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第2章 日常讃歌・相思憎愛
第18話 宣言
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しゃがれた男の笑い声が廊下に響く。
工藤は躬羽玲の首筋にナイフを当て、その身を抱いて縛っている。
「なっ!おい!玲から離れろ!!」
「イ゛ギギギギ!ごどわるぜぇ、じゃあ゛ごれがらのごどをじっぐりどばなぞうが」
工藤の枯れた声がその場を支配し、皆の動きを廊下に縫い付ける。
「何がこれからの事だ!玲を離せ!」
「そうよ!とっとと玲から離れなさい!」
叫ぶ仁代伊緒と真理 の双子。
だが、迂闊に動くことはできない。
玲の首に突き付けられた赤黒い翠のナイフの切先が、グッと押し込められて首に突き刺さる寸前で止まる。
「ぅっ……」
玲の口から短い悲鳴が漏れる。
玲もまた身動きを封じられ、身じろぎ1つで致命傷を負いかねない恐怖と戦っていた。
「伊緒くん……真理ちゃん……」
「「玲!!」」
危うい状況の中、2人は必死に現状を打破する策を考える。
(どうする!真理と合わせて飛び込むか!ダメだ!!そんな事したらあいつは……)
(玲!どうしよう、私が囮になる?ダメ、あいつはそんな事気にしない……伊緒も焦ってる……)
目の前の事象が頭を掻き乱し、思考が纏まらない。
お互いに焦っているのが分かる、それ以上に玲を傷付けたくないという気持ちが大きのも分かる。
「工藤くん!躬羽さんを放しなさい!これ以上、人を傷付けては駄目だ!」
耶蘇光の声に、工藤は楽しそうに口角を上げ、枯れた声で笑う。
「イ゛ヒッ!ぜんぜい!お゛前が言うな゛よ゛!生徒の゛事散々殴っでお゛い゛で、ぞり゛ゃね゛ぇだろ゛!」
「それは、君が……」
「あ゛ぁ゛、別にい゛い゛よ゛。ぞれ゛がル゛ール゛だも゛んな゛ぁ、ごの学校の!ごの国のな゛!!だがら決めだんだよ、俺のル゛ール゛だ、ぞの為の話じだ!ま゛ぁ゛お前らは聴い゛でる゛だげでい゛い゛げどな゛!俺が宣言ずる゛だげだがら゛な゙っ!」
朗々と語る様を見て、工藤が本気なのだと思い知らされる。
そして工藤の目は狂気を宿しながら、嬉々として訴えかけてくる。
――お前達も俺のルールに従うだろ?――
と、何をするのか、どんなルールを言い出すのか知れないが、碌な事ではないと分かる。
「ぞうだな……屋上でや゙ろ゙う!宣言ずる゛んだ!俺の!王国゛の!俺が神゛の国゛の!宣゛言゛!ゲヒヒヒヒヒッ!ごごにい゛な゛い゛奴等も゛集めよ゛う!聴衆は多ぐな゛い゛どな゛!まだ生き残りがい゛る゛がも゛じれねぇがら゛な。呼び出ずぞ!」
続く工藤の独演を聞きながらも、いつでも飛び出せる様にジリジリと体勢を変える伊緒。そんな伊緒の手を掴み、真理が引き留める。
(真理何すんだよ!止めるな!)
(あんた、今飛び出したらどうなると思ってるの!玲が刺されるじゃない!)
(――んなこと分かってるよ!じゃあどうしろって言うんだよ!)
(チャンスを待つしかないでしょ。あのナイフに刺されたら助からないでしょ……)
(……くっそ!)
小声で囁き合い、一時の激情を辛うじて薄皮一枚で身の内に仕舞い込む伊緒。
真理も今すぐに飛び出したい気持ちはあったが、それ以上に暴走しかかっていた伊緒を見て冷静になった。
(多分後ろの光さんもそうすると思う……玲の無事が優先。そうでしょ?)
(……分かった……でも、後で、あいつは、ブッ飛ばす!)
(駄目、私が先だから)
(じゃあ同時)
(決まりね)
伊緒と真理が決意を潜ませている頃、2人の後方で光と西風舘の2人もまた、声を潜めて話し合っていた。
(先生!あの2人、今にも飛び出しそうですよ!?)
(大丈夫、真理ちゃんが上手いこと抑えたみたいだから。暫く我慢してくれるでしょう……多分)
(多分なんですか?!今動いたら相当ヤバいですよ……)
(そうだね、何とか隙を伺うすかないね。(あの2人の技でも止められないとなると……あとは……))
この2人の結論もまた、双子と同じく隙を待つというものであった。
しかし、光はその後の事を考え、如何にして工藤を止めるかを思案していた。
(伊緒くんと真理ちゃんのあの技を受けて、まだあれだけの動きをしている……生半可な技や攻撃では止められないだろう……けど……工藤くんは……まだ少年で……生徒で……)
光もまた教師として「生徒の保護」を最優先に考えなければならず、いくら安倍を殺害した被疑者とは言え、生徒には代わり無い。
その思考が光の行動を呪縛する。
如何にして工藤を生かしたまま、無力化して捕縛するかを考えてしまう。
(今までのことを考えても……難しいだろうな……でも、それでも……僕は、教師だから……)
これまでの事を考えると、それが如何に困難であるかは容易に想像が付く。だが、それを疎かにしては、教師としての道を、いや、人としての道を踏み外してしまう。
抜け出せない思考の迷宮の中を彷徨っていると、工藤が好き勝手に動きだす。
「ざで、ま゛ずは放送室に行ごうが。最低あど3人、足り゛ね゛ぇがら゛な゛ぁ。お゛い゛、お゛前等先に゛放送室にへ向がって歩げ。余計な゙ごとじだら殺ずがらな」
「――放――して――」
工藤の言葉に皆が無言で頷い合い、踵を返す。
だが玲だけがその状況に逆らおうと、小さく声を上げる。
「お゛っど、お゛前も暫ぐ黙っでろ。ゲヒッ!今は殺じゃじねぇよ」
「くっ……」
工藤の手が玲の首にかかる。喉輪で前傾部を抑えられ、呼吸が荒くなる。
玲の声に振り返り、工藤を睨みつける伊緒と真理。
「おい!その手を離せ!」
「玲に何かしてみなさい、ぶっ飛ばしてやるから」
「お゛ぉ怖い。後でじっぐり遊んでやるがら今は大人じぐじでろよ?まぁ1人ずつ、じっぐりどだげどな!グヒヒヒヒヒ!!」
そう嘯きながら喉輪を緩める工藤だが、咳き込む玲を腕で押さえつけ、拘束を緩めることはない。
「くそっ!」
「あんた、後で絶対ぶっ飛ばすから」
拳を強く握り締め、必死に激情を抑え込む伊緒。
静かに、それでいて殺意にすら届きそうな怒気を激らせる真理。
いつ爆発してもおかしくない火山の様に、想いをその身に貯め込んでいく。
工藤はその様子が愉快で仕方ないのか、嗤いながら最後尾を着いて歩く。
狂気に満ちた行列が、一路放送室を目指す。
◇◇◇
「工藤くん、着きましたよ。これからどうするんですか?」
「イ゛ヒッ!俺が放送ずるがら部屋を開げで離れろ。何がじだら、殺ずぞ」
「分かった、何もしないから躬羽さんを傷付けないでください」
そう言いながら放送室の扉を開ける。
工藤は4人にその場から離れるように追払い、放送室の中へと入っていく。
「ゲヒッ!ぞう心配ずるなよ、放送ずるだげだがらよぉ」
扉も閉めず、鍵もかけず、大胆不敵に放送台の前へと進む。
廊下に残された4人も隙を伺うが、狭い放送室の中へ全員で飛び込むわけにもいかず、かと言って一撃で工藤を沈めて玲を無傷で救い出せるのか。
「「「「……」」」」
4人はお互いに目配せしながら状況を伺う。
「お゛い゛、放送のズイッヂ入れろ」
そうしている間に、工藤は玲に向かって放送できるようにしろと命令する。
玲が無言で頷き、放送台を見渡して主電源を探す。
電源を入れ、機械が立ち上がると校内放送のスイッチを入れて小さく呟く。
「これで、いいはず……」
工藤は玲を抱えたままマイクの前に顔を近付けて喋り始める。
「あ゛、あ゛、ごれでいいんが?ま゛あ゛いいや。お゛い゛、隠れでる奴ら、出でごい。3人はいるだろ?屋上までごい。でないど、1人ずづ、殺ず」
言いたいことを言い終えた工藤は、玲に向かってスイッチを切るように指示する。
そしてやることが終われば、こんな所に用は無いとばかりに放送室を出て、廊下にいる4人へ向かって命令する。
「ざて、ぞんじゃあ屋上に行ごうぜぇ。みんなを待だないどな、イ゛ヒッ!じゃあ先生、まだ先導頼むぜぇ」
「分かった……」
ゆっくりと屋上を目指し歩き出す一行。
誰もが押し黙る中、真理が口を開く。
「あんた……私が目的なんでしょ。玲と交代させなさいよ」
「ゲヒッ!い゛い゛ねぇ、流石は俺の見込んだ女だ。だげど、ぞれはでぎねぇな。真理、あんだは強ぇがらな、今じゃねぇ。後でだっぷり交代じでやるよ、ゲヒッ!」
「ふんっ!後でこれでもかってくらい後悔させてやる」
「グヒヒヒヒ!やっば堪んねぇな、お゛い゛!イ゛ヒヒヒヒ!」
真理の悪態を、さも嬉しそうに嗤う工藤。
(あんなこと言って、大丈夫なのかよ?)
(あいつは私の事を狙ってる。どこかのタイミングで私を呼ぶだろうから、その瞬間がチャンス。あいつを、ブッ飛ばす!)
(……分かった、合わせる)
自らの身を差し出し、隙を作る。
真理はそう提案している。
伊緒もそれを分かって了承した。
確実に工藤を仕留めるために。
それほどまでに2人の工藤に対する怒りは強い。玲に対する行いに激怒しているのだ。
大切な人を助けるために、兄妹は静かにその瞬間を待つ。
「屋上、着きましたよ」
「よじ、開げろ゛」
屋上に続く扉まで辿り着いた一行は、工藤の指示により屋上へと出ていく。
工藤はゆっくりと最後に屋上へと足を踏み入れる。
優々と進み出て、屋上に設置されている室外機の1つを選ぶと、そこへ玲に座るように指示をする。
「ごごに乗っで座れ。足を地面に付げるな、両手は後ろに回ぜ」
土台の上に設置されている室外機に座った玲の足は、ブラブラと宙に浮き、両手は後ろで工藤に掴まれて身動きが取れない状態となる。
更にその状態でナイフを首元に突きつけられ、前に飛び降りようものなら、自ら首を掻き切る状態にされる。
「っ!」
両手を強く握られ、苦悶の表情を浮かべる玲。
「おい!玲を傷付けるな!」
「ヒヒ、お゛ぉ怖い。別に殺しゃじねぇよ。大人じぐじでりゃなぁ?フヒッ!」
工藤がニヤニヤと嗤いながら楽しそうに答える。
(くっそ!"今は"ってことか!もう少し耐えてくれ、玲……)
伊緒は悔しそうに顔を歪みねがら、何時でも動けるように身体を適度に緊張させる。
真理はその様子に気が付くも、最早止める事なく自身も同様に備える。
「ヒヒ!楽じぞうだなぁ、今ずぐヤリだぐなっぢまうじゃねぇが!まぁでも、少じは我慢じねぇどな、生ぎ残りが集まるまでは我慢だ。おい先生よぉ、他に生ぎ残りは居ながったのが?あと賀茂はどうじだんだよ」
工藤は伊緒と真理の殺気に当てられたのか、興奮気味に声を上げる。
工藤から向けられた質問に対して、光は若干戸惑いながらゆっくりと話だす。
「……私が見た限りでは、ここに居る生徒以外に生き残りは居なかったよ……職員室も同様。賀茂先生は……分かりません。別々に行動していたので。今、どうなっているのか……」
光の話に工藤以外の4人の生徒達は驚きの表情を浮かべる。
工藤はその事実すら、さも楽しそうにニヤニヤと嗤いながら聞いている。
「耶蘇先生……それじゃあ、皆んな、あの木になってしまったんですか?」
西風舘は信じられないと言わんばかりに光に問いかける。光も西風舘の言葉に首肯する。
「フヒッ!なんだよぞれ!最高に面白れぇじゃねぇが!ごの世界、全部ぶっ壊れたんじゃねぇの!ウヒッ!」
「全部かどうかは分かりませんが……警察や消防には連絡が付きませんでした。市の教育委員会も同じです。恐らく、広範囲に、そして多数の人間が霊樹とやらに変わってしまったのでしょう。我々も、何時あの木になってしまうか……」
光の口から告げられる絶望的な状況。
「そんな……こんな事が……日本中で……?」
避難してくる生徒がいない事から、学校が危機的状況なのは何となく感じていた。それでも、学校の外に行けば希望が見えるかもしれないと思っていた。
西風舘もそんな風に思っていたのだろう、それを打ち砕く情報に驚愕の表情を浮かべる。
「日本中……それで済んであればいいですが……」
「光さん……それって……まさか、世界中で……?」
「分からない……確かめる術も、時間もなかったから……」
「……」
もしも、この状況が世界中で起こっているのならば、それは絶望に値する。
だが、残された生徒達がまず思い浮かべるのは、家族の顔であり、友人の姿である。
家族、友人の喪失。身近な者の死。
それに思い至った瞬間、虚無感が襲い来る。ポッカリと空いてしまった心の穴に、絶望が流れ込む。ひたひたと穴を埋める様に。
「光さん……お父さんは……」
「ごめん……みんなの御両親にまだ連絡は取っていないんだ……僕の携帯も使えなくて……」
「そう、ですか……」
新たな懸念に更に顔を曇らせる真理。
伊緒も真理の不安に煽られたのか、同じように神妙な表情になっている。
そして一番の懸念材料は、先程まで生存していた筈の賀茂が音信不通になっていることだろう。
それを一番に感じているのが、部活の顧問と関係の深い西風舘である。
「まさか、賀茂先生が連絡取れないのって……」
「分かりません……生徒の確認のために別れた後から連絡が取れません。何かがあったのか、或いは……」
「そんな……」
――無事だった人間にも何かが起こっている可能性がある――
その可能性は、生き残り達の心を縛る。
「なんだよ、賀茂先生木になって死んじまったのがよ。ダッゼェなぁ。あぁあ……賀茂先生ともヤっでみだかっだんだげどなぁ、何死んでんだよ」
西風舘の問いに明確な答えを持ち合わせていない光は、現状の事実だけを伝えていく。但し、可能性は残しておく。
そんな事とはお構いなしに、工藤の中では賀茂は既に死んだ事になっており、それこそ心底残念そうなことを言ってはいるが、目は嗤っている。
(やはり皆んなの動揺が大きい……フォローしたいが、この状態では……だけど……)
元々現状を話すことは躊躇っていたが、最悪のタイミングで話さなければならなくなってしまった。
且つ、賀茂に関する不確かだが良くない情報。
(賀茂先生が木に変化したかもしれないと思ってる、このままあの子達のことも忘れてくれれば……)
可能性の話ではあるが、上手いこと工藤は賀茂が死んだものと思ってくれたようだ。
そしてここに居ない残された2人の女子生徒のことを考える。
(ここにいる生徒達は色々な意味で強い子達だ……2人とも、ここに来なくていい。今なら……)
職員室で隠れているであろう東風谷と野口雫のことを思い出しながら、光はそう願っていた。
◇◇◇
暫く沈黙が続く、誰もが押し黙り、お互いの様子を伺っている。
工藤も初めの内はニヤニヤと笑みを浮かべていたが、時間が経つにつれて段々とイライラしてきたのか、落ち着かない様子で時折舌打ちなどしている。
皆が痺れを切らしてきた頃合いで、光が口を開く。
「……工藤くん、2人も加茂先生と同様に来られるかどうか分からないですから。貴方の話、聞かせてもらえますか?」
「あ゛ぁ゛?」
残してきた2人が揃う前に話を進め、工藤の隙を突きたい。
(このまま2人のことを無しに、玲ちゃんを助けられれば……)
光の中では今居る面子が、工藤を制圧するのに最大の人員だと考えていた。
言い方は悪いが、残してきた2人は武道の経験は無く、寧ろ守りながら工藤と戦うには弱点にすらなり得てしまう。
で、あるならば、ここで工藤の話を進めつつ、隙を伺いたい。
「2人もどうなっているか分からないですから。今居るメンバーに話をして貰ってもいいですか?」
「あぁ……ぞれもそうが。待つのも飽ぎたしな。良いぜ、話をじてやるよ」
工藤が東風谷と雫のことを諦めて話をしようとした、その時。
――ガチャ――
ドアノブの回る音がした。
「!?」
皆が振り返り、屋上へと通じる扉を見つる。
(2人とも、来るな!)
光は心の中で叫ぶ。だが光の思惑とは裏腹に、扉がゆっくりと開く。
「東風谷さん……野口さん……」
光は姿を現した2人の生徒を見て、呟く。
無事であったことを喜ぶ思いもある。
しかし、この状況で現れた2人の存在は非常に危ういものである。
(来て、しまったんだね……)
真面目な生徒の勇敢な行動、光は2人を責めることはできない。
元はと言えば自分が仕留めきれなかった事に原因があり、負うべき責は光にある。
(2人を絶対に守らなければ……)
現れた2人を守る為、思考を素早く切り替える。
「イヒッ!よぐ来たな2人ども。さぁ、これからの世界の話をしようが!」
観衆は揃ったとばかりに、工藤が高らかに宣下する。
工藤は躬羽玲の首筋にナイフを当て、その身を抱いて縛っている。
「なっ!おい!玲から離れろ!!」
「イ゛ギギギギ!ごどわるぜぇ、じゃあ゛ごれがらのごどをじっぐりどばなぞうが」
工藤の枯れた声がその場を支配し、皆の動きを廊下に縫い付ける。
「何がこれからの事だ!玲を離せ!」
「そうよ!とっとと玲から離れなさい!」
叫ぶ仁代伊緒と真理 の双子。
だが、迂闊に動くことはできない。
玲の首に突き付けられた赤黒い翠のナイフの切先が、グッと押し込められて首に突き刺さる寸前で止まる。
「ぅっ……」
玲の口から短い悲鳴が漏れる。
玲もまた身動きを封じられ、身じろぎ1つで致命傷を負いかねない恐怖と戦っていた。
「伊緒くん……真理ちゃん……」
「「玲!!」」
危うい状況の中、2人は必死に現状を打破する策を考える。
(どうする!真理と合わせて飛び込むか!ダメだ!!そんな事したらあいつは……)
(玲!どうしよう、私が囮になる?ダメ、あいつはそんな事気にしない……伊緒も焦ってる……)
目の前の事象が頭を掻き乱し、思考が纏まらない。
お互いに焦っているのが分かる、それ以上に玲を傷付けたくないという気持ちが大きのも分かる。
「工藤くん!躬羽さんを放しなさい!これ以上、人を傷付けては駄目だ!」
耶蘇光の声に、工藤は楽しそうに口角を上げ、枯れた声で笑う。
「イ゛ヒッ!ぜんぜい!お゛前が言うな゛よ゛!生徒の゛事散々殴っでお゛い゛で、ぞり゛ゃね゛ぇだろ゛!」
「それは、君が……」
「あ゛ぁ゛、別にい゛い゛よ゛。ぞれ゛がル゛ール゛だも゛んな゛ぁ、ごの学校の!ごの国のな゛!!だがら決めだんだよ、俺のル゛ール゛だ、ぞの為の話じだ!ま゛ぁ゛お前らは聴い゛でる゛だげでい゛い゛げどな゛!俺が宣言ずる゛だげだがら゛な゙っ!」
朗々と語る様を見て、工藤が本気なのだと思い知らされる。
そして工藤の目は狂気を宿しながら、嬉々として訴えかけてくる。
――お前達も俺のルールに従うだろ?――
と、何をするのか、どんなルールを言い出すのか知れないが、碌な事ではないと分かる。
「ぞうだな……屋上でや゙ろ゙う!宣言ずる゛んだ!俺の!王国゛の!俺が神゛の国゛の!宣゛言゛!ゲヒヒヒヒヒッ!ごごにい゛な゛い゛奴等も゛集めよ゛う!聴衆は多ぐな゛い゛どな゛!まだ生き残りがい゛る゛がも゛じれねぇがら゛な。呼び出ずぞ!」
続く工藤の独演を聞きながらも、いつでも飛び出せる様にジリジリと体勢を変える伊緒。そんな伊緒の手を掴み、真理が引き留める。
(真理何すんだよ!止めるな!)
(あんた、今飛び出したらどうなると思ってるの!玲が刺されるじゃない!)
(――んなこと分かってるよ!じゃあどうしろって言うんだよ!)
(チャンスを待つしかないでしょ。あのナイフに刺されたら助からないでしょ……)
(……くっそ!)
小声で囁き合い、一時の激情を辛うじて薄皮一枚で身の内に仕舞い込む伊緒。
真理も今すぐに飛び出したい気持ちはあったが、それ以上に暴走しかかっていた伊緒を見て冷静になった。
(多分後ろの光さんもそうすると思う……玲の無事が優先。そうでしょ?)
(……分かった……でも、後で、あいつは、ブッ飛ばす!)
(駄目、私が先だから)
(じゃあ同時)
(決まりね)
伊緒と真理が決意を潜ませている頃、2人の後方で光と西風舘の2人もまた、声を潜めて話し合っていた。
(先生!あの2人、今にも飛び出しそうですよ!?)
(大丈夫、真理ちゃんが上手いこと抑えたみたいだから。暫く我慢してくれるでしょう……多分)
(多分なんですか?!今動いたら相当ヤバいですよ……)
(そうだね、何とか隙を伺うすかないね。(あの2人の技でも止められないとなると……あとは……))
この2人の結論もまた、双子と同じく隙を待つというものであった。
しかし、光はその後の事を考え、如何にして工藤を止めるかを思案していた。
(伊緒くんと真理ちゃんのあの技を受けて、まだあれだけの動きをしている……生半可な技や攻撃では止められないだろう……けど……工藤くんは……まだ少年で……生徒で……)
光もまた教師として「生徒の保護」を最優先に考えなければならず、いくら安倍を殺害した被疑者とは言え、生徒には代わり無い。
その思考が光の行動を呪縛する。
如何にして工藤を生かしたまま、無力化して捕縛するかを考えてしまう。
(今までのことを考えても……難しいだろうな……でも、それでも……僕は、教師だから……)
これまでの事を考えると、それが如何に困難であるかは容易に想像が付く。だが、それを疎かにしては、教師としての道を、いや、人としての道を踏み外してしまう。
抜け出せない思考の迷宮の中を彷徨っていると、工藤が好き勝手に動きだす。
「ざで、ま゛ずは放送室に行ごうが。最低あど3人、足り゛ね゛ぇがら゛な゛ぁ。お゛い゛、お゛前等先に゛放送室にへ向がって歩げ。余計な゙ごとじだら殺ずがらな」
「――放――して――」
工藤の言葉に皆が無言で頷い合い、踵を返す。
だが玲だけがその状況に逆らおうと、小さく声を上げる。
「お゛っど、お゛前も暫ぐ黙っでろ。ゲヒッ!今は殺じゃじねぇよ」
「くっ……」
工藤の手が玲の首にかかる。喉輪で前傾部を抑えられ、呼吸が荒くなる。
玲の声に振り返り、工藤を睨みつける伊緒と真理。
「おい!その手を離せ!」
「玲に何かしてみなさい、ぶっ飛ばしてやるから」
「お゛ぉ怖い。後でじっぐり遊んでやるがら今は大人じぐじでろよ?まぁ1人ずつ、じっぐりどだげどな!グヒヒヒヒヒ!!」
そう嘯きながら喉輪を緩める工藤だが、咳き込む玲を腕で押さえつけ、拘束を緩めることはない。
「くそっ!」
「あんた、後で絶対ぶっ飛ばすから」
拳を強く握り締め、必死に激情を抑え込む伊緒。
静かに、それでいて殺意にすら届きそうな怒気を激らせる真理。
いつ爆発してもおかしくない火山の様に、想いをその身に貯め込んでいく。
工藤はその様子が愉快で仕方ないのか、嗤いながら最後尾を着いて歩く。
狂気に満ちた行列が、一路放送室を目指す。
◇◇◇
「工藤くん、着きましたよ。これからどうするんですか?」
「イ゛ヒッ!俺が放送ずるがら部屋を開げで離れろ。何がじだら、殺ずぞ」
「分かった、何もしないから躬羽さんを傷付けないでください」
そう言いながら放送室の扉を開ける。
工藤は4人にその場から離れるように追払い、放送室の中へと入っていく。
「ゲヒッ!ぞう心配ずるなよ、放送ずるだげだがらよぉ」
扉も閉めず、鍵もかけず、大胆不敵に放送台の前へと進む。
廊下に残された4人も隙を伺うが、狭い放送室の中へ全員で飛び込むわけにもいかず、かと言って一撃で工藤を沈めて玲を無傷で救い出せるのか。
「「「「……」」」」
4人はお互いに目配せしながら状況を伺う。
「お゛い゛、放送のズイッヂ入れろ」
そうしている間に、工藤は玲に向かって放送できるようにしろと命令する。
玲が無言で頷き、放送台を見渡して主電源を探す。
電源を入れ、機械が立ち上がると校内放送のスイッチを入れて小さく呟く。
「これで、いいはず……」
工藤は玲を抱えたままマイクの前に顔を近付けて喋り始める。
「あ゛、あ゛、ごれでいいんが?ま゛あ゛いいや。お゛い゛、隠れでる奴ら、出でごい。3人はいるだろ?屋上までごい。でないど、1人ずづ、殺ず」
言いたいことを言い終えた工藤は、玲に向かってスイッチを切るように指示する。
そしてやることが終われば、こんな所に用は無いとばかりに放送室を出て、廊下にいる4人へ向かって命令する。
「ざて、ぞんじゃあ屋上に行ごうぜぇ。みんなを待だないどな、イ゛ヒッ!じゃあ先生、まだ先導頼むぜぇ」
「分かった……」
ゆっくりと屋上を目指し歩き出す一行。
誰もが押し黙る中、真理が口を開く。
「あんた……私が目的なんでしょ。玲と交代させなさいよ」
「ゲヒッ!い゛い゛ねぇ、流石は俺の見込んだ女だ。だげど、ぞれはでぎねぇな。真理、あんだは強ぇがらな、今じゃねぇ。後でだっぷり交代じでやるよ、ゲヒッ!」
「ふんっ!後でこれでもかってくらい後悔させてやる」
「グヒヒヒヒ!やっば堪んねぇな、お゛い゛!イ゛ヒヒヒヒ!」
真理の悪態を、さも嬉しそうに嗤う工藤。
(あんなこと言って、大丈夫なのかよ?)
(あいつは私の事を狙ってる。どこかのタイミングで私を呼ぶだろうから、その瞬間がチャンス。あいつを、ブッ飛ばす!)
(……分かった、合わせる)
自らの身を差し出し、隙を作る。
真理はそう提案している。
伊緒もそれを分かって了承した。
確実に工藤を仕留めるために。
それほどまでに2人の工藤に対する怒りは強い。玲に対する行いに激怒しているのだ。
大切な人を助けるために、兄妹は静かにその瞬間を待つ。
「屋上、着きましたよ」
「よじ、開げろ゛」
屋上に続く扉まで辿り着いた一行は、工藤の指示により屋上へと出ていく。
工藤はゆっくりと最後に屋上へと足を踏み入れる。
優々と進み出て、屋上に設置されている室外機の1つを選ぶと、そこへ玲に座るように指示をする。
「ごごに乗っで座れ。足を地面に付げるな、両手は後ろに回ぜ」
土台の上に設置されている室外機に座った玲の足は、ブラブラと宙に浮き、両手は後ろで工藤に掴まれて身動きが取れない状態となる。
更にその状態でナイフを首元に突きつけられ、前に飛び降りようものなら、自ら首を掻き切る状態にされる。
「っ!」
両手を強く握られ、苦悶の表情を浮かべる玲。
「おい!玲を傷付けるな!」
「ヒヒ、お゛ぉ怖い。別に殺しゃじねぇよ。大人じぐじでりゃなぁ?フヒッ!」
工藤がニヤニヤと嗤いながら楽しそうに答える。
(くっそ!"今は"ってことか!もう少し耐えてくれ、玲……)
伊緒は悔しそうに顔を歪みねがら、何時でも動けるように身体を適度に緊張させる。
真理はその様子に気が付くも、最早止める事なく自身も同様に備える。
「ヒヒ!楽じぞうだなぁ、今ずぐヤリだぐなっぢまうじゃねぇが!まぁでも、少じは我慢じねぇどな、生ぎ残りが集まるまでは我慢だ。おい先生よぉ、他に生ぎ残りは居ながったのが?あと賀茂はどうじだんだよ」
工藤は伊緒と真理の殺気に当てられたのか、興奮気味に声を上げる。
工藤から向けられた質問に対して、光は若干戸惑いながらゆっくりと話だす。
「……私が見た限りでは、ここに居る生徒以外に生き残りは居なかったよ……職員室も同様。賀茂先生は……分かりません。別々に行動していたので。今、どうなっているのか……」
光の話に工藤以外の4人の生徒達は驚きの表情を浮かべる。
工藤はその事実すら、さも楽しそうにニヤニヤと嗤いながら聞いている。
「耶蘇先生……それじゃあ、皆んな、あの木になってしまったんですか?」
西風舘は信じられないと言わんばかりに光に問いかける。光も西風舘の言葉に首肯する。
「フヒッ!なんだよぞれ!最高に面白れぇじゃねぇが!ごの世界、全部ぶっ壊れたんじゃねぇの!ウヒッ!」
「全部かどうかは分かりませんが……警察や消防には連絡が付きませんでした。市の教育委員会も同じです。恐らく、広範囲に、そして多数の人間が霊樹とやらに変わってしまったのでしょう。我々も、何時あの木になってしまうか……」
光の口から告げられる絶望的な状況。
「そんな……こんな事が……日本中で……?」
避難してくる生徒がいない事から、学校が危機的状況なのは何となく感じていた。それでも、学校の外に行けば希望が見えるかもしれないと思っていた。
西風舘もそんな風に思っていたのだろう、それを打ち砕く情報に驚愕の表情を浮かべる。
「日本中……それで済んであればいいですが……」
「光さん……それって……まさか、世界中で……?」
「分からない……確かめる術も、時間もなかったから……」
「……」
もしも、この状況が世界中で起こっているのならば、それは絶望に値する。
だが、残された生徒達がまず思い浮かべるのは、家族の顔であり、友人の姿である。
家族、友人の喪失。身近な者の死。
それに思い至った瞬間、虚無感が襲い来る。ポッカリと空いてしまった心の穴に、絶望が流れ込む。ひたひたと穴を埋める様に。
「光さん……お父さんは……」
「ごめん……みんなの御両親にまだ連絡は取っていないんだ……僕の携帯も使えなくて……」
「そう、ですか……」
新たな懸念に更に顔を曇らせる真理。
伊緒も真理の不安に煽られたのか、同じように神妙な表情になっている。
そして一番の懸念材料は、先程まで生存していた筈の賀茂が音信不通になっていることだろう。
それを一番に感じているのが、部活の顧問と関係の深い西風舘である。
「まさか、賀茂先生が連絡取れないのって……」
「分かりません……生徒の確認のために別れた後から連絡が取れません。何かがあったのか、或いは……」
「そんな……」
――無事だった人間にも何かが起こっている可能性がある――
その可能性は、生き残り達の心を縛る。
「なんだよ、賀茂先生木になって死んじまったのがよ。ダッゼェなぁ。あぁあ……賀茂先生ともヤっでみだかっだんだげどなぁ、何死んでんだよ」
西風舘の問いに明確な答えを持ち合わせていない光は、現状の事実だけを伝えていく。但し、可能性は残しておく。
そんな事とはお構いなしに、工藤の中では賀茂は既に死んだ事になっており、それこそ心底残念そうなことを言ってはいるが、目は嗤っている。
(やはり皆んなの動揺が大きい……フォローしたいが、この状態では……だけど……)
元々現状を話すことは躊躇っていたが、最悪のタイミングで話さなければならなくなってしまった。
且つ、賀茂に関する不確かだが良くない情報。
(賀茂先生が木に変化したかもしれないと思ってる、このままあの子達のことも忘れてくれれば……)
可能性の話ではあるが、上手いこと工藤は賀茂が死んだものと思ってくれたようだ。
そしてここに居ない残された2人の女子生徒のことを考える。
(ここにいる生徒達は色々な意味で強い子達だ……2人とも、ここに来なくていい。今なら……)
職員室で隠れているであろう東風谷と野口雫のことを思い出しながら、光はそう願っていた。
◇◇◇
暫く沈黙が続く、誰もが押し黙り、お互いの様子を伺っている。
工藤も初めの内はニヤニヤと笑みを浮かべていたが、時間が経つにつれて段々とイライラしてきたのか、落ち着かない様子で時折舌打ちなどしている。
皆が痺れを切らしてきた頃合いで、光が口を開く。
「……工藤くん、2人も加茂先生と同様に来られるかどうか分からないですから。貴方の話、聞かせてもらえますか?」
「あ゛ぁ゛?」
残してきた2人が揃う前に話を進め、工藤の隙を突きたい。
(このまま2人のことを無しに、玲ちゃんを助けられれば……)
光の中では今居る面子が、工藤を制圧するのに最大の人員だと考えていた。
言い方は悪いが、残してきた2人は武道の経験は無く、寧ろ守りながら工藤と戦うには弱点にすらなり得てしまう。
で、あるならば、ここで工藤の話を進めつつ、隙を伺いたい。
「2人もどうなっているか分からないですから。今居るメンバーに話をして貰ってもいいですか?」
「あぁ……ぞれもそうが。待つのも飽ぎたしな。良いぜ、話をじてやるよ」
工藤が東風谷と雫のことを諦めて話をしようとした、その時。
――ガチャ――
ドアノブの回る音がした。
「!?」
皆が振り返り、屋上へと通じる扉を見つる。
(2人とも、来るな!)
光は心の中で叫ぶ。だが光の思惑とは裏腹に、扉がゆっくりと開く。
「東風谷さん……野口さん……」
光は姿を現した2人の生徒を見て、呟く。
無事であったことを喜ぶ思いもある。
しかし、この状況で現れた2人の存在は非常に危ういものである。
(来て、しまったんだね……)
真面目な生徒の勇敢な行動、光は2人を責めることはできない。
元はと言えば自分が仕留めきれなかった事に原因があり、負うべき責は光にある。
(2人を絶対に守らなければ……)
現れた2人を守る為、思考を素早く切り替える。
「イヒッ!よぐ来たな2人ども。さぁ、これからの世界の話をしようが!」
観衆は揃ったとばかりに、工藤が高らかに宣下する。
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