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第28話 グレンのお留守番2日目9
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「なんのこやだろう?」
グレンは見つけた建物に駆け寄るも、そこが何の小屋分からずに首を捻る。
小屋は幾つか建てられておりグレンは周りをくるりと回って確かめてみる。
「なか、みてもいいかな?」
グレンは小屋の1つの扉に手をかけて開けてみる。
「おじゃまします……」
鍵はかかっていないため扉はすんなりと開き、中を恐る恐る覗き込むグレン。
「……?」
覗き込んだグレンだが、中をみてもいまいち分からなかった。
色々な道具が置かれ、棚には木の破片のようなものが幾つも置かれている。
木のかけらは細長く丸い、短く切り揃えられていた。
部屋の奥にはガラスで仕切られた別の部屋があり、何やら作業台が置かれていた。
「なんだろう、あとできいてみよ」
グレンには何の作業をしている場所なのか分からないので後でクレア達に聞いてみることにして小屋を後にする。
小屋を出ると牛たちが待っており、牛がこっちだと案内をしてくれる。
「……キノコ?」
牛たちが案内した先には1m程に切り揃えられた木が立て掛けられていた。
横にズラッと並ぶ立て掛けられた木の列。
その木からキノコが生えていた。
「おっきなキノコだ!」
グレンの手のひらサイズの大きさのキノコいくつも生えていた。
ニョキニョキと木から生えたキノコは傘を大きく広げているものから、まだ小さな生えかけのキノコまで様々な大きさのものが所狭しと生えている。
グレンがキノコを見ていると、牛の背中に乗っていた鶏がやってくる。
鶏はキノコの根本を嘴で掴み、一気に引きちぎって収穫する。
「わ、とっちゃっていいの?」
鶏はキノコをグレンが持ってきていた卵用のカゴの中に入れ、持って帰れと言う事のようだ。
「いいの?」
鶏は一鳴きし、大丈夫だと答える。
「じゃあいくつかとっていけば、みんなでたべられるかな」
グレンは生えていたキノコを収穫し、カゴの中へと入れていく。
鶏も収穫を手伝ってくれるため、あっという間3人が食べるには十分な量が集まる。
そもそもよく見れば鶏も嘴に魔力を集中させており、ここの魔獣たちは当たり前の様に魔力を使いこなしているようだった。
「みんなすごいな~ぼくももっとれんしゅうしなきゃ!」
グレンは改めて手足に魔力を集中させる練習をしながら森の中を歩いていく。
他にもいくつかの小屋や施設があるが、それはまた今度確かめることにする。
「ほかにはなにがあるんだろうね?」
グレンは牛たちに話しかけ、カゴを片手に森の道を進む。
◇◇◇
森を抜け、開けた敷地内へと戻って来たグレンは放牧場と森の境目を歩いていた。
魔力を知覚し、手足に魔力を送る訓練も行っている。
もしもの時の為に牛たちがグレンの周りを囲みながら着いてきてくれている。
いつの間にか山羊に羊、豚も合流し、グレンを先頭に集団が作られていた。
「あ、みんなのいえがみえてきたよ。たまごとぎゅうにゅうのかいしゅうしなきゃ」
グレンは手にしたカゴに目線を落とし、寅吉から頼まれていた用事を思い出す。
丘を降りながら進む一行はようやく牛たちの家までやってきた。
「たまごもらってもいいかな?」
グレンは牛の上に乗っている鶏に向かって卵を採る許可をもらおうと話しかける。
鶏は一鳴きし、頭を前後に振って了承の意を表してくれる。
「ありがとう!」
鶏が牛から飛び上がり、着いてこいと促す。
グレンは鶏を追いかけて走り、鶏たちが寝床にしている小屋へとやってきた。
広々とした小屋の中には板で仕切られた箱状の寝床がいくつも並んでいた。
中は清潔に保たれており、糞すら落ちておらず、床は弾き清められており、とても鶏小屋とは思えない雰囲気になっている。
「きれいですねー」
グレンは素直な感想を鶏に向けて述べ、鶏も満足そうに胸を逸らして誇っている。
「これもとりさんたちがじぶんでやってるんですか?」
グレンの疑問に鶏は頷き、右羽を掲げて魔法陣を展開。
床に水が流れ出し、部屋の隅を通る溝に沿って外に流れていく。
更に鶏が別の魔法陣を発動。
今度は緩やかに風が吹き、濡れた床が乾燥されていく。
「おぉー!」
グレンは手をたたきながら、鶏に向かって羨望の眼差しを向ける。
鶏も誇らしげに胸を逸らし、得意げな顔だ。
「とりさんすごいですね!ぼくもはやくできるようになりたいな……」
グレンは羨ましそうに綺麗になった床を見つめ、俯く。
鶏はそんなグレンの頭の上に飛び乗り「まぁ焦んなさんな」とばかりに一鳴きする。
「ありがとうございます。じゃあたまごもらいますね」
グレンは仕切りの中にある卵を手に取り、カゴの中へと入れていく。
鶏たちは卵を温めることなく卵だけが放置されている状態だ。
(あたためないのかな?)
グレンは不思議に思いながらもいくつかの卵を回収し、珍しく鶏が入っている仕切りに手を伸ばそうとした時、頭の上の鶏がグレンの頭を突く。
「いたっ!なに!?いたい!」
手を伸ばす度に頭を突かれ、グレンの手が止まる。
「えっと……これはとっちゃダメなの?」
――コケー――
どうやらこの卵は採ってはいけない卵らしい。
グレンが手を引っ込めると鶏は頭を突くのをやめ、手を伸ばすと突かれる。
(なにがちがうんだろう……)
グレンが採ってよい卵とダメな卵の違いが分からず、疑問に思いながら鶏が温めている卵を見ているのと、おもむろに鶏が立ち上がり、卵をジッと見始めた。
「?、なにしてるんだろう……あっ」
グレンが不思議に思った見ていた卵が揺れ始めた。
コトコトと動く卵は、やがて殻にヒビが入り、黄色い嘴の先が顔を覗かせる。
「うまれる!」
ペリペリと殻の欠片をくちばひで、一生懸命外している。
「がんばれー!もうちょっと!」
雛を驚かせないよに、小さな声で応援するグレン。
ついに雛の頭が殻から出てきた。
雛はつぶらな瞳で母鶏を見て、ピーピー鳴き始める。
「やったー!うまれたー!」
グレンは緊張しながら見ていたようで、鶏も気付かないうちにグレンの肩に止まって雛の孵化を見守っていたようだ。
グレンは鶏と顔を見合わせて、雛の誕生を喜び合う。
「やった!やったー!」
飛び跳ねて喜ぶグレンと謎の喜びの舞を舞う鶏。
「キタキタやってきたー」
グレンも釣られて踊り出す。
2人は暫くの間喜びの舞を踊るのであった。
◇◇◇
「つまり、とっていいたまごととっちゃいけないたまごがあるんだね?」
一頻り喜びの舞いを舞ったグレンは、鶏から採ってよい卵とダメな卵がある事を何となく教わる。
基本的には無精卵は採ってよし、有精卵は雛を孵すためにそのまま置いておくということだ。
グレンはそんなことを知る由もないので、何となくどれが採っていいか、いけないかを覚えていく。
「とりさんがあたためてたらダメ、いなければだいじょうぶ?」
鶏は頷き、肯定を示す。
グレンはそれに従い、温められていない卵を回収していく。
卵を10個ほど回収してカゴが賑やかになる。
「たまごいっぱい!ありがとうございます!」
グレンは鶏にお礼を言い、鶏と共に寝床を出て続いて牛の寝床へとやってきた。
「うしさんのところもきれいですね!まほうですか?」
鶏たちの寝床と同様に牛たちの寝床も清潔に保たれており、グレンも牛が魔術を使っているのだろうと尋ねてみる。
牛も魔法陣を展開して見せ、その通りと答える。
「やっぱり!みんなすごいなー」
牛や鶏の魔術を見てグレンは羨ましそうに眺めていた。
使ってみたいが、まだ魔力の知覚ができるようになったばかりである。
「クレアさん、はやくおしえてくれないかな~」
グレンはクレアたちの帰りを心待ちにしながら、牛乳を絞るための準備を始める。
棚には牛乳を絞るための道具が置かれており、バケツに牛乳保管用のミルク缶が置かれていた。
グレンはバケツを用意して牛乳が搾れそうな牛を探す。
「だれがいいかな?」
寝床では何頭かの牛が寝ていたが、みな牛乳を搾らせてくれる様子はない。
グレンは困り顔で外の牛に頼むかと寝床を出ようかとした時、グレンの前に姉御が立ち塞がる。
「あねご……!しぼらせてくれるの?」
姉御の乳房は張っており、どうやら母牛のようだ。
グレンは早速バケツを置き、姉御から牛乳を搾らせてもらう。
バケツ一杯になるまで牛乳を搾ると、ミルク缶を準備してバケツから移していく。
「よっ……あれ?いがいとかるい?あっ、まりょくのおかげか!」
バケツ一杯の牛乳をいつもよりお軽く持ち上げられ、グレンは魔力を手足に巡らせていることの効果を実感する。
ミルク缶に移し終えると蓋を閉めて持ち上げてみる。
「うん、いける……カゴがもてない……」
流石にミルク缶は片手では持てないため、卵と椎茸の入ったカゴが持てなくなってしまった。
グレンが困っていると、牛が任せろと一歩前に出る。
グレンにミルク缶を置くように合図し、置かれたミルク缶を牛がおもむろに咥える。
「えっ?そのままもってくの?」
牛がミルク缶を咥えて運ぶのかと思ったグレンだが、牛はミルク缶を上空へと放り投げた。
「えぇぇぇぇぇぇ!!」
グレンが叫ぶ。宙を舞うミルク缶。
クルクルと回転しながら落下してくるミルク缶は牛を直撃するコースだ。
「あぶない!」
グレンが助けに入ろうと駆け出すが、牛は前脚を挙げてグレンを静止する。
ドンッと牛の背中を直撃したミルク缶。
「だ、だいじょうぶ……?」
グレンが心配そうに牛に話しかけるが牛は一鳴きして、問題ないと答える。
グレンは牛の背中を見ると、どう言うバランスなのか、首の根本辺りにミルク缶が立って乗っていた。
「おぉ!すごい!」
姉御も得意げな表情で家に向かって歩き出す。
外で待っていた他の動物たちも集まり、グレン一行は家を目指して進む。
グレンは歩きながらふと空を見ると、遠くから何かがこちらに向かって飛んできているのが見えた。
「あ、クレアさんと寅吉さんだ!おーい!」
向かってきているのがクレア達と気が付きグレンは大きく手を振って合図する。
急速に近付いてくる人影は何故か行列となっており、グレンも呆気に取られてクレア達を待つ。
「ただいまー。そっちも行列だねー」
「にゃ、卵と椎茸もあるのか……牛乳は……牛の上?」
「みんなにたすけてもらいました、これからもどるところです」
地上に着地したクレア達と簡単な報告をしながらグレンは牛たちを見渡す。
「仲良くなれて良かったね。で、こっちもお願いがあるんだけど……」
クレアは後ろで怯えている家畜たちを紹介して世話が頼めるかと牛たちに聞いてみる。
牛たちは任せろと鳴き、それを聞いてクレアと寅吉も一安心したようで、ホッと胸を撫で下ろす。
「よかった~、断られたらどうしようかと思ってたから……よし、じゃあうちに帰ろうか」
「はい!」
「課題は上手くいったか?」
「はい!いわやまがおもしろかったです!おちたけど!」
「「えっ!?」」
「あねごがたすけてくれました!」
「「あねご!?」」
「はい!」
「あとで詳しく聞かせてね……」
「んなー、頼むぞ……」
一行は家路を急いだ。
グレンは見つけた建物に駆け寄るも、そこが何の小屋分からずに首を捻る。
小屋は幾つか建てられておりグレンは周りをくるりと回って確かめてみる。
「なか、みてもいいかな?」
グレンは小屋の1つの扉に手をかけて開けてみる。
「おじゃまします……」
鍵はかかっていないため扉はすんなりと開き、中を恐る恐る覗き込むグレン。
「……?」
覗き込んだグレンだが、中をみてもいまいち分からなかった。
色々な道具が置かれ、棚には木の破片のようなものが幾つも置かれている。
木のかけらは細長く丸い、短く切り揃えられていた。
部屋の奥にはガラスで仕切られた別の部屋があり、何やら作業台が置かれていた。
「なんだろう、あとできいてみよ」
グレンには何の作業をしている場所なのか分からないので後でクレア達に聞いてみることにして小屋を後にする。
小屋を出ると牛たちが待っており、牛がこっちだと案内をしてくれる。
「……キノコ?」
牛たちが案内した先には1m程に切り揃えられた木が立て掛けられていた。
横にズラッと並ぶ立て掛けられた木の列。
その木からキノコが生えていた。
「おっきなキノコだ!」
グレンの手のひらサイズの大きさのキノコいくつも生えていた。
ニョキニョキと木から生えたキノコは傘を大きく広げているものから、まだ小さな生えかけのキノコまで様々な大きさのものが所狭しと生えている。
グレンがキノコを見ていると、牛の背中に乗っていた鶏がやってくる。
鶏はキノコの根本を嘴で掴み、一気に引きちぎって収穫する。
「わ、とっちゃっていいの?」
鶏はキノコをグレンが持ってきていた卵用のカゴの中に入れ、持って帰れと言う事のようだ。
「いいの?」
鶏は一鳴きし、大丈夫だと答える。
「じゃあいくつかとっていけば、みんなでたべられるかな」
グレンは生えていたキノコを収穫し、カゴの中へと入れていく。
鶏も収穫を手伝ってくれるため、あっという間3人が食べるには十分な量が集まる。
そもそもよく見れば鶏も嘴に魔力を集中させており、ここの魔獣たちは当たり前の様に魔力を使いこなしているようだった。
「みんなすごいな~ぼくももっとれんしゅうしなきゃ!」
グレンは改めて手足に魔力を集中させる練習をしながら森の中を歩いていく。
他にもいくつかの小屋や施設があるが、それはまた今度確かめることにする。
「ほかにはなにがあるんだろうね?」
グレンは牛たちに話しかけ、カゴを片手に森の道を進む。
◇◇◇
森を抜け、開けた敷地内へと戻って来たグレンは放牧場と森の境目を歩いていた。
魔力を知覚し、手足に魔力を送る訓練も行っている。
もしもの時の為に牛たちがグレンの周りを囲みながら着いてきてくれている。
いつの間にか山羊に羊、豚も合流し、グレンを先頭に集団が作られていた。
「あ、みんなのいえがみえてきたよ。たまごとぎゅうにゅうのかいしゅうしなきゃ」
グレンは手にしたカゴに目線を落とし、寅吉から頼まれていた用事を思い出す。
丘を降りながら進む一行はようやく牛たちの家までやってきた。
「たまごもらってもいいかな?」
グレンは牛の上に乗っている鶏に向かって卵を採る許可をもらおうと話しかける。
鶏は一鳴きし、頭を前後に振って了承の意を表してくれる。
「ありがとう!」
鶏が牛から飛び上がり、着いてこいと促す。
グレンは鶏を追いかけて走り、鶏たちが寝床にしている小屋へとやってきた。
広々とした小屋の中には板で仕切られた箱状の寝床がいくつも並んでいた。
中は清潔に保たれており、糞すら落ちておらず、床は弾き清められており、とても鶏小屋とは思えない雰囲気になっている。
「きれいですねー」
グレンは素直な感想を鶏に向けて述べ、鶏も満足そうに胸を逸らして誇っている。
「これもとりさんたちがじぶんでやってるんですか?」
グレンの疑問に鶏は頷き、右羽を掲げて魔法陣を展開。
床に水が流れ出し、部屋の隅を通る溝に沿って外に流れていく。
更に鶏が別の魔法陣を発動。
今度は緩やかに風が吹き、濡れた床が乾燥されていく。
「おぉー!」
グレンは手をたたきながら、鶏に向かって羨望の眼差しを向ける。
鶏も誇らしげに胸を逸らし、得意げな顔だ。
「とりさんすごいですね!ぼくもはやくできるようになりたいな……」
グレンは羨ましそうに綺麗になった床を見つめ、俯く。
鶏はそんなグレンの頭の上に飛び乗り「まぁ焦んなさんな」とばかりに一鳴きする。
「ありがとうございます。じゃあたまごもらいますね」
グレンは仕切りの中にある卵を手に取り、カゴの中へと入れていく。
鶏たちは卵を温めることなく卵だけが放置されている状態だ。
(あたためないのかな?)
グレンは不思議に思いながらもいくつかの卵を回収し、珍しく鶏が入っている仕切りに手を伸ばそうとした時、頭の上の鶏がグレンの頭を突く。
「いたっ!なに!?いたい!」
手を伸ばす度に頭を突かれ、グレンの手が止まる。
「えっと……これはとっちゃダメなの?」
――コケー――
どうやらこの卵は採ってはいけない卵らしい。
グレンが手を引っ込めると鶏は頭を突くのをやめ、手を伸ばすと突かれる。
(なにがちがうんだろう……)
グレンが採ってよい卵とダメな卵の違いが分からず、疑問に思いながら鶏が温めている卵を見ているのと、おもむろに鶏が立ち上がり、卵をジッと見始めた。
「?、なにしてるんだろう……あっ」
グレンが不思議に思った見ていた卵が揺れ始めた。
コトコトと動く卵は、やがて殻にヒビが入り、黄色い嘴の先が顔を覗かせる。
「うまれる!」
ペリペリと殻の欠片をくちばひで、一生懸命外している。
「がんばれー!もうちょっと!」
雛を驚かせないよに、小さな声で応援するグレン。
ついに雛の頭が殻から出てきた。
雛はつぶらな瞳で母鶏を見て、ピーピー鳴き始める。
「やったー!うまれたー!」
グレンは緊張しながら見ていたようで、鶏も気付かないうちにグレンの肩に止まって雛の孵化を見守っていたようだ。
グレンは鶏と顔を見合わせて、雛の誕生を喜び合う。
「やった!やったー!」
飛び跳ねて喜ぶグレンと謎の喜びの舞を舞う鶏。
「キタキタやってきたー」
グレンも釣られて踊り出す。
2人は暫くの間喜びの舞を踊るのであった。
◇◇◇
「つまり、とっていいたまごととっちゃいけないたまごがあるんだね?」
一頻り喜びの舞いを舞ったグレンは、鶏から採ってよい卵とダメな卵がある事を何となく教わる。
基本的には無精卵は採ってよし、有精卵は雛を孵すためにそのまま置いておくということだ。
グレンはそんなことを知る由もないので、何となくどれが採っていいか、いけないかを覚えていく。
「とりさんがあたためてたらダメ、いなければだいじょうぶ?」
鶏は頷き、肯定を示す。
グレンはそれに従い、温められていない卵を回収していく。
卵を10個ほど回収してカゴが賑やかになる。
「たまごいっぱい!ありがとうございます!」
グレンは鶏にお礼を言い、鶏と共に寝床を出て続いて牛の寝床へとやってきた。
「うしさんのところもきれいですね!まほうですか?」
鶏たちの寝床と同様に牛たちの寝床も清潔に保たれており、グレンも牛が魔術を使っているのだろうと尋ねてみる。
牛も魔法陣を展開して見せ、その通りと答える。
「やっぱり!みんなすごいなー」
牛や鶏の魔術を見てグレンは羨ましそうに眺めていた。
使ってみたいが、まだ魔力の知覚ができるようになったばかりである。
「クレアさん、はやくおしえてくれないかな~」
グレンはクレアたちの帰りを心待ちにしながら、牛乳を絞るための準備を始める。
棚には牛乳を絞るための道具が置かれており、バケツに牛乳保管用のミルク缶が置かれていた。
グレンはバケツを用意して牛乳が搾れそうな牛を探す。
「だれがいいかな?」
寝床では何頭かの牛が寝ていたが、みな牛乳を搾らせてくれる様子はない。
グレンは困り顔で外の牛に頼むかと寝床を出ようかとした時、グレンの前に姉御が立ち塞がる。
「あねご……!しぼらせてくれるの?」
姉御の乳房は張っており、どうやら母牛のようだ。
グレンは早速バケツを置き、姉御から牛乳を搾らせてもらう。
バケツ一杯になるまで牛乳を搾ると、ミルク缶を準備してバケツから移していく。
「よっ……あれ?いがいとかるい?あっ、まりょくのおかげか!」
バケツ一杯の牛乳をいつもよりお軽く持ち上げられ、グレンは魔力を手足に巡らせていることの効果を実感する。
ミルク缶に移し終えると蓋を閉めて持ち上げてみる。
「うん、いける……カゴがもてない……」
流石にミルク缶は片手では持てないため、卵と椎茸の入ったカゴが持てなくなってしまった。
グレンが困っていると、牛が任せろと一歩前に出る。
グレンにミルク缶を置くように合図し、置かれたミルク缶を牛がおもむろに咥える。
「えっ?そのままもってくの?」
牛がミルク缶を咥えて運ぶのかと思ったグレンだが、牛はミルク缶を上空へと放り投げた。
「えぇぇぇぇぇぇ!!」
グレンが叫ぶ。宙を舞うミルク缶。
クルクルと回転しながら落下してくるミルク缶は牛を直撃するコースだ。
「あぶない!」
グレンが助けに入ろうと駆け出すが、牛は前脚を挙げてグレンを静止する。
ドンッと牛の背中を直撃したミルク缶。
「だ、だいじょうぶ……?」
グレンが心配そうに牛に話しかけるが牛は一鳴きして、問題ないと答える。
グレンは牛の背中を見ると、どう言うバランスなのか、首の根本辺りにミルク缶が立って乗っていた。
「おぉ!すごい!」
姉御も得意げな表情で家に向かって歩き出す。
外で待っていた他の動物たちも集まり、グレン一行は家を目指して進む。
グレンは歩きながらふと空を見ると、遠くから何かがこちらに向かって飛んできているのが見えた。
「あ、クレアさんと寅吉さんだ!おーい!」
向かってきているのがクレア達と気が付きグレンは大きく手を振って合図する。
急速に近付いてくる人影は何故か行列となっており、グレンも呆気に取られてクレア達を待つ。
「ただいまー。そっちも行列だねー」
「にゃ、卵と椎茸もあるのか……牛乳は……牛の上?」
「みんなにたすけてもらいました、これからもどるところです」
地上に着地したクレア達と簡単な報告をしながらグレンは牛たちを見渡す。
「仲良くなれて良かったね。で、こっちもお願いがあるんだけど……」
クレアは後ろで怯えている家畜たちを紹介して世話が頼めるかと牛たちに聞いてみる。
牛たちは任せろと鳴き、それを聞いてクレアと寅吉も一安心したようで、ホッと胸を撫で下ろす。
「よかった~、断られたらどうしようかと思ってたから……よし、じゃあうちに帰ろうか」
「はい!」
「課題は上手くいったか?」
「はい!いわやまがおもしろかったです!おちたけど!」
「「えっ!?」」
「あねごがたすけてくれました!」
「「あねご!?」」
「はい!」
「あとで詳しく聞かせてね……」
「んなー、頼むぞ……」
一行は家路を急いだ。
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