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第三章

工事の関係者とそうでないものと・・・予想外の人物

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 さて・・・
 とりあえず温泉の改造についての話は聞けた
 関係無い村人はいるっちゃいるが、この件に関わっている人が割と多いな・・・
 逆に関わっていない村人って、誰なんだろう

「爺ちゃん、温泉の新造に関わってない人って何人くらいいるの?」
「うーむ・・・温泉の事業化は村の存続に関わってくるからのう
 工事に参加した村人も結構多いし・・・」
「子供くらいじゃないか?」
「いやジャクソンよ、子供らも工員のところに演奏をしに行っとったぞ?
 村の外から来た者が珍しくて付き纏っていた子だっておるくらいじゃ
 大人と違いチップはお菓子をもらってたがのう・・・
 それでも、賢い子はお菓子よりも金と割り切っておったがな」
「うん、それなら関わっていたと言ってもいいですか・・・」

 マスターは自身の髭を撫でながら納得?する
 子供たちも、一応接点はあった、と言ったほうがいいのかな

「今は子供たちは除外して考えましょう
 子供が今回の温泉計画のお金を持ち出した・・・とは考えられませんし・・・」

 確かにラビヤーの言う通り
 大人の命令でなければ、横領をする子供はいないだろう
 大人が関わっっていなければ・・・だけどね・・・
 ふむ・・・
 僕は可能性として、持ってきたメモ帳にそのことを書き込んでおく

「そしたら、他はここにいる村長とバルトロ爺さん以外の爺さん婆さん達かな?
 彼らは農作業が忙しかっただろうし、何より金をくすねるほど困っている方もいない」
「子供たちの母親はどうです?
 父親たちは工員として参加してる人が多かったらしいですけど、その間母親は・・・」
「それなら、温泉施設の料理に関わったご婦人らが混ざっているからなぁ・・・」

 なるほど、さっき温泉で提供する料理について話し合ったって言ってたからね
 婆ちゃんの料理が票をたくさん得たらしいね
 自慢の祖母である
 その話し合いのために、工員や監督官と関わった人物も結構いそうだ

「それくらい・・・なのかな?温泉工事と接点が無い人物たちは」
「私の店で買い物と暇つぶしに来た工員と、日用品を買い物に来た母親が会うことはありましたけど、会釈する程度で、会話とかはありませんでしたよ~」

 ミアさんの店はこの村唯一の商店兼薬屋なので工員と村人を繋ぐ場所でもある
 後で怪しい人物はいなかったかどうかも聞こう

 僕はそのことを後回しにして、先ほどからずっと考えていたことを祖父に聞くことにした

「そういえば、お金はどこで管理してたの?村長の家?サンスケさんのとこ?それとも監督官?」
「監督官が管理してたんじゃけど、そいつはワシの家に滞在しておったぞ」
「じゃあ・・・怪しいの爺ちゃんか婆ちゃんになっちゃうじゃん・・・」

 うーん・・・
 依頼者である祖父たちが一番疑われるような状態、か・・・
 このことが王宮に知られて、しっかり調査しないような人が祖父を尋問したとする
 うん、祖父に罪をおっかぶせて終わらせられそうである
 爺ちゃんと婆ちゃんを罪人にしないために、しっかり調査しないと・・・

「待ってください、何でお金が不正に使われてたってわかったんですか?」
「確かに・・・普通そこまで村長の仕事じゃ無いよね?」

 ラビヤーが新しく疑問をぶつける
 いいぞ、今日は冴えてるじゃないか!
 祖父はムッとして、反論しだす

「ワシだって・・・ワシだって王の金なんぞに関わりたくなかったわ!
 じゃが監督官は文字通り監督するだけで、金の計算なんぞ全くできない奴だったんじゃい!
 一応温泉について色々案を出してくれたり、そっちの方では有能だったんじゃがなぁ・・・
 だからワシと婆さんとサンスケで管理してたんじゃよ・・・」
「はぁ?」

 そんなことがあるのか?
 責任者には違いないけど、祖父たちは金を管理する立場にないはずだ
 監督官はどんな無能なんだろうか

「・・・監督官って・・・もしかして貴族でした?」

 ラビヤーが恐る恐る、爺ちゃんに聞いた
 そうか、貴族だったら教育はされていたとしても、仕事を部下に任せて本人は仕事しないような人もいるだろう
 甘やかされた育てられた、とかの場合もあるよな・・・

「うむ・・・聞いて驚くなよ?
 この村に来た監督官は・・・」
「「監督官は・・・?」」

 僕とラビヤーは生唾を飲み込んでオウム返し



「王子じゃ」


「・・・・・・・・今なんて?」

 僕達の想像を超える人物だった

「じゃから王子!この国の!!温泉計画をワシらに言い渡した、王様のご子息じゃ!!!」
「マ、マジかよぉ・・・・・・・」

 まさか、まさかである
 そんな人物、調べるなんてこと・・・不可能なんじゃないのか?!
 もしかしてこの依頼、受けない方が良かったのかもしれない


 まさか監督官が王子だったなんて
 そりゃ平民である祖父たちは逆らえないし、王子と異なる意見を言ったら下手したら、処罰が下るかも・・・
 話を聞く限り、金銭管理以外は積極的に仕事していたようだけど・・・
 何故、王子が監督官に任命されたんだろうか?

 今までで一番、大変な仕事になりそうだ
 王都に帰りたくなってきた
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