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8. わかった上で受け入れる
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「このワイン、おいしいね」
「でしょ!奮発したんだ~」
休日前夜、依(より)と食後に熟成ワインを飲む。
私も依も酒が好きなので、平日も夜は大体一緒に飲んでいる。
「ふふ、いとちゃぁん」
酒が好きと言っても、強いとは限らない。
依は飲むとすぐに酔う。
普段の私を殺そうとしてくる依も好きだけど、
笑ったり照れたり、こんなふうに酒に酔ったりする依も好きだ。
依は純粋なんだ。
「いーとーちゃーん」
「なに?依ちゃん」
「グラス、空っぽだねぇ~」
「そうだね、美味しいからすぐに飲んじゃった」
「おかわりいるぅ?」
「うん、欲しいな」
「んふふ、だーめっ」
「どうして?」
「そーれーはー、」
ガタン
急に体が弛緩して、自分の上体が机の上に倒れた。
「糸(いと)ちゃんは動けなくなるからなのだ~!」
「・・・」
何か始まったな。
私はあきらめて意識を手放した。
******************************
「お・は・よっ」
「まだ夜だろ」
はい目が覚めました。
拘束されてないのに、ワインに混入されたであろう薬のせいで体は全く動きません。
ここは寝室で、私は2人用のベッドの上に仰向けで寝かされていた。
「…顔近くない?」
「んー?」
依は自分の鼻と私の鼻をくっつけてニコニコしてる。
「糸ちゃんの寝顔、可愛かったよっ」
そんな至近距離じゃ逆に見れないだろ。
「で、今日は何が目的?」
鼻をくっつけたまま会話する。
「…最近、してないじゃん?アタシたち」
「?」
「レスになると心まで離れるっていうし、その…
あ、アタシから!糸ちゃんのこと愛してあげたくて…!//」
「・・・」
「私が上じゃ、ダメ…?」
・・・
「いいよ。
おいで、依ちゃん」
「!、やった~!!」
シャキン
私が許可を出すと、依は大喜びで服の袖から包丁を取り出した。
どんな隠し方してんだよ。
******************************
「汚い汚い糸ちゃんの体…」
「っ…」
包丁で服をビリビリに刻まれて上半身だけ裸になった。
その素肌を依は無遠慮に撫で上げてくる。
「いま綺麗にしてあげるね…」
「・・・」
依にとって、傷1つ無い私の体は"汚い"んだ。
反対に、自分の手で傷だらけになった私の体はとても"綺麗"なもの。
「どこから"お手入れ"してあげようかなぁ~」
ちなみにブラジャーは内臓の位置がわからなくなるから嫌いらしい。
あってもなくてもわかんないだろ。内臓を透視できるのかお前は。
本当はわかっていた。
依が夜の誘いをしてきたわけじゃないことなんて。
最近殺されかけたのは2日前で、それも軽傷で済んだから、傷はとっくに癒えていた。
だから、最初は見え透いた演技をする依を冷たい目で見てた。
でも、あんなに可愛いおねだりされちゃったら…
「決めた!今日は激痛ゲームしよう!」
また意味不明なことを言いだした。
酔いはさめてないのか?
「どこを刺されたら一番痛いか、検証してみよう!」
「どこ刺されてもめちゃめちゃ痛いよ」
体に刃物を入れるんだから。
「それじゃあ最初は目を――」
「顔はやめろ」
いくら治るって言っても、さすがに仕事を数日休まなきゃいけなくなる。
「んー、じゃあ脇からいくね!」
依が私の腕を持ち上げる。
ここ最近で一番きついゲームが始まった。
******************************
「血がいっぱいだね~!ビニール敷いておいてよかったぁ」
「ぅ…がはっ…」
ついに口からも血が出てきた。
両脇、腹、腰。太い血管が通ってる場所を刺された後、
包丁が肋骨に当たるまで深く刺したり、包丁で鎖骨を折ったり、
刺した場所をグリグリして傷口を縦横に広げたり。
無駄に豊かなバリエーションで私の体に傷をつけてくる。
「指の間いくね~」
「ぐぅ…!あああ!!」
てか趣旨変わってんだろ。
もう『どこを刺されたら一番痛いか』じゃなくなってる。
自分の欲望のままに私を傷つけてるだけ。
「糸ちゃんの体、どんどん綺麗になってるね!
何よりその表情…堪らない…//」
私の苦しそうな顔を見て悦に浸るな。
「糸ちゃんっていつも無表情なんだもん。
そんな糸ちゃんの激痛で歪んだこの顔…ずっと見ていたい…」
「はっ…はっ…」
痛すぎて今の依の言葉は聞き取れなかったけど、
なんか、すごく安心しているような顔。
「もう気は…はぁ…済んだ、でしょ? ごほっ…片付けて、寝ようよ」
「?、何言ってるの糸ちゃん。今日は休日前だよ?」
「え」
「今夜は寝かせないんだから…//」
「・・・」
可愛い…
******************************
「ぐぁ、うぅ…」
うっかり流されてしまった。
太ももの付け根、すね、足の裏。
ズボンをはいたまま下半身も多数刺された。
「くっそ…ごほっ、ぐ、あ…」
すごく痛い。
痛すぎて呻きを抑えられない。
「糸ちゃん…いとちゃん…はぁ…///」
依はそんな私を見ながら自慰をしている。
そんなだらしない表情しちゃって…
やばいな。
血が出過ぎて頭ボーっとしてきた。
何も聞こえないし体にも力入らない。
もしかしたら傷が治るより先に出血多量で死んじゃうかも。
「はぁ、はぁ…」
でも、良かった。
この死に方ができて。
依に殺されて。
・・・
良いわけねぇだろ。
「糸ちゃん、指もらうね…」
依が愛液まみれの手で包丁を持ち直して私の左手の中指を狙ってくる。
どうせナカにでも入れるんだろ。
「…よ、り」
「っ、な…なぁに?」
少しだけ回復したので、依を止めるためにその名前を呼び捨てる。
けど、いつもみたいな声は出ない。
「ふんっ、今日の糸ちゃんには負けないもんね!
いつもならここでかっこいい糸ちゃんに襲われちゃってるけど…//」
微妙に興奮すんな。
「でも今、こーんなにクタクタでエッチな顔しかできない糸ちゃんに何ができるの?!あははっ!!」
中指に刃が当たる。
いやエロい顔はしてねぇよ。
ガシッ
「っ!?」
包丁を持っている依の手を右手で掴む。
その手をなんとか自分の顔の近くに持っていく。
「?、糸ちゃん、顔も綺麗にしてほしくなった?」
そんなわけねぇだろ。
もう声は出せそうにないから黙っていよう。
包丁が目の前に来てしまった。
今の私の握力じゃ、依から包丁を手放させるのは無理だ。
だから、こうやってやる。
ペロッ
「ひゃ!糸ちゃん?!」
ペロ、ペロ、…
依の手を舐める。
自分の血でいっぱいだった口の中に依の愛液が入り込む。
依の味だ。
これ以上頭も働かないから、ただひたすら包丁と愛液が付いた依の手をむさぼる。
ペロ、クチュ、レロ、…
「んんっ// え、あれぇ…?」
包丁を持つ手が緩くなったのを見てこっそり依から包丁を奪う。
空になった依の手を両手でつかんで舐め続ける。
「ん、やぁ// あっ//」
指の間、指の腹、爪の付け根、間接、2本同時。
いろんな刺し方をされたお返しに、いろんな舐め方をしてやる。
ペチョ、グプ、ジュポ、…
依の味がなくなっても舐めるのをやめない。
「なに、これぇ…//」
依はわかりやすく感じてる。
さっきまで自分で股をいじってたせいで、もうイきそうだな。
イけ。
「いやっ//いとちゃ、あ、あぁああっ!!///」
依は果てて気を失った。
いや起きて。助けて。
…まあいいか、寝かせてあげよう。
かなりゆっくりだけど、もう体は動かせる。
ささっと傷の手当と後片付けと、依を綺麗にして一緒に眠ろう。
もちろん、私が言う"綺麗に"は一般的な清浄作業だ。
私は治癒体質以外、いたって普通の人間なんだから。
「あのワインさえ飲まなかったら、なんて」
依に提供された飲食物を口にすると、およそ60%の確率で気を失う。
でも、飲み食いするのをためらったことは一度もない。
好きな人がくれたものなら どんなものでも受け入れるよ。
たとえそれが毒でもね。
「でしょ!奮発したんだ~」
休日前夜、依(より)と食後に熟成ワインを飲む。
私も依も酒が好きなので、平日も夜は大体一緒に飲んでいる。
「ふふ、いとちゃぁん」
酒が好きと言っても、強いとは限らない。
依は飲むとすぐに酔う。
普段の私を殺そうとしてくる依も好きだけど、
笑ったり照れたり、こんなふうに酒に酔ったりする依も好きだ。
依は純粋なんだ。
「いーとーちゃーん」
「なに?依ちゃん」
「グラス、空っぽだねぇ~」
「そうだね、美味しいからすぐに飲んじゃった」
「おかわりいるぅ?」
「うん、欲しいな」
「んふふ、だーめっ」
「どうして?」
「そーれーはー、」
ガタン
急に体が弛緩して、自分の上体が机の上に倒れた。
「糸(いと)ちゃんは動けなくなるからなのだ~!」
「・・・」
何か始まったな。
私はあきらめて意識を手放した。
******************************
「お・は・よっ」
「まだ夜だろ」
はい目が覚めました。
拘束されてないのに、ワインに混入されたであろう薬のせいで体は全く動きません。
ここは寝室で、私は2人用のベッドの上に仰向けで寝かされていた。
「…顔近くない?」
「んー?」
依は自分の鼻と私の鼻をくっつけてニコニコしてる。
「糸ちゃんの寝顔、可愛かったよっ」
そんな至近距離じゃ逆に見れないだろ。
「で、今日は何が目的?」
鼻をくっつけたまま会話する。
「…最近、してないじゃん?アタシたち」
「?」
「レスになると心まで離れるっていうし、その…
あ、アタシから!糸ちゃんのこと愛してあげたくて…!//」
「・・・」
「私が上じゃ、ダメ…?」
・・・
「いいよ。
おいで、依ちゃん」
「!、やった~!!」
シャキン
私が許可を出すと、依は大喜びで服の袖から包丁を取り出した。
どんな隠し方してんだよ。
******************************
「汚い汚い糸ちゃんの体…」
「っ…」
包丁で服をビリビリに刻まれて上半身だけ裸になった。
その素肌を依は無遠慮に撫で上げてくる。
「いま綺麗にしてあげるね…」
「・・・」
依にとって、傷1つ無い私の体は"汚い"んだ。
反対に、自分の手で傷だらけになった私の体はとても"綺麗"なもの。
「どこから"お手入れ"してあげようかなぁ~」
ちなみにブラジャーは内臓の位置がわからなくなるから嫌いらしい。
あってもなくてもわかんないだろ。内臓を透視できるのかお前は。
本当はわかっていた。
依が夜の誘いをしてきたわけじゃないことなんて。
最近殺されかけたのは2日前で、それも軽傷で済んだから、傷はとっくに癒えていた。
だから、最初は見え透いた演技をする依を冷たい目で見てた。
でも、あんなに可愛いおねだりされちゃったら…
「決めた!今日は激痛ゲームしよう!」
また意味不明なことを言いだした。
酔いはさめてないのか?
「どこを刺されたら一番痛いか、検証してみよう!」
「どこ刺されてもめちゃめちゃ痛いよ」
体に刃物を入れるんだから。
「それじゃあ最初は目を――」
「顔はやめろ」
いくら治るって言っても、さすがに仕事を数日休まなきゃいけなくなる。
「んー、じゃあ脇からいくね!」
依が私の腕を持ち上げる。
ここ最近で一番きついゲームが始まった。
******************************
「血がいっぱいだね~!ビニール敷いておいてよかったぁ」
「ぅ…がはっ…」
ついに口からも血が出てきた。
両脇、腹、腰。太い血管が通ってる場所を刺された後、
包丁が肋骨に当たるまで深く刺したり、包丁で鎖骨を折ったり、
刺した場所をグリグリして傷口を縦横に広げたり。
無駄に豊かなバリエーションで私の体に傷をつけてくる。
「指の間いくね~」
「ぐぅ…!あああ!!」
てか趣旨変わってんだろ。
もう『どこを刺されたら一番痛いか』じゃなくなってる。
自分の欲望のままに私を傷つけてるだけ。
「糸ちゃんの体、どんどん綺麗になってるね!
何よりその表情…堪らない…//」
私の苦しそうな顔を見て悦に浸るな。
「糸ちゃんっていつも無表情なんだもん。
そんな糸ちゃんの激痛で歪んだこの顔…ずっと見ていたい…」
「はっ…はっ…」
痛すぎて今の依の言葉は聞き取れなかったけど、
なんか、すごく安心しているような顔。
「もう気は…はぁ…済んだ、でしょ? ごほっ…片付けて、寝ようよ」
「?、何言ってるの糸ちゃん。今日は休日前だよ?」
「え」
「今夜は寝かせないんだから…//」
「・・・」
可愛い…
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「ぐぁ、うぅ…」
うっかり流されてしまった。
太ももの付け根、すね、足の裏。
ズボンをはいたまま下半身も多数刺された。
「くっそ…ごほっ、ぐ、あ…」
すごく痛い。
痛すぎて呻きを抑えられない。
「糸ちゃん…いとちゃん…はぁ…///」
依はそんな私を見ながら自慰をしている。
そんなだらしない表情しちゃって…
やばいな。
血が出過ぎて頭ボーっとしてきた。
何も聞こえないし体にも力入らない。
もしかしたら傷が治るより先に出血多量で死んじゃうかも。
「はぁ、はぁ…」
でも、良かった。
この死に方ができて。
依に殺されて。
・・・
良いわけねぇだろ。
「糸ちゃん、指もらうね…」
依が愛液まみれの手で包丁を持ち直して私の左手の中指を狙ってくる。
どうせナカにでも入れるんだろ。
「…よ、り」
「っ、な…なぁに?」
少しだけ回復したので、依を止めるためにその名前を呼び捨てる。
けど、いつもみたいな声は出ない。
「ふんっ、今日の糸ちゃんには負けないもんね!
いつもならここでかっこいい糸ちゃんに襲われちゃってるけど…//」
微妙に興奮すんな。
「でも今、こーんなにクタクタでエッチな顔しかできない糸ちゃんに何ができるの?!あははっ!!」
中指に刃が当たる。
いやエロい顔はしてねぇよ。
ガシッ
「っ!?」
包丁を持っている依の手を右手で掴む。
その手をなんとか自分の顔の近くに持っていく。
「?、糸ちゃん、顔も綺麗にしてほしくなった?」
そんなわけねぇだろ。
もう声は出せそうにないから黙っていよう。
包丁が目の前に来てしまった。
今の私の握力じゃ、依から包丁を手放させるのは無理だ。
だから、こうやってやる。
ペロッ
「ひゃ!糸ちゃん?!」
ペロ、ペロ、…
依の手を舐める。
自分の血でいっぱいだった口の中に依の愛液が入り込む。
依の味だ。
これ以上頭も働かないから、ただひたすら包丁と愛液が付いた依の手をむさぼる。
ペロ、クチュ、レロ、…
「んんっ// え、あれぇ…?」
包丁を持つ手が緩くなったのを見てこっそり依から包丁を奪う。
空になった依の手を両手でつかんで舐め続ける。
「ん、やぁ// あっ//」
指の間、指の腹、爪の付け根、間接、2本同時。
いろんな刺し方をされたお返しに、いろんな舐め方をしてやる。
ペチョ、グプ、ジュポ、…
依の味がなくなっても舐めるのをやめない。
「なに、これぇ…//」
依はわかりやすく感じてる。
さっきまで自分で股をいじってたせいで、もうイきそうだな。
イけ。
「いやっ//いとちゃ、あ、あぁああっ!!///」
依は果てて気を失った。
いや起きて。助けて。
…まあいいか、寝かせてあげよう。
かなりゆっくりだけど、もう体は動かせる。
ささっと傷の手当と後片付けと、依を綺麗にして一緒に眠ろう。
もちろん、私が言う"綺麗に"は一般的な清浄作業だ。
私は治癒体質以外、いたって普通の人間なんだから。
「あのワインさえ飲まなかったら、なんて」
依に提供された飲食物を口にすると、およそ60%の確率で気を失う。
でも、飲み食いするのをためらったことは一度もない。
好きな人がくれたものなら どんなものでも受け入れるよ。
たとえそれが毒でもね。
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