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猫科の獣人に食べられない物はありますか?
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ウィィィィン……
『ようこそ!ニューマートへ!本日のお買い得商品は、出来立てのローストビーフとジャンボハンバーグです!その他お買い得商品多数揃えております!どうぞごゆっくりお買い物をお楽しみ下さい!』
……うん、だからこのギフトどうなってるんだ?
ニュ♪ニュ♪ニュ♪ニューマート~♪というバックミュージックに呆れながらも、早速スーパーマーケットの中に入って行く俺達。
はい、皆さんの予想通り店舗召喚で、スーパーマーケットを召喚しましたよ。
え?周りに誰か居なかったかだって?大丈夫!艶々の毛並みの騎士団員さん達が見張ってくれてるし、周囲も確認済みだ!
「トオヤ?何しているんだ?入らないのか?」
「あ、いや自分との対話を……気にすんな。ささっ、また店内見て回ろうぜ!」
ヴァレリーに不審がられたが、なんとか誤魔化しつつ、今回も四人でスーパーマーケットの検証に入った。で、まずは店内の配置図を見て、ディグラン様が驚いていたなぁ。
「こんなに多くの食品を、一つの店で扱っているのか……!鮮度が問われる魚まで!!」
どうやらディグラン様によると、セレリオ国は内陸国らしい。塩は岩塩、魚は高いのが普通だって。お?じゃ、刺身ってどうなんだろうな?
「殿下!エール以外の酒がこんなにも!」
そう思っていたら、意外にもスタッグさんが酒に食いついた。酒のイメージはヴァレリーと思っていただけに、思わずヴァレリーを見る。
「スタッグの酒好きは有名なんだ……にしても、ソーザイとはなんだ?」
「ん?惣菜って調理済みの料理って事。美味いもんいっぱいあるぞ。……で、ヴァレリーは酒に興味ないの?」
「こいつ(ヴァレリー)は甘い物好きだ」
「……また殿下は余計な事を。酒も飲むぞ?」
「そっか。じゃ、王都に着いたら一緒に酒飲もうぜ」
「ああ、良いな」
なんて言いながら店内に入って行く俺達。……だが、言われた通り素直にカートを押す3人の姿に、俺は一人悶えていた。
なんなんだ!あの可愛さは!!もふもふが買い物する姿が、こんなにも視界の暴力になろうとは……!!
震えながら突っ伏してしまった俺の変人ぶりは、どうやら買い物に夢中の3人にはバレてない筈。うん、気を取り直して俺もサッサと買い物しよう。
俺もカートを押して、ゆっくり一つ一つ品物を吟味するスタッグさんを追い越し、惣菜コーナーへと直行する。
途中、ディグラン様が鮮魚コーナーでじっくり見ていたマグロの刺身をみて、後で刺身も購入しようと思ったね。ん?でも焼いた方がいいのか?……後でディグラン様のカートの中を見てみるか。
と、そんな感じで惣菜コーナーに到着。俺は、今日のお買い得商品と唐揚げと俺用に寿司を多めにチョイス。だって買い物客4人だぞ?遠慮は要らんって素晴らしい!
どうせあの3人はまたじっくり見て回るだろうから、俺はスタスタとセルフレジへと向かう。
刺身や酒はまた後で買いだな、と鼻歌混じりに会計していると……視界の隅でまた俺を悶えさせるものを発見してしまった。
あのヴァレリーが、ケーキコーナーの試食をして尻尾ブンブン振っているんだぜ……!袋詰めしながら、余りの可愛さにガン見してしまったさ。
いかんいかん、休憩は1時間だから急がないと!
目に入ってくる視界の暴力に耐えながら、カートを押して入り口に戻ってきた俺。騎士団員の皆さんに袋ごと差し入れを渡し、適当に配って貰うようにお願いして店に戻ったんだけど……
それからが大変だった。
じっくり魚や肉を吟味するディグラン様は、夢中になり過ぎて俺の忠告は聞こえてなかったし。
酒の試飲コーナーに張り付きじっくり味わっているスタッグさんは、買う前に日本酒を開けようとするし。
お菓子コーナーに移動して、一個一個匂いを嗅いでいるヴァレリーには、俺がその行動の可愛さに撃沈させられたし。
この調子じゃ休憩時間内に帰れないだろうと、俺が配慮した結果……
『お呼び出しを申し上げます。セレリオ国からお越しのディグラン様、ヴァレリー様、スタッグ様。インフォメーションコーナーにてトオヤ様がお待ちです。至急、入り口横インフォメーションコーナーまでお越し下さいませ』
……俺は迷子じゃないぞ……!と思いながらもアナウンスをかけて貰う始末。
因みに、インフォメーションコーナーにはTVが設置されていて、画面には案内嬢(猫獣人)が映し出されていたんだ。音声対応もしてくれるインフォメーションAI搭載って、このギフト謎すぎる……便利だけど。
でも、それどころじゃない!
その後、3人ともインフォメーションコーナーに来てはくれたけど、押してきたカートを見て俺は叫び声を上げる。
「ちょっと買いすぎでしょ!どうすんの、この食料!ってかディグラン様、セルフレジ通して!!」
商品山積みのカートを見てこれを会計するのか…!と、げんなりした俺。その一方で、ホクホク顔のヴァレリー達。
「ここは宝の宝庫だな」(ディグラン様)
「まだ買いたいものいっぱいあるんですが……」(スタッグさん)
「お菓子の試食ってないんだな」(ヴァレリー)
3人が雑談を交わす横で必死に商品をレジに通す俺の姿に、ヴァレリー達も流石に気を遣って動き出してくれたのは助かったんだけど……
商品をレジに通す3人のもふもふの姿に、戦力の俺が悶えてしまい撃沈。
猛獣なのに可愛いすぎる……!
結局、四人がかりで会計や荷物運びをやったが、外に出る頃には出発予定時間から1時間半も過ぎていたんだよなぁ。
でも、そんな俺達のやらかしにも、苦笑いして対応してくれた団員さん達の心の広さよ。まぁ、他のわがまま貴族からすれば可愛いものらしいけどさ。……うん。俺、貴族に関わりたくないわ(既に関わっているけど)。
まあ、わからん先のことは置いといて、やっと出発するって時に蒸し返された問題が一つ。
「トオヤとヴァレリーを二人っきりにするのは危険だ」
「殿下に同意します」
ディグラン様とスタッグさんが、俺を抱えてまた馬車?に乗ろうとしているヴァレリーに待ったをかけたんだ。
そこから、ヴァレリーが「大丈夫だ」と説得にかかり、スタッグさんが「番の影響力は強い」と忠告したり、ディグラン様が「トオヤは俺が乗せる」と言い出したりと大変だったんだ。
だから俺は、言ってやったさ!
「あー!もう!要は、ヴァレリーが俺に構わなければ良いんですよね!」
3人は何を言い出すんだ?と言わんばかりの表情だったけど、俺には秘策があるんだなぁ、コレが。
それは……
◇
「最っ高!まさか俺がこの車を運転出来るなんて!」
フンフンと鼻歌混じりに運転する俺の横では、パワーウィンドウで遊んだりカーナビに興味を持つヴァレリーの姿がある。
そう、俺がもう一つ王都までの道中でやりたかった事は、店舗召喚で車量販店を召喚する事だったりする。
正直、余り力(ギフト)を公にしない方がいいと思うだろ?
でもこの国では、過去に車ごと転移した人もいて、車の存在は認知されているらしいんだ。だから、俺(招き人)なら公に乗り回しても構わないって訳。
そして、召喚店舗内にやっぱりあったんだ!レンタカーシステム!
車両購入は俺のMPでは足りないし……かと言ってまだ現地通貨はないし……と思ってたんだけどさ。
やっぱりフェザーラプラスの馬車?の揺れにちょっと参っていて、ヴァレリーに舐められながらちょっと調べてたんだ。
見つけた時は、ヴァレリーに抱きついちゃったよ。おかげで胸まで舐められたのは驚いたけどな。それはそれで、もふもふを堪能できて俺は満足だった。
そして話を戻すが、俺がレンタルしたのは憧れのキャンピングカー(バスコンタイプ)!勿論、獣人仕様で大きめの内部さ!
過去の招かれ人もキャンピングカーで来たらしいし。
本当は走行中の車内も堪能したかったけどな。……今は別の意味で楽しい。
「走る居住空間とはなぁ。まさかトイレや風呂まであるとは……!」
紅茶を飲みながら、俺がかけているクラシックに耳を傾けるディグラン様。
「おかわりはいかがですか?」
「貰おう。スタッグも座るといい。揺れが少なく快適だぞ」
「はい。では失礼して……」
後部のキッチンの使い方を走行中にマスターしたスタッグさん。ディグラン様にサーブする前に、運転席や助手席にも差し入れくれたんだ。適応力高すぎるよなぁ。
……まあ、コレを出したら出したで、今度はディグラン様とスタッグさんが乗りたいってゴネ出したんだよ。
また時間かかりそうだから、騎士さん達にディグラン様達のフェザーラプラスお願いして、すぐに四人で乗り込んださ。
そん時、後部に説明書も置いてあったから、それをスタッグさんに渡して、俺とヴァレリーは運転席と助手席に乗り込んで、今は騎士に周囲を守られながらゆっくり走行中ってワケ。
騎士さん達も乗りたそうにしてたから、いずれお披露目会もあっていいよな?いろんなキャンピングカーをレンタルして、内部の違いを楽しんで貰うのもいい!
くー!楽しみすぎる!!!それもコレも、ヴァレリーのおかげとも言えるよなぁ。
そう思ってチラッとヴァレリーを見て見ると、窓枠に肘を乗せて俺をじっくり見ていたから、お互いの目線が合った。
「ん?ヴァレリー、俺の顔になんか付いてるか?」
「いや。こうやって邪魔されずにトオヤを見れるのもいいものだと思ってな」
「そ、そうか。面白くもないと思うけど……」
コレまた色気たっぷりに俺を見てくるもんだから、むず痒い。どうしてもこの雰囲気になるのか……と、赤面しながら半ば諦めた俺。
「トオヤは表情豊かだからな。見ていて飽きない。それに、こんなにも愛おしい存在に会えるとは思わなかった……」
くうう……!ヴァレリーの阿保!無駄にいい声してんだから、色気をちょっとは抑えろ!
って運転しながら思ってたけどさ。なんとなく負けたくなくて、俺は頑張ってみた!
「ヴァレリー……俺も大好きだ(もふもふが)」
そう、ヴァレリーのもふもふの手を握りしめながら、にっこり笑って言ってみたんだ。俺だって、このくらいやればできるんだ!
なーんて、自己満足に陥っていたら、ヴァレリーは片手で両目を塞ぎ、天井を見上げる姿で黙り込んでしまった。
「俺の番が俺を殺しにくる……!」
そんなヴァレリーが可愛くて、俺は口が軽くなったんだよなぁ。
「ハハッ、殺さないって。むしろ愛でさせて?」
軽く冗談混じりで返したら、「……トオヤを愛でてもいいのか?」とヴァレリーが言ってくるから「いいよ」と気軽に返しちゃった俺。
……おかげで、今夜本気で困る展開になるとは思わなかったけどさ。そんな俺達の会話が聞こえた、後部スペースに居た二人。
「トオヤが墓穴を掘ったぞ」
「ああ、あれは逃げられないでしょうねぇ」
と言っていたとかいないとか。
……この時の俺は、運転に浮かれて気づかなかったんだ……迂闊に話すもんじゃないと後から後悔する羽目になるのにな……(げんなり)
『ようこそ!ニューマートへ!本日のお買い得商品は、出来立てのローストビーフとジャンボハンバーグです!その他お買い得商品多数揃えております!どうぞごゆっくりお買い物をお楽しみ下さい!』
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はい、皆さんの予想通り店舗召喚で、スーパーマーケットを召喚しましたよ。
え?周りに誰か居なかったかだって?大丈夫!艶々の毛並みの騎士団員さん達が見張ってくれてるし、周囲も確認済みだ!
「トオヤ?何しているんだ?入らないのか?」
「あ、いや自分との対話を……気にすんな。ささっ、また店内見て回ろうぜ!」
ヴァレリーに不審がられたが、なんとか誤魔化しつつ、今回も四人でスーパーマーケットの検証に入った。で、まずは店内の配置図を見て、ディグラン様が驚いていたなぁ。
「こんなに多くの食品を、一つの店で扱っているのか……!鮮度が問われる魚まで!!」
どうやらディグラン様によると、セレリオ国は内陸国らしい。塩は岩塩、魚は高いのが普通だって。お?じゃ、刺身ってどうなんだろうな?
「殿下!エール以外の酒がこんなにも!」
そう思っていたら、意外にもスタッグさんが酒に食いついた。酒のイメージはヴァレリーと思っていただけに、思わずヴァレリーを見る。
「スタッグの酒好きは有名なんだ……にしても、ソーザイとはなんだ?」
「ん?惣菜って調理済みの料理って事。美味いもんいっぱいあるぞ。……で、ヴァレリーは酒に興味ないの?」
「こいつ(ヴァレリー)は甘い物好きだ」
「……また殿下は余計な事を。酒も飲むぞ?」
「そっか。じゃ、王都に着いたら一緒に酒飲もうぜ」
「ああ、良いな」
なんて言いながら店内に入って行く俺達。……だが、言われた通り素直にカートを押す3人の姿に、俺は一人悶えていた。
なんなんだ!あの可愛さは!!もふもふが買い物する姿が、こんなにも視界の暴力になろうとは……!!
震えながら突っ伏してしまった俺の変人ぶりは、どうやら買い物に夢中の3人にはバレてない筈。うん、気を取り直して俺もサッサと買い物しよう。
俺もカートを押して、ゆっくり一つ一つ品物を吟味するスタッグさんを追い越し、惣菜コーナーへと直行する。
途中、ディグラン様が鮮魚コーナーでじっくり見ていたマグロの刺身をみて、後で刺身も購入しようと思ったね。ん?でも焼いた方がいいのか?……後でディグラン様のカートの中を見てみるか。
と、そんな感じで惣菜コーナーに到着。俺は、今日のお買い得商品と唐揚げと俺用に寿司を多めにチョイス。だって買い物客4人だぞ?遠慮は要らんって素晴らしい!
どうせあの3人はまたじっくり見て回るだろうから、俺はスタスタとセルフレジへと向かう。
刺身や酒はまた後で買いだな、と鼻歌混じりに会計していると……視界の隅でまた俺を悶えさせるものを発見してしまった。
あのヴァレリーが、ケーキコーナーの試食をして尻尾ブンブン振っているんだぜ……!袋詰めしながら、余りの可愛さにガン見してしまったさ。
いかんいかん、休憩は1時間だから急がないと!
目に入ってくる視界の暴力に耐えながら、カートを押して入り口に戻ってきた俺。騎士団員の皆さんに袋ごと差し入れを渡し、適当に配って貰うようにお願いして店に戻ったんだけど……
それからが大変だった。
じっくり魚や肉を吟味するディグラン様は、夢中になり過ぎて俺の忠告は聞こえてなかったし。
酒の試飲コーナーに張り付きじっくり味わっているスタッグさんは、買う前に日本酒を開けようとするし。
お菓子コーナーに移動して、一個一個匂いを嗅いでいるヴァレリーには、俺がその行動の可愛さに撃沈させられたし。
この調子じゃ休憩時間内に帰れないだろうと、俺が配慮した結果……
『お呼び出しを申し上げます。セレリオ国からお越しのディグラン様、ヴァレリー様、スタッグ様。インフォメーションコーナーにてトオヤ様がお待ちです。至急、入り口横インフォメーションコーナーまでお越し下さいませ』
……俺は迷子じゃないぞ……!と思いながらもアナウンスをかけて貰う始末。
因みに、インフォメーションコーナーにはTVが設置されていて、画面には案内嬢(猫獣人)が映し出されていたんだ。音声対応もしてくれるインフォメーションAI搭載って、このギフト謎すぎる……便利だけど。
でも、それどころじゃない!
その後、3人ともインフォメーションコーナーに来てはくれたけど、押してきたカートを見て俺は叫び声を上げる。
「ちょっと買いすぎでしょ!どうすんの、この食料!ってかディグラン様、セルフレジ通して!!」
商品山積みのカートを見てこれを会計するのか…!と、げんなりした俺。その一方で、ホクホク顔のヴァレリー達。
「ここは宝の宝庫だな」(ディグラン様)
「まだ買いたいものいっぱいあるんですが……」(スタッグさん)
「お菓子の試食ってないんだな」(ヴァレリー)
3人が雑談を交わす横で必死に商品をレジに通す俺の姿に、ヴァレリー達も流石に気を遣って動き出してくれたのは助かったんだけど……
商品をレジに通す3人のもふもふの姿に、戦力の俺が悶えてしまい撃沈。
猛獣なのに可愛いすぎる……!
結局、四人がかりで会計や荷物運びをやったが、外に出る頃には出発予定時間から1時間半も過ぎていたんだよなぁ。
でも、そんな俺達のやらかしにも、苦笑いして対応してくれた団員さん達の心の広さよ。まぁ、他のわがまま貴族からすれば可愛いものらしいけどさ。……うん。俺、貴族に関わりたくないわ(既に関わっているけど)。
まあ、わからん先のことは置いといて、やっと出発するって時に蒸し返された問題が一つ。
「トオヤとヴァレリーを二人っきりにするのは危険だ」
「殿下に同意します」
ディグラン様とスタッグさんが、俺を抱えてまた馬車?に乗ろうとしているヴァレリーに待ったをかけたんだ。
そこから、ヴァレリーが「大丈夫だ」と説得にかかり、スタッグさんが「番の影響力は強い」と忠告したり、ディグラン様が「トオヤは俺が乗せる」と言い出したりと大変だったんだ。
だから俺は、言ってやったさ!
「あー!もう!要は、ヴァレリーが俺に構わなければ良いんですよね!」
3人は何を言い出すんだ?と言わんばかりの表情だったけど、俺には秘策があるんだなぁ、コレが。
それは……
◇
「最っ高!まさか俺がこの車を運転出来るなんて!」
フンフンと鼻歌混じりに運転する俺の横では、パワーウィンドウで遊んだりカーナビに興味を持つヴァレリーの姿がある。
そう、俺がもう一つ王都までの道中でやりたかった事は、店舗召喚で車量販店を召喚する事だったりする。
正直、余り力(ギフト)を公にしない方がいいと思うだろ?
でもこの国では、過去に車ごと転移した人もいて、車の存在は認知されているらしいんだ。だから、俺(招き人)なら公に乗り回しても構わないって訳。
そして、召喚店舗内にやっぱりあったんだ!レンタカーシステム!
車両購入は俺のMPでは足りないし……かと言ってまだ現地通貨はないし……と思ってたんだけどさ。
やっぱりフェザーラプラスの馬車?の揺れにちょっと参っていて、ヴァレリーに舐められながらちょっと調べてたんだ。
見つけた時は、ヴァレリーに抱きついちゃったよ。おかげで胸まで舐められたのは驚いたけどな。それはそれで、もふもふを堪能できて俺は満足だった。
そして話を戻すが、俺がレンタルしたのは憧れのキャンピングカー(バスコンタイプ)!勿論、獣人仕様で大きめの内部さ!
過去の招かれ人もキャンピングカーで来たらしいし。
本当は走行中の車内も堪能したかったけどな。……今は別の意味で楽しい。
「走る居住空間とはなぁ。まさかトイレや風呂まであるとは……!」
紅茶を飲みながら、俺がかけているクラシックに耳を傾けるディグラン様。
「おかわりはいかがですか?」
「貰おう。スタッグも座るといい。揺れが少なく快適だぞ」
「はい。では失礼して……」
後部のキッチンの使い方を走行中にマスターしたスタッグさん。ディグラン様にサーブする前に、運転席や助手席にも差し入れくれたんだ。適応力高すぎるよなぁ。
……まあ、コレを出したら出したで、今度はディグラン様とスタッグさんが乗りたいってゴネ出したんだよ。
また時間かかりそうだから、騎士さん達にディグラン様達のフェザーラプラスお願いして、すぐに四人で乗り込んださ。
そん時、後部に説明書も置いてあったから、それをスタッグさんに渡して、俺とヴァレリーは運転席と助手席に乗り込んで、今は騎士に周囲を守られながらゆっくり走行中ってワケ。
騎士さん達も乗りたそうにしてたから、いずれお披露目会もあっていいよな?いろんなキャンピングカーをレンタルして、内部の違いを楽しんで貰うのもいい!
くー!楽しみすぎる!!!それもコレも、ヴァレリーのおかげとも言えるよなぁ。
そう思ってチラッとヴァレリーを見て見ると、窓枠に肘を乗せて俺をじっくり見ていたから、お互いの目線が合った。
「ん?ヴァレリー、俺の顔になんか付いてるか?」
「いや。こうやって邪魔されずにトオヤを見れるのもいいものだと思ってな」
「そ、そうか。面白くもないと思うけど……」
コレまた色気たっぷりに俺を見てくるもんだから、むず痒い。どうしてもこの雰囲気になるのか……と、赤面しながら半ば諦めた俺。
「トオヤは表情豊かだからな。見ていて飽きない。それに、こんなにも愛おしい存在に会えるとは思わなかった……」
くうう……!ヴァレリーの阿保!無駄にいい声してんだから、色気をちょっとは抑えろ!
って運転しながら思ってたけどさ。なんとなく負けたくなくて、俺は頑張ってみた!
「ヴァレリー……俺も大好きだ(もふもふが)」
そう、ヴァレリーのもふもふの手を握りしめながら、にっこり笑って言ってみたんだ。俺だって、このくらいやればできるんだ!
なーんて、自己満足に陥っていたら、ヴァレリーは片手で両目を塞ぎ、天井を見上げる姿で黙り込んでしまった。
「俺の番が俺を殺しにくる……!」
そんなヴァレリーが可愛くて、俺は口が軽くなったんだよなぁ。
「ハハッ、殺さないって。むしろ愛でさせて?」
軽く冗談混じりで返したら、「……トオヤを愛でてもいいのか?」とヴァレリーが言ってくるから「いいよ」と気軽に返しちゃった俺。
……おかげで、今夜本気で困る展開になるとは思わなかったけどさ。そんな俺達の会話が聞こえた、後部スペースに居た二人。
「トオヤが墓穴を掘ったぞ」
「ああ、あれは逃げられないでしょうねぇ」
と言っていたとかいないとか。
……この時の俺は、運転に浮かれて気づかなかったんだ……迂闊に話すもんじゃないと後から後悔する羽目になるのにな……(げんなり)
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