28 / 35
第二十八話
しおりを挟む
【第二十八話】
サイド:グレープ
トーマ、ハッパと別れた俺は、鉱山に向かって街道を歩き始めた。
そして道中、足を動かしながら、師匠から言われたことを思い出す。
『グレープは向こう見ずだ。【自己再生】があるからと、敵を観察せずにただ突っ込む。
それでは、いつまで経っても成長しない』
確かに、その通りだと思った。
あのときの俺は魔物との戦いに勝てず、死に戻りを繰り返して、ヘラヘラしながら遊んでた。
基本ソロだし、誰に迷惑をかけるわけでもない。攻撃力のあるスキルではないから、強靭な魔物に勝てないのは当然だ。
それでも、十分楽しかった。
だけど…。
『そんなプレイスタイルで満足してるのか?俺には考えられないが、どう遊ぼうが人の勝手だしな。とやかく言うつもりはない。いや、今さっき批判したな。悪かった』
いや、師匠の言う通りだ。
強かったら、もっと楽しいはず。もっとOSOが面白くなるはず。
『なに?弟子にしてくれ、だと?そんなめんどくさいこと御免だ。断る』
第一回、『悪魔』のイベントが終わって数日後くらい。
師匠とはフィールドで偶然出会った。
俺が魔物に負けまくって何度も死に戻りしているところに、師匠が通りかかったのだ。
運命だと思った。
俺が強くなれるかどうかの分岐点が、今ここにあるような気がした。
『なに、それなら勝手についていく、だと?…分かった、分かった。師匠呼ばわりはやめてほしいが、少し立ち回りを教えよう。グレープは俺の戦い方を真似してみろ』
師匠は心底めんどくさそうだったが、ぶっきらぼうにそう言った。
その後、俺に戦い方を見せるようにして、師匠は魔物と戦い始めた。
それはもう、めちゃくちゃに強かった。
体の動かし方、剣の振り方、視線の動かし方。
そのどれもが、俺とは全く違った。
俺も師匠みたいになりたい。
そう思い、見様見真似で師匠の戦い方を実践した。
『…少しはマシになったな。もっと練習したら、今度は自分で考えながら動け。一つ一つの行動に、意味を持たせろ』
師匠の言うことは的確で、俺が考えてもいないことだった。
しかし、俺はたった十分ほど教わっただけで、今まで手も足も出なかった魔物を倒せた。
『別にフレンドにならないとかじゃない。師匠呼ばわりをやめろと言っているだけだ。都合が合えば、これからも一緒にプレイしよう』
ただ、師匠として指南するのはこの場限りだと言われた。
もう教えてもらえない?
最後になるなら、せめて名前を聞きたかった。
『名前?ああ忘れてた。同じフルーツの名を持つ者として言っておかないとな』
俺は今日まで、その名を忘れたことはない。
というか、忘れてもフレンドリストを確認すればいいんだけど。
『俺はオレンジ。みかんが大好きな、ただのゲーマーだ』
※※※
つい数週間前のことを考えていると、俺はいつの間にか鉱山に着いた。
目の前には緩やかな斜面が広がっている。
これから山登りだ。といっても頂上ではなく、鉱山の中腹にある廃坑の入口を目指す。
ここから街道を外れるから、魔物との戦闘が多くなっていく。
気を引き締めなきゃな!
師匠に、じゃなくてオレンジに教えてもらったことを活かして、『サクラ個体』が相手だろうが勝つ。
そう思って一歩踏み出した瞬間…。
「おいお前、グレープとかいうやつだな」
不意に、耳元から声がする。
いつの間にすぐ後ろに!PKプレイヤーか!?
俺は足を止め、剣を引き抜こうとする。
「…ぐっ!」
しかし、右手をかけた剣の柄を後ろから押さえられる。
剣士は密着されるほど接近されると弱い。武器の剣を封じられるとなおさらだ。
それを知っているとは…、こいつ、できる!
かなりのやり手だ!
「安心しろ、殺すつもりはない」
「お前は誰だ!?」
「俺は、『魔王』と呼ばれている者だ」
『魔王』って、最悪のPKプレイヤーの、あの『魔王』か!?
流石の俺でも、βテストでの彼の悪行は知っている。
「信用できないな!『魔王』の名を騙った偽物かもしれないだろ!」
トーマは言っていた。PKプレイヤーの言うことを真に受けてはいけないと。
NPCの盗賊やプレイヤーによるPKは何度か経験がある。
多くが無言で襲いかかってきたり、馬鹿正直に名乗りを上げて襲いかかってきたりしたが、『魔王』に成りすますやつがいないとも限らない。
「お前が俺をどう思おうが、どうでもいい。問題は、お前がここに一人で居るということは、トーマは来ていないということだ。当てが外れた。俺の時間をどうしてくれる?」
なんて警戒していると、支離滅裂なことを言って責めてきた。
なんで俺が小言を言われなきゃいけないんだ?
「意味わっ…!かんっ…ねえよっ……!」
意味が分からないが、時間稼ぎにはなる。
俺は反論しながら腕に力を込めて剣を抜こうとするが、『魔王』の押さえる力が強すぎて、拘束から逃れられない。
「別に分かるように話していないから、問題ない」
「……俺とまともに話す気ないだろ」
この理解不能な話を好き勝手に展開する感じ、トーマに似ている。
俺の勘が間違っていなければ、知り合いだろうな。
「トーマがどうとか言ってたが、何か用だったのか?俺が代わりに伝えといてもいいぞ!」
こうなったら、もうやけだ。
キルされてもいいから、少しでも話を長引かせて情報を引き出そう。
「用というほどのことはない。魔物を放つついでに殺そうと思っただけだ」
「おまえええっ!」
再度抜け出そうと試みるも、やはりダメだ。
魔物を放つって、一体こいつは何をするつもりなんだ?
「主要なダンジョンとゴブリン領との境界は、我々【魔王軍】が占領する。お前たちプレイヤーが自由に狩りをすることは許さん」
「何言ってやがる!」
本当に理解不能だ!
そんなことしたら『サクラジェム』が集められなくなるだろ!
それに…。
「楽しくねえだろっ!そんなん!」
俺はそう言い放ち、勢いよくしゃがみ込む。
魔王の腕から逃れた俺は前に転がり、振り返りながら剣を抜いて背後を斬り払う。
「ちっ!」
かわされた。
先ほどまですぐ後ろにいたはずなのに、『魔王』は数十メートルほど離れた街道の上に立っている。
「先ほど、俺はお前を殺さないと言った」
そして呟き始めた『魔王』はいつの間にか、本を手にしていた。
革製か、黒い背表紙の本。
『魔王』のスキルはあれをどうこうする感じか?
くそっ!こんなことになるなら、トーマから要注意人物について聞いておけばよかった!
「だが、こいつらはどうかな?『ハイプレーンウルフ・ソニック』、『ハイプレーンウルフ・ソニック』、『ハイプレーンウルフ・ソニック』…」
本を開き、魔物の名を何度も口ずさむ『魔王』。
聞いたことのない名前だ。
言葉を詠唱して発動するタイプなら攻撃しにいきたいが、スキルの正体が分からない。
うかつに攻めるのは自殺行為か…?
「『ハイプレーンウルフ・ソニック』、『ハイプレーンウルフ・ソニック』…」
本が光る光る。また光る。
光が止む度、『魔王』の前に狼の魔物が増えていく。
魔物を召喚している?
もしかして、これが『魔王』のスキルか!
「…『ハイプレーンウルフ・ソニック』。都合十体。これくらいでいいだろう」
『魔王』の傍らに十頭の狼が召喚された。
灰色の毛並みを持つ、細身の狼だ。それが十体。
単独であっても、明らかに今まで戦ってきたどの魔物よりも強い!
「狼たちよ。この山の中腹にある廃坑に行き、中にいるプレイヤーを皆殺しにしろ」
何ともないような口ぶりで、『魔王』が狼の魔物たちに指令を出す。
「ウォンッ!!」
命令された狼たちは短く吠えると、こちらに向かって走ってくる。
速い!
俺を通り過ぎて、後ろにある廃坑に向かうつもりか!
「ここで戦って死ぬか、逃げきれずに死ぬかはお前次第だ」
『魔王』はそう言うと、くるりと振り返って街道を歩き始める。
どこに行くつもりだ!?
「待てえええっ!」
俺は叫ぶが、一瞬で狼の波に飲まれた。
サイド:ハッパ
「はえー、いっぱいいるねえ!」
「でしょ、いつもこうなのよ」
数百メートル先にひしめくゴブリンの群れを見ながら、ウチは歓声を上げる。
今ウチは、一緒の馬車で仲良くなったリーパーと一緒に、目の前に広がる圧巻の景色を眺めている。
聞くところによると、彼女はあるクランに所属してるんだけど、そこのクランマスターに無理やり言われてゴブリン領に来たらしい。
クラン勤めも楽じゃないってことだね。
やっぱり、ソロの方が気楽でいいよ。
「ま、そのストレスも戦って晴らしちゃおうよ」
「そうね」
勝手によじ登った馬車の屋根の上で、ワイワイ話すこと数分。
やっと目的地に着いた。
「足元に気をつけるのよ」
「は~い」
リーパーはお母さんみたいなことを言う。
ずっこけるなんてヘマ、するわけないじゃん。
…大丈夫だよね?
しっかり足元を見ながら、ウチは屋根から降りた。
これでウチとリーパーを含む、人ゴブ戦争に参加するプレイヤーたちがゴブリン領との境界近くに到着した。
「ふい~、やっと地に足が着いたね」
ウチは大きく伸びをして、紅蓮に輝く杖を握り締める。
「気を引き締めて、これからが本番よ」
隣のリーパーは大きな鎌を持っている。
戦闘では振り回して戦うんだって。かっこいいね。
「【天候魔法】!一分後にいきまーす!!」
早速、ウェザーさんという、【天候魔法】を使う魔法使いの女の人のかけ声が後ろから聞こえる。
今日は【天候魔法】の発動が開戦の合図らしいよ。
いつもと違って、魔法を先に撃つんだって。
理由は、ゴブリンたちの中に強力な『サクラ個体』が混じっているかもしれないから。
「彼女の魔法、すごいわよ」
「そうなんだ!楽しみ~」
【爆発魔法】も楽しいけど、他の人のスキルを見るのも好きだ。
ウチは見逃さないように、前方に視線を向ける。
まだゴブリンは遠くにいるし、おしゃべりする時間は充分にあるね。
「ところで、リーパーのクランハウスはどこにあるの?」
「秘密よ」
「え~、ケチ!」
遊びに行きたいのに!
ウチとリーパーは雑談しながら、【天候魔法】が発動するのを待つ。
ふと空を見上げると、空を覆う雲が徐々に厚くなっていく。
そして、きっちり一分後。
「いきます!『メガトン・ヘイル』!!」
「ヘイル?何それ、英語?」
「今に分かるわよ」
ウチはリーパーの方を向いて聞いたけど、意地悪で返された。
「ねえ教えてよ、リ~パ~」
「シャキッとしなさい。もう少しで戦いが始まるのよ」
ウチらがうだうだやっている間に、曇り空から何かが降ってくる。
それは、氷みたいな灰色の塊だった。
「あれってもしかして、ひょう!?」
大きい。ものすごい大きい。
SF映画で見たことある、バカでかい隕石ぐらい大きい。
『メガトン・ヘイル』はつまり、メガトンなひょうってことか。
「こりゃすごいね!ゴブリンなんて一網打尽で倒せちゃうじゃん」
メガトンなひょうは戦線の奥、境界線のゴブリン領側に向かって落下を続けている。
ゴブリンたちも捕捉したみたいで、ギャアギャアと騒ぎ出したみたい。高いキーキーとした声がうっすらと聞こえてくる。
そりゃ慌てるわけだ。
でっかいひょうが自分たちに向かって落ちてくるんだから。
「ずいぶんと派手な開会式ね」
リーパーが皮肉を言う。
「『サクラ個体』はアレを耐えるかもしれない!充分に警戒してあたってくれ!」
「「「おうッッッ!!」」」
さらに【英雄の戦禍】のマスター、マスターさんが大声で指示を出し、クランメンバーたちが一斉に頷く。
「クランマスターのマスターさんって、面白いね」
「緊張感ゼロね、ハッパ…」
失礼な。これでも心臓バクバクですよ~、だ。
なんてリーパーと話しているうちに、ひょうがもうあんなに近くに!
本当に大きい。
あんなのが落ちたら、ゴブリンたちはひとたまりもないだろうね。
こっちには来ないよね?
「衝撃に備えろっ!」
クランマスターのマスターさんが警告する。
クランマスターの、マスターさん。
「ふふっ、ふふふ」
「ほら、姿勢を低くして」
一人でおかしくなって含み笑いを漏らしていると、リーパーが頭を押してくる。
「痛いって、自分でできるよ!」
グイグイと押してくるので、ウチは観念してその場にしゃがみこむ。
本当にお母さんみたいだね、リーパーは!
「なによニヤニヤして。また変なこと考えて…」
ドガアアアンッ!
瞬間、大きな音と光が爆ぜる。
それとほぼ同時に、ゴブリンの方を見ていたリーパーが絶句する。
「なに!?落ちた!?落ちた!?」
リーパーの体で隠れてて、ウチは前が見えない。
せっかくなら、ひょうが落ちる瞬間を見たかったのに!
あれ?
でもこの音って、どこかで聞いたことがあるような?
ドガアアアンッ!
さらに、なぜかもう一度同じ音と光が放たれる。
続けてもう一回。またもう一回。何回も何回も。
まさか、あんな大きなひょうがいくつも落ちてきたの!?
「ちょっと、放してってば」
「あ、ごめんなさい。それよりハッパ、あれを見て」
リーパーはようやくウチを押さえる手をどけて、空の一点を指す。
え、空?
地面じゃないの?ひょうが衝突したんじゃないの?
「もう、今更衝突した跡を見てもつま…、え!?」
リーパーに言われ、空を見上げたウチは絶句する。
ドガアアアンッ!
再び、音と光が爆ぜる。
未だ落下を続けるひょうの表面で。
あ。ひょうのひょう面だって、面白いね。
「って、私の【爆発魔法】じゃん!」
「ええ、そうよ」
リーパーは私のスキルのことを知っていたみたい。有名人はつらいよ。
って、そんなことは今はよくて…。
なぜか分からないけど、ウチの【爆発魔法】がひょうに向かって幾度となく放たれているようだ。
「でも、どうしてウチのスキルが…」
マスターさんの説明にはこんな段取りはなかった。
だとすると…。
「そんなことありえるの!?」
だとすると、ゴブリンが魔法を使っているの!?
「まずいわ、ハッパ。想定外の事態だし…」
「…」
リーパーの切羽詰まった声に、ウチは頷きだけで返す。
徐々にではあるけど、爆発はひょうを削ってる。
あと数回爆発が起こったら、とんでもないことが起きちゃう!
「総員、撤退しろ!」
ちょうど、マスターのマスターさんが言うのと同時くらい。
もう一度、ウチが【爆発魔法】を使うときに発する音と光が広がる。
そして、大きなひょうの塊が、いくつもの欠片になって割れた。
色んな方向に飛び散って、まるで花火を見てるみたい。
「なに見とれてんのよ、ハッパ!今すぐ逃げるわよっ」
そう言って、リーパーがウチの手を引いて後ろに引っ張る。
すると、砕け散った破片の一つがヒュウウウウと空気を震わせ、ウチらの近くに落ちてきた。
「きゃっ!」
激しい揺れが襲い、ウチはすっ転ぶ。
はずみで、前にいたリーパーを巻き込んじゃった。
「ごめーん、リーパー!」
「もう、仕方ないわね。…え?」
「どうしたの?」
「あれ…」
「あれ?」
手を貸してもらって立ち上がったウチは振り返り、リーパーが指す背後を確認する。
あらきれい。
全身ピンク色に染まったゴブリンが、こちらに向かって走ってきていた。
「あれが…、サクラゴブリンだっけ?」
「サクラゴブリンじゃなくて『ゴブリン・サクラ』よ。って、そんなことはいいから、早く逃げましょう!」
「いや、間に合わないよ」
「え?」
「逃げらんない。ひょうの破片がウチら側にも落ちてきてるし、なにより『ゴブリン・サクラ』の走るスピードが速すぎる」
「急に冷静になられると困るけれど、確かにものすごい脚力ね。もうすぐここまで来る」
「リーパー」
「なによ?」
「ウチらは戦線の一番前にいたよね?」
「そうね。ハッパの魔法が危険だから、前に出ざるを得なかったんだけど」
「じゃあ、ウチらがしんがりってやつを努めなきゃいけないわけだよね?」
「ええ、そういうことになるわね」
「じゃあ、戦おうよ」
「なにがじゃあ、なのよ。ハッパは今日初めて会った、よく知りもしないプレイヤーたちのために死ねるっていうの?」
「死ぬかどうかは分からないけど、死ねるよ!ウチ死に慣れてるから!」
「…流石は『爆破の魔女』ね」
「いや~、それほどでも~」
「褒めてないわよ」
「じゃあ、リーパーだけでも逃げていいよ?」
「いいえ、戦わないとは言ってないわ」
「…ありがとう」
「礼には及ばないわ。やるからには勝つ。それだけよ」
「うん!」
落ちてくるひょうと『ゴブリン・サクラ』が迫るこの状況、おちおちしていられない。
ウチとリーパーは、矢継ぎ早に作戦会議をする。
そして今、決意が固まった!
二人で絶対に勝って、『サクラジェム』を手にするよ!
迫りくる『ゴブリン・サクラ』に向かって、ウチらはそれぞれの武器を構えた。
サイド:グレープ
トーマ、ハッパと別れた俺は、鉱山に向かって街道を歩き始めた。
そして道中、足を動かしながら、師匠から言われたことを思い出す。
『グレープは向こう見ずだ。【自己再生】があるからと、敵を観察せずにただ突っ込む。
それでは、いつまで経っても成長しない』
確かに、その通りだと思った。
あのときの俺は魔物との戦いに勝てず、死に戻りを繰り返して、ヘラヘラしながら遊んでた。
基本ソロだし、誰に迷惑をかけるわけでもない。攻撃力のあるスキルではないから、強靭な魔物に勝てないのは当然だ。
それでも、十分楽しかった。
だけど…。
『そんなプレイスタイルで満足してるのか?俺には考えられないが、どう遊ぼうが人の勝手だしな。とやかく言うつもりはない。いや、今さっき批判したな。悪かった』
いや、師匠の言う通りだ。
強かったら、もっと楽しいはず。もっとOSOが面白くなるはず。
『なに?弟子にしてくれ、だと?そんなめんどくさいこと御免だ。断る』
第一回、『悪魔』のイベントが終わって数日後くらい。
師匠とはフィールドで偶然出会った。
俺が魔物に負けまくって何度も死に戻りしているところに、師匠が通りかかったのだ。
運命だと思った。
俺が強くなれるかどうかの分岐点が、今ここにあるような気がした。
『なに、それなら勝手についていく、だと?…分かった、分かった。師匠呼ばわりはやめてほしいが、少し立ち回りを教えよう。グレープは俺の戦い方を真似してみろ』
師匠は心底めんどくさそうだったが、ぶっきらぼうにそう言った。
その後、俺に戦い方を見せるようにして、師匠は魔物と戦い始めた。
それはもう、めちゃくちゃに強かった。
体の動かし方、剣の振り方、視線の動かし方。
そのどれもが、俺とは全く違った。
俺も師匠みたいになりたい。
そう思い、見様見真似で師匠の戦い方を実践した。
『…少しはマシになったな。もっと練習したら、今度は自分で考えながら動け。一つ一つの行動に、意味を持たせろ』
師匠の言うことは的確で、俺が考えてもいないことだった。
しかし、俺はたった十分ほど教わっただけで、今まで手も足も出なかった魔物を倒せた。
『別にフレンドにならないとかじゃない。師匠呼ばわりをやめろと言っているだけだ。都合が合えば、これからも一緒にプレイしよう』
ただ、師匠として指南するのはこの場限りだと言われた。
もう教えてもらえない?
最後になるなら、せめて名前を聞きたかった。
『名前?ああ忘れてた。同じフルーツの名を持つ者として言っておかないとな』
俺は今日まで、その名を忘れたことはない。
というか、忘れてもフレンドリストを確認すればいいんだけど。
『俺はオレンジ。みかんが大好きな、ただのゲーマーだ』
※※※
つい数週間前のことを考えていると、俺はいつの間にか鉱山に着いた。
目の前には緩やかな斜面が広がっている。
これから山登りだ。といっても頂上ではなく、鉱山の中腹にある廃坑の入口を目指す。
ここから街道を外れるから、魔物との戦闘が多くなっていく。
気を引き締めなきゃな!
師匠に、じゃなくてオレンジに教えてもらったことを活かして、『サクラ個体』が相手だろうが勝つ。
そう思って一歩踏み出した瞬間…。
「おいお前、グレープとかいうやつだな」
不意に、耳元から声がする。
いつの間にすぐ後ろに!PKプレイヤーか!?
俺は足を止め、剣を引き抜こうとする。
「…ぐっ!」
しかし、右手をかけた剣の柄を後ろから押さえられる。
剣士は密着されるほど接近されると弱い。武器の剣を封じられるとなおさらだ。
それを知っているとは…、こいつ、できる!
かなりのやり手だ!
「安心しろ、殺すつもりはない」
「お前は誰だ!?」
「俺は、『魔王』と呼ばれている者だ」
『魔王』って、最悪のPKプレイヤーの、あの『魔王』か!?
流石の俺でも、βテストでの彼の悪行は知っている。
「信用できないな!『魔王』の名を騙った偽物かもしれないだろ!」
トーマは言っていた。PKプレイヤーの言うことを真に受けてはいけないと。
NPCの盗賊やプレイヤーによるPKは何度か経験がある。
多くが無言で襲いかかってきたり、馬鹿正直に名乗りを上げて襲いかかってきたりしたが、『魔王』に成りすますやつがいないとも限らない。
「お前が俺をどう思おうが、どうでもいい。問題は、お前がここに一人で居るということは、トーマは来ていないということだ。当てが外れた。俺の時間をどうしてくれる?」
なんて警戒していると、支離滅裂なことを言って責めてきた。
なんで俺が小言を言われなきゃいけないんだ?
「意味わっ…!かんっ…ねえよっ……!」
意味が分からないが、時間稼ぎにはなる。
俺は反論しながら腕に力を込めて剣を抜こうとするが、『魔王』の押さえる力が強すぎて、拘束から逃れられない。
「別に分かるように話していないから、問題ない」
「……俺とまともに話す気ないだろ」
この理解不能な話を好き勝手に展開する感じ、トーマに似ている。
俺の勘が間違っていなければ、知り合いだろうな。
「トーマがどうとか言ってたが、何か用だったのか?俺が代わりに伝えといてもいいぞ!」
こうなったら、もうやけだ。
キルされてもいいから、少しでも話を長引かせて情報を引き出そう。
「用というほどのことはない。魔物を放つついでに殺そうと思っただけだ」
「おまえええっ!」
再度抜け出そうと試みるも、やはりダメだ。
魔物を放つって、一体こいつは何をするつもりなんだ?
「主要なダンジョンとゴブリン領との境界は、我々【魔王軍】が占領する。お前たちプレイヤーが自由に狩りをすることは許さん」
「何言ってやがる!」
本当に理解不能だ!
そんなことしたら『サクラジェム』が集められなくなるだろ!
それに…。
「楽しくねえだろっ!そんなん!」
俺はそう言い放ち、勢いよくしゃがみ込む。
魔王の腕から逃れた俺は前に転がり、振り返りながら剣を抜いて背後を斬り払う。
「ちっ!」
かわされた。
先ほどまですぐ後ろにいたはずなのに、『魔王』は数十メートルほど離れた街道の上に立っている。
「先ほど、俺はお前を殺さないと言った」
そして呟き始めた『魔王』はいつの間にか、本を手にしていた。
革製か、黒い背表紙の本。
『魔王』のスキルはあれをどうこうする感じか?
くそっ!こんなことになるなら、トーマから要注意人物について聞いておけばよかった!
「だが、こいつらはどうかな?『ハイプレーンウルフ・ソニック』、『ハイプレーンウルフ・ソニック』、『ハイプレーンウルフ・ソニック』…」
本を開き、魔物の名を何度も口ずさむ『魔王』。
聞いたことのない名前だ。
言葉を詠唱して発動するタイプなら攻撃しにいきたいが、スキルの正体が分からない。
うかつに攻めるのは自殺行為か…?
「『ハイプレーンウルフ・ソニック』、『ハイプレーンウルフ・ソニック』…」
本が光る光る。また光る。
光が止む度、『魔王』の前に狼の魔物が増えていく。
魔物を召喚している?
もしかして、これが『魔王』のスキルか!
「…『ハイプレーンウルフ・ソニック』。都合十体。これくらいでいいだろう」
『魔王』の傍らに十頭の狼が召喚された。
灰色の毛並みを持つ、細身の狼だ。それが十体。
単独であっても、明らかに今まで戦ってきたどの魔物よりも強い!
「狼たちよ。この山の中腹にある廃坑に行き、中にいるプレイヤーを皆殺しにしろ」
何ともないような口ぶりで、『魔王』が狼の魔物たちに指令を出す。
「ウォンッ!!」
命令された狼たちは短く吠えると、こちらに向かって走ってくる。
速い!
俺を通り過ぎて、後ろにある廃坑に向かうつもりか!
「ここで戦って死ぬか、逃げきれずに死ぬかはお前次第だ」
『魔王』はそう言うと、くるりと振り返って街道を歩き始める。
どこに行くつもりだ!?
「待てえええっ!」
俺は叫ぶが、一瞬で狼の波に飲まれた。
サイド:ハッパ
「はえー、いっぱいいるねえ!」
「でしょ、いつもこうなのよ」
数百メートル先にひしめくゴブリンの群れを見ながら、ウチは歓声を上げる。
今ウチは、一緒の馬車で仲良くなったリーパーと一緒に、目の前に広がる圧巻の景色を眺めている。
聞くところによると、彼女はあるクランに所属してるんだけど、そこのクランマスターに無理やり言われてゴブリン領に来たらしい。
クラン勤めも楽じゃないってことだね。
やっぱり、ソロの方が気楽でいいよ。
「ま、そのストレスも戦って晴らしちゃおうよ」
「そうね」
勝手によじ登った馬車の屋根の上で、ワイワイ話すこと数分。
やっと目的地に着いた。
「足元に気をつけるのよ」
「は~い」
リーパーはお母さんみたいなことを言う。
ずっこけるなんてヘマ、するわけないじゃん。
…大丈夫だよね?
しっかり足元を見ながら、ウチは屋根から降りた。
これでウチとリーパーを含む、人ゴブ戦争に参加するプレイヤーたちがゴブリン領との境界近くに到着した。
「ふい~、やっと地に足が着いたね」
ウチは大きく伸びをして、紅蓮に輝く杖を握り締める。
「気を引き締めて、これからが本番よ」
隣のリーパーは大きな鎌を持っている。
戦闘では振り回して戦うんだって。かっこいいね。
「【天候魔法】!一分後にいきまーす!!」
早速、ウェザーさんという、【天候魔法】を使う魔法使いの女の人のかけ声が後ろから聞こえる。
今日は【天候魔法】の発動が開戦の合図らしいよ。
いつもと違って、魔法を先に撃つんだって。
理由は、ゴブリンたちの中に強力な『サクラ個体』が混じっているかもしれないから。
「彼女の魔法、すごいわよ」
「そうなんだ!楽しみ~」
【爆発魔法】も楽しいけど、他の人のスキルを見るのも好きだ。
ウチは見逃さないように、前方に視線を向ける。
まだゴブリンは遠くにいるし、おしゃべりする時間は充分にあるね。
「ところで、リーパーのクランハウスはどこにあるの?」
「秘密よ」
「え~、ケチ!」
遊びに行きたいのに!
ウチとリーパーは雑談しながら、【天候魔法】が発動するのを待つ。
ふと空を見上げると、空を覆う雲が徐々に厚くなっていく。
そして、きっちり一分後。
「いきます!『メガトン・ヘイル』!!」
「ヘイル?何それ、英語?」
「今に分かるわよ」
ウチはリーパーの方を向いて聞いたけど、意地悪で返された。
「ねえ教えてよ、リ~パ~」
「シャキッとしなさい。もう少しで戦いが始まるのよ」
ウチらがうだうだやっている間に、曇り空から何かが降ってくる。
それは、氷みたいな灰色の塊だった。
「あれってもしかして、ひょう!?」
大きい。ものすごい大きい。
SF映画で見たことある、バカでかい隕石ぐらい大きい。
『メガトン・ヘイル』はつまり、メガトンなひょうってことか。
「こりゃすごいね!ゴブリンなんて一網打尽で倒せちゃうじゃん」
メガトンなひょうは戦線の奥、境界線のゴブリン領側に向かって落下を続けている。
ゴブリンたちも捕捉したみたいで、ギャアギャアと騒ぎ出したみたい。高いキーキーとした声がうっすらと聞こえてくる。
そりゃ慌てるわけだ。
でっかいひょうが自分たちに向かって落ちてくるんだから。
「ずいぶんと派手な開会式ね」
リーパーが皮肉を言う。
「『サクラ個体』はアレを耐えるかもしれない!充分に警戒してあたってくれ!」
「「「おうッッッ!!」」」
さらに【英雄の戦禍】のマスター、マスターさんが大声で指示を出し、クランメンバーたちが一斉に頷く。
「クランマスターのマスターさんって、面白いね」
「緊張感ゼロね、ハッパ…」
失礼な。これでも心臓バクバクですよ~、だ。
なんてリーパーと話しているうちに、ひょうがもうあんなに近くに!
本当に大きい。
あんなのが落ちたら、ゴブリンたちはひとたまりもないだろうね。
こっちには来ないよね?
「衝撃に備えろっ!」
クランマスターのマスターさんが警告する。
クランマスターの、マスターさん。
「ふふっ、ふふふ」
「ほら、姿勢を低くして」
一人でおかしくなって含み笑いを漏らしていると、リーパーが頭を押してくる。
「痛いって、自分でできるよ!」
グイグイと押してくるので、ウチは観念してその場にしゃがみこむ。
本当にお母さんみたいだね、リーパーは!
「なによニヤニヤして。また変なこと考えて…」
ドガアアアンッ!
瞬間、大きな音と光が爆ぜる。
それとほぼ同時に、ゴブリンの方を見ていたリーパーが絶句する。
「なに!?落ちた!?落ちた!?」
リーパーの体で隠れてて、ウチは前が見えない。
せっかくなら、ひょうが落ちる瞬間を見たかったのに!
あれ?
でもこの音って、どこかで聞いたことがあるような?
ドガアアアンッ!
さらに、なぜかもう一度同じ音と光が放たれる。
続けてもう一回。またもう一回。何回も何回も。
まさか、あんな大きなひょうがいくつも落ちてきたの!?
「ちょっと、放してってば」
「あ、ごめんなさい。それよりハッパ、あれを見て」
リーパーはようやくウチを押さえる手をどけて、空の一点を指す。
え、空?
地面じゃないの?ひょうが衝突したんじゃないの?
「もう、今更衝突した跡を見てもつま…、え!?」
リーパーに言われ、空を見上げたウチは絶句する。
ドガアアアンッ!
再び、音と光が爆ぜる。
未だ落下を続けるひょうの表面で。
あ。ひょうのひょう面だって、面白いね。
「って、私の【爆発魔法】じゃん!」
「ええ、そうよ」
リーパーは私のスキルのことを知っていたみたい。有名人はつらいよ。
って、そんなことは今はよくて…。
なぜか分からないけど、ウチの【爆発魔法】がひょうに向かって幾度となく放たれているようだ。
「でも、どうしてウチのスキルが…」
マスターさんの説明にはこんな段取りはなかった。
だとすると…。
「そんなことありえるの!?」
だとすると、ゴブリンが魔法を使っているの!?
「まずいわ、ハッパ。想定外の事態だし…」
「…」
リーパーの切羽詰まった声に、ウチは頷きだけで返す。
徐々にではあるけど、爆発はひょうを削ってる。
あと数回爆発が起こったら、とんでもないことが起きちゃう!
「総員、撤退しろ!」
ちょうど、マスターのマスターさんが言うのと同時くらい。
もう一度、ウチが【爆発魔法】を使うときに発する音と光が広がる。
そして、大きなひょうの塊が、いくつもの欠片になって割れた。
色んな方向に飛び散って、まるで花火を見てるみたい。
「なに見とれてんのよ、ハッパ!今すぐ逃げるわよっ」
そう言って、リーパーがウチの手を引いて後ろに引っ張る。
すると、砕け散った破片の一つがヒュウウウウと空気を震わせ、ウチらの近くに落ちてきた。
「きゃっ!」
激しい揺れが襲い、ウチはすっ転ぶ。
はずみで、前にいたリーパーを巻き込んじゃった。
「ごめーん、リーパー!」
「もう、仕方ないわね。…え?」
「どうしたの?」
「あれ…」
「あれ?」
手を貸してもらって立ち上がったウチは振り返り、リーパーが指す背後を確認する。
あらきれい。
全身ピンク色に染まったゴブリンが、こちらに向かって走ってきていた。
「あれが…、サクラゴブリンだっけ?」
「サクラゴブリンじゃなくて『ゴブリン・サクラ』よ。って、そんなことはいいから、早く逃げましょう!」
「いや、間に合わないよ」
「え?」
「逃げらんない。ひょうの破片がウチら側にも落ちてきてるし、なにより『ゴブリン・サクラ』の走るスピードが速すぎる」
「急に冷静になられると困るけれど、確かにものすごい脚力ね。もうすぐここまで来る」
「リーパー」
「なによ?」
「ウチらは戦線の一番前にいたよね?」
「そうね。ハッパの魔法が危険だから、前に出ざるを得なかったんだけど」
「じゃあ、ウチらがしんがりってやつを努めなきゃいけないわけだよね?」
「ええ、そういうことになるわね」
「じゃあ、戦おうよ」
「なにがじゃあ、なのよ。ハッパは今日初めて会った、よく知りもしないプレイヤーたちのために死ねるっていうの?」
「死ぬかどうかは分からないけど、死ねるよ!ウチ死に慣れてるから!」
「…流石は『爆破の魔女』ね」
「いや~、それほどでも~」
「褒めてないわよ」
「じゃあ、リーパーだけでも逃げていいよ?」
「いいえ、戦わないとは言ってないわ」
「…ありがとう」
「礼には及ばないわ。やるからには勝つ。それだけよ」
「うん!」
落ちてくるひょうと『ゴブリン・サクラ』が迫るこの状況、おちおちしていられない。
ウチとリーパーは、矢継ぎ早に作戦会議をする。
そして今、決意が固まった!
二人で絶対に勝って、『サクラジェム』を手にするよ!
迫りくる『ゴブリン・サクラ』に向かって、ウチらはそれぞれの武器を構えた。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

VRMMO~鍛治師で最強になってみた!?
ナイム
ファンタジー
ある日、友人から進められ最新フルダイブゲーム『アンリミテッド・ワールド』を始めた進藤 渚
そんな彼が友人たちや、ゲーム内で知り合った人たちと協力しながら自由気ままに過ごしていると…気がつくと最強と呼ばれるうちの一人になっていた!?

Free Emblem On-line
ユキさん
ファンタジー
今の世の中、ゲームと言えばVRゲームが主流であり人々は数多のVRゲームに魅了されていく。そんなVRゲームの中で待望されていたタイトルがβテストを経て、ついに発売されたのだった。
VRMMO『Free Emblem Online』
通称『F.E.O』
自由過ぎることが売りのこのゲームを、「あんちゃんも気に入ると思うよ~。だから…ね? 一緒にやろうぜぃ♪」とのことで、βテスターの妹より一式を渡される。妹より渡された『F.E.O』、仕事もあるが…、「折角だし、やってみるとしようか。」圧倒的な世界に驚きながらも、MMO初心者である男が自由気ままに『F.E.O』を楽しむ。
ソロでユニークモンスターを討伐、武器防具やアイテムも他の追随を許さない、それでいてPCよりもNPCと仲が良い変わり者。
そんな強面悪党顔の初心者が冒険や生産においてその名を轟かし、本人の知らぬ間に世界を引っ張る存在となっていく。
なろうにも投稿してあります。だいぶ前の未完ですがね。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

神速の冒険者〜ステータス素早さ全振りで無双する〜
FREE
ファンタジー
Glavo kaj Magio
通称、【GKM】
これは日本が初めて開発したフルダイブ型のVRMMORPGだ。
世界最大規模の世界、正確な動作、どれを取ってもトップレベルのゲームである。
その中でも圧倒的人気な理由がステータスを自分で決めれるところだ。
この物語の主人公[速水 光]は陸上部のエースだったが車との交通事故により引退を余儀なくされる。
その時このゲームと出会い、ステータスがモノを言うこの世界で【素早さ】に全てのポイントを使うことを決心する…
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。

ビースト・オンライン 〜追憶の道しるべ。操作ミスで兎になった俺は、仲間の記憶を辿り世界を紐解く〜
八ッ坂千鶴
SF
普通の高校生の少年は高熱と酷い風邪に悩まされていた。くしゃみが止まらず学校にも行けないまま1週間。そんな彼を心配して、母親はとあるゲームを差し出す。
そして、そのゲームはやがて彼を大事件に巻き込んでいく……!
※感想は私のXのDMか小説家になろうの感想欄にお願いします。小説家になろうの感想は非ログインユーザーでも記入可能です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる