら、戦闘のたびに相手を変えて咥え込んでたら、中隊の隊員全員と遣っちゃったんだ。
ナマで。


 長期の布陣だったのが本当に仇になった。
だって、みんな潜伏期間が経過して発病しちゃったから。
 淋病って女の私の症状はそんなに酷くないなど、男の人って死ぬほど痛かったり、死ぬほど痒かったりで酷い症状なんだってね。
 それで、中隊全員が感染してしまったもんだから、戦線を維持できず他の中隊と交代になったの。
 で、後方に移動したあと責任追及が始まったんだ。


 直ぐに、淋病を持ち込んだ男と淋病を広げた私が捕まって、モンキーハウスに送られたの。
三週間モンキーハウスに入っている間に、中隊長は責任を取って降格になっていた。
 そして私は、懲戒処分で首だって。
まあ、これは自業自得だからしょうがないわね。せっかく天国のような職場だったのに。


 でね、私には不名誉な二つ名がついたの。
「戦わずして自軍の中隊を全滅に追い込んだ女」だって。
これは、流石に恥ずかしいわね。



 海兵隊を首になってうちに帰ったら、両親から烈火のごとく怒られて、恥ずかしいからしばらく帰ってくるなと言われた。
 これからどうしようかと困っていたら、この会社の募集広告が目に入ったのよ。


 で、射撃の腕を見せたら即採用だって。
本当に捨てる神あれば、拾う神ありね。


     **********


「私のことはこんなところかな。
私で、素人童貞捨ててみる?
あ、淋病はちゃんと治したから大丈夫よ。
この会社に入ったときの健康診断でも性病検査したから。
全部陰性よ。」


「馬鹿野郎、何が素人童貞捨ててみるかだよ。
その辺の商売女より立ち悪いじゃないか。」


 こんな馬鹿話をしながら、俺達は目的の村へと進んでいくのであった。

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