転移したら獣人国からお迎えが来ました

白葉

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後日談。

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 あの後は、みんなと合流して、ビュッフェレストラン『宮』で楽しく食事をした俺達。全員がすっかり楽しんだその後、王宮へと帰って来たんだけど……そのニ週間後ーー

 「全く、俺が忙しく仕事をしているっていうのに、何を楽しんできてるんだ……!羨ましい……!」

 「あら、ディグラン?本音が出ているわよ?」

 「俺だってふらっと気分転換したいんですよ、母上!それに、スタッグまでいい酒飲んできたって自慢してくるんですよ?」

 「まあまあ。子供に戻ったみたいね、ディグラン?でもウチにもいるわねぇ、困った大人が。ねえ、マリッサ?」

 「今も必死に終わらせるようにしているらしいですわ、王妃様。その困った大人から伝言ですが、『もう少しで終わる!それまで待っていてくれ!』だそうですわ」

 ふう、困りましたわねぇ……と頬に手を当てるマリッサもまた、何やら朝から俺の部屋にいるのは珍しい。

 そう、俺は相変わらずベッドの住人だが、王族の皆さんは構わず俺の部屋でお茶をしているんだよ。俺は帰ってきてからもヴァレリーに抱かれまくって、疲れているんだけどなぁ……

 でも、正直、王家の皆さんがきて俺の話し相手になってくれるのは嬉しいんだよ。まあ、性生活が明け透けなのは、獣人国じゃ当たり前だしな。俺も慣れたもんだ。

 「あれ?ファビアン君とフルールちゃんは?マリッサ」

 俺の癒しの二人が来てない事にようやく気付いた俺は、身を乗り出してマリッサに聞いて見ると、どうやら急遽二人共お勉強が入ったらしい。

 「困ったものですわ。最近はトオヤ様のおもちゃが面白過ぎて、白熱しちゃうのですから……」

 ため息と共にマリッサがいうには、ファビアン君はメイドや執事さん、庭師さんまで巻き込んでボードゲームやトランプを遅くまで熱中して遊び、フルールちゃんの方はお人形の着せ替えにハマったメイドさんによって、日々大人を巻き込んで遊ぶのに夢中になっていたらしい。

 まあ、そのメイドさんは、ウチの四姉妹メイドさん達の仲良しさんで、どうやら召喚店舗から購入したファッション雑誌を見て、色々作ってたんだって。で、フルールちゃんと一緒になって楽しんでいると、その人形の服装がどうやら流行の一端を担うまでになってきて……

 「ふふっ、今や王家が流行の発信源ですのよ?」

 嬉しそうにいう王妃様は、全て俺のおかげだという。仕事が生まれ、人々の生活に潤いが生まれ、王家の勤めも果たせる、それも楽しんで。

 にっこり「感謝ですわ」と言われると、俺は少しこそばゆい。俺のギフトのおかげだしなぁ……って思っていたら、マリッサが興味深い事を言い出した。

 「トオヤ様?ギフトは転移者にとって神からの贈り物と言いますが、善良な者にこそ大きな力が宿るのです。つまり、トオヤ様がトオヤ様であるからこそ、与えられたギフトですわ。もっと誇ってもいいのですのよ?」

 ……へえ、そんな事までわかっているんだ……と感心していると、バタバタッと足音がしてバタンッと扉が開く。

 「トオヤ!終わったよ!」
 「トオヤ!フルール、がんばったよー」

 ファビアン君とフルールちゃんが俺のベッドにまで走ってきて、バフッと抱きついてきてくれた。うん、今日も可愛いすぎる!

 「あら?二人共、母様よりトオヤさんに行くのねぇ」
 「ふはっ!トオヤの影響力はすごいな」
 「まあまあ、お二人共!トオヤ様の部屋だからって気を抜いてはなりませんよ」

 「大丈夫だよ、マリッサ!他ではちゃんとしてるよ!」
 「フルールも、トオヤにだけだもん」

 なんて可愛い事を言ってくれる二人をぎゅっと抱きしめつつ、ここぞとばかりに二人にスリスリと顔を擦り付ける。

 うん、俺の部屋では王家の皆さんも気楽に過ごせるらしいんだ。俺自身、堅っ苦しいのは嫌だしなぁ。事前に俺の部屋では、気楽な方がいいって言ってあるんだ。

 ……そしたら、王家の皆さんが息抜きにくるようになったのは、ちょっとヴァレリーにとっては面白くないらしいけど、俺はドンと来いって感じだし。

 「おお。皆、集まっておるな」

 そして、丁度困った大人である王様も集まってきたんだ。そう、もう一度今日スパ・リゾート『宮』を出すことになっているんだ。今回は王家の皆様ご招待だな。

 「はーい、それじゃ出しますよー!」

 召喚店舗を呼び出すと、ウキウキしながら早速中に入って行く王家の皆さん。先導するのは俺専属の四人のメイドさん達。

 ん?俺は行かないのかって?

 俺はひと眠りしてから合流するって言ってあるんだ。ヴァレリーの体力馬鹿のせいでな。

 とはいえ、俺だって愛情を示してくるヴァレリーに応えたいし、もふもふしたいし、同罪だ。

 それに、行為の最中にヴァルの耳を甘噛み出来たり、体全体で毛並みを堪能できたり、尻尾を撫でたり出来るからなぁ。……その後が激しくなるけど。

 獣人に愛されるって、日本人じゃ考えられない愛されっぷりだから実感が凄いんだよ。で、ベッドでヴァレリーを思うだけで心があったかくなるのって、俺自身嫌いじゃないし。……うむ、照れる。

 あ、そうそう。他のみんなの様子はどうだったかって思うだろ?

 俺のメイドさん達の報告によると……エステチームは、それはもうピカピカになったらしい。院長先生は勿論、頑張ったイエーナさん達も満足の仕上がり。

 後日談だけど、孤児院の一部職員と年長組の二人にモテ期が来たらしい。どうなったかはまだ聞いてないけど、全員確かに艶々のサラサラでいて、院長先生なんか更にもふもふになっていたんだ。本気で抱きつきたかった……!

 で、酒飲み班は、かなりの酒豪が揃っていたらしく、それはもう飲みまくっていたらしい。人間だと飲み合わせによって悪酔いするだろ?ビールに、焼酎、日本酒にウィスキーを飲んでも、俺と合流した時ケロっとしていたんだぜ……!

 スタッグさんなんか「まだ飲んでいないお酒があったのに……!」と言いながらも土産にいっぱい仕入れてたんだぜ。ヴァレリーも呆れていたくらいだ。

 で、後日談として、地元のエールじゃ物足りなくなった孤児院の護衛や庭師の皆さん。お土産のウィスキーを地元の飲み屋で自慢したら、酒大好きな種族が動き出した。

 そう、酒好きドワーフが製造元どこだ?とか言って騒ぎ、王家だと言っても止まらず、請願書まで王宮に上げてきたんだよ。

 「定期購入が出来ないなら、作るまでっっっ!」

 っていう、気合いが入った請願書に、王家はウィスキーの製造の許可を出したんだって。

 製造方法はなぜかニューマートの本コーナーにあったから、それを提供。だからドワーフが絡んでいるけど、国主体での取り組みにして、現在酒蔵から製造中。

 うん、みんなが酒を楽しめるようになるのはいい事だよなぁ。

 それに、メイドさん達が更にキャピキャピ喜んで教えてくれたのは、孤児院の恋愛事情。年長さんのピューマ君にお熱の虎君の態度に、「「「「青春よね!」」」」と言ってハモってた。

 うん、この四人に目をつけられたからには、逐一進行状況が俺にも上がってくるな、こりゃ。虎君、頑張れ。

 そうそう、ウォーターパーク自体はものっ凄い反響で、余りに子供達が騒ぐ為院長先生から俺宛てに手紙まで送ってきたくらいだ。

 勿論、いい子にしてたら半年後にまたご褒美に連れて行く事にしてある。全員の分のお金の捻出が難しい、って事情が本音だけどさ。俺に頼らないあたりが院長先生らしい。

 そして孤児院関係者やメイドさん達やスタッグさんから噂が上がって、今日やっと王族全員揃ってご招待って訳。あ、勿論お金は自分たちで払うって言ってたぞ。うん、こういうところがここの王族の好きなところなんだよなぁ。

 俺、いい国に来たもんだ。

 そう思いながらベッドに横になり、サラサラのシーツに包まると、すぐに眠気が来たんだ。

 気持ちよく眠りに入った俺は、そのままぐっすり眠ってしまい、またみんなと一緒に楽しむ事が出来なかったのには、ちょっとヴァレリーを恨んでしまった。

 ーーーーーーーーーーーー

 ほのぼの回でした。
 お休み頂きありがとうございました♪
 また頑張ります!
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