泣き虫な私と太陽の彼

はるち

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第1章

先輩の優しさ

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入ってきた瞬間は大輔先輩も困ったように立ち止まっていたけど、すぐ口を開いた。


「まだ残ってたの?なんで泣いてるの?」
「なにか嫌なことでもあった?」
「すいません、気にせずに帰ってください。」
「…ふぅ」


大輔先輩は黙って隣に座って私が泣いた理由を聞くこともなく頭を優しく撫でてくれた。
すごく優しい笑顔を向けてくれて、私はまた泣いてしまう。



それから20分ぐらいしてやっと泣き止んだ私を見て大輔先輩が微笑んだ。

「目、すごく腫れちゃったね」
「なんか冷やす物取ってくるよ」

そう言って部室を出て行った。
私の心の中は色んな事を巡っていた。
(なんで、ここまでしてくれるんだろう…?)
(あまり人前で泣くことが出来ない私が大輔先輩の前なら大丈夫だった)
(大輔先輩にはちゃんと話さなきゃ。)
そんな事を思っていた時、大輔先輩がタオルを濡らして持ってきてくれた。


「はい、これで目押さえて」
「なんで泣いてたのか理由聞かないんですね、」
「言いたくない事を無理に言う必要は無いと思うから」
「…先輩、話してもいいですか?」
「うん、ちゃんと聞くから」
と笑いかけてくれて、私は頭の中をめぐらせて覚えていること、辛かったことを全て話した。



「…女の子を殴るとか絶対許せない。」
「俺はさ、副主将って立場だから部員や主将の波瀬はもちろんだけどマネージャーの柚結の話しも聞いて少しでも楽になってもらいたいっていつも思うんだよね。」
「いつもバレー部で1年なのにレギュラーに入るぐらい頑張って練習してる柚結みて大変なのに野球部のみんなをよく支えてくれてるって感謝してるんだ」
「はい、」
「だけど、ここ最近バレー部の練習でも教室でも心から楽しんでるように見えなくて、なにか辛い事我慢してるんだろうなって思ってた。」
「だから、話ししようと思って校門で待ってたけど出てこないから部室に戻ってきてみたら泣いてた。」

全部、知った上で部室に戻ってきてくれて話しを聞いてくれたんだって思ったら、また涙が出てきた。

そしたら、何も言わずにそっと抱きしめてくれた。
誰にも相談出来ずに悩んでたことが、自分にとってはこんなにも辛かったんだと思い知る事になった。


「1人で抱え込むなよ…。」
「もう、1人で無理すんな。」


泣き止んだ私は大輔先輩と別れ、バスに揺られながら帰った。
次の日、あんな事になるとは思わずに…。




次の日、学校に登校した私は席に荷物を置いてトイレに行った。
そして、教室に戻ろうとした時に後ろから誰かに突き飛ばされて転んでしまった。

起き上がって、誰だかみて鼓動が激しくなるのが分かった。
それは光輝だったのだ。
次の瞬間、光輝の口から耳を疑いたくなるような事が聞こえた。


「お前さ、目障りなんだよ。」
「…は?」
「邪魔なんだよ、お前。」
「は?なんでお前にそんな事言われきゃいけないの?」
「どけ」
そう言うとまた突き飛ばされた。
「うっ…」


そして、悔しさで涙が溢れそうになった時だった。

「待てよ」
「あ?」
「お前何したか分かってる?」
「誰?お前」
「3年の小宮山大輔だけど、おでこから血が出てるの見りゃ分かるよね?」
「そんなの見りゃ分かるわ」

その言葉で私は怪我してるのに気づいた。


「…いや、分かってんなら保健室連れてってやれよ」
「なんで俺が?(笑)」
「お前が怪我させたからだろ?」
「お前このまま華王にいれると思うなよ」
「3年のあんたには関係ねーだろ」
「どーかな」
「まぁ心配しなくても誰もこいつの言う事信じないから(笑)」
「…本当にそうなのか確かめてみるか?」
「あ?」

「柚結、立てるか?」
「平気です、ありがとうございます。」
「保健室行こう」
「そんなにひどい怪我じゃないですから、大丈夫です。」
「いいから」
「はい、」
「…お前、マジうざい」
「…。」
「行こう」
「はい。」


この後保健室に行き手当てをしてもらい、大輔先輩に教室まで送ってもらうことになった。


「階段気をつけて」
「先輩、教室戻らないと授業始まっちゃいますよ?」
「怪我してる人ほっとけないから」

そう言うと、また優しく笑いかけてくれた。
教室に戻るともあと紗良が駆け寄ってきた。



「柚結、どうしたの?!」
「大丈夫?」
「あ…ちょっと転んじゃって」
「ドジだね~!(笑)」
「それ本当に言ってる?」
「え?」
「ん?もあどうゆう事?」
「いやさ、なんか転んだだけで出来るような怪我じゃない気がするから」
「…本当に転んだんだよ?」
「なんか隠してない?」


私が隠してないと言おうとした時、教室に戻ったと思っていた大輔先輩が入ってきた。


「え?!大輔先輩?!」
「この怪我の本当の理由知りたい?」
「やっぱり、隠してる本当の理由があるんだ」
「俺が代わりに全部話す、だから少しお願い事してもいいかな?」
「出来る事なら」
「今から華王のメンバー全員で屋上に来てくれる?」
「あ、光輝ってやつは無しで」
「…光輝を抜き、ですか?」
「そう、本当の理由が知りたいならね?」
「分かりました。」
「柚結、先に行ってよう」
「え、でも。」
「大丈夫、すぐ行くから」
「分かった。」


屋上は私が入学した時から鍵の所が壊されてていつでも普通に入れるから溜まり場になっている場所だった。
そして、階段を上がり屋上に出て無言のまま座って待っている時だった。


「なんで、転けたなんて嘘ついたの?」
「なんでって、特に理由はないです、」
「理由がないなら別に光輝の事言っても良かったんじゃないの?」
「…それはっ!本当に光輝がゆうように誰も信じないかもって思ったからです。」
「でも、転んで出来るような怪我じゃないって言われてたよね?」
「...。」
「信じてもらえないと思うなら、今から俺がどっちが本当か確かめてやるよ」
「…なんか今日の先輩怖い。」


そんな会話をして数分後だった。
光輝以外のみんなが屋上に入ってきた。


「柚結、大丈夫なのか?」
「もあから怪我してるんだけど、転けた感じじゃないって言われたから」
「でも、お前が本当の理由を隠してるから、代わりに小宮山先輩が話してくれるみたいって聞いてきた。」
「うちらに話せないような事?」
「…そんなんじゃないけど。」
「じゃあ…。」
「まぁまぁ、本人が話せないみたいだから俺が話すよ」
「でも今から話す事を信じるか信じないかはみんな次第だから」
「分かりました。」



そして、朝あった事や怪我をした経緯やなぜ私が本当の事を隠していたのか先輩が包み隠さず丁寧に全部話してくれた。
みんな、最初はビックリしたような表情をしていたけど、話しが終わるにつれて顔が怖くなっていった。
大輔先輩の丁寧な話しが終わった所でみんなが口を開いた。


「なんで話してくれなかったの?」
「あいつ、なんでこんな事したんだ?」
「柚結がなに話しても誰も信じないってどうゆう意味?」
「自分にそれだけ自信でもあったって事じゃね?(笑)」
「全然笑えないけど、薄々気づいてたしな。」
「こんなひどい事してたとは思わなかったけど」
「あいつにはガッカリだな」
「柚結の方が人気あるっての」


そんな事を口々に話してる時だった。
大輔先輩が口を開いた。

「信じてくれた?それとも信じられない?」
「俺らは柚結が無理して元気作ってた事や笑ってたこと、最近全然光輝と話してないのを不思議に思ってて」
「ほら、素直に話せば良かったんだよ」
「柚結が元気ない事ぐらい一緒に居る人達は誰よりも分かってるんだから」
「…ごめんっ、みんな。」

そう言うと止まる事を知らない涙がまた溢れ出した。
ちゃんとみんなに話していれば、こんなに苦しむ事もなかったのかもしれない。
なぜ話せなかったのかは分からないけど、どんな形であれ話せて良かったと心から思った。
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