男子校でハーレムが作れる俺マジ勝ち組

葉鳥(はとごろTIMES)

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プロローグ

30にならなくても使えた魔法1

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※この作品は同人ゲーム「男子校でハーレムが作れる俺マジ勝ち組」からテキストを抜き出したノベル版です。
 ゲームテキスト形式なので背景やキャラ名の指定が残っています。
 原作ゲームは18禁ですが、今作は18禁シーンを削除し全年齢版として公開します。
 PCを持っていない方のために、同じく全年齢版の体験版プレイ動画もございます。
 詳しくは「はとごろTIMES」のホームページをご覧下さい。
 また、漫画も投稿しています。そちらも是非ご覧下さい。



それは、何の変哲も無い平日の出来事だった。



《図書室》
零時
「静香ー、そろそろ下校時刻近いぞ」
静香
「あ、すまない……熱中していた」
俺と静香は図書室の常連で、こうして下校時刻ギリギリまでここにいることが多い。
学校の図書室ってのはすごい。普通に漫画やラノベが置いてあるんだから。生徒の需要を理解している。
図書部に所属する静香によれば「最近はそういう分野が一般人から注目を浴びていることも確かで、無視できないほどの存在になっている」らしい。
確かに、俺も最初はラノベとか偏見持って遠ざけてたけど、見てみたら案外面白くてハマってるもんな。
ちなみに静香は生粋の読書オタクだ。漫画だろうと児童文学だろうと本格推理小説だろうと、物語であるものには何だって手を出す。
そんな静香にとってここは、広く浅く色々なものが置いてあって面白いんだろう。
まー俺は漫画読んでるだけで十分だけど。
零時
「しっかし、もう外結構暗いなー」
静香
「本当だ……そうか、もう十月も終わる頃か」
零時
「早く帰らねーと母さんが五月蝿そうだ」
静香
「そうだな。すぐ片付けてくる、待っててくれ」
零時
「おー」
読んでいた本を抱え、元の場所に返していく静香。読んでいた量が量なだけにまだ暫くかかりそうだ。
その間に図書室のカーテンを閉めていく。こういうのは最後までいた人間の仕事だ。


…………ん?
なんだ? なんか、白い光みたいなのが見えた気が……
……ま、車のライトか何かだろ。


静香
「待たせた」
零時
「おう、じゃー帰ろうぜ」
静香
「ああ」
零時
「あれ? まだ一冊持ってんじゃん」
静香
「これは陽子さんに借りたものだ。返しておいてくれないか?」
陽子さんとは俺の母親・四ッ橋陽子のことだ。
外見も中身も俺より子供っぽく、静香とは面白いくらいに仲が良い。こうして本の貸し借りをするのはよくあることだ。
はいはい、いつものことですねーと本を受け取ろうとして……

静香と俺の手が触れ合った瞬間、目の前が弾けた。

零時
「うわっ!?」
静香
「っ!?」
まるで閃光弾でも投げられたかのように目がくらみ、目の前が真っ白になる。
零時
「な、なんだ……これっ……」
静香
「ぼ、僕が知るかっ」
カーテンは閉めたはずだから、外からの光じゃない。
でも図書室にこんな光を発するものがあるはずもない。
だったらこれは何なのか。そんなことを考えられるほどの冷静さがあるはずもなく、しばらくはその場に立ち尽くすことしかできなかった。

零時
「っ……あ、み、見えるようになってきた、かも……」

数分くらいしてようやく視界が晴れ、前にいる静香を捉えることが出来た。
だが、それが静香であると理解することはできなかった。

零時
「…………えっ?」

目の前には、肩より少し長めの黒髪ストレートが印象的な美少女が立っていた。
少女の手には、さっきまで静香が持っていた本。
少女の服は、この学校指定の制服。もちろん男性用。

静香
「んんっ……こっちも……だいぶ見えるようになった」
静香
「しかし、何だ今のは。光……だとしてもおかしいだろう」

い、いやいやいやいやいや。
え、ちょ……え? これもう光がおかしいとかの次元じゃないですけど。

零時
「……せ、静香、さん?」
静香
「な、なんだ突然さん付けなどして……気持ち悪い」
零時
「だ、だって……ええっ!?」
静香
「僕が居てなんだという……元々図書室には僕とお前しかいなかっただろ」
零時
「だ、だからちが、違くて! お前っ!」
静香
「だから僕がなんだと……」
静香
「……あれ? お前、なんか大きくなってないか?」
零時
「い、いやぁ……静香が縮んだんじゃないっすかねー」
静香
「喧嘩を売っているのか?」
零時
「いやいやいや、ちょっと見てみろって! ほらお前、制服大きくなってんだろ!?」
静香
「……そういえば、ここまで袖が長くなかった気がするが……」
静香
「……? こ、こんなに手、小さかっただろうか……」
零時
「あ、あと髪とか、めっさ伸びてまんがな」
静香
「どこの方言だ? ……って、うわっ!? なんか髪長い、めっさ長い!」
静香
「というかこの声何だ!? 気色悪いくらい高いが僕の声なのか!?」
零時
「そ、そうだっ!」
咄嗟にさっき閉めたカーテンを開け、窓を露出させる。
静香
「し、零時? 何を……」
そこには思った通り静香の姿が反射で映し出されていた。
正真正銘現在の、姿形がさっきまでとはまるで変わってしまった静香が。
静香
「………………」
静香
「な、何だこれはあぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁあぁッ!?」
零時
「俺が知るかあぁぁあぁああぁぁぁあああぁぁあっ!!」
もう不思議な光のことなんか忘れて、二人で叫ぶ事しかできなかった。
静香
「え……えっ!? ぼ、僕……なのか、これっ!」
零時
「そうだよお前だよ、だって目の前にいるんだもんよ!」
静香
「で、でもこれっ……だってこれ……」
完全にパニックに陥る静香。
そして、それに拍車を掛けるかのように……

ウエストの合わなくなったズボンがずるりと落ちた。

静香
「わーーーーーーーっ! ぎゃーーーーーーーー!!」
もう何がなんだか分からず、ただ叫ぶことしか出来ない静香。
す、すげぇ……こんなに慌てふためく姿初めて見た……
てゆーか足……つるつるですやん旦那ぁ……うおぉ、なんだこれ、やべぇっ。
静香
「ば、馬鹿見るなどっか行け!」
咄嗟に隠そうとするが、そんな小さな手で隠れる面積なんてたかが知れている。
それに、真っ赤な顔で股間を隠すっていうのは……それはそれで……
静香
「…………あ」
零時
「え?」
静香の顔が、何故か一気に青くなった。
静香の手は股間の辺りでぷらぷらと揺れている。
静香
「…………ない」
零時
「……え……それは、まさか……」
なんとなく予想はしていた。
だって、その姿は明らかに男ではなく、女のそれなのだから。
静香
「な……なくなって…………っ!」
すぐに片手を胸元に持っていき、そこにあるものを確かめる。
静香
「……なんか、ある…………」
零時
「ってことは……やっぱり……」
静香
「お……おんなの、こ……みたいに……なって…………」
もう疑いようが無い。
何があったかなんて分からないが、静香の身体が女になっている。
静香
「どっどど、どどどどどうしようっ」
零時
「そんなのどうしようもなくね!? ど、どーすればいいんだよ!?」
静香
「それを僕が聞いているっ」
零時
「と、とりあえず帰ろうぜ! ここにいたら色々マズイ!」
静香
「あ……そ、そうだなっ」
慌ててズボンを上げ、ベルトを締めなおす。相変わらずぶかぶかだが、なんとか帰るくらいはできそうだ。
何事だか分からないが、この状況を見られたら色々マズイ。男子校に女子連れ込んだとか言われたら洒落にならねぇ!
静香
「よ、よし……大丈夫だ」
零時
「じゃあ……」
扉を開け、こそこそと外に出る。



《廊下》
教師
「ん、まだ残っとったんか」
零時
「うわあぁっ!?」
静香
「――――ッ!!」
ま、まさか直後に先生に出くわすなんて! どんだけ運無いんだよ俺!
教師
「四ッ橋と……後ろに誰か隠れとるなぁ」
零時
「いっ、いやぁ……これはその……」
ええええどうやって誤魔化そうこれ。静香の妹ですとか言ったら案外上手くいかねーかな……
教師
「…………」

教師
「ああ、なんだ早乙女かい。そういやお前も本好きやったなぁ」
静香
「え、あ……はい」

教師
「仲良いのはええことだが、早乙女は女の子なんだからもう少し早う帰らんと危ないで」
静香
「ご、ごめんなさい……気をつけます」
教師
「じゃあ、さよならな」
静香
「さ、さようなら……」

…………えっ?



《住宅街・夜》
零時
「……ど、どういうことだ?」
静香
「僕にもわけが分からない……」
あの後、どの先生に会っても、共通の知り合いに会っても反応は似たようなものだった。
早乙女静香は元々女の子で、男子校に通っている。
この矛盾した現実を、誰もがさも当然のように受け入れていた。
な、なんだよこれ……どうなってんだ?
まるで俺達以外の人間全員が正しくて、二人でおかしくなったような気さえしてくる。
静香が男だったという夢でも見てたんだって方がしっくりきてしまう……
でも、そうじゃない。俺は幼稚園の頃からずっとこいつと一緒だったんだ。
間違えるはずが無い。静香は男で、俺の友達だ。
静香
「……皆僕を女の子だって思ってるなら、このまま帰って普通に生活できるんじゃあ……」
零時
「ま、まぁ……そうなるけどさ」
そういえば、咄嗟に俺の家の方向まで一緒に来てしまったが、静香は寮暮らしだ。
こいつの家は母親がちょっと特別だから、家が近くても特例で寮に入れてもらっている。
静香
「そうだ、帰ってゆっくり寝たら全て元通りかもしれないしな。うん」
静香
「じゃあ僕は帰るよ。なんだか悪かったな、色々取り乱して」
零時
「あ、ああ……」
すっかり落ち着きを取り戻した静香と、手を振って別れ……

…………ちゃダメだ! あぶねぇっ!

帰ろうとする静香の手を引っつかんで止める。静香が驚いてすっげー嫌な顔をしたが、そんなことで離してやるもんか。
静香
「な、なんだ突然……」
零時
「何だじゃねーよ馬鹿かお前は! んな姿で男子寮に帰るつもりか!」
静香
「……あっ」
静香
「で、でも、全員が僕を元々女だったと認識しているなら別におかしくはないのでは……」
零時
「余計ダメだよ! 飢えた獣の巣に自ら飛び込んでどうする!」
静香
「そ、そんなことには……」
ならない、と言い切れないのか、それ以上の反論は返ってこなかった。
この前の金髪先輩しかり、世の中には理解できないやつらも多い。ここで静香を帰して翌日レイプ目で登校された日には……うわっ、考えるだけで恐ろしい。
見た目だけは……そこそこ可愛くなっちゃってんだから。
零時
「うちに来い」
静香
「べ、別に構わないが……」
零時
「さっきの本を自分で返して、そのまま泊まればいい。母さんなら喜んで了承する」
静香
「わ、わかった……」
しぶしぶといった様子だが、了承が得られたのでこのまま引っ張って帰宅することにした。
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