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第1部 3章 新たな住まい
家の設備
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キッチンはかなり使いやすそうな作りになっていた。戸棚はもちろんの事、食器棚も既にあり、大きさもちょうどぐらいで私たちが生活するには十分だ。
「でも、さっきから少し暗いですね」
「あっ、そうですね。では、こちらを…」
お姉さんがスイッチに触れるとパッと明かりがつく。
「!?」
これは文明の利器!ひょっとして、生活レベルは一般人でも高いのだろうか?
「あら、こちらの魔道具は初めて見られますか?」
「は、はい。村ではろうそくだったので」
「そうですか。基本的に町の家ではこういう魔道具での明かりです。ただ、魔力充填式になりますので、あまり魔力が高くない方は業者に依頼する必要がありますが…」
「それって、頻度は高いんですか?」
「使い方にもよりますが、各箇所2週間から1か月ごとですね。やはり部屋などで明かりをずっと使われる場合はそれなりに頻度が高くなります」
「そうなんですね。大丈夫だとは思いますが、気を付けます」
私は自分でいくらでもできるだろうけど、普通の人がどうやってるのかも後でライラさんに聞いておこう。
「それと、こちらの方にメーターがありますので、くれぐれもご自分でやられる場合はこのラインを越さないようにお願いいたします。故障の原因になりますので。故障すると、1つ当たり金貨3枚ほどかかります」
「そんなに!?」
「というのも、明かりの位置からこちらのスイッチ迄の導線も壊れることがほとんどで、新規に作り直すか、補修にしても手間がかかるんですよ」
「ああ、そういうことなんですね」
電化製品で考えたら、配線まで故障しちゃう感じなんだ。そりゃあ、お金かかっちゃうよね。うんうんと一人納得しながら、ライラさんにも使い勝手についてみてもらう。
「ライラ、どう?」
「中々、以前住まれていた人は快適な生活にこだわりがあったのか、使いやすそうです。これなら、料理に必要なものを揃えればすぐに作れます」
「そっか、この家でよかったかも。それじゃあ、キッチンは見たから今度はお風呂に行こう」
そんな感じでお風呂も見てみたけれど、脱衣所と浴槽は別になっており、鍵もかけられて安全だった。私の場合はのぞき防止の防犯もあるけど、正体ばれを防げる良い造りだ。
「足っ!足が延ばせますよ!!」
「足ぐらいお前の身長なら伸ばせるのが普通だろう」
「分かってませんね。下手な物件だと膝を抱えるような姿勢でしか入れないあの苦しみを…」
本当~に大変なんだから!足をある程度伸ばせる浴槽が長い物件を探すだけで、いったい何件を諦めて、何件の不動産屋を巡ったことか。
「ミツキ様?」
「あ、いや、なんでもありません」
つい当時を思い出して遠い眼をしていたらしい。心配になったライラさんが声をかけてきてくれた。その後、トイレも見たが浴室とトイレは別になっており、とても暮らしやすい物件のようだ。
「それでは今度は2階を案内いたします」
「はい」
2階に上がると、正面に部屋が一つ。少し幅が狭い通路を行くと左右に部屋が2つの作りだ。階段裏には小さなロッカーのようなものがあり、きっと掃除道具でも入れるところだろう。
「では、手前から開けていきますね。こちら以前は客間でしたので、今は特に何もありません。以前の方は夫婦だけでしたので、置いてあったのも布団ぐらいだったのかもしれませんね」
「じゃあ、ここにはベッドがいりますか?」
「どうだろう?ここに置けても縦に2つだろう?置いてしまったら2人以上が使う時に難しくなりそうだが」
「あっ、そっちの問題もありますね。じゃあ、お布団だけ用意するようにしますか…」
確かに3人来たら2人だけベッドなんて悪いよね。そんな訳で客間については布団を用意することで決着した。
「では、後はこちらの2部屋ですね。こちらの手前側は少し荷物を置かれていた関係で、やや狭めになっております。どちらかと言えば、そちらのメイドの方の部屋にするとよいかと。家具も移動する手間が減りますし」
「そうですね。私には広い部屋ですが、仕切りを作る訳にもいきませんし」
「では、こちらは使い方も決まりましたので、次に参りましょう」
「次はミツキ様のお部屋ですね」
「私の部屋かぁ」
いったいどんな部屋なのだろうか?期待と不安を胸に残りの部屋に入っていった。
「でも、さっきから少し暗いですね」
「あっ、そうですね。では、こちらを…」
お姉さんがスイッチに触れるとパッと明かりがつく。
「!?」
これは文明の利器!ひょっとして、生活レベルは一般人でも高いのだろうか?
「あら、こちらの魔道具は初めて見られますか?」
「は、はい。村ではろうそくだったので」
「そうですか。基本的に町の家ではこういう魔道具での明かりです。ただ、魔力充填式になりますので、あまり魔力が高くない方は業者に依頼する必要がありますが…」
「それって、頻度は高いんですか?」
「使い方にもよりますが、各箇所2週間から1か月ごとですね。やはり部屋などで明かりをずっと使われる場合はそれなりに頻度が高くなります」
「そうなんですね。大丈夫だとは思いますが、気を付けます」
私は自分でいくらでもできるだろうけど、普通の人がどうやってるのかも後でライラさんに聞いておこう。
「それと、こちらの方にメーターがありますので、くれぐれもご自分でやられる場合はこのラインを越さないようにお願いいたします。故障の原因になりますので。故障すると、1つ当たり金貨3枚ほどかかります」
「そんなに!?」
「というのも、明かりの位置からこちらのスイッチ迄の導線も壊れることがほとんどで、新規に作り直すか、補修にしても手間がかかるんですよ」
「ああ、そういうことなんですね」
電化製品で考えたら、配線まで故障しちゃう感じなんだ。そりゃあ、お金かかっちゃうよね。うんうんと一人納得しながら、ライラさんにも使い勝手についてみてもらう。
「ライラ、どう?」
「中々、以前住まれていた人は快適な生活にこだわりがあったのか、使いやすそうです。これなら、料理に必要なものを揃えればすぐに作れます」
「そっか、この家でよかったかも。それじゃあ、キッチンは見たから今度はお風呂に行こう」
そんな感じでお風呂も見てみたけれど、脱衣所と浴槽は別になっており、鍵もかけられて安全だった。私の場合はのぞき防止の防犯もあるけど、正体ばれを防げる良い造りだ。
「足っ!足が延ばせますよ!!」
「足ぐらいお前の身長なら伸ばせるのが普通だろう」
「分かってませんね。下手な物件だと膝を抱えるような姿勢でしか入れないあの苦しみを…」
本当~に大変なんだから!足をある程度伸ばせる浴槽が長い物件を探すだけで、いったい何件を諦めて、何件の不動産屋を巡ったことか。
「ミツキ様?」
「あ、いや、なんでもありません」
つい当時を思い出して遠い眼をしていたらしい。心配になったライラさんが声をかけてきてくれた。その後、トイレも見たが浴室とトイレは別になっており、とても暮らしやすい物件のようだ。
「それでは今度は2階を案内いたします」
「はい」
2階に上がると、正面に部屋が一つ。少し幅が狭い通路を行くと左右に部屋が2つの作りだ。階段裏には小さなロッカーのようなものがあり、きっと掃除道具でも入れるところだろう。
「では、手前から開けていきますね。こちら以前は客間でしたので、今は特に何もありません。以前の方は夫婦だけでしたので、置いてあったのも布団ぐらいだったのかもしれませんね」
「じゃあ、ここにはベッドがいりますか?」
「どうだろう?ここに置けても縦に2つだろう?置いてしまったら2人以上が使う時に難しくなりそうだが」
「あっ、そっちの問題もありますね。じゃあ、お布団だけ用意するようにしますか…」
確かに3人来たら2人だけベッドなんて悪いよね。そんな訳で客間については布団を用意することで決着した。
「では、後はこちらの2部屋ですね。こちらの手前側は少し荷物を置かれていた関係で、やや狭めになっております。どちらかと言えば、そちらのメイドの方の部屋にするとよいかと。家具も移動する手間が減りますし」
「そうですね。私には広い部屋ですが、仕切りを作る訳にもいきませんし」
「では、こちらは使い方も決まりましたので、次に参りましょう」
「次はミツキ様のお部屋ですね」
「私の部屋かぁ」
いったいどんな部屋なのだろうか?期待と不安を胸に残りの部屋に入っていった。
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