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思わぬ人
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お前はこれにしとけ―――と、先輩が決めたのはジントニックだった。
モスコミュールにスクリュードライバー、カルアミルクと、色々飲んでみたけど、先輩のお勧め通り、さっぱりしていて飲みやすかったから、自分の定番になった。
「この酒は女酒って言って飲みやすいんだぜ?」
そう言って渡された日本酒は、確かに水みたいだったけど、速攻シノに取り上げられた。
「いいか、これは地元でも飲めない銘酒だ。お前が飲むな。勿体ない。」
そう言って、酎ハイ以外は禁止にされた。
そういえば、何でか飲みの席には、必ず先輩か、シノがいたような気がする。
「これは何?」
「天然の炭酸水です。美味しいですか?」
「うん。」
言いながら、目の前で頬杖を突いて、大きな手の平で頭をナデナデしてくる綺麗な顔をジッと見つめる。
「気持ちいいですか?」
「うん。」
素直に頷くと、ふ、と微笑んだから、思わず自分も微笑んだ。猫って、こんな気分かもしれない―――そう思って。
口の中に流れ込む液体を、無意識に飲み込んだ。
もっと欲しい…と、開いた唇に、再び柔らかなものが押し当てられて、冷たい液体を流し込まれる―――二度、三度。
コクコクと飲み込んで、薄らと目を開ける。
「…カズ…?」
答える代わりに唇を塞がれ、差し込まれた舌先に舌を絡め捕られた。抉るように深く口内を探られ、搾り取るように強く吸われる。
後ろ頭を摑まれ、背中に回された腕にキツく抱き竦められると、のし掛かる重みが苦しくて、酸素を求めて大きく吸い込んだ息に混じった柑橘系の香りにハッとした。
違う、カズじゃない―――!!
押し退けようと肩を掴んでも、頭がくらりとして、力が入らない。せめてもと顎に力を入れると、気付いた舌先が逃れようとして、犬歯を掠めた。
「っ―――」
顔を上げたシノが口許を押さえる。その隙に、喘ぐような息をしながらも、体を回転させた。途端、こめかみにズキリと鈍い痛みが走り、思わず丸めた体に、上からシノが押さえつけるようにのし掛かった。
「…50は、キツいだろ? お前ホント弱いよな。」
「何…」
「油断し過ぎなんだよ。昔っからそうだ。俺がいなきゃ、とっくに…」
そこまで言って、は…と自嘲気味に笑ったシノが、体の下に腕を差し込んで強く抱き締める。横腹を手の平で撫でられ、ビクッと体が強張った―――服を着ていない事に気付いて。辛うじて下着は身につけているけど、こんな状況じゃ何の意味も無い。
耳の後ろでシノが大きく息を吐き出すと、それだけでゾクリと震えが走る。背中の感触で、シノも着ていない事がわかる。それどころか―――
胸元を抱え込むようにしながら、更に体を丸める。そうすると、わざとだとわかるぐらい、ハッキリと、シノが自分の体を押しつけるように抱え込んできた。
お尻に当たる物が何なのか―――ざわざわと肌が粟立って、それを見たシノがまた笑う。
「―――っ、何、で…」
「何で?わからねぇのかよ?こんな痕付けといて―――」
言うなり、肩を摩っていた手の平が、腕を押し退けて胸の間に差し込まれる。そのままブラジャーごと胸を摑まれて悲鳴を上げた。
「やっ、シノっっ、やめっ、て!!」
握り潰そうとするかのように揉まれて、反射的に涙が滲む。心臓がバクバクと激しく脈打ち、頭は更に酷くガンガンと響くように痛んだ。
お腹に回された腕に腰を持ち上げられ、そのままうつ伏せに押さえ込まれた腿を、シノの膝が割り開く。恐怖に背中が引き攣るのと同時に、ショーツの中に差し込まれた手が茂みをかき分けて、割れ目の奥をぐりっと指で抉られた。
「痛っっ―――!!」
その声にシノが舌打ちをすると、今度は手の平全体でそこを包み込む。思いがけない優しさに、さっきまでとは違う感覚が沸き起こった。
「透子―――」
熱い息と共に吐き出される声に、ドクン―――と心臓が鳴る。
ゆっくりと、摩るようにショーツの中を撫でていた手の平が、きゅ…と揉むように掴むと、なんともいえないむず痒いような感覚がして、思わず息を呑んだ。
カップの内側が張りつめた事に気付いたもう片方の手の平が、そっと布地をかき分けて膨らみを掬い上げ、親指が先端の周りを優しくなぞった瞬間、鼻の奥から声が漏れ、その事に驚いて身を捩ると、また腕に力が籠もった。
はあ―――と、大きな息を付いて、シノが首筋に音を立てながらキスを繰り返す。
「…もっと早く、こうしてりゃ良かった…」
そう呟きながら、膨らみを柔らかく揉み拉く。体の奥から込み上げる何かを押さえ込むように息を呑むと、同じリズムでショーツの中を探っていた指が、つっ―――とさっきの場所をなぞり、その途端、電流のように甘い痺れが背中を駆け抜けた。
「―――あっ」
今度は悲鳴じゃ無かった。ぬるりと指が滑って、それだけでシノも気付いたに違いない。指が前後に動き始めると、覚えのある感覚に腰が解けてゆく。
声を上げたくなくて、ぎゅっとシーツを握りしめ、唇を噛み締める。その間も胸と両方に刺激を与え続けられて、とろりと溶けていくような感覚から逃れようとお腹に力を入れると、ビクビクと体が小刻みに震えてしまう。
「―――こ…」
低く掠れた声が耳元で響く。不意にシノの指が滑り、その奥にある襞の内側に潜り込むと、そこを掴むようにして、膝で腿を押しながら腰を持ち上げられる。必然、奥深く入り込んだ指に中を強く抉られ、体の芯を貫くような刺激に、声を上げて仰け反った。
上体を引き起こされて、腕の中に抱え込むようにしながら、シノがさらに指を奥へ埋め込む。どうにかしたくて腿をあわせると、それが一層刺激となって、堪えきれずに呻いた。
シノは先が丸くて太い指をしている。
大学での模型作りの実習の時、こんな太い指で、どうしてこんなに細かくて精密なものが作れるんだろう…と不思議に思っていた。
その指が今、自分の中で暴れている。
ほっそりとした体には不似合いな程、大きな手の平の、節くれ立ったものとは違う、指が。
内側を突くように挿出を始めると、どんどん追い詰められて、再び背中が仰け反った。
弛緩した体をそのまま仰向けに横たえられ、間を置かず覆い被さったシノに唇を塞がれる。
咄嗟に肩を掴んで押し返そうとした腕を逆に摑まれ、まとめて頭の上に押さえ込まれた。そのまま、反対の腕に脚を持ち上げられ、押し広げられた腿の間にシノの体が割り込む。
それが何を意味するのか、もう知ってた。
モスコミュールにスクリュードライバー、カルアミルクと、色々飲んでみたけど、先輩のお勧め通り、さっぱりしていて飲みやすかったから、自分の定番になった。
「この酒は女酒って言って飲みやすいんだぜ?」
そう言って渡された日本酒は、確かに水みたいだったけど、速攻シノに取り上げられた。
「いいか、これは地元でも飲めない銘酒だ。お前が飲むな。勿体ない。」
そう言って、酎ハイ以外は禁止にされた。
そういえば、何でか飲みの席には、必ず先輩か、シノがいたような気がする。
「これは何?」
「天然の炭酸水です。美味しいですか?」
「うん。」
言いながら、目の前で頬杖を突いて、大きな手の平で頭をナデナデしてくる綺麗な顔をジッと見つめる。
「気持ちいいですか?」
「うん。」
素直に頷くと、ふ、と微笑んだから、思わず自分も微笑んだ。猫って、こんな気分かもしれない―――そう思って。
口の中に流れ込む液体を、無意識に飲み込んだ。
もっと欲しい…と、開いた唇に、再び柔らかなものが押し当てられて、冷たい液体を流し込まれる―――二度、三度。
コクコクと飲み込んで、薄らと目を開ける。
「…カズ…?」
答える代わりに唇を塞がれ、差し込まれた舌先に舌を絡め捕られた。抉るように深く口内を探られ、搾り取るように強く吸われる。
後ろ頭を摑まれ、背中に回された腕にキツく抱き竦められると、のし掛かる重みが苦しくて、酸素を求めて大きく吸い込んだ息に混じった柑橘系の香りにハッとした。
違う、カズじゃない―――!!
押し退けようと肩を掴んでも、頭がくらりとして、力が入らない。せめてもと顎に力を入れると、気付いた舌先が逃れようとして、犬歯を掠めた。
「っ―――」
顔を上げたシノが口許を押さえる。その隙に、喘ぐような息をしながらも、体を回転させた。途端、こめかみにズキリと鈍い痛みが走り、思わず丸めた体に、上からシノが押さえつけるようにのし掛かった。
「…50は、キツいだろ? お前ホント弱いよな。」
「何…」
「油断し過ぎなんだよ。昔っからそうだ。俺がいなきゃ、とっくに…」
そこまで言って、は…と自嘲気味に笑ったシノが、体の下に腕を差し込んで強く抱き締める。横腹を手の平で撫でられ、ビクッと体が強張った―――服を着ていない事に気付いて。辛うじて下着は身につけているけど、こんな状況じゃ何の意味も無い。
耳の後ろでシノが大きく息を吐き出すと、それだけでゾクリと震えが走る。背中の感触で、シノも着ていない事がわかる。それどころか―――
胸元を抱え込むようにしながら、更に体を丸める。そうすると、わざとだとわかるぐらい、ハッキリと、シノが自分の体を押しつけるように抱え込んできた。
お尻に当たる物が何なのか―――ざわざわと肌が粟立って、それを見たシノがまた笑う。
「―――っ、何、で…」
「何で?わからねぇのかよ?こんな痕付けといて―――」
言うなり、肩を摩っていた手の平が、腕を押し退けて胸の間に差し込まれる。そのままブラジャーごと胸を摑まれて悲鳴を上げた。
「やっ、シノっっ、やめっ、て!!」
握り潰そうとするかのように揉まれて、反射的に涙が滲む。心臓がバクバクと激しく脈打ち、頭は更に酷くガンガンと響くように痛んだ。
お腹に回された腕に腰を持ち上げられ、そのままうつ伏せに押さえ込まれた腿を、シノの膝が割り開く。恐怖に背中が引き攣るのと同時に、ショーツの中に差し込まれた手が茂みをかき分けて、割れ目の奥をぐりっと指で抉られた。
「痛っっ―――!!」
その声にシノが舌打ちをすると、今度は手の平全体でそこを包み込む。思いがけない優しさに、さっきまでとは違う感覚が沸き起こった。
「透子―――」
熱い息と共に吐き出される声に、ドクン―――と心臓が鳴る。
ゆっくりと、摩るようにショーツの中を撫でていた手の平が、きゅ…と揉むように掴むと、なんともいえないむず痒いような感覚がして、思わず息を呑んだ。
カップの内側が張りつめた事に気付いたもう片方の手の平が、そっと布地をかき分けて膨らみを掬い上げ、親指が先端の周りを優しくなぞった瞬間、鼻の奥から声が漏れ、その事に驚いて身を捩ると、また腕に力が籠もった。
はあ―――と、大きな息を付いて、シノが首筋に音を立てながらキスを繰り返す。
「…もっと早く、こうしてりゃ良かった…」
そう呟きながら、膨らみを柔らかく揉み拉く。体の奥から込み上げる何かを押さえ込むように息を呑むと、同じリズムでショーツの中を探っていた指が、つっ―――とさっきの場所をなぞり、その途端、電流のように甘い痺れが背中を駆け抜けた。
「―――あっ」
今度は悲鳴じゃ無かった。ぬるりと指が滑って、それだけでシノも気付いたに違いない。指が前後に動き始めると、覚えのある感覚に腰が解けてゆく。
声を上げたくなくて、ぎゅっとシーツを握りしめ、唇を噛み締める。その間も胸と両方に刺激を与え続けられて、とろりと溶けていくような感覚から逃れようとお腹に力を入れると、ビクビクと体が小刻みに震えてしまう。
「―――こ…」
低く掠れた声が耳元で響く。不意にシノの指が滑り、その奥にある襞の内側に潜り込むと、そこを掴むようにして、膝で腿を押しながら腰を持ち上げられる。必然、奥深く入り込んだ指に中を強く抉られ、体の芯を貫くような刺激に、声を上げて仰け反った。
上体を引き起こされて、腕の中に抱え込むようにしながら、シノがさらに指を奥へ埋め込む。どうにかしたくて腿をあわせると、それが一層刺激となって、堪えきれずに呻いた。
シノは先が丸くて太い指をしている。
大学での模型作りの実習の時、こんな太い指で、どうしてこんなに細かくて精密なものが作れるんだろう…と不思議に思っていた。
その指が今、自分の中で暴れている。
ほっそりとした体には不似合いな程、大きな手の平の、節くれ立ったものとは違う、指が。
内側を突くように挿出を始めると、どんどん追い詰められて、再び背中が仰け反った。
弛緩した体をそのまま仰向けに横たえられ、間を置かず覆い被さったシノに唇を塞がれる。
咄嗟に肩を掴んで押し返そうとした腕を逆に摑まれ、まとめて頭の上に押さえ込まれた。そのまま、反対の腕に脚を持ち上げられ、押し広げられた腿の間にシノの体が割り込む。
それが何を意味するのか、もう知ってた。
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