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第7話 「あと10秒」

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 そして金曜。
 ビールのパックをぶら下げて、青葉先輩の家に向かっている。
 歩いているとじわじわと汗がでてくる。今日は風がないから、晴天の太陽の日差しが遠慮なく攻撃してくる。
 ビールがぬるくなる前に早くいかなきゃ、とわかっているのに、一歩一歩が重い。

 先輩はもう今期の講義は終わってて、部屋にいる。僕は前期最後の授業を終え、買い出し役としてビールを買ってから行くことになっていた。
 先輩の家の場所はわかっているし、大学近辺だから迷うことはない。先輩の家のあたりは学生街から少し外れているけれど、うちの大学はばかみたいに敷地が大きいから、僕が住んでるアパートが利用する学生が多い通用門に近すぎるだけだ。離れているといっても僕の家からだと20分と少しくらいの距離しかない。

 だとしても、その20分と少しの距離は中途半端に近くて、以前は近所にコンビニに買い物に行くだけでも落ち合ったりしないかと緊張していた。けれど立地的な問題で青葉先輩が飲み会以外でうちの近くにくることはないというのは早いうちに知った。安心できたようで、それでもほんの少しだけ足をふみだしたら先輩の部屋に行けてしまう、という事実もそれはそれで怖くて、先輩の家の近くにはあまり行かない。
 先輩の家にいくときはだいたい映研の関係で、夜のことが多いから、改めて先輩の家までの道のりを歩くと不思議な気分だ。
 サラリーマンやOL向けのマンションや、みんなが話題にしてた新しいカフェバーとが新鮮にうつる。自分の家から徒歩20分なのに、大学近辺だから知っていておかしくないはずなのに、僕はこの一帯だけポカンと穴があいたように知らないことだらけだ。
 自覚して避けていたこの場所に、一人で、青葉先輩の部屋に向かってるということが現実感がわかない。

 熱すぎる日の見せる白昼夢なんじゃないかと、ここまできて思ってしまう。

 だけど足は確かに少しずつ灰色のコンクリートを踏んで、ビールを持つ片手が重くなっていって。
 つう、と顔に汗が垂れるころには先輩のアパートの前についていた。
 オートロックのインターフォンに、先輩の部屋の番号を打ち込む。
 『部屋番号おぼえてる?』とメッセージをもらっていた。だけど当たり前のように僕はその数字を忘れたことはない。

『――はい。コーヨー?』
「そうです」
『いま開ける』

 目の前の自動ドアが解除されて開く。
 僕はいまだ夢心地のまま、何一つの覚悟もできてないまま、その先へ進んだ。





「おー、おつかれ。暑かったろ?」

 部屋のドアを開けた先輩は、さわやかに笑って僕を迎え入れる。
 紺のTシャツをまくり上げ、肩と腕の筋肉があらわになっている。部屋の中はエアコンがきいているのに、少し汗ばんでいる。

「ビールぬるくなってないといいんですけど。先輩なんかしてたんですか?」
「さんきゅ。試験期間でけっこう部屋汚くなってたからさ、コーヨーくる前に片付けようと思って。でもまだ終わってないんだよな。あ、汗かいてるだろ? シャワーあびる?」

 玄関に通され、リビングに入る手前の廊下で、横のバスルームを指さされる。
 あおばせんぱいの、へやの、しゃわー。
 かたまりそうになる体を、なんとか口の筋肉だけ動かした。

「……いえ、そこまで汗かいてないんで、大丈夫です」
「そう?」

 過剰に反応しそうになったが、先輩は気づいてないみたいだからよかった。
 先輩が普段使ってるバスルームとか、使うのを想像しただけでやばい。危険すぎる。思考の外から追いやろう。
 そのままバスルームの横を通り過ぎ、リビングにはいる。
 
「悪い。あともう袋まとめるくらいだから」

 片付けていた、というのは本当のようで、壁際に大きな袋がいくつか置いてある。ぱっと見てプリントの類もはいっていたので、終わった講義の資料なんかもそこに捨てていたのだろう。
 リビングの中央にある紺のファブリックのソファ。低いローテーブル。そこは優先的に片付けたのかテレビのリモコンくらいしか置かれていない。奥のパソコンデスクには教科書や課題図書が連なっているので、そこは手をつけていないんだろう。
 ちらりとリビング入ってすぐの、横の棚を見る。
 腰までしかない、低い棚。
 その一角にあるのは。
 前来た時と同じまま。香水や、アロマポットが置いてあって。
 ぞくりと、エアコンとは違う寒気が走った。

「コーヨー? どうした?」
「あっ……。いえ、なんでもないです。急に暑いとこから涼しいとこにきたせいか、ちょっと寒くなって」

 足を止めた僕に振り返った先輩に慌てて返す。首をかしげて僕をじっと見た後で、「汗かいてるもんな。今タオル出すから」と僕の持っていたビールを受け取って机に置いたあと、バスルームに向かう。
 怖いものほど見たくなる心理のように、触ると痛いとわかっていて虫歯を舌で触ってしまうように、僕はふらりとリビングの中に足を進めても、視界の端でソコから目を離せない。
 見れば嫌でも思い出す。大学構内で寄り添って歩いてた、先輩とこれまでの彼女たちの姿。お似合いで、明るくて、いたって普通な、女性たち。
 男の僕とは違う。普通の、かわいい、女性。
 身体が冷えすぎて、胃からなにか吐き出しそうになる。思わず、左耳のピアスを握りこんでいた。

「ほら、タオル。とりあえず汗ふけよ」

 ぽん、と軽く手渡されたのは洗濯されたばかりのタオルで、僕は震える手を誤魔化すように作り笑いをして「すみません。助かります」と返す。

「ビールありがとなー。お、つまみもあるじゃん。相変わらず気が利くなあ。予定通りピザ頼むでいい?」
「あー、はい」

 いろいろ話して、結局寿司だのなんだのはやめて、ちょうどクーポンがあるからということで宅配ピザを頼むことにしていた。
 先輩はメニューの載ったチラシを手渡して、「好きなの選べよ」と笑う。

「あー、じゃあ一番高いやつから順番にでいいですかね。10枚くらい」
「マジで破産させる気?」
「冗談ですよ。二人でそんなに食べられないですし。ハーフとかでいいですかね。先輩なにがいいですか」
「コーヨーが食べたいのでいいよ」

 「あーでもチーズめっちゃかかってるやつ食べたいなー」と付け足して、ビールを冷蔵庫に入れていく。
 おかしい。エアコンきいてるはずなのに。体は寒気がするのに。顔だけ熱い気がする。気のせいであってほしい。とりあえず適当に人気商品を選んで宅配の予約をする。大体あと1時間くらいでくるはずだ。

「あ、なあなあコーヨーちょっとこっちきて」

 そういって先輩が呼んだのは、寝室のほうだった。
 引き戸式のその扉は基本的に開けっぱなしで、リビングからいつも室内が見える。それでも、そこに入ったことはない。
 手招きしてくる動きにつられて、ふらりと体が勝手に進む。
 学生用のアパートだから、部屋がわかれているといってもそこまで大きくない。あるのはクローゼット、本棚、それにベッドとそのサイドテーブルくらいだ。
 夏だからか、薄い掛布団にタオルしかないベッド。その上に、たぶん寝るときに着てたんだろう、無地のTシャツとスウェットが無造作に置かれていて。

「コーヨー?」

 その声に呼ばれるまで、自分が息を止めてたことにも気づかなかった。

「あ、はい。どうしたんですか」
「ついでに服も片づけてたんだけど、コーヨーが着れそうな服とかあるかなって。ここら辺なんだけど」

 そういって「ほら」とクローゼットからとりだしたシャツを僕の体にあてる。
 
「……先輩のは僕には大きいですよ」
「うーん、肩のラインが決まってるのとかは難しいかもしんないけど、シャツくらいならいけるだろ。あーでも、下はムリか」
「足の長さ自慢ですか?」
「それもあるけど、腰回りが違うんだよなー。コーヨーの腰、俺より細いだろ」

 つ、と軽く、先輩の手が、僕のベルトから少し上の、脇腹を触る。
 とても些細で、ほんの少ない、わずかな接触。

「これでも、僕の身長は平均サイズですよ。青葉先輩が背高いんです」
「バスケやってたからなー。やっぱオレよりだいぶ腰細いな。オレのジーンズとかぶかぶかになりそう。スエットならいけるか?」

 軽い接触はすぐに終わった。さっと手を離して、先輩はこちらに背を向ける。僕はうつむいて、顔を見られないようにしていた。
 やっぱり先輩の部屋にこないほうがよかった。先輩と後輩としての距離でも、二人だけで、先輩の部屋でその近さを行われたら、いくつ心臓があっても足りない。せめて心臓の残機が見えたらいいのに。
 とりあえずこの寝室から逃げたほうがいい気がして、一歩後ずさる。だけどその前に先輩のほうが早く「これ結構新しいからいいんじゃないかな」といってグレーのスエットを取り出して、また僕の体にあてる。後ずさった分の距離があっという間に埋まる。
 確かに、そのスエットは普段使っているものより大きいけど、ヒモがあるから履けそうではある。でも今はそれどころじゃなくて。

「あの、先輩」
「いけそうじゃん。なんならそのままコレ、コーヨー用の部屋着にする?」
「へ?」
「こっちのシャツもゆったりしてるから着心地いいと思うけど」
「え、えっと、あの、僕用って?」
「え? うちに来た時用の部屋着」
「へ」

 部屋着。
 それは、僕の家で使うものっていう意味ではなくて。

「寝間着にするなら持って帰るより、うち用にしたほうが楽じゃん? ああ、汗かいてるなら、今これ着る?」
「あーっと……今は、大丈夫、です」

 残機、まだ残ってるかな。
 先輩が自分の部屋着を、僕にくれて。それを先輩の部屋にきたときようの服にしろって。大きめのTシャツはアイボリーで触り心地のよさそうな生地。首回りが広くて、袖もゆったりしてるから、確かに部屋でくつろぐにはちょうどいいだろうな、とは思うし、差し出されたライトグレーのスエットはもともと細身に作られているようだから、たぶんサイズが大きくても違和感がないだろうとか、素直な感想はあるけど。
 でも、それはただ僕にくれるっていうものではなくて。今までもらったパーカーやキャップとは違って、ここに来た時用っていうのは。
 これからも僕がこの部屋にくることがあると、少なくとも先輩は思っていて。よくよく考えたら、それは、確かに、つきあっている、のならば、相手の部屋に行くとかそういうのは普通のことかもしれない。かもしれないけど。
 先輩がくれた服を着て先輩の部屋で先輩と二人で過ごす、なんていうのは、残機どころじゃない。

「とりあえずこれコーヨー用にしておくから」

 「ピザくる前に片付け終わらせなきゃ」と先輩はリビングに戻る。
 のろのろとその姿を目だけで追いかける。そして、残った残機が凍りつきそうになる。

「あー郵便ってなんでため込んじゃうんだろうなあ」

 低い棚の上に重ねていた郵便物を仕分けする先輩。
 その棚が、一瞬でも忘れていた香水が、目に入って動きが止まる。
 調子に乗るな、と耳の奥で喚く自分の声がする。そうだ、何を過剰に反応してるんだ。

「今日はとりあえずここらへんかなあー…、掃除はまた今度するか。ばたばたしてて悪いな」
「あ、いえ」

 郵便物からちらりと顔を上げた先輩が僕のほうを見る。
 ふと、先輩はそのまま僕から目を離さなかった。
 え、と。
 不意に長く見つめられて、ああ、うまく反応できていなかったか、失敗して変に思われたかと焦った。
 なにか言わないと、と口を開こうとして。だけど。

「今、袋まとめちゃうから、あと10秒待って」

 そういって先輩はいらない郵便物を袋に入れて。
 そして、その流れのまま、棚の一角にあった香水を。
 流れるように、その棚の一角の小物を、自然に持っている袋に入れて。
 それはたぶん、きっと、ほんとうに10秒くらいで。
 その10秒で、たった10秒で。
 ずっとずっと怖くて仕方なかったその棚が。
 吐き気がするほどの恐怖のかたまりだったそこが、たかが10秒で空っぽになって。

「青葉せんぱ、い」
「ん?」
「それ、捨ててよかったんです、か?」

 それ、というのが何を指しているのか、ちゃんと伝わったのかもわからない。
 ただ僕は呆然と、香水もアロマポットもアクセサリーケースもなくなったその棚を見つめていた。
 先輩は手元の袋の口をしばりながら、なんてことないように返事をする。

「捨てるタイミングがなかっただけだし。そういうの捨てるための大掃除だろ」

 まあ掃除って呼べるほど進んでないけどな、と明るい声で先輩は言うけど。
 その笑い方は、とても、優しくて。
 僕の心は無性にざわついて、心の震えがそのまま涙腺につながったようで。
 こんなことで、泣くなんて明らかにおかしいのに。それなのに。
 先輩は持っていた袋を他の袋とまとめて部屋の隅に置いて、こっちに近づいてくる。
 僕の頭を、長い指がくしゃりと撫でる。

「なーに泣きそうになってんだよ。あ、今の掃除で埃でもはいった?」

 顔を覗き込んできて、僕のまなじりに先輩の指先が触れる。

「泣いて、ません」
「ほんと? じゃあよく見せて」

 こつん、と先輩の額が僕の額にあたる。
 ものすごい近い位置にある先輩の顔に、いつもなら緊張していいはずなのに。涙腺が壊れないように手を握りしめて押しとどめようとしてることに必死で。
 だけどその努力すら、青葉先輩にはかんたんにほどかれる。
 握りこんでいた片手を取られて、先輩の指が一つ一つ丁寧に、僕のこわばった指を開いていって、そのまま互いの指を絡ませるように握りしめられる。
 その動作も、覗き込んでくる目も、少しだけ口角をあげている笑い方も、ひどく、やさしくて。
 ああ。
 きっと先輩は、僕が何をいやがってたのか、怖がってたのか、何となくわかったんだろうな、と確信して。
 こらえきれなかった涙が、じわりとまつげをぬらす。

「コーヨー」

 きゅ、と先輩が少しだけ握っている手に力をこめる。

「オレは、お前を甘やかす権利がほしいってお願いしたはずなんだけど」

 優しくねだるような声に耐え切れなかった。
 ぽろぽろと両目から涙がこぼれて。
 それを先輩が指でぬぐう。もう片方の手で、いい子、というように絡めた指で僕の手の甲を撫でる。
 それにつられてまた涙が出て、でも泣き声はうまくだせなくて、息をつまらせる。

「ほんとに泣くの下手だな」

 からかうように笑うけど、先輩が僕の涙をぬぐう仕草は丁寧で。
 「泣き顔見るの、癖になるかも」と冗談のように言いいながら、先輩はずっと優しく撫でてくれた。
 ぐずぐずの声で、「そんな悪趣味やめてください」と言葉をしぼりだす。うまく吐き出せない嗚咽とともに出された言葉はきっと聞き取りづらいだろうに、はは、と先輩は笑う。

「オレ、そういう趣味なかったはずなんだけどなー。そんな趣味に目覚めたらコーヨーのせいだよ」
「……ひどいですよ。僕の責任に、するんですか」
「うん。だからさ」

 目に触れていた指をずらして、そのまま僕の左耳を、ピアスを丁寧に包み込む。

「コーヨーが責任とってよ」

 間近にある唇が微笑みの形を作る。
 僕は一瞬涙が引っ込んで、顔を隠すようにぐっと首を引くと、それに合わせるように、先輩は笑いながらぎゅっと手を握りしめてくる。
 窓の外はいつの間にか夕方になっていて、赤い陽の影が部屋に落ちていた。
 とっくに僕の心臓の残機はゼロになっていて、そのあと届けられたピザの味は、まるでわからなかった。
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