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第21話 グレンのお留守番2日目2
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「おはようございます」
「おはよー、体調は大丈夫?」
「はい、もうだいじょうぶです」
「そうか、それはよかった。じゃあこれを持っていってくれ」
「はい」
グレンは階段を降りながら、クレアと寅吉に朝の挨拶をする。
まだ少し眠いのか目をこすりながら台所へと降りてきたグレンは、寅吉から朝食の乗ったお皿を渡されてテーブルへと運ぶ。
「あっ、今日もサンドイッチだ!」
大皿に所狭しと乗ったサンドイッチを見て、グレンの眠気が飛ぶ。
「昨日と一緒で悪いな、また今日も出かけてこないと行けなくてな」
「だいじょうぶです!サンドイッチだいすきです!」
ウキウキでサンドイッチを運ぶグレン。
クレアもお茶の準備をしている。
「グレン、こっちも運んでくれる?熱いから気をつけてね」
「はい」
台所でお茶を入れていたクレアからティーカップを渡され、グレンは一脚手に取り慎重に運ぶ。
運びながらグレンの鼻腔をくすぐるのは、ほのかな甘いベリーの香り。
紅茶の芳しい香りと相まって、グレンの空腹を刺激する。
「いい香りでしょ?」
「はい、すごくおいしそうです」
「でしょ?私のお気に入りの紅茶なんだ」
グレンが紅茶の香りで呆けているのを見て、クレアが嬉しそうに声をかける。
どうやらこの紅茶はクレアのお気に入りらしく、グレンに褒められてクレアも嬉しそうに鼻歌を歌いながら残りのカップを持ってテーブルへと運ぶ。
グレンも一緒になって運び、もう一度その香りを楽しみ楽しみが増えたと言わんばかりの表情で歩いていく。
「スープもあるからな」
寅吉はそう言いながらカップに入ったスープを運び、皆の前に置いていく。
「きょうはちがうスープですか?」
昨日の黄金のスープとは違い、白く白濁している。
「んにゃ、基本は一緒だ。あのスープに牛乳を入れて作ったミルクスープだ。今朝は意外と涼しかったからな、温まるものにした」
グレンはなるほどと頷きながらスープを眺める。
牛乳の白濁したスープの中には野菜がゴロゴロと入っている。
にんじん、玉ねぎに色合いとして緑色の葉物野菜が入っている。
「あ、ベーコンまではいってる」
大きく切られたベーコンを見つけてグレンが嬉しそうに声を上げる。
「よし、揃ったな」
「では」
「「「いただきます」」」
手を合わせ、早速サンドイッチに手を伸ばすグレン。
手に取ったサンドイッチの中には昨日とは違った食材が挟まれている。
「このあかのはなんですか?」
「ん、それはトマトだね。甘酸っぱくて美味しいよ~」
クレアもサンドイッチを美味しそうに頬張りながらトマトサンドを勧めてくる。
「まあ、苦手なものもあるかもしれないが、一回は食べてみろ。食わず嫌いは勿体無いからな」
「そそ、どうしても苦手なものはあるからね。でも挑戦しないで諦めちゃったら、勿体無いでしょ?苦手なら苦手って、分かればいいんだから」
「……はい」
グレンは見たことのない野菜に躊躇しながらも、クレア達に背中を押されて恐る恐るトマトサンドを口にする。
「――!」
「どう?」
「どうだ?」
目を瞑ったまま無言でサンドイッチを頬張るグレンを見て、クレアと寅吉は心配そうにグレンを覗き込む。
「おいしいです!」
グレンは目を見開き、満面の笑みでそう答えると、手にしたトマトサンドを一気に食べていく。
「にゃ、気に入ってくれたか」
「はい!」
「凄いねー、私は最初苦手だったんだよね……」
「よくトマトだけ残してたからな」
「だって!あの青臭いの苦手だったんだもん!」
「こんなにおいしいのに?」
クレアの言い方からそんなに青臭いだろうかと首を傾げ、トマトだけを食べてみるグレン。
だが、クレアの言うほどの青臭さは感じられない。
「昔の話だ、まだ上手く作れなくてな。結構青臭いトマトだったんだ」
「へー、これもとらきちさんがつくったんですか?」
「そうだ、外の畑で作ったものを倉庫で保管してあったものだ。本当は夏の野菜だからな」
どうやら夏に収穫したものを“倉庫”保管することで、春先まで美味しく食べることができるようだ。
「そうこ、すごいですね」
「本当に便利だよね。食料にも困らないし、あそこに置いておくと時間の経過も止められたりするしね」
「あんなに食料突っ込んでるのうちら位のものだけどな……」
「いいじゃん、ご飯が美味しく食べられるんだし」
グレンも美味しいご飯が食べられるのならそんな素晴らしいことはないと頷く。
グレンはスープを口にしながらサンドイッチと交互に食べていき、時折紅茶を挟む。
紅茶を口にしてグレンの動きが止まる。
爽やかな香りと仄かにか感じる甘い香り。
目を瞑ってもう一口、口に含む。
「スープもおちゃも、すごくおいしいです!」
「やった!この紅茶好き?」
「はい、ちょっとあまいかおりがするのがいいです」
「そうだよね!そう、そうなんだよ!この仄かな香りが良いんだよ~」
クレアは恍惚とした表情で紅茶の良さを語り、自らもその香りを楽しむ。
「こ、こっちのスープはどうだった……」
「ミルクスープもおいしかったです!きのうのきんいろのスープもおいしかったですけど、こっちはぐもおにくもいっぱいはいってて、さいこうです!」
「んな~、最高か~お代わりもあるから沢山食べるんだぞ」
「はい!」
寅吉は平静を装いながら立ち上がり、スープのお代わりをしに行く。
だが、その後ろ姿は尻尾がブンブンと大きく揺れており、心なしかゴロゴロと喉が鳴っているように聞こえた。
グレンは楽しそうにクレアと寅吉を見ながら、今日はどんな勉強をするのかと考えていた。
◇◇◇
「ふひーお腹いっぱい」
「ごちそうさまでした」
「お粗末さまでした。さて今日の予定だが……グレン、すまないが今日も留守番をしていてくれ」
片付けを終え、テーブルについた寅吉は今日の予定を切り出す。
「ごめんね……今日で終わるとおもうから」
クレアも手を合わせてグレンに申し訳ないとってくる。
「だいじょうぶです!きょうはきのうみたいなしっぱいはしません!」
「そう、そのことなんだけど……」
クレアは姿勢を正し、グレンを目を見て話だす。
「グレンの魔法の師匠である森の魔女として、グレンに魔力操作の修行をしてもらいます」
「っ!はい!」
グレンも姿勢を正し、クレアの目を見る。
「と言っても、難しいことはないし、危ないことはさせないよ。グレン、今君は“魔力の知覚”“覚醒”“解放”をできるようになっているの。本来ならじっくり時間をかけて修行していくところなんだけど、一気に1日でできるようになっちゃったからね」
「はい……」
グレンは昨日このことを思い出し、申し訳なさそうにクレアから視線を外し、テーブルを見つめる。
「別に怒ってないから大丈夫だよ。むしろ凄い事だから!普通はできないから!それは誇っていいよ。でも昨日体験したように、危険なこともあるのは確か。そもそも知覚ができても、すぐに疲れてバテちゃうでしょ?」
「はい、すぐにつかれちゃいました……でもそのままつかってて、もっとみていたいっておもってたら……めがあつくなって、あたまがきもちわるくなって……でもちょっとしたらなおったんです」
グレンが拙いながらも一生懸命に当時の状況を説明する。
当時は突然の事態に何もすることができず、焦るばかりだったが、今にして思えば1人の状況で何と危ないことをしていたのかと焦る。
クレアはそんなグレンの表情には気が付かず、うんうん唸りながらその言葉を聞いている。
「うーん、魔力をもっと見ていたい……グレンの体が魔力に最適化された?」
「最適化?」
「うん、普通に魔力を覚醒させると、体が順応するために変化が起きる。ここまではいいね?」
「うむ、普通は体が魔力に順応する事を覚醒と呼んでいるが、最適化とは?」
寅吉も魔力に最適化されるとはいったい何なのか知らないようで、クレアに尋ねる。
「おそらくの話だけど、グレンの魔力を見ていたいという気持ちに魔力が反応して、グレンの体をより魔力が見やすく、扱いやすくしたんじゃないかな?」
「故に最適化か」
「そ、いわば覚醒の一段先の状態だね。だからすぐに魔力の解放までできたんじゃないかな?」
グレンの体には普通魔力を知覚してから起こる変化が一気に、それも普通の身体変化以上の変化が起きたということだ。
「体には問題ないのだろう?」
「うん、見たかぎり魔力はちゃんと身体の中を巡ってるし、放出されてる量も正常だね。ちゃんと制御できてる」
「ぼく、ちゃんとできてますか?」
「にゃ、問題ないそうだ」
「よかった~」
グレンは胸に手を当て、昨日のことを思い出す。
体から失われていく魔力。
遠くなる意識。
暖かく注がれるカリラの魔力。
今生きていることに感謝しながら、グレンはホッと息を吐く。
「まぁ、また詳しいことは後で調べてみるとして。今日は師匠として課題を与えるよ」
「はい!」
課題と聞いてグレンは再度クレアの目を見て姿勢を正す。
「今日の課題は、魔力の知覚をできるだけ長くやること。できれば今から私達が帰ってくるまでずっと」
「おいおい……いきなり厳しいな……」
「大丈夫、グレンの制御ならできると思うよ。それにできなくても意識せずとも魔力の知覚ができるようになれば、より体に魔力が順応して魔力の扱いが上手くなるし。それにね、相手の魔力を観察することは魔力の流れを知ることに繋がる、更には体の動きや仕組み、本質を見る目が養われるからね……そうすれば漫画を描くのに役に立つだろうし(ぼそ」
「本音が漏れてるぞ……」
クレアは真剣な表情から何か企んでいる表情までコロコロと表情を変えながら、もっともらしく説明していく。
どうやら本音は漫画を描いてもらうための観察眼を養うためのようだが。
「はい!やってみます!」
そんなことはお構いなしに、グレンはやる気を見せていた。
「おはよー、体調は大丈夫?」
「はい、もうだいじょうぶです」
「そうか、それはよかった。じゃあこれを持っていってくれ」
「はい」
グレンは階段を降りながら、クレアと寅吉に朝の挨拶をする。
まだ少し眠いのか目をこすりながら台所へと降りてきたグレンは、寅吉から朝食の乗ったお皿を渡されてテーブルへと運ぶ。
「あっ、今日もサンドイッチだ!」
大皿に所狭しと乗ったサンドイッチを見て、グレンの眠気が飛ぶ。
「昨日と一緒で悪いな、また今日も出かけてこないと行けなくてな」
「だいじょうぶです!サンドイッチだいすきです!」
ウキウキでサンドイッチを運ぶグレン。
クレアもお茶の準備をしている。
「グレン、こっちも運んでくれる?熱いから気をつけてね」
「はい」
台所でお茶を入れていたクレアからティーカップを渡され、グレンは一脚手に取り慎重に運ぶ。
運びながらグレンの鼻腔をくすぐるのは、ほのかな甘いベリーの香り。
紅茶の芳しい香りと相まって、グレンの空腹を刺激する。
「いい香りでしょ?」
「はい、すごくおいしそうです」
「でしょ?私のお気に入りの紅茶なんだ」
グレンが紅茶の香りで呆けているのを見て、クレアが嬉しそうに声をかける。
どうやらこの紅茶はクレアのお気に入りらしく、グレンに褒められてクレアも嬉しそうに鼻歌を歌いながら残りのカップを持ってテーブルへと運ぶ。
グレンも一緒になって運び、もう一度その香りを楽しみ楽しみが増えたと言わんばかりの表情で歩いていく。
「スープもあるからな」
寅吉はそう言いながらカップに入ったスープを運び、皆の前に置いていく。
「きょうはちがうスープですか?」
昨日の黄金のスープとは違い、白く白濁している。
「んにゃ、基本は一緒だ。あのスープに牛乳を入れて作ったミルクスープだ。今朝は意外と涼しかったからな、温まるものにした」
グレンはなるほどと頷きながらスープを眺める。
牛乳の白濁したスープの中には野菜がゴロゴロと入っている。
にんじん、玉ねぎに色合いとして緑色の葉物野菜が入っている。
「あ、ベーコンまではいってる」
大きく切られたベーコンを見つけてグレンが嬉しそうに声を上げる。
「よし、揃ったな」
「では」
「「「いただきます」」」
手を合わせ、早速サンドイッチに手を伸ばすグレン。
手に取ったサンドイッチの中には昨日とは違った食材が挟まれている。
「このあかのはなんですか?」
「ん、それはトマトだね。甘酸っぱくて美味しいよ~」
クレアもサンドイッチを美味しそうに頬張りながらトマトサンドを勧めてくる。
「まあ、苦手なものもあるかもしれないが、一回は食べてみろ。食わず嫌いは勿体無いからな」
「そそ、どうしても苦手なものはあるからね。でも挑戦しないで諦めちゃったら、勿体無いでしょ?苦手なら苦手って、分かればいいんだから」
「……はい」
グレンは見たことのない野菜に躊躇しながらも、クレア達に背中を押されて恐る恐るトマトサンドを口にする。
「――!」
「どう?」
「どうだ?」
目を瞑ったまま無言でサンドイッチを頬張るグレンを見て、クレアと寅吉は心配そうにグレンを覗き込む。
「おいしいです!」
グレンは目を見開き、満面の笑みでそう答えると、手にしたトマトサンドを一気に食べていく。
「にゃ、気に入ってくれたか」
「はい!」
「凄いねー、私は最初苦手だったんだよね……」
「よくトマトだけ残してたからな」
「だって!あの青臭いの苦手だったんだもん!」
「こんなにおいしいのに?」
クレアの言い方からそんなに青臭いだろうかと首を傾げ、トマトだけを食べてみるグレン。
だが、クレアの言うほどの青臭さは感じられない。
「昔の話だ、まだ上手く作れなくてな。結構青臭いトマトだったんだ」
「へー、これもとらきちさんがつくったんですか?」
「そうだ、外の畑で作ったものを倉庫で保管してあったものだ。本当は夏の野菜だからな」
どうやら夏に収穫したものを“倉庫”保管することで、春先まで美味しく食べることができるようだ。
「そうこ、すごいですね」
「本当に便利だよね。食料にも困らないし、あそこに置いておくと時間の経過も止められたりするしね」
「あんなに食料突っ込んでるのうちら位のものだけどな……」
「いいじゃん、ご飯が美味しく食べられるんだし」
グレンも美味しいご飯が食べられるのならそんな素晴らしいことはないと頷く。
グレンはスープを口にしながらサンドイッチと交互に食べていき、時折紅茶を挟む。
紅茶を口にしてグレンの動きが止まる。
爽やかな香りと仄かにか感じる甘い香り。
目を瞑ってもう一口、口に含む。
「スープもおちゃも、すごくおいしいです!」
「やった!この紅茶好き?」
「はい、ちょっとあまいかおりがするのがいいです」
「そうだよね!そう、そうなんだよ!この仄かな香りが良いんだよ~」
クレアは恍惚とした表情で紅茶の良さを語り、自らもその香りを楽しむ。
「こ、こっちのスープはどうだった……」
「ミルクスープもおいしかったです!きのうのきんいろのスープもおいしかったですけど、こっちはぐもおにくもいっぱいはいってて、さいこうです!」
「んな~、最高か~お代わりもあるから沢山食べるんだぞ」
「はい!」
寅吉は平静を装いながら立ち上がり、スープのお代わりをしに行く。
だが、その後ろ姿は尻尾がブンブンと大きく揺れており、心なしかゴロゴロと喉が鳴っているように聞こえた。
グレンは楽しそうにクレアと寅吉を見ながら、今日はどんな勉強をするのかと考えていた。
◇◇◇
「ふひーお腹いっぱい」
「ごちそうさまでした」
「お粗末さまでした。さて今日の予定だが……グレン、すまないが今日も留守番をしていてくれ」
片付けを終え、テーブルについた寅吉は今日の予定を切り出す。
「ごめんね……今日で終わるとおもうから」
クレアも手を合わせてグレンに申し訳ないとってくる。
「だいじょうぶです!きょうはきのうみたいなしっぱいはしません!」
「そう、そのことなんだけど……」
クレアは姿勢を正し、グレンを目を見て話だす。
「グレンの魔法の師匠である森の魔女として、グレンに魔力操作の修行をしてもらいます」
「っ!はい!」
グレンも姿勢を正し、クレアの目を見る。
「と言っても、難しいことはないし、危ないことはさせないよ。グレン、今君は“魔力の知覚”“覚醒”“解放”をできるようになっているの。本来ならじっくり時間をかけて修行していくところなんだけど、一気に1日でできるようになっちゃったからね」
「はい……」
グレンは昨日このことを思い出し、申し訳なさそうにクレアから視線を外し、テーブルを見つめる。
「別に怒ってないから大丈夫だよ。むしろ凄い事だから!普通はできないから!それは誇っていいよ。でも昨日体験したように、危険なこともあるのは確か。そもそも知覚ができても、すぐに疲れてバテちゃうでしょ?」
「はい、すぐにつかれちゃいました……でもそのままつかってて、もっとみていたいっておもってたら……めがあつくなって、あたまがきもちわるくなって……でもちょっとしたらなおったんです」
グレンが拙いながらも一生懸命に当時の状況を説明する。
当時は突然の事態に何もすることができず、焦るばかりだったが、今にして思えば1人の状況で何と危ないことをしていたのかと焦る。
クレアはそんなグレンの表情には気が付かず、うんうん唸りながらその言葉を聞いている。
「うーん、魔力をもっと見ていたい……グレンの体が魔力に最適化された?」
「最適化?」
「うん、普通に魔力を覚醒させると、体が順応するために変化が起きる。ここまではいいね?」
「うむ、普通は体が魔力に順応する事を覚醒と呼んでいるが、最適化とは?」
寅吉も魔力に最適化されるとはいったい何なのか知らないようで、クレアに尋ねる。
「おそらくの話だけど、グレンの魔力を見ていたいという気持ちに魔力が反応して、グレンの体をより魔力が見やすく、扱いやすくしたんじゃないかな?」
「故に最適化か」
「そ、いわば覚醒の一段先の状態だね。だからすぐに魔力の解放までできたんじゃないかな?」
グレンの体には普通魔力を知覚してから起こる変化が一気に、それも普通の身体変化以上の変化が起きたということだ。
「体には問題ないのだろう?」
「うん、見たかぎり魔力はちゃんと身体の中を巡ってるし、放出されてる量も正常だね。ちゃんと制御できてる」
「ぼく、ちゃんとできてますか?」
「にゃ、問題ないそうだ」
「よかった~」
グレンは胸に手を当て、昨日のことを思い出す。
体から失われていく魔力。
遠くなる意識。
暖かく注がれるカリラの魔力。
今生きていることに感謝しながら、グレンはホッと息を吐く。
「まぁ、また詳しいことは後で調べてみるとして。今日は師匠として課題を与えるよ」
「はい!」
課題と聞いてグレンは再度クレアの目を見て姿勢を正す。
「今日の課題は、魔力の知覚をできるだけ長くやること。できれば今から私達が帰ってくるまでずっと」
「おいおい……いきなり厳しいな……」
「大丈夫、グレンの制御ならできると思うよ。それにできなくても意識せずとも魔力の知覚ができるようになれば、より体に魔力が順応して魔力の扱いが上手くなるし。それにね、相手の魔力を観察することは魔力の流れを知ることに繋がる、更には体の動きや仕組み、本質を見る目が養われるからね……そうすれば漫画を描くのに役に立つだろうし(ぼそ」
「本音が漏れてるぞ……」
クレアは真剣な表情から何か企んでいる表情までコロコロと表情を変えながら、もっともらしく説明していく。
どうやら本音は漫画を描いてもらうための観察眼を養うためのようだが。
「はい!やってみます!」
そんなことはお構いなしに、グレンはやる気を見せていた。
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