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冒険者編

第37話 検問

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目の前には大きな城門。もちろん、ライクの街の城門だ。

 バタフライナイフの件で盛大に失敗したあと、俺らはライクの街の城門に続く人の列の最後尾について、列が進むのを待っている。ジオ曰く、やたらと並んでる人数が多いのは夜になると門を閉めるから。必然的に朝と夕方は街に出入りする人数が多くなるわけだ。

 列の先頭では何人かの兵士が検問をやっていて、この町では入場料を取られるわけではないらしい。でも身分証を見られるっぽい…………俺は持ってないけど。

 いや、厳密に言えば転移された時に持ってた生徒手帳ならある。あるけど、こっちの世界では絶対通用しないんだろうな。

「なぁ、ジオ。俺、身分証持ってないけど……どうする?」
「……あ」
「グッルル」

 ジオも考えてなかったんかい!?なんかゴジが「今更、気づいたのかよ」みたいな目で見てくるし。最悪、無くしたってことでゴリ押しすればいいか。

 はぁ、こんなことやってたらもう俺らの番が回ってきたぞ。

「ライクの街へようこそ。街に入るには身分証の提示をお願いする。それと……魔物を街に入れるには2000バールの料金が必要だ」

 対応をしてくれたのは、愛想のない口調の女騎士だ。身分証の提示をお願いした後、ゴジを見て追加料金を要求してきた。街に魔物を入れるんだから、当たり前の措置だろう。

 流石に冒険者協会がある街とだけあって、魔物使いとかいるのかなぁ。あ、ちなみに"バール"ってのはこの世界の共通の通貨で、1バール=1円ぐらいらしい。

 さて、身分証の件をどう乗り切るか……。先にジオに対応してもらおう。

「身分証ですね……はい。それと、これが魔物用の2000バールです」
「確かに……ん?そこの黒の少年の身分証はどうした?」

 女騎士の表情がだんだん訝しくなってる。

「あの、それについてなんですが。実は、魔物と戦ってた時になくしてしまって……」
「……なくしてしまったって、お前」
「いや、この街の冒険者協会で新しく発行しようと思ったんです」
「そんなのが……あ、ああああ!そそ、そ、そういうことでしたか!た、大変申し訳ございませんでした!街に入っても大丈夫でしょう。よければ冒険者協会の位置も教えましょうか」
「え、ノア何したの?」
「いいんだ、ジオ。騎士さんもご理解ありがとうございます。それと、冒険者協会の位置を教えてくれるとありがたいですね」
「こ、これが騎士の務めですので。で、ではこの紙に簡単な地図をお書きしますね」

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