世界最強の女好き吸血鬼が、学園でハーレムを築きながら世界を救う英雄となるまで

柊咲

文字の大きさ
上 下
24 / 38

牽制、そして決戦へ

しおりを挟む
「痛っ……んんっ、はぁ……っ!」


 太ももに歯を立てると、ジュワッと鮮血が口内へと浸食してくる。
 シスリルは痛みから苦痛の表情を浮かばせるが、


「あ、んっ……」


 徐々に声色は高く、そして表情にも柔らかさが戻ってきた。


「痛くないか、シスリル?」
「だ、大丈夫、ですわっ……でも、身体が変で……熱い、ですわ」


 血を吸い、俺の血を流しこむと、下ろした腰がびくんびくんと浮き上がる。
 太ももに齧り付く俺に、シスリルは熱のこもった視線を向けてくる。

 おそらく俺の血が体内に流れると、身体中を焦がすような熱に犯されるのだろう。俺自身も、シスリルの血が喉を通るとそう感じる。


「もっと、吸わせてもらうぞ」
「あ、ダメ、ですわ……っ! ん、ああんっ!」


 豊満な胸が震えるように、シスリルの身体が先程より大きく揺れた。
 この俺とシスリルを襲う熱は不快感ではない。おそらくシスリルも同じ感覚だろう。
 それどころかもっと吸いたいと思う。
 そして目の前の女を喰らいたいと、吸血鬼の本能が俺に囁く。

 だが、


「これでいいだろう」


 俺は太ももから唇を離す。


「え……?」


 真っ赤に染めたシスリルの顔は、どことなく悲しそうに見えた。


「なんだ、もっと俺の血を味わいたかったのか?」
「わたくしが、血を……?」
「血を吸いながら、俺の血を体内に流した。それが眷属にする方法だそうだ」


 はあ、はあ、と息を荒くさせたシスリルが、自分の太ももに付いた眷属の紋章を見る。


「では、先程の熱は……」
「おそらくお互いの血が混じったことで起きたんだろう。立てるか?」
「あっ、はい」


 出した手をシスリルが掴み、引き寄せる。
 だが全身にまだ力が上手く入らないのか、もたれかかるように俺に倒れた。


「す、すみません!」
「どうして謝る。これぐらい気にするな。それに……」
「あんっ!」


 不意に胸を揉む。
 レイナよりも大きさのある胸は、指に力を入れるとぐにゅありと形を変える。そしてシスリルは恥じらうように、熱を持った吐息を漏らす。


「全身が熱に犯されて、お前もまだ満足していないんじゃないか?」
「そ、そんなっ、んんっ!」


 言葉では否定しようとするが、身体は無防備のまま、俺の手を許していた。いや、欲しがるように求めているようだった。


「おそらく吸血鬼の血がそうさせているのだろう。これから、俺に血を捧げるたびにこういう気分になるのだろうな?」
「こう、いう……あ、あの」


 求めるように、シスリルは俺をジッと見つめる。


「続きは全て終わってからにしよう」
「えっ、あ、はい……」


 あからさまに残念そうにするシスリル。
 俺自身も中途半端なお預け状態といった感覚だが、これ以上この身体を味わっていたら、本来の目的を忘れてしまいそうだ。

 俺たちは部屋を出る。


「レイナの時と同様、今は実感がないだろうが、いざ魔力を使ってみたら変化がわかるはずだ」
「そうなのですね」
「ただ無理はするな。前までと感覚が異なり、いつも以上の魔力を無自覚で使い続けたら、いつもより早く魔力切れを起こす可能性があるからな」


 シスリルはコクリと頷く。
 その表情は先程までとは違った意味で緊張しているようだった。


「大丈夫か?」
「はい。ただ、もしもこの力を以てしてもお爺様を救い出せなかったらと考えたら、不安で……」
「不安になる必要はない。俺がいるんだから、絶対に救い出してやる」


 そう伝えると、シスリルは笑顔を浮かべた。


「頼りにしております、ユクス様」
「様か……そう呼ばれるのも悪くないな」


 レイナには「ユクス」と呼ばれる。まあ、それも信頼されている感覚があっていいが。
 様を付けられると、


「主従関係を意識させられるな?」
「そ、そう、ですわね。ですがわたくしは、その……ユクス様の女ですから。この呼び方が嫌でなければ、このように呼ばせてくださいませ」
「ああ、構わない」
「良かったですわ」


 そんな話をしていると、屋敷の外へ到着した。


「やっと出てきた。君たちが遅いから、彼女がずっと不機嫌で大変だったよ」
「なっ、このネコ、嘘ばっかり!」


 どうやらレイナの機嫌は戻ったようだ。
「それで、どうだったわけ……? ちゃんと、あの、したの?」
 腕を組み、どこかツンとした表情で俺に問いかけると、隣に立つシスリルが、
「ええ、それはたっぷりと血を吸われました。それに身体も、蹂躙されてしまって……」
「蹂躙!?」


 目を見開いて驚くレイナと、俺を親の仇と言わんばかりに睨んでくる用心棒たち。


「別にそこまで──」
「体中ガクガク震えたわたくしを、ユクス様は笑みを浮かべながら更に責め立てたのです」
「鬼畜!」
「「「お嬢様に何をしたこの鬼畜!」」」
「おい、俺はそこまでしていないんだが?」


 誇張が入っていると抗議しようとしたが、
「ふふっ、わたくし、ユクス様の女になるのでしたら一番の女がいいのです。他の眷属である女性への牽制ぐらい、お許しくださいませ?」
 シスリルは笑顔を浮かべながら小声で言う。
 まあ、そういうことならいいだろう。俺は咳ばらいをする。


「それより、そろそろ向かうとするか」


 俺の言葉に、緩んでいた空気が一気に張りつめる。


「ユクス、学園を囲うように展開された幻影遮断の魔術は今もあるから、おそらく連中はまだ学園内にいるだろうね」
「リトには見えるのか?」
「まあね、この姿のお陰さ。だけど中に何人いるかとか、そういったことはわからないんだ」
「入ってみてから、ということか。リトも付いて来るのか?」


 ネコの姿をしたリトはそう言うと、俺の肩に飛び乗る。


「ああ、一応ね。ただ僕を戦力として数えないでくれよ? 僕は戦う術を持っていないからね。その代わりに人の気配は察知できるから、もしも人質がいるのなら、気付かれずに救ってみせるよ」
「なるほど、すまないな」
「いいさ。前に言ったろ? 僕は君に恩を売っているだけさ」


 そう言うと、ネコの姿をしたリトは俺の肩の上で丸まった。
 どうやら移動は俺の肩で休みたいのだろう。俺はレイナたちに視線を向ける。


「それじゃあ、行くぞ」


 レイナとシスリル、そして用心棒の九名。
 学園で誰が待ち受けているかわからないが、俺たちは学園へと向かった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する

美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」 御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。 ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。 ✳︎不定期更新です。 21/12/17 1巻発売! 22/05/25 2巻発売! コミカライズ決定! 20/11/19 HOTランキング1位 ありがとうございます!

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

処理中です...