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第1部 3章 新たな住まい
街並みと下見
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「あっ、そういえばそのまま出てきちゃいましたけど、よかったんですか?」
店を出る時、誰も店番に立っていないことを思い出した。無人とか大丈夫なくらい治安はいいのかな?
「えっ!?ああ、大丈夫です。もうひとり案内できるものがおりますので」
「じゃあ、安心ですね。それにしても歩いてる人、色々な髪色ですね」
街中を歩くと、色々な髪の人がいる。ブロンドもいるし、赤髪の人ややや青みがかったグレーの髪に茶色など肌の色もそれなりに違うし、人種のるつぼだなぁ。
「そうでしょうか?どの町もこれぐらいだと思いますよ」
「私の住んでいる村だと、黒髪の人の割合が多かったのでちょっとびっくりしました」
「あら、そうだったの?でも、ミツキの髪も金髪よね?」
「私はちょっと変わってて…」
アルテラさんから質問されて慌てて返す。危ない危ない、そういえば私の髪色も今は金髪だったな。朝起きて、軽く鏡で自分の顔を確認すると、綺麗な金髪に緑色の目をしていた。髪は動きやすいように肩より少し長いセミロングだったし、前世とビジュアルが違うことも意識しないとな。
「まあ、小さい集落でしたらそういうこともあるでしょうが、基本的には町の人はこんな感じですよ」
そう説明されながらも今度は家を見ながら歩く。家は2階建てが一番多くて、たまに3階建てのものがちらほらという感じだ。ただ、敷地の話をすると3階建てはやや狭く、2階建ては小さい庭があったり、少し広さにも余裕がある。この辺は都市部の一軒家と田舎の一軒家という感じの差だ。
「おい、前を見ていないと危ないぞ」
「あっ、すみません。街に来て間がないので色々と見てました」
「そういえば、すぐに邸に来たものね。この後はゆっくり見回りましょうか」
「いいんですか?」
「私たちは護衛なんだからミツキの好きなようにしていいのよ。まあ、危険なところに行きそうになったら止めるけどね」
「そこはお願いします」
「皆さま、目的地に着きました」
そんな会話をしていると、目的の家に着いた。庭は少し花壇があり、簡単な野菜ぐらいなら育てられそうだ。玄関のドアは片開きで、窓は上の方に採光窓があるだけで、あまり大きい窓はない。防犯上の問題かな?
「少々お待ちください。いま、鍵を開けますので」
「はい」
ガチャリと鍵が開くと、いよいよ建物の中に入っていく。中はというと、ちゃんと玄関で靴を脱げるタイプのようだ。ただ、フローリングなのでそのまま上がれそうでもある。
「へぇ~、家具がない訳じゃないんですね」
「ええ。やはり手放される時に邪魔になることも多いですから。特に引っ越し先が別の町になる場合は皆さん置いて行かれますね」
「ああ、確かに重たいものを運ぶのって大変そうですね」
「ですから、こうやって中古物件ですと家具は付いているところがほとんどです。他にもベッドなどは付いておりますが、人数分あるかは確認しないといけませんね」
「そうですね。じゃあ、とりあえずはキッチンから。その前に鎧を脱いでもいいですか?」
「かしこまりました。こちらにどうぞ」
そう、今日も今日とて私は鎧を着て歩いていた。お姉さんもここまで質問したかっただろうによく耐えたなという感じで、当然のように質問してきた。
「あの…差し支えなければ教えていただきたいのですが、なぜ家の下見で鎧を?」
「あはは、この鎧。ちょっと問題があって、簡単に脱げないんですよ。それで、重たいですけど頑張って着てるんです」
「そ、そうですか。ではキッチンへご案内したします」
私が鎧を脱ぎ終わり、返事を返すと案内開始だ。このために動きやすい格好を着こんできていてよかった。こうして、私の住む家の見学ツアーが始まったのだった。
店を出る時、誰も店番に立っていないことを思い出した。無人とか大丈夫なくらい治安はいいのかな?
「えっ!?ああ、大丈夫です。もうひとり案内できるものがおりますので」
「じゃあ、安心ですね。それにしても歩いてる人、色々な髪色ですね」
街中を歩くと、色々な髪の人がいる。ブロンドもいるし、赤髪の人ややや青みがかったグレーの髪に茶色など肌の色もそれなりに違うし、人種のるつぼだなぁ。
「そうでしょうか?どの町もこれぐらいだと思いますよ」
「私の住んでいる村だと、黒髪の人の割合が多かったのでちょっとびっくりしました」
「あら、そうだったの?でも、ミツキの髪も金髪よね?」
「私はちょっと変わってて…」
アルテラさんから質問されて慌てて返す。危ない危ない、そういえば私の髪色も今は金髪だったな。朝起きて、軽く鏡で自分の顔を確認すると、綺麗な金髪に緑色の目をしていた。髪は動きやすいように肩より少し長いセミロングだったし、前世とビジュアルが違うことも意識しないとな。
「まあ、小さい集落でしたらそういうこともあるでしょうが、基本的には町の人はこんな感じですよ」
そう説明されながらも今度は家を見ながら歩く。家は2階建てが一番多くて、たまに3階建てのものがちらほらという感じだ。ただ、敷地の話をすると3階建てはやや狭く、2階建ては小さい庭があったり、少し広さにも余裕がある。この辺は都市部の一軒家と田舎の一軒家という感じの差だ。
「おい、前を見ていないと危ないぞ」
「あっ、すみません。街に来て間がないので色々と見てました」
「そういえば、すぐに邸に来たものね。この後はゆっくり見回りましょうか」
「いいんですか?」
「私たちは護衛なんだからミツキの好きなようにしていいのよ。まあ、危険なところに行きそうになったら止めるけどね」
「そこはお願いします」
「皆さま、目的地に着きました」
そんな会話をしていると、目的の家に着いた。庭は少し花壇があり、簡単な野菜ぐらいなら育てられそうだ。玄関のドアは片開きで、窓は上の方に採光窓があるだけで、あまり大きい窓はない。防犯上の問題かな?
「少々お待ちください。いま、鍵を開けますので」
「はい」
ガチャリと鍵が開くと、いよいよ建物の中に入っていく。中はというと、ちゃんと玄関で靴を脱げるタイプのようだ。ただ、フローリングなのでそのまま上がれそうでもある。
「へぇ~、家具がない訳じゃないんですね」
「ええ。やはり手放される時に邪魔になることも多いですから。特に引っ越し先が別の町になる場合は皆さん置いて行かれますね」
「ああ、確かに重たいものを運ぶのって大変そうですね」
「ですから、こうやって中古物件ですと家具は付いているところがほとんどです。他にもベッドなどは付いておりますが、人数分あるかは確認しないといけませんね」
「そうですね。じゃあ、とりあえずはキッチンから。その前に鎧を脱いでもいいですか?」
「かしこまりました。こちらにどうぞ」
そう、今日も今日とて私は鎧を着て歩いていた。お姉さんもここまで質問したかっただろうによく耐えたなという感じで、当然のように質問してきた。
「あの…差し支えなければ教えていただきたいのですが、なぜ家の下見で鎧を?」
「あはは、この鎧。ちょっと問題があって、簡単に脱げないんですよ。それで、重たいですけど頑張って着てるんです」
「そ、そうですか。ではキッチンへご案内したします」
私が鎧を脱ぎ終わり、返事を返すと案内開始だ。このために動きやすい格好を着こんできていてよかった。こうして、私の住む家の見学ツアーが始まったのだった。
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