趣味に全力!森の魔女は勝手気ままに生きたい 〜気になる漫画の続きが読みたいので、弟子を取りました〜

蒼烏

文字の大きさ
28 / 31

第28話 グレンのお留守番2日目9

しおりを挟む
「なんのこやだろう?」

 グレンは見つけた建物に駆け寄るも、そこが何の小屋分からずに首を捻る。
 小屋は幾つか建てられておりグレンは周りをくるりと回って確かめてみる。

「なか、みてもいいかな?」

 グレンは小屋の1つの扉に手をかけて開けてみる。

「おじゃまします……」

 鍵はかかっていないため扉はすんなりと開き、中を恐る恐る覗き込むグレン。

「……?」

 覗き込んだグレンだが、中をみてもいまいち分からなかった。

 色々な道具が置かれ、棚には木の破片のようなものが幾つも置かれている。
 木のかけらは細長く丸い、短く切り揃えられていた。
 部屋の奥にはガラスで仕切られた別の部屋があり、何やら作業台が置かれていた。

「なんだろう、あとできいてみよ」

 グレンには何の作業をしている場所なのか分からないので後でクレア達に聞いてみることにして小屋を後にする。
 小屋を出ると牛たちが待っており、牛がこっちだと案内をしてくれる。

「……キノコ?」

 牛たちが案内した先には1m程に切り揃えられた木が立て掛けられていた。
 横にズラッと並ぶ立て掛けられた木の列。
 その木からキノコが生えていた。
 
「おっきなキノコだ!」

 グレンの手のひらサイズの大きさのキノコいくつも生えていた。
 ニョキニョキと木から生えたキノコは傘を大きく広げているものから、まだ小さな生えかけのキノコまで様々な大きさのものが所狭しと生えている。
 グレンがキノコを見ていると、牛の背中に乗っていた鶏がやってくる。
 鶏はキノコの根本を嘴で掴み、一気に引きちぎって収穫する。

「わ、とっちゃっていいの?」
 
 鶏はキノコをグレンが持ってきていた卵用のカゴの中に入れ、持って帰れと言う事のようだ。

「いいの?」

 鶏は一鳴きし、大丈夫だと答える。

「じゃあいくつかとっていけば、みんなでたべられるかな」

 グレンは生えていたキノコを収穫し、カゴの中へと入れていく。
 鶏も収穫を手伝ってくれるため、あっという間3人が食べるには十分な量が集まる。
 そもそもよく見れば鶏も嘴に魔力を集中させており、ここの魔獣たちは当たり前の様に魔力を使いこなしているようだった。

「みんなすごいな~ぼくももっとれんしゅうしなきゃ!」

 グレンは改めて手足に魔力を集中させる練習をしながら森の中を歩いていく。
 他にもいくつかの小屋や施設があるが、それはまた今度確かめることにする。

「ほかにはなにがあるんだろうね?」

 グレンは牛たちに話しかけ、カゴを片手に森の道を進む。

 ◇◇◇

 森を抜け、開けた敷地内へと戻って来たグレンは放牧場と森の境目を歩いていた。
 魔力を知覚し、手足に魔力を送る訓練も行っている。
 もしもの時の為に牛たちがグレンの周りを囲みながら着いてきてくれている。
 いつの間にか山羊に羊、豚も合流し、グレンを先頭に集団が作られていた。

「あ、みんなのいえがみえてきたよ。たまごとぎゅうにゅうのかいしゅうしなきゃ」

 グレンは手にしたカゴに目線を落とし、寅吉から頼まれていた用事を思い出す。
 丘を降りながら進む一行はようやく牛たちの家までやってきた。

「たまごもらってもいいかな?」

 グレンは牛の上に乗っている鶏に向かって卵を採る許可をもらおうと話しかける。
 鶏は一鳴きし、頭を前後に振って了承の意を表してくれる。

「ありがとう!」

 鶏が牛から飛び上がり、着いてこいと促す。
 グレンは鶏を追いかけて走り、鶏たちが寝床にしている小屋へとやってきた。
 広々とした小屋の中には板で仕切られた箱状の寝床がいくつも並んでいた。
 中は清潔に保たれており、糞すら落ちておらず、床は弾き清められており、とても鶏小屋とは思えない雰囲気になっている。
 
「きれいですねー」
 
 グレンは素直な感想を鶏に向けて述べ、鶏も満足そうに胸を逸らして誇っている。

「これもとりさんたちがじぶんでやってるんですか?」

 グレンの疑問に鶏は頷き、右羽を掲げて魔法陣を展開。
 床に水が流れ出し、部屋の隅を通る溝に沿って外に流れていく。
 更に鶏が別の魔法陣を発動。
 今度は緩やかに風が吹き、濡れた床が乾燥されていく。

「おぉー!」

 グレンは手をたたきながら、鶏に向かって羨望の眼差しを向ける。
 鶏も誇らしげに胸を逸らし、得意げな顔だ。

「とりさんすごいですね!ぼくもはやくできるようになりたいな……」

 グレンは羨ましそうに綺麗になった床を見つめ、俯く。
 鶏はそんなグレンの頭の上に飛び乗り「まぁ焦んなさんな」とばかりに一鳴きする。

「ありがとうございます。じゃあたまごもらいますね」

 グレンは仕切りの中にある卵を手に取り、カゴの中へと入れていく。
 鶏たちは卵を温めることなく卵だけが放置されている状態だ。

(あたためないのかな?)

 グレンは不思議に思いながらもいくつかの卵を回収し、珍しく鶏が入っている仕切りに手を伸ばそうとした時、頭の上の鶏がグレンの頭を突く。

「いたっ!なに!?いたい!」

 手を伸ばす度に頭を突かれ、グレンの手が止まる。

「えっと……これはとっちゃダメなの?」
――コケー――

 どうやらこの卵は採ってはいけない卵らしい。
 グレンが手を引っ込めると鶏は頭を突くのをやめ、手を伸ばすと突かれる。

(なにがちがうんだろう……)

 グレンが採ってよい卵とダメな卵の違いが分からず、疑問に思いながら鶏が温めている卵を見ているのと、おもむろに鶏が立ち上がり、卵をジッと見始めた。

「?、なにしてるんだろう……あっ」

 グレンが不思議に思った見ていた卵が揺れ始めた。
 コトコトと動く卵は、やがて殻にヒビが入り、黄色い嘴の先が顔を覗かせる。

「うまれる!」

 ペリペリと殻の欠片をくちばひで、一生懸命外している。

「がんばれー!もうちょっと!」

 雛を驚かせないよに、小さな声で応援するグレン。
 ついに雛の頭が殻から出てきた。
 雛はつぶらな瞳で母鶏を見て、ピーピー鳴き始める。

「やったー!うまれたー!」

 グレンは緊張しながら見ていたようで、鶏も気付かないうちにグレンの肩に止まって雛の孵化を見守っていたようだ。
 グレンは鶏と顔を見合わせて、雛の誕生を喜び合う。
 
 「やった!やったー!」

 飛び跳ねて喜ぶグレンと謎の喜びの舞を舞う鶏。

「キタキタやってきたー」

 グレンも釣られて踊り出す。
 2人は暫くの間喜びの舞を踊るのであった。

 ◇◇◇

「つまり、とっていいたまごととっちゃいけないたまごがあるんだね?」

 一頻り喜びの舞いを舞ったグレンは、鶏から採ってよい卵とダメな卵がある事を何となく教わる。
 基本的には無精卵は採ってよし、有精卵は雛を孵すためにそのまま置いておくということだ。
 グレンはそんなことを知る由もないので、何となくどれが採っていいか、いけないかを覚えていく。

「とりさんがあたためてたらダメ、いなければだいじょうぶ?」

 鶏は頷き、肯定を示す。
 グレンはそれに従い、温められていない卵を回収していく。
 卵を10個ほど回収してカゴが賑やかになる。

「たまごいっぱい!ありがとうございます!」

 グレンは鶏にお礼を言い、鶏と共に寝床を出て続いて牛の寝床へとやってきた。

「うしさんのところもきれいですね!まほうですか?」

 鶏たちの寝床と同様に牛たちの寝床も清潔に保たれており、グレンも牛が魔術を使っているのだろうと尋ねてみる。
 牛も魔法陣を展開して見せ、その通りと答える。

「やっぱり!みんなすごいなー」

 牛や鶏の魔術を見てグレンは羨ましそうに眺めていた。
 使ってみたいが、まだ魔力の知覚ができるようになったばかりである。

「クレアさん、はやくおしえてくれないかな~」

 グレンはクレアたちの帰りを心待ちにしながら、牛乳を絞るための準備を始める。
 棚には牛乳を絞るための道具が置かれており、バケツに牛乳保管用のミルク缶が置かれていた。
 グレンはバケツを用意して牛乳が搾れそうな牛を探す。

「だれがいいかな?」

 寝床では何頭かの牛が寝ていたが、みな牛乳を搾らせてくれる様子はない。
 グレンは困り顔で外の牛に頼むかと寝床を出ようかとした時、グレンの前に姉御が立ち塞がる。

「あねご……!しぼらせてくれるの?」

 姉御の乳房は張っており、どうやら母牛のようだ。
 グレンは早速バケツを置き、姉御から牛乳を搾らせてもらう。
 バケツ一杯になるまで牛乳を搾ると、ミルク缶を準備してバケツから移していく。

「よっ……あれ?いがいとかるい?あっ、まりょくのおかげか!」

 バケツ一杯の牛乳をいつもよりお軽く持ち上げられ、グレンは魔力を手足に巡らせていることの効果を実感する。
 ミルク缶に移し終えると蓋を閉めて持ち上げてみる。

「うん、いける……カゴがもてない……」
 
 流石にミルク缶は片手では持てないため、卵と椎茸の入ったカゴが持てなくなってしまった。
 グレンが困っていると、牛が任せろと一歩前に出る。
 グレンにミルク缶を置くように合図し、置かれたミルク缶を牛がおもむろに咥える。

「えっ?そのままもってくの?」

 牛がミルク缶を咥えて運ぶのかと思ったグレンだが、牛はミルク缶を上空へと放り投げた。

「えぇぇぇぇぇぇ!!」

 グレンが叫ぶ。宙を舞うミルク缶。
 クルクルと回転しながら落下してくるミルク缶は牛を直撃するコースだ。

「あぶない!」

 グレンが助けに入ろうと駆け出すが、牛は前脚を挙げてグレンを静止する。
 ドンッと牛の背中を直撃したミルク缶。

「だ、だいじょうぶ……?」

 グレンが心配そうに牛に話しかけるが牛は一鳴きして、問題ないと答える。
 グレンは牛の背中を見ると、どう言うバランスなのか、首の根本辺りにミルク缶が立って乗っていた。

「おぉ!すごい!」

 姉御も得意げな表情で家に向かって歩き出す。
 外で待っていた他の動物たちも集まり、グレン一行は家を目指して進む。
 グレンは歩きながらふと空を見ると、遠くから何かがこちらに向かって飛んできているのが見えた。

「あ、クレアさんと寅吉さんだ!おーい!」

 向かってきているのがクレア達と気が付きグレンは大きく手を振って合図する。
 急速に近付いてくる人影は何故か行列となっており、グレンも呆気に取られてクレア達を待つ。

「ただいまー。そっちも行列だねー」
「にゃ、卵と椎茸もあるのか……牛乳は……牛の上?」
「みんなにたすけてもらいました、これからもどるところです」

 地上に着地したクレア達と簡単な報告をしながらグレンは牛たちを見渡す。

「仲良くなれて良かったね。で、こっちもお願いがあるんだけど……」

 クレアは後ろで怯えている家畜たちを紹介して世話が頼めるかと牛たちに聞いてみる。
 牛たちは任せろと鳴き、それを聞いてクレアと寅吉も一安心したようで、ホッと胸を撫で下ろす。

「よかった~、断られたらどうしようかと思ってたから……よし、じゃあうちに帰ろうか」
「はい!」
「課題は上手くいったか?」
「はい!いわやまがおもしろかったです!おちたけど!」
「「えっ!?」」
「あねごがたすけてくれました!」
「「あねご!?」」
「はい!」
「あとで詳しく聞かせてね……」
「んなー、頼むぞ……」

 一行は家路を急いだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果

てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。 とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。 「とりあえずブラッシングさせてくれません?」 毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。 そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。 ※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

この世界、イケメンが迫害されてるってマジ!?〜アホの子による無自覚救済物語〜

具なっしー
恋愛
※この表紙は前世基準。本編では美醜逆転してます。AIです 転生先は──美醜逆転、男女比20:1の世界!? 肌は真っ白、顔のパーツは小さければ小さいほど美しい!? その結果、地球基準の超絶イケメンたちは “醜男(キメオ)” と呼ばれ、迫害されていた。 そんな世界に爆誕したのは、脳みそふわふわアホの子・ミーミ。 前世で「喋らなければ可愛い」と言われ続けた彼女に同情した神様は、 「この子は救済が必要だ…!」と世界一の美少女に転生させてしまった。 「ひきわり納豆顔じゃん!これが美しいの??」 己の欲望のために押せ押せ行動するアホの子が、 結果的にイケメン達を救い、世界を変えていく──! 「すきーー♡結婚してください!私が幸せにしますぅ〜♡♡♡」 でも、気づけば彼らが全方向から迫ってくる逆ハーレム状態に……! アホの子が無自覚に世界を救う、 価値観バグりまくりご都合主義100%ファンタジーラブコメ!

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

処理中です...