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パーティー
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パーティー当日。いつもより早く起きて、お風呂に入れられた。服を着る前に、全身マッサージ。気持ち良かったけど、皆気合い入り過ぎてて、ちょっと怖い。
さっきも、髪型とか、ブローチで揉めてた。結局、大人っぽい方にするって事で落ち着いた。身支度が終わって、ほっと一安心。マーサに紅茶を入れてもらった。
「アル君、おはよう~。うん、格好いいね。」
「おはよう。ライアン、すごく格好いいよ。僕ね、もう疲れたんだけど。」
ライアンと一緒に紅茶を飲みながら、時間まで話して過ごした。
「時間です、会場へお願いします。」
セバスが呼びに来た。憂鬱な気持ちで、ライアンと会場に向かった。扉の前に、正装したあいつが立っていた。
「余計な事はするなよ。」
僕を見下ろしてそれだけ言うと、開いた扉から、会場の中へ進んだ。ムッとしたけど、手を繋いでくれたライアンに免じて許してやる。気を取り直して、あいつの後ろを付いて中へ入った。
会場の中は、色鮮やかな服を来た人達が50人ぐらい居る。シーンと静まりかえって、その目が僕達を見つめた。あいつは中央で立ち止まり、声をあげた。
「本日はお集まりいただき、ありがとうございます。こちらが私の息子、アルフォンスです。どうぞよろしくお願いします。」
大きな拍手が会場に響いた。あいつがチラッと僕を見た。
なんだよ、分からないんだけど。イラッとしたらライアンが、こそっと教えてくれた。
「軽くお辞儀すれば大丈夫だよ。」
皆に向かってお辞儀をして、ライアンの手をギュッと握った。
「では皆様、パーティーをお楽しみください。」
演奏が始まり、客達はダンス、食事、会話と動き出した。あいつも、貴族の人達と話し始めた。
会場は綺麗に飾り付けられ、料理は一口サイズの種類多数で並べてある。働いてる皆は、キビキビと綺麗な姿勢で動いていた。
僕の近くを通る時に、ウインクしたり、手でグッドのサインしたり。励ましてくれてるのが分かって、ちょっと笑ってしまった。
「そうそう、気楽にやれば良いんだよ。」
ライアンも僕にウインクをするから、少し肩から力が抜けた気がする。喉がカラカラ、何か飲もう。ドリンクコーナーへ行こうとした。
「アルフォンス、こちらの侯爵に挨拶を。」
あいつが目つきの鋭いおじさんを連れて来た。
『うげっ』と声に出そうになったのを堪えた僕は、偉かったと思う。あいつが名前を呼んで笑顔を見せたのが、すごく気持ち悪かった。あいつの為に笑うなんて出来ないから、真顔で対応した。
「初めまして、アルフォンスです。よろしくお願いします。」
軽くお辞儀をした。顔を上げ、ライアンを見るとニコッとしたから、対応はこれで良いんだね。
「こんなそっくりなご子息で、羨ましいですな。」
「可愛くて仕方がないですよ。」
は?何言ってるんだ?
「良いですな。公爵の血を引いているなら、頭も良いのでは?」
「ええ、勿論。覚えるのが早いし、会話も子どもとは思えない程です。」
は?会話なんて、したことないけど?
「そんな子を、今まで外に出さなかったのは、どうしてですかな?」
「少し事情がありまして、仕方がなかったのです。今後はどんどん出しますよ。」
お前が捨てたからだろうが!
「ふむ、では公爵家はご子息が継いでくれるから、安泰ですな。」
「ええ、その通りです。」
あいつが僕の肩に手を置いて、そんな事を言った。笑顔が気持ち悪い。
「アルフォンス君、君は幸せだな。頑張るんだぞ。」
何で、そんな事を言われないといけないんだ!!!
バシッ!とあいつの手を払い落とした。
「ふざけんな!何が可愛い息子だ!子どもと認めないと言ったのはお前だろ!会話らしい会話もしたことない!それなのに、公爵家を継ぐ?継ぐわけないだろ!母さんにも会わせてくれないし!僕がここに居るのは、母さんとの約束だからだ!成人になったら、こんなところになんか、用はない!お前は母さんと僕を捨てた最低のくそ野郎だ!!」
もう耐えられなくて、言いたいことをぶちまけた。身体の向きを変え、扉へ向かった。
「アル?」
聞き慣れた声に顔を上げると、ドレスを着た、綺麗な姿の母さんが立っていた。
「母…さん?母さん!!」
走って、母さんに抱きつこうとした。
バシッ!!ドサッ。
母さんに頬を叩かれ、床にお尻を付いた。訳が分からず、痛い左頬を手で押さえ、母さんを見上げた。
「何で…?」
「ウォードは、手術費用を出してくれて、私は病気を治すことが出来たの。あなたをそんな最低な子に育てた覚えは無いわ!今度は私があなたを捨てるから。今すぐここから出て行きなさい!!」
素早く立ち上がり、走って会場から飛び出した。母さんに、捨てられた…。僕には母さんしか居なかったのに。
ショックで涙が流れていた。もう何も無い。僕はこれからどうしたら良いんだ…。行く当てもなく、屋敷から出た。
涙も拭かず走って、門の前で立ち止まった。ここから出たらどこへ行こう…?
「ん゛ん゛!」
いきなり後から口を塞がれて、意識を失った。
さっきも、髪型とか、ブローチで揉めてた。結局、大人っぽい方にするって事で落ち着いた。身支度が終わって、ほっと一安心。マーサに紅茶を入れてもらった。
「アル君、おはよう~。うん、格好いいね。」
「おはよう。ライアン、すごく格好いいよ。僕ね、もう疲れたんだけど。」
ライアンと一緒に紅茶を飲みながら、時間まで話して過ごした。
「時間です、会場へお願いします。」
セバスが呼びに来た。憂鬱な気持ちで、ライアンと会場に向かった。扉の前に、正装したあいつが立っていた。
「余計な事はするなよ。」
僕を見下ろしてそれだけ言うと、開いた扉から、会場の中へ進んだ。ムッとしたけど、手を繋いでくれたライアンに免じて許してやる。気を取り直して、あいつの後ろを付いて中へ入った。
会場の中は、色鮮やかな服を来た人達が50人ぐらい居る。シーンと静まりかえって、その目が僕達を見つめた。あいつは中央で立ち止まり、声をあげた。
「本日はお集まりいただき、ありがとうございます。こちらが私の息子、アルフォンスです。どうぞよろしくお願いします。」
大きな拍手が会場に響いた。あいつがチラッと僕を見た。
なんだよ、分からないんだけど。イラッとしたらライアンが、こそっと教えてくれた。
「軽くお辞儀すれば大丈夫だよ。」
皆に向かってお辞儀をして、ライアンの手をギュッと握った。
「では皆様、パーティーをお楽しみください。」
演奏が始まり、客達はダンス、食事、会話と動き出した。あいつも、貴族の人達と話し始めた。
会場は綺麗に飾り付けられ、料理は一口サイズの種類多数で並べてある。働いてる皆は、キビキビと綺麗な姿勢で動いていた。
僕の近くを通る時に、ウインクしたり、手でグッドのサインしたり。励ましてくれてるのが分かって、ちょっと笑ってしまった。
「そうそう、気楽にやれば良いんだよ。」
ライアンも僕にウインクをするから、少し肩から力が抜けた気がする。喉がカラカラ、何か飲もう。ドリンクコーナーへ行こうとした。
「アルフォンス、こちらの侯爵に挨拶を。」
あいつが目つきの鋭いおじさんを連れて来た。
『うげっ』と声に出そうになったのを堪えた僕は、偉かったと思う。あいつが名前を呼んで笑顔を見せたのが、すごく気持ち悪かった。あいつの為に笑うなんて出来ないから、真顔で対応した。
「初めまして、アルフォンスです。よろしくお願いします。」
軽くお辞儀をした。顔を上げ、ライアンを見るとニコッとしたから、対応はこれで良いんだね。
「こんなそっくりなご子息で、羨ましいですな。」
「可愛くて仕方がないですよ。」
は?何言ってるんだ?
「良いですな。公爵の血を引いているなら、頭も良いのでは?」
「ええ、勿論。覚えるのが早いし、会話も子どもとは思えない程です。」
は?会話なんて、したことないけど?
「そんな子を、今まで外に出さなかったのは、どうしてですかな?」
「少し事情がありまして、仕方がなかったのです。今後はどんどん出しますよ。」
お前が捨てたからだろうが!
「ふむ、では公爵家はご子息が継いでくれるから、安泰ですな。」
「ええ、その通りです。」
あいつが僕の肩に手を置いて、そんな事を言った。笑顔が気持ち悪い。
「アルフォンス君、君は幸せだな。頑張るんだぞ。」
何で、そんな事を言われないといけないんだ!!!
バシッ!とあいつの手を払い落とした。
「ふざけんな!何が可愛い息子だ!子どもと認めないと言ったのはお前だろ!会話らしい会話もしたことない!それなのに、公爵家を継ぐ?継ぐわけないだろ!母さんにも会わせてくれないし!僕がここに居るのは、母さんとの約束だからだ!成人になったら、こんなところになんか、用はない!お前は母さんと僕を捨てた最低のくそ野郎だ!!」
もう耐えられなくて、言いたいことをぶちまけた。身体の向きを変え、扉へ向かった。
「アル?」
聞き慣れた声に顔を上げると、ドレスを着た、綺麗な姿の母さんが立っていた。
「母…さん?母さん!!」
走って、母さんに抱きつこうとした。
バシッ!!ドサッ。
母さんに頬を叩かれ、床にお尻を付いた。訳が分からず、痛い左頬を手で押さえ、母さんを見上げた。
「何で…?」
「ウォードは、手術費用を出してくれて、私は病気を治すことが出来たの。あなたをそんな最低な子に育てた覚えは無いわ!今度は私があなたを捨てるから。今すぐここから出て行きなさい!!」
素早く立ち上がり、走って会場から飛び出した。母さんに、捨てられた…。僕には母さんしか居なかったのに。
ショックで涙が流れていた。もう何も無い。僕はこれからどうしたら良いんだ…。行く当てもなく、屋敷から出た。
涙も拭かず走って、門の前で立ち止まった。ここから出たらどこへ行こう…?
「ん゛ん゛!」
いきなり後から口を塞がれて、意識を失った。
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