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第一話 相の方
しおりを挟むふつうなら。ただの高校生なら。一般的な生活をしていたならば。
他人に触れられることも、ましてやそこに指をいれられたりするわけもない、自身の排泄器官から、ぐちゅっという水温がする。
晧生はそのいやらしい音を、聞きたくなかった。
尻の穴をいじられて、荒い息が漏れそうになる。けれども、そんなことも相手に気づかれたくなくて、奥歯を噛み締める。
こめかみから汗がつたう。
この行為は初めてなわけじゃない。何度もしてきたことだ。そうだとしても、晧生は受けいれたくない。
晧生の穴を丹念に指で探る男が、優しく声をかけてくる。
「晧生さま。もう少しお力を抜いてください」
優しい、晧生のことを心から案じてる声。
晧生がよく知っている声。きっと16年という人生で一番身近に聞いてきた声。
二人きり。布団の上で行われる色事めいたこの行為にそぐわないほど、優しくて耳に心地いい声。
「これは儀式です。私のことなど、ただの道具と思ってくださればいいのですよ」
その声の持ち主――幼いころから一緒にいる従者である冬人を、晧生はぎっとにらみつける。
「……うるさい」
か細い声は冬人に届いたのだろうか。届いたとしても、どんなに冬人が優しくても、この行為が終わるわけじゃない。
自分に流れる一族の血を、この儀式のたびに憎む。
目を閉じて、すべての感覚を外に追いやろうとする。
ああ、ふつうなら。ただの幼馴染同士なら。一般的な家に生まれついていれば。
こんな地獄みたいな時間を、コイツとすごさなくていいのに。
◆
晧生が生まれた白鷺家は、古くから続く魔術師の家系だった。
外面的にはこの地域に根づく神社の宮司の一族だ。地主のような立ち位置で、地域の取りまとめをしている。親しみをこめて「困ったときのシラサギさん」なんて呼ばれている。
神社の宮司である以上、神職としての祭事もとりおこなっているが、白鷺家の本職は魔術師。人ならざるモノの領域だ。いわゆる拝み屋や霊媒師みたいなことをしている。
果たして魔術師の力が強いから神職をしているのか、神職だったから強いのかはわからない。なにせ千年は続いている長い家系だ。
神社の宮司が「魔術師」というのはおかしい気はするかもしれない。実際、昔は巫女や巫覡と呼ばれていた。
だが、霊力や神力というような、目に見えない力は全部ひっくるめて「魔力」と呼べるものだ。言葉の違いは時代と文化の違いにすぎない。
そして魔力に適正があり、魔力を発現できる存在。それを現代では「魔術師」と呼んでいる。
白鷺家のような魔術師の家系は他にもある。大きな一族なら、大抵は自分たちの地域の管理者として存在している。それはキリスト系の神父であったり、仏教の僧侶であったり。
魔術師としての得意や不得意、専門分野があったとしても、彼らに通じるのはやはり、どんな呼び方であろうとも、「魔力」という一般人では知りえない力を持っており、操ることができること、だ。
そんな界隈の中でも、白鷺家は力が強く、有名だった。――いい意味でも、悪い意味でも。
有名である理由を考えると、祖先はかなり頭のおかしいやつだったに違いない、と、晧生は常々思う。
とにかくも、普通の高校生として過ごすには、晧生の家は特殊過ぎた。
午後の授業が終わり、クラスの気がゆるむ時間帯。帰りの支度をしているところ、クラスメイトが話しかけてきた。
「晧生ー! 今週末のクラス会、これるんだっけ?」
「ああ、ごめん、今週末は家の仕事があって」
「またかぁ。やっぱ神社の跡継ぎ? ってなると忙しいんだなぁ」
晧生がクラスの催しごとに参加できないのはよくあることだった。だからクラスメイトの彼も慣れた様子で、むしろ「遊ぶ時間もなくて大変だな」という様子だ。
本音は参加したい。高校生らしいことをしたい。けれど、自分に流れる血が易々とそれを許すことはない。
「僕は長男だけど、跡取りではないよ。家を継ぐのは姉さんだし。うちは昔から長女が跡継ぎになるのが決まりなんだ」
「あーそういやそんなん聞いたような……? 古い家なのに女性が当主って珍しいなーって思ったような……。でも晧生もまだ高校生なのに仕事とかあんだな。な、やっぱそういうのってさ、修行で滝で打たれたりとか、一ヶ月断食とかしたりすんの?」
「なんだよそのイメージ。まあ滝で打たれはしないけど、朝から水を浴びて修行とか、潔斎……数日くらいの断食は、するかな」
「おお、すげえな。断食とかぜってー耐えられる気しねえ! けどあれだよな、この時代に従者なんてのがいるのとかますますソレっぽいよな」
クラスメイトの言葉にびくっと顔が引きつりそうになる。
クラスメイトが言っているのは、ある人物のこと。そしてクラスメイトなら――晧生の家のことを知っている学友なら、晧生とセットで覚えられている人物。
すぐに答えられない晧生の後ろから、凛とした涼やかな声が割って入ってきた。
「――どーも、噂の従者やってる、黒雉冬人ですよっと」
現れたのは、男子高校生の平均身長である晧生よりも背が高く、切長の目元が特徴的な男子生徒。学ランを上のボタンまでしっかり留めて、快活な笑顔と整った顔立ちは女子生徒からいかにもモテそうだ。
そんな明るい表情で晧生の横に並ぶ彼こそが、話にあがっていた晧生の従者であり、幼馴染の黒雉冬人だった。
「お、冬人。あ、ってことはお前も週末のクラス会これないの?」
「そうだなー。コウのお世話係みたいなもんだし、オレ」
「そんな軽くってさ、お前ホントに従者ってやつなの?」
「正真正銘そうだって。なんつうの、侍従? 付き人? うーん、言葉が古いなぁ。まあコウ専属の執事、みたいな?」
「神社の家に執事なんているのかよ!」
「ははっ。まぁ細かい言葉はいいんだよ。オレがコウに誠心誠意仕えてるのは事実だし? な、コウ?」
明るくて、溌溂とした、いかにも普通の男子高校生らしい笑顔で冬人は晧生を見る。
それに対して、かすかな苦みを覚えながら、むすっとした顔を作って答える。
「じゃあ、明日の数学の宿題、代わりにやってくれよ。冬人」
「おっとお。それはご主人さまのためにならないので、できない次第と存じ上げます」
「なんだその変な日本語。ワガママな従者だな」
軽くにらんでみると大げさに冬人は肩をすくめる。その冗談めかしたポーズすら様になっていて。健全な男子高校生らしい振る舞いを見るほど、口の中にうまれた苦みが食道を通って、腹のうちへと溜まっていく。
「まあまあ。荷物ぐらいは持つって。従者らしく?」
「それくらい自分でできるっ」
「ははは。お前ら二人って幼馴染なんだっけ? 全然、主人と従者って関係に見えねえな」
クラスメイトの男子が笑う。
「なんだっけ、冬人の家がシラサギさんとこに使える家なんだっけ?」
「そうそう。黒雉家は昔っから白鷺の主家に使える家なんだよ。オレが小さいころから、本家の長男の晧生に仕えるのはほとんど決まってたみたいなもんだったし」
「へえー……なんか、やっぱ白鷺家ってすげえなあ。子どものころからお世話係がいるとか、すんげぇお金持ちっぽい」
「別に金持ちじゃないよ、歴史が長いだけで」
「いやいやー、そんなことはないでしょ。なんてったって困ったときのシラサギさんだし。それにお屋敷もザ・名家! って感じのでっかい日本家屋だし。でもよ、そうなると冬人って小さいころから将来が決まってるってこと? それはそれで大変そうだなあ」
クラスメイトの何気ない一言に、ぐさり、と胸に刃を立てられたような痛みが走る。
下腹が、臍の周りが、じくじくと痛みだす。
「別に大変でもなんでもないけどな。だってコウが辞めろって言われない限り、オレの就職先は決まってるようなもんだし。つまり、就活の必要がない! コネ就職! 将来安泰!」
晧生の昏くなる気持ちとは裏腹に、冬人は特別明るい声で宣言する。それを聞いたクラスメイトは笑っている。
「ははは! 確かに、このご時世でもう職が見つかってるって有利だもんな。せいぜいご主人様に愛想つかされないように努力しろよ?」
「もちろん、オレはコウのためだったら火のなか水のなか、なんだってしちゃうって。だから――オレのこと捨てないでくれよ? コウ」
冗談交じりのその言葉に一瞬言葉がつまる。だけど、なんとか顔に笑みを作って「じゃあ、僕のかわりに試験のなかに飛び込んでくれ」と言うと「まさかの主人から堂々と不正を頼まれちまった!」なんて冬人は大げさに嘆く。
そのまま「じゃあ今日は、コウも用事あるし、またな」と晧生のかわりにクラスメイトに話しかけて、席を離れる。つられるように教室を出ようと晧生も歩き出し、冬人は自然と晧生の隣――半歩だけ下がった、斜め後ろに立って歩いていく。
いつの間にか、さらりと取られた晧生の荷物は、冬人が持っていた。
◆
校門の裏手から離れたところに停められていた、白鷺家の車に、晧生と冬人、揃って二人とも後部座席に乗り込む。これはいつもの光景。
そして、外の世界から離れたら――白鷺家の領域にはいったら、さっきまでの冬人の快活な様子はガラリと変わる。
「晧生様、本日のおつとめについての資料です」
丁寧な言葉遣いに、まっすぐな背筋。雰囲気すら浮ついたものから一転し、大人びた落ち着きのあるものになる。さっきまで教室で冗談を言っていた人間と同一人物にはまるで見えない。
呼び方すら、「コウ」という愛称から「晧生様」と、冗談ではなく本気で言っている。
「簡単な結界の張り直しですから、晧生様なら簡単に終わるかと思いますが……ほころびが多いと魔力を使いすぎるかもしれません。ご気分がすぐれなくなったらすぐにおっしゃってください」
さらにはまるでそれが当然、というように晧生の邪魔にならない範囲で晧生の身だしなみを整え、靴の先まで手入れをする。
きっとクラスメイトが見たら同一人物かと疑うに違いない。
だが、こっちの冬人のほうが――従者をつとめる本来の冬人、なのだ。
「……ああ」
差し出された書類を受け取る晧生すら、合わせるように固い態度をとってしまう。
どうしようもない苦みが広がっていく。
さっきまであれほど親し気に、ほんとうにただの幼馴染のように接していたくせに。
今はきちんと身分を弁えて、主である晧生の影でひかえる従者然としている。
仕方ないことだと、白鷺家の本家に生まれた晧生はわかっている。
白鷺家は魔術師の中でも特殊な家系だ。そして、黒雉家はそんな特殊な白鷺家を主家として仕える一族だ。
単純な雇用関係を超えた、何百年も前からの契約に基づき、白鷺家のためだけにあるのが黒雉家。
冬人は生まれた時から、晧生のために、存在している。
昔は、白鷺家と黒雉家の関係をよく知らなかった頃は、無邪気に「コウ」と呼ばれ、自分より少し背の高い彼を「フユにい」と呼んでいた。けれど成長し、晧生が魔術師としての修業を行うようになったころ、そんな無邪気な関係はなくなった。
冬人は完璧な従者として、晧生の傍にいるようになった。
学校であえて「普通」の学生らしくふるまっているのは、従者の姿として通っていたらあまりにも時代錯誤だからだ。より自然に、晧生のそばにいられるように。幼馴染という関係を使って、さりげなく晧生の横にいておかしく思われないようにふるまっている。
そんな器用な切り替えすら、冬人がいかに有能な従者なのかわかる。分家筋からは若いのにここまで尽くす従者を持てるとは幸運だと、言われることもある。
だけど。晧生はそんなもの、望んでなかった。
「それと、晧生様。次の相交の儀は、予定通り週末だと惣領――春日お嬢様から申し伝えがございました」
冬人から感情の籠らない声で伝えられた内容に、ぎゅっと喉がしぼられた感覚がする。
忌々しい儀式。なんとか声が震えないように、窓の外を見ながら答える。
「……そう、姉さんが言ってたの」
「はい。また、此度も私に相の方をお任せくださると」
相の方とは、たった二人で行われる相交の儀の、晧生の相手をする役目のことだ。
晧生が相交の儀を行う際、相の方を冬人以外がつとめたことはない。むしろ相の方だからこそ、冬人は晧生の従者をしていると言ってもおかしくはない。
淡々と話す冬人はいまどんな顔をしているんだろう。いや、きっとどんな感情ものせてはいない。外で演技をしているときならまだしも、こうして二人きりでいるときに冬人が自分の感情をあらわにすることなどめったにない。
冷たいわけではない。なんなら、冬人は晧生に優しすぎるくらいだ。
冬人は晧生に注意をしたりすることはあっても、究極のところで、絶対に晧生を拒むことはない。
「別に、まだ平気なのに」
「……間隔があくと、不足な事態が起こることもございます。春日お嬢様はそのことを気にしておいでです。晧生様は、相交の儀以外では滅多に補充をされません。もし、予定外のことで魔力を使い過ぎたら……」
「冬人は、それでいいのか?」
耐え切れなくなって振り返る。己の本心を悟られたくなくて、わざと冷笑を浮かべながら。
なのに。冬人は涼しい顔をしたまま、何の動揺の様子を見せない。
「どういうことでしょうか?」
「もし僕が――儀式以外で、お前にそ相の方のつとめを求めたら、だ」
今更何を言っているんだ。冬人がなんて答えるかなんてわかりきっているのに。
大体、否定してほしいのか、肯定してほしいのかすら、自分でわかってもいないのに。
冬人は切れ長の目元はそのままに、少しだけ唇の端をあげて、優しい、優しすぎる声で答える。晧生の想像通りに。
「もちろん。それこそが――晧生様に仕える、私の存在意義でございますから」
臍の裏に苦みが溜まりすぎて、焼けるように痛かった。
儀式なんて、こなければいい。
そうしたら、あんなみじめな気持ちになることなんて、ないのに。
◆
平気だ、と言いはしたものの。
本家に生まれた長男として、またこの地域の管理者として、晧生には魔術師としての仕事がある。儀式の日までにそこそこ魔力を使ってしまったらしい。そもそも儀式を嫌がって、日取りを先送りしたから無理がたたったのもあるだろう。
儀式当日。
いつも以上に魔力を使いすぎた体は発熱したように火照っている。ぐるぐるとした熱が体の内側で渦巻いて、口からそのまま吐き出しそうだ。
だけど。吐き出すだけではダメなのだ。
ほしいのは、もっと、もっとはっきりとした、焼き尽くすような。
グラグラとした頭を抱え、朝食もとらず、自室にこもっていたらガラリと部屋の扉が開いた。
鋭い声が飛んでくる。
「――はん。ほれ見ろ。普段から儀式を先延ばししているから、そんな醜態をさらすことになる」
姉――白鷺家、次期当主である春日が部屋にやってきた。
晧生は熱でクラクラしているし、このあと身を清めるための沐浴すら面倒だというのに。わざわざ嫌味を言いにやってきたのかと、姉をにらみつける。
「べつに。これくらいなんともありません」
「まったく。お前はいつまでたっても子どもだな。これが本家の男児とは。いい加減、素直に受け入れればいいものを」
「――そんなこと、姉さんに言われなくてもわかってますっ!」
ギッとにらみつけるが、正直、姉の言葉は正論すぎて胸を刃で刺されたようだった。
跡取りでもない、男の自分ですら、こんな風に熱と苦痛を持て余すのだ。
女であり、次期当主である姉は、どれほどの熱と苦痛、そして飢えに悩まされるのか。
けれど姉はそんな苦しみなどまるでないように、まるで水仙のように凛としてそこに立つ。
「まあ、そこまで吠える元気があるなら儀式の時間を早めなくてもよさそうだな。――お前もいい加減、自分の甘えを自覚しときなさい」
それだけ言って姉は部屋を出ていく。扉を閉めるとき、姉の従者である、冬人ではない黒雉家の人間が見えた。彼は晧生と冬人のように、長年ずっと姉の相の方をつとめている。
ああ、彼は、平気なんだろうか。
熱に浮かされた頭で考える。
白鷺家の魔力狂いのために、一族の身体を作り替えられた、黒雉家の人間は。
白鷺家の道具として――身体と精を捧げねばならない、彼らは。
◆
白鷺家の祖先は、力を求めた。貪欲に。
手っ取り早い方法として、他家の魔術師の家系の血を入れて――そのころは神力とか、霊力とか、マナとかそんな言い方だったろうが――魔力を高める方法をとっていた。
それだけでは飽き足らず、単純に子を産むためだけではなく、魔力を吸いとるためだけに行われた閨事もあったらしい。
相手が放った魔力――魔力は精液に多く含まれている――を受け止めるためには、胎が必要だった。
そのため、白鷺家では代々、他の魔術師から魔力を吸いとった女が当主となり、次の世代にその混ぜ合わせられた魔力を継いだ子を産んでいった。
しかし、そこで問題が起こった。
簡単な話だ。ふつうの人間だって、合わない血液型を輸血されたら拒絶反応が起こる。
ゆるやかに魔力を混ぜていって、自分たちのものにしていたならばよかったのだろう。
だが、白鷺家は多様な魔力を奪いすぎた。
そのせいで、身体の中で反発する魔力が共存することになった。
魔力をコントロールできるうちはいい。しかし、魔力を使いすぎると一気に体内の魔力バランスが悪くなる。そうすると体内で残りの魔力が狂ったように他の血の魔力を攻撃したり、または補充されようと暴れだす。
身体の中で赤色と青色が反発しあい、紫色が外へ出ようとするように。
それが限界まで行くと、狂人の如くなる。
新しい魔力を、足りない魔力を、と欲して、理性をなくした色狂いへと。
けれど、そもそもが調和のとれない魔力のせいでそうなっているのだ。ただたんに他の魔術師の魔力を吸ったところで――精を受けたところで悪化するだけ。
だから、白鷺家は暴走する魔力を調和し、足りなくなった魔力を補充するための『薬』を作り出した。
それが黒雉家だ。
黒雉家も魔術師の一族だった。
そして彼らの魔力を色で例えるならば、限りなく無色に近い。他の魔力と敵対しない魔力だったのだ。
だから白鷺の祖先は黒雉家の魔力を、自分達が魔力不足に陥ったとき、さらには反発あしあう魔力をおさえこむ抑制剤に作り替えた。
黒雉家の先祖は白鷺家に恩があったらしい。その契約を受け入れ、現在に至るまで黒雉家の魔力は、白鷺家の人間の魔力を補充し、抑制するためにある。
黒雉家の体液は、白鷺家のものにとって甘露に近い。
平素ですら、その血液は甘く、極上の酒のようだ。
それが魔力のない飢餓状態であれば、麻薬よりも頭をおかしくさせる効果がある。
自身の暴走を唯一抑えらられる、黒雉の血をそれほど求めているがために。
だが、唾液や血液で足りない分を補おうとすると、一度に大量に摂取できず、効率が悪い。
結果、最も効率のいい方法は昔からの白鷺家の得意技だった。
性行為――セックスをして、相手の精液から魔力を取り込む、という、腐ったお家芸。
それが、相交の儀だ。
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