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この世界でもいた!
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「いやああん!なんて可愛いのぉ!」
「あ、あの……?」
「うんうん、大丈夫よぉ!お姉さんは貴方達の味方だから!なんて目の保養かしらぁ!あら、大丈夫よぉ、リッちゃん!シュウちゃんに手は出さないわよぉ!」
目の前で細マッチョな豹獣人さんが、体をクネクネさせながら俺達を歓迎してくれているんだ。……けどさぁ、この世界でもいたんだなぁ……この人種。
そんな状況の中、現在の律さんは俺を膝から降ろしてくれないどころか、ソファーに座りながら横抱き中です。
「律!」
「駄目だ、秀。ここじゃないところで登録するぞ」
「いやいやいや……落ち着け、律。とりあえず、この人は大丈夫だって」
「……だったら、今後商業ギルドに来る時は、秀一人じゃ駄目だ」
「あー、ハイハイ。わかったから。ったく、もう」
このままじゃ話が進まないと思った俺は、仕方ないからぎゅっと律の首に抱きついて耳元で約束する。
「……帰ったら利息分追加でいいから、な?」
キスも二度やったら、もはや何度でも来いと開き直った俺。律とキスするのも嫌いじゃねえし。
「なら、すぐ帰る」
「「待て待て待て」」
律が俺を抱いたままスクッと立ち上がり、出て行こうとするのを、俺と標準の話し方に戻った豹獣人さんが待ったをかける。
「わーかったわよぉ!リッちゃん、もうシュウちゃんに抱きつかないって約束するわ!だから一旦座ってちょうだい!シュウちゃんの為になるんだからぁ!」
全力で移動をしたギルマスさんが、両手を広げて入り口を塞いで説得してくれてる。ありがとうございます!つか、うちの律がすんません!
……まあ、律もやろう思えば転移ですぐ移動できるのをやらないあたり、本気じゃないだろうけどさ。
◇
はい、いきなり失礼。余りにも強烈な人だった為に、これまでの経緯すっ飛ばしちまった。
まずはちょっと時間を戻るけど、実は、冒険者ギルドではもう一悶着あったんだ。
ギルドカードを受け取った律が、すでに狩ってきた素材を売りたいと言い出したから、併設されている解体兼素材買取所に案内されたんだけど……
「ちょ!待て!なんだこの綺麗な剥ぎ取り! 肉も新鮮?ってかおい! あんた今日登録したばかりだよな⁉︎ なんで、レッドボアやイエローグリズリーが出てくるんだあ⁉︎ しかも、これワイバーンの皮じゃねえか!! ……すげえ、傷もなく一頭そのまま剥ぎ取りなんて……!」
まあ、律が出した素材が珍しいのもあるし、ランクがB~Cランクの魔物達だったのも、解体済みで綺麗な素材だったのもあって、買取所の職員さんが総出で騒ぎ出したんだ。
「余り騒ぐようなら売らん」
まあ、この手の騒ぎが嫌いな律の言葉に、ピタッと騒ぎは収まったけど、おかげで関係の無い冒険者達まで集まっちゃってさ。
職員さん達が必死に律の機嫌を取って、奥の倉庫に移動したからなんとかなったけど。余りに素材の状態や鮮度が良い為、金額が膨大になるからって、明日また受け取りに来る事にして、ようやく冒険者ギルドから解放されたんだ。
で、お隣の商業ギルドにようやく移動出来たんだけど……
「すみません。リツ様、シュウ様、ギルド長がお呼びになっております。二階ギルド長室に移動をお願いできますか?」
受付に行った途端に、二階のギルド長室に案内された俺達。グンターさんがどうやら連絡していたらしい。
それで二階に案内されてギルド長室に入ったら、待ってたギルド長さんにいきなり俺が捕まって……
憤慨した律が俺を抱いて帰ろうとするわ、その姿にギルド長は更にテンション上がるわ、律が威圧をするわで、ソファーに座るまでも一悶着あったって訳。
で、冒頭に至るわけだけど……とにかく律が不機嫌な為、必死にご機嫌取りをする俺。
恥ずかしいけど、律に横抱きされ、更に律の首に抱きついたままという体勢でギルド長とであるフィリップスさんとお話をするという事に。
「うふふふふ……いいわぁ!コレからは私好みの子達の姿が見れるのねぇ……!」
「おい、いい加減先に進めろ」
「あら、りっちゃんのいけず。……とはいえ、帰られるのも残念だしやりましょうか。さて、シュウちゃんも、召喚されたのよね。という事は強力な力がある筈。シュウちゃんは、何ができるのかしら?あ、大丈夫よ?この部屋、防音もしっかりしているから」
流石にギルド長室、抜かりはないらしく、俺としても鑑定済みのこの人を警戒する気は全く無くなっていたので、ある程度話す事に。
「まあ、錬金なのねぇ!アイテムボックス持ちなら最高じゃない!で、何をやるつもりなのかしら?」
「えと、出来たら屋台で食べ物を売りたくて」
「まあ、意外な路線で来たわね。でも異世界の料理は気になるわぁ。許可は勿論、ギルドカードもすぐは作れるけど……シュウちゃんはどうやって販売するつもり?」
「え?俺が作って売ろうと思ってますけど……?」
「駄目ね」「駄目だ」
なんと、ギルド長だけじゃなく律からも駄目だしが来た。え?なんで?普通に考えればそれしかないだろ?
首を傾げる俺に、片手で頬を抑えながらため息を吐くフィリップスさん。
「シュウちゃんの真面目さは素晴らしいわぁ。でもね、シュウちゃんの魅力を考えたら危なっかしくて、それじゃ許可できないのよぉ」
「魅力って……?俺が?」
俺の魅力ねぇ……と疑問に思っていると、真剣な顔で俺に説明し出した律。
「秀、いいか?秀は、ただでさえ可愛いくて、魅力的なんだ。それがこの世界、とりわけ獣人の多いこの国では、秀は更に魅力的な存在になる。小さくて、可愛い、髪はサラサラ、頬はスベスベ、細い腰は男を魅了し、プリッとして形の良い尻はよくない輩を誘い込む。それにだ!性格は素直で従順、優しくていい匂いがして、寝顔が可愛い秀が一人で商売してみろ!あっという間に連れ去られて………!!」
「ちょちょちょ、シュウちゃん!リッちゃんを止めて!妄想でかなりの殺気が出てるわあ!私は良いけど、殺気までは防げないのよ、この部屋!一階の一般客が軒並み倒れちゃうわ!」
「律?おい、俺は無事だってば!」
どうやらあらぬ妄想で本気で怒り出した律。フィリップスさんも、本気で焦ってるじゃん!ったくもう!
仕方ないから覚悟を決めて、フィリップスさんにお願いをする俺。
「すみません、フィリップスさん。ちょっとだけ後ろ向いてて貰えませんか?」
「あらあら、うふふ。良いわよぉ。手早くお願いねぇ」
仕方ないから、また俺から律にキスする事にしたんだ。ドキドキしながら軽く触れて、また口を合わせて俺から舌を絡めたら……
「んぅっ!」
頭を抑えられて更に深く口を合わせる事になり、後は律のテクニックというか、場数が違うというか、称号の力というか、俺はただキスしかされてないのに疲れ果てるという始末。
そして殺気は収まったのに……今度は律さん、俺の顔を自分の胸に押し付けて、フィリップスさんの方へ向けさせないんですけど……?
「秀の蕩けた顔なんて、他の奴に見せるわけないだろ」
俺の耳元で甘く囁いてくる律の声に「ひぅ!」っと反応してしまった俺。くっそお……!この歩く18禁野郎め!
そんな俺達の姿を見て、笑い声を上げるフィリップスさん。
「うふふ、良い物見せて貰ったわぁ。リッちゃんたら激しいのねぇ。シュウちゃんがトロトロな時にしっかりお尻までもんじゃって!」
「見学料追加だな」
「あら、良いわよぉ。どうせなら空き店舗貸すわ。シュウちゃんに関しては私の勘が騒ぐのよ、逃すなってね?お金はグンターから聞いてるわよぉ~。大金が入ってくるんでしょお?」
「なら二、三人信用できる奴を寄越せ。そいつらに表に出て貰う」
「まっかせなさーい!イイモノ見せて貰ったんだもの!安いものよ。あ、でも改装や内装料金は出してもらうわよ?」
「当然だ」
俺が律の胸に抑え込まれている間に話しがポンポン進んでいく……!俺、当事者だろ⁉︎
うーうー言ってたら律にクイっと顔を上げられ、ちゅっとキスをされてから「よし」と言われ、ようやく横抱き状態に戻った俺。
あああああああ、もう!この馬鹿!
恥ずかしくて顔を覆っていると、フィリップスさんが「まあ、今日はご褒美の日ね!」と喜ぶ声が聞こえる。……うん、もうなんとでも言って下さい。
「秀、店の二階が住居になっているようだ。店も前の所有者が食堂をしていたらしい。ちょっと弄ればすぐ使えそうだぞ?」
いつの間に受け取っていたのか書類を手に説明をしてくれる律。うっ、恥ずかしがっている場合じゃねえ!俺の事なんだ!
「律、見せて?」
「ん」
確かに住居部分は2LDKだし、一階の間取りはいい……けど、お金がなぁ……また律に借りになっちまう。
チラッと上目使いで律を見ると、額にキスをされ甘い雰囲気で「なんだ?」と聞いてくる律。時と場所を考えろっての!でも……頼らざるを得ない俺の立場よ。
「律?また借りが出来るけど、良いのか?」
「ん?利子の上乗せして貰えれば良いぞ?」
「例えば?」
「夜一緒に寝る事だな」
「!!……寝るだけだぞ……?」
「ああ。(今は、な)」
ううううう……!コイツと居ると流される未来しか見えない……!が、仕方ない!寝るだけなら、子供の時よくやったし!
なんてやっていると、向かい側のフィリップスさんが静かで気になって見てみると……
「うふふふふふ……!好みの子達の絡みがこんなに尊いなんて……!」
「え?あの……フィリップスさん?鼻血、大丈夫ですか?」
「秀、変態はほっとけ」
「ああ!性格までドンピシャ!私生きててよかったわぁ……!」
うん、なんかフィリップスさんのツボに入ったらしい。正直言ってこの商業ギルド大丈夫だろうか?と不安になるも、その後はサクサクと作業が進み、無事俺の商業ギルドカードも出来たんだ。
「あ、一応シュウちゃんの料理持ってきて作って貰える?ランクがCランクにならないとお店出せないのよぉ。ギルド長としては確認しておきたいの」
「おい、変態。普通そっちが先だろうが」
「うふふー、私【先見】スキルあるのよぉ。確率100%なの。だからコレが働いた時は、大概こんなものよ。それにいっぱいイイモノ見せて貰ったもの!これくらい安いものよ」
なんとも言えない豹獣人さんのウィンクに微妙な気持ちになりながらも、感謝しつつ話しを進めて行く事にした俺。
そのまま内装工事の話になり業者を紹介して貰える事と、明日内覧兼料理を持っていく事に決まったんだ。
「明日もその調子でよろしくねぇ!」
とまあ、最後までご機嫌のオネエのフィリップスさんに一旦別れを告げて、ようやく商業ギルドを後にしたんだけど……ただの登録なのに、こんなに濃い1日になるとはなぁ。
って、ほぼ律のせいじゃん!……強く言えない俺も俺か……
「あ、あの……?」
「うんうん、大丈夫よぉ!お姉さんは貴方達の味方だから!なんて目の保養かしらぁ!あら、大丈夫よぉ、リッちゃん!シュウちゃんに手は出さないわよぉ!」
目の前で細マッチョな豹獣人さんが、体をクネクネさせながら俺達を歓迎してくれているんだ。……けどさぁ、この世界でもいたんだなぁ……この人種。
そんな状況の中、現在の律さんは俺を膝から降ろしてくれないどころか、ソファーに座りながら横抱き中です。
「律!」
「駄目だ、秀。ここじゃないところで登録するぞ」
「いやいやいや……落ち着け、律。とりあえず、この人は大丈夫だって」
「……だったら、今後商業ギルドに来る時は、秀一人じゃ駄目だ」
「あー、ハイハイ。わかったから。ったく、もう」
このままじゃ話が進まないと思った俺は、仕方ないからぎゅっと律の首に抱きついて耳元で約束する。
「……帰ったら利息分追加でいいから、な?」
キスも二度やったら、もはや何度でも来いと開き直った俺。律とキスするのも嫌いじゃねえし。
「なら、すぐ帰る」
「「待て待て待て」」
律が俺を抱いたままスクッと立ち上がり、出て行こうとするのを、俺と標準の話し方に戻った豹獣人さんが待ったをかける。
「わーかったわよぉ!リッちゃん、もうシュウちゃんに抱きつかないって約束するわ!だから一旦座ってちょうだい!シュウちゃんの為になるんだからぁ!」
全力で移動をしたギルマスさんが、両手を広げて入り口を塞いで説得してくれてる。ありがとうございます!つか、うちの律がすんません!
……まあ、律もやろう思えば転移ですぐ移動できるのをやらないあたり、本気じゃないだろうけどさ。
◇
はい、いきなり失礼。余りにも強烈な人だった為に、これまでの経緯すっ飛ばしちまった。
まずはちょっと時間を戻るけど、実は、冒険者ギルドではもう一悶着あったんだ。
ギルドカードを受け取った律が、すでに狩ってきた素材を売りたいと言い出したから、併設されている解体兼素材買取所に案内されたんだけど……
「ちょ!待て!なんだこの綺麗な剥ぎ取り! 肉も新鮮?ってかおい! あんた今日登録したばかりだよな⁉︎ なんで、レッドボアやイエローグリズリーが出てくるんだあ⁉︎ しかも、これワイバーンの皮じゃねえか!! ……すげえ、傷もなく一頭そのまま剥ぎ取りなんて……!」
まあ、律が出した素材が珍しいのもあるし、ランクがB~Cランクの魔物達だったのも、解体済みで綺麗な素材だったのもあって、買取所の職員さんが総出で騒ぎ出したんだ。
「余り騒ぐようなら売らん」
まあ、この手の騒ぎが嫌いな律の言葉に、ピタッと騒ぎは収まったけど、おかげで関係の無い冒険者達まで集まっちゃってさ。
職員さん達が必死に律の機嫌を取って、奥の倉庫に移動したからなんとかなったけど。余りに素材の状態や鮮度が良い為、金額が膨大になるからって、明日また受け取りに来る事にして、ようやく冒険者ギルドから解放されたんだ。
で、お隣の商業ギルドにようやく移動出来たんだけど……
「すみません。リツ様、シュウ様、ギルド長がお呼びになっております。二階ギルド長室に移動をお願いできますか?」
受付に行った途端に、二階のギルド長室に案内された俺達。グンターさんがどうやら連絡していたらしい。
それで二階に案内されてギルド長室に入ったら、待ってたギルド長さんにいきなり俺が捕まって……
憤慨した律が俺を抱いて帰ろうとするわ、その姿にギルド長は更にテンション上がるわ、律が威圧をするわで、ソファーに座るまでも一悶着あったって訳。
で、冒頭に至るわけだけど……とにかく律が不機嫌な為、必死にご機嫌取りをする俺。
恥ずかしいけど、律に横抱きされ、更に律の首に抱きついたままという体勢でギルド長とであるフィリップスさんとお話をするという事に。
「うふふふふ……いいわぁ!コレからは私好みの子達の姿が見れるのねぇ……!」
「おい、いい加減先に進めろ」
「あら、りっちゃんのいけず。……とはいえ、帰られるのも残念だしやりましょうか。さて、シュウちゃんも、召喚されたのよね。という事は強力な力がある筈。シュウちゃんは、何ができるのかしら?あ、大丈夫よ?この部屋、防音もしっかりしているから」
流石にギルド長室、抜かりはないらしく、俺としても鑑定済みのこの人を警戒する気は全く無くなっていたので、ある程度話す事に。
「まあ、錬金なのねぇ!アイテムボックス持ちなら最高じゃない!で、何をやるつもりなのかしら?」
「えと、出来たら屋台で食べ物を売りたくて」
「まあ、意外な路線で来たわね。でも異世界の料理は気になるわぁ。許可は勿論、ギルドカードもすぐは作れるけど……シュウちゃんはどうやって販売するつもり?」
「え?俺が作って売ろうと思ってますけど……?」
「駄目ね」「駄目だ」
なんと、ギルド長だけじゃなく律からも駄目だしが来た。え?なんで?普通に考えればそれしかないだろ?
首を傾げる俺に、片手で頬を抑えながらため息を吐くフィリップスさん。
「シュウちゃんの真面目さは素晴らしいわぁ。でもね、シュウちゃんの魅力を考えたら危なっかしくて、それじゃ許可できないのよぉ」
「魅力って……?俺が?」
俺の魅力ねぇ……と疑問に思っていると、真剣な顔で俺に説明し出した律。
「秀、いいか?秀は、ただでさえ可愛いくて、魅力的なんだ。それがこの世界、とりわけ獣人の多いこの国では、秀は更に魅力的な存在になる。小さくて、可愛い、髪はサラサラ、頬はスベスベ、細い腰は男を魅了し、プリッとして形の良い尻はよくない輩を誘い込む。それにだ!性格は素直で従順、優しくていい匂いがして、寝顔が可愛い秀が一人で商売してみろ!あっという間に連れ去られて………!!」
「ちょちょちょ、シュウちゃん!リッちゃんを止めて!妄想でかなりの殺気が出てるわあ!私は良いけど、殺気までは防げないのよ、この部屋!一階の一般客が軒並み倒れちゃうわ!」
「律?おい、俺は無事だってば!」
どうやらあらぬ妄想で本気で怒り出した律。フィリップスさんも、本気で焦ってるじゃん!ったくもう!
仕方ないから覚悟を決めて、フィリップスさんにお願いをする俺。
「すみません、フィリップスさん。ちょっとだけ後ろ向いてて貰えませんか?」
「あらあら、うふふ。良いわよぉ。手早くお願いねぇ」
仕方ないから、また俺から律にキスする事にしたんだ。ドキドキしながら軽く触れて、また口を合わせて俺から舌を絡めたら……
「んぅっ!」
頭を抑えられて更に深く口を合わせる事になり、後は律のテクニックというか、場数が違うというか、称号の力というか、俺はただキスしかされてないのに疲れ果てるという始末。
そして殺気は収まったのに……今度は律さん、俺の顔を自分の胸に押し付けて、フィリップスさんの方へ向けさせないんですけど……?
「秀の蕩けた顔なんて、他の奴に見せるわけないだろ」
俺の耳元で甘く囁いてくる律の声に「ひぅ!」っと反応してしまった俺。くっそお……!この歩く18禁野郎め!
そんな俺達の姿を見て、笑い声を上げるフィリップスさん。
「うふふ、良い物見せて貰ったわぁ。リッちゃんたら激しいのねぇ。シュウちゃんがトロトロな時にしっかりお尻までもんじゃって!」
「見学料追加だな」
「あら、良いわよぉ。どうせなら空き店舗貸すわ。シュウちゃんに関しては私の勘が騒ぐのよ、逃すなってね?お金はグンターから聞いてるわよぉ~。大金が入ってくるんでしょお?」
「なら二、三人信用できる奴を寄越せ。そいつらに表に出て貰う」
「まっかせなさーい!イイモノ見せて貰ったんだもの!安いものよ。あ、でも改装や内装料金は出してもらうわよ?」
「当然だ」
俺が律の胸に抑え込まれている間に話しがポンポン進んでいく……!俺、当事者だろ⁉︎
うーうー言ってたら律にクイっと顔を上げられ、ちゅっとキスをされてから「よし」と言われ、ようやく横抱き状態に戻った俺。
あああああああ、もう!この馬鹿!
恥ずかしくて顔を覆っていると、フィリップスさんが「まあ、今日はご褒美の日ね!」と喜ぶ声が聞こえる。……うん、もうなんとでも言って下さい。
「秀、店の二階が住居になっているようだ。店も前の所有者が食堂をしていたらしい。ちょっと弄ればすぐ使えそうだぞ?」
いつの間に受け取っていたのか書類を手に説明をしてくれる律。うっ、恥ずかしがっている場合じゃねえ!俺の事なんだ!
「律、見せて?」
「ん」
確かに住居部分は2LDKだし、一階の間取りはいい……けど、お金がなぁ……また律に借りになっちまう。
チラッと上目使いで律を見ると、額にキスをされ甘い雰囲気で「なんだ?」と聞いてくる律。時と場所を考えろっての!でも……頼らざるを得ない俺の立場よ。
「律?また借りが出来るけど、良いのか?」
「ん?利子の上乗せして貰えれば良いぞ?」
「例えば?」
「夜一緒に寝る事だな」
「!!……寝るだけだぞ……?」
「ああ。(今は、な)」
ううううう……!コイツと居ると流される未来しか見えない……!が、仕方ない!寝るだけなら、子供の時よくやったし!
なんてやっていると、向かい側のフィリップスさんが静かで気になって見てみると……
「うふふふふふ……!好みの子達の絡みがこんなに尊いなんて……!」
「え?あの……フィリップスさん?鼻血、大丈夫ですか?」
「秀、変態はほっとけ」
「ああ!性格までドンピシャ!私生きててよかったわぁ……!」
うん、なんかフィリップスさんのツボに入ったらしい。正直言ってこの商業ギルド大丈夫だろうか?と不安になるも、その後はサクサクと作業が進み、無事俺の商業ギルドカードも出来たんだ。
「あ、一応シュウちゃんの料理持ってきて作って貰える?ランクがCランクにならないとお店出せないのよぉ。ギルド長としては確認しておきたいの」
「おい、変態。普通そっちが先だろうが」
「うふふー、私【先見】スキルあるのよぉ。確率100%なの。だからコレが働いた時は、大概こんなものよ。それにいっぱいイイモノ見せて貰ったもの!これくらい安いものよ」
なんとも言えない豹獣人さんのウィンクに微妙な気持ちになりながらも、感謝しつつ話しを進めて行く事にした俺。
そのまま内装工事の話になり業者を紹介して貰える事と、明日内覧兼料理を持っていく事に決まったんだ。
「明日もその調子でよろしくねぇ!」
とまあ、最後までご機嫌のオネエのフィリップスさんに一旦別れを告げて、ようやく商業ギルドを後にしたんだけど……ただの登録なのに、こんなに濃い1日になるとはなぁ。
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