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第1部 2章 辺境の町メルキス
冒険者ギルド登録
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「おおっ!これが冒険者ギルド」
「その反応はもういいわよ。さっさと入りましょう」
「ああっ!?」
最初は自分で扉を開けようと思ったのに…。でも、てっきり西部劇に出るような中央にだけ扉があるのかと思ったら、普通のドアだった。そりゃあ、砂とか入ってくるし考えたら当然だよね。
「さて、中はどんな感じかな~?」
アルテラさんの後に続いてギルドの中に入って、辺りを見渡す。人はお昼を過ぎたばかりだからかまばらだ。
「あら、クウィードさん。今日はギルドに何の御用ですか」
「ああ。ちょっとこの子の登録をして欲しくてな。事情があって町に連れて来たんだが、何分田舎育ちで一人だけだと迷惑をかけそうでな」
「そうですか。では、お嬢様はそちらに」
「お、お嬢様ですか?」
突然のお嬢様呼びに驚いてしまう。そんな風に見えるのだろうか?
「違うんですか?」
「あっ、いや、もうそれで頼む。細かい説明をする時間もあまりなくてな」
「そうですか。では、登録に入りますね。お名前は書けますか?」
「多分大丈夫です」
確か転生させてもらう時に付けてもらった特典にあったはずだし大丈夫だよね?
「じゃあ、この紙に必要事項を書いていってね。分からないところは白紙でいいわよ」
「分かりました」
私はペンと紙を受け取って紙に書いていく。
「えっと、名前はミツキで歳は14。誕生日は…う~ん、こっちの暦も分からないし、適当に8月11日でいいかな?確か山の日だったはずだし、覚えやすいし」
こんな感じでどんどん埋めていく。ただ、出身の村の名前とか自分のスキルや能力は分からないので全部空欄だ。
「これで終わりました」
「分かったわ。ちょっと見せてもらうわね。あら、少し丸いけど綺麗な字ね。練習したのかしら?」
「字は綺麗な方なんです。先生にも昔、褒められてました!」
褒められると伸びる子だったので、小学生の時に褒められてからペン字検定とかも頑張っていた甲斐があったよ。
「そう。でも、出身地がないわね」
「あ~、出身地が田舎過ぎてな。名称もないような僻地なんだ」
「そういうことですか。では、こちらは空欄のままで行きますね」
「えっ!?出身地が不明でもいいんですか?」
「あった方が周辺のギルドで仕事をする時には有利ですけど、奥地の出身でしたら有利に働くようなこともないですから。とりあえず、この国の出身ではあるので、それだけ書いておきますね」
「お願いします」
そう言ってお姉さんが書いた文字を読むと、ファーガス王国出身と書き足されていた。なるほど、この町の所属はファーガス王国って言うんだ。
「後はスキルとか能力関連ですね。まあ、この辺は村で測る設備はないかと思いますので、今から測定しましょう!」
「これってみなさんにも見えちゃったりします?」
ちょっと心配なのでお姉さんに質問する。魔力だけは高いからね。
「そうですね。でも、ギルド側で情報を漏らすことはありません。ここにおられる騎士の方も口が堅いですし」
そう言いながら受付のお姉さんはクウィードさん達の方に目線を向ける。
「もちろんだ。さあ、ミツキ。手をそこに置いてくれ」
「分かりました」
お姉さんが出してきた石板のようなものに手を置くと、ブゥンと光る。
「うわっ!?さっきも見ましたけど、すごいですね。どういう仕組みですか?」
「さあ?私たちもこれについては知らないのよ。噂じゃ、大昔の魔道具だとか言われてるけど、壊れても新しいのが来るし出所も不明なの」
「不思議ですね~」
「あっ、出たみたいね。何々…」
名前 :ミツキ
ランク :なし
HP :360
MP :630
力 :75
体力 :86
素早さ :72
魔力 :300
運 :160
スキル:魔力操作、光魔法LV6、聖魔法LV4、火魔法LV5、空間魔法LV6、棒杖術LV3、精神系耐性
「ちょ、ちょっと!クウィードさん!!」
「なんだ?」
「どこからこんな優秀な子を連れて来たんですか!すぐに奥へ行きましょう」
「え、ちょっと待っ…」
私が言い終わらないうちにお姉さんは奥の小部屋へとずんずん進んで、みんなが部屋に入るとドアをバタンと閉めた。
「いきなりどうしたのよ?」
「これを見てください」
お姉さんはさっきも石板に浮かんだステータスをみんなに見せる。私は比較対象がないので一体何が凄いのか全く分からないけど。
「なんだこれは!?能力はあると思っていたが、これほどとは…」
「ひょっとして、連れて来たのってこれが原因なの?」
「まあ、理由はまだあるが一応な」
あっ、今クウィードさんごまかしたな。そんなに私のステータスって凄いんだろうか?大体、クウィードさんって私がデュラハンだって知ってるのに、そこまで驚かなくても…。
「あの、そんなに凄かったりするんですか?」
「凄いなんてものじゃないわ。あなた、魔物と戦闘した経験は?」
「あ、えっと、ちょっとだけ」
「このステータスってBランク…いえ、Aランクでもおかしくないわよ」
「そ、そんなにですか?」
「ああ、ここに各種属性のLVがあるだろう?」
「ありますね。10段階ですか?」
「まあ、一応はな…」
「じゃあ、半分と少しですから普通よりちょっといいぐらいですね!」
私があっけらかんと返すとみんなの目線が私に集中する。
「ミツキちゃん違うのよ。確かに10段階に分かれてはいるけど、LV3で初級、LV5で中級、LV6ともなれば上級魔法も使えるの。LV7以降というのは魔法使いなら王立魔導士団所属だし、冒険者ならその時代でも名前が知れ渡るぐらい凄いの。LV8なんて数えるほどよ?」
「つまり、この数字はそこそこ凄い?」
「そこそこではない。かなり凄い」
真顔でクウィードさん達に返され、ついボケっとした顔になる私だった。
「その反応はもういいわよ。さっさと入りましょう」
「ああっ!?」
最初は自分で扉を開けようと思ったのに…。でも、てっきり西部劇に出るような中央にだけ扉があるのかと思ったら、普通のドアだった。そりゃあ、砂とか入ってくるし考えたら当然だよね。
「さて、中はどんな感じかな~?」
アルテラさんの後に続いてギルドの中に入って、辺りを見渡す。人はお昼を過ぎたばかりだからかまばらだ。
「あら、クウィードさん。今日はギルドに何の御用ですか」
「ああ。ちょっとこの子の登録をして欲しくてな。事情があって町に連れて来たんだが、何分田舎育ちで一人だけだと迷惑をかけそうでな」
「そうですか。では、お嬢様はそちらに」
「お、お嬢様ですか?」
突然のお嬢様呼びに驚いてしまう。そんな風に見えるのだろうか?
「違うんですか?」
「あっ、いや、もうそれで頼む。細かい説明をする時間もあまりなくてな」
「そうですか。では、登録に入りますね。お名前は書けますか?」
「多分大丈夫です」
確か転生させてもらう時に付けてもらった特典にあったはずだし大丈夫だよね?
「じゃあ、この紙に必要事項を書いていってね。分からないところは白紙でいいわよ」
「分かりました」
私はペンと紙を受け取って紙に書いていく。
「えっと、名前はミツキで歳は14。誕生日は…う~ん、こっちの暦も分からないし、適当に8月11日でいいかな?確か山の日だったはずだし、覚えやすいし」
こんな感じでどんどん埋めていく。ただ、出身の村の名前とか自分のスキルや能力は分からないので全部空欄だ。
「これで終わりました」
「分かったわ。ちょっと見せてもらうわね。あら、少し丸いけど綺麗な字ね。練習したのかしら?」
「字は綺麗な方なんです。先生にも昔、褒められてました!」
褒められると伸びる子だったので、小学生の時に褒められてからペン字検定とかも頑張っていた甲斐があったよ。
「そう。でも、出身地がないわね」
「あ~、出身地が田舎過ぎてな。名称もないような僻地なんだ」
「そういうことですか。では、こちらは空欄のままで行きますね」
「えっ!?出身地が不明でもいいんですか?」
「あった方が周辺のギルドで仕事をする時には有利ですけど、奥地の出身でしたら有利に働くようなこともないですから。とりあえず、この国の出身ではあるので、それだけ書いておきますね」
「お願いします」
そう言ってお姉さんが書いた文字を読むと、ファーガス王国出身と書き足されていた。なるほど、この町の所属はファーガス王国って言うんだ。
「後はスキルとか能力関連ですね。まあ、この辺は村で測る設備はないかと思いますので、今から測定しましょう!」
「これってみなさんにも見えちゃったりします?」
ちょっと心配なのでお姉さんに質問する。魔力だけは高いからね。
「そうですね。でも、ギルド側で情報を漏らすことはありません。ここにおられる騎士の方も口が堅いですし」
そう言いながら受付のお姉さんはクウィードさん達の方に目線を向ける。
「もちろんだ。さあ、ミツキ。手をそこに置いてくれ」
「分かりました」
お姉さんが出してきた石板のようなものに手を置くと、ブゥンと光る。
「うわっ!?さっきも見ましたけど、すごいですね。どういう仕組みですか?」
「さあ?私たちもこれについては知らないのよ。噂じゃ、大昔の魔道具だとか言われてるけど、壊れても新しいのが来るし出所も不明なの」
「不思議ですね~」
「あっ、出たみたいね。何々…」
名前 :ミツキ
ランク :なし
HP :360
MP :630
力 :75
体力 :86
素早さ :72
魔力 :300
運 :160
スキル:魔力操作、光魔法LV6、聖魔法LV4、火魔法LV5、空間魔法LV6、棒杖術LV3、精神系耐性
「ちょ、ちょっと!クウィードさん!!」
「なんだ?」
「どこからこんな優秀な子を連れて来たんですか!すぐに奥へ行きましょう」
「え、ちょっと待っ…」
私が言い終わらないうちにお姉さんは奥の小部屋へとずんずん進んで、みんなが部屋に入るとドアをバタンと閉めた。
「いきなりどうしたのよ?」
「これを見てください」
お姉さんはさっきも石板に浮かんだステータスをみんなに見せる。私は比較対象がないので一体何が凄いのか全く分からないけど。
「なんだこれは!?能力はあると思っていたが、これほどとは…」
「ひょっとして、連れて来たのってこれが原因なの?」
「まあ、理由はまだあるが一応な」
あっ、今クウィードさんごまかしたな。そんなに私のステータスって凄いんだろうか?大体、クウィードさんって私がデュラハンだって知ってるのに、そこまで驚かなくても…。
「あの、そんなに凄かったりするんですか?」
「凄いなんてものじゃないわ。あなた、魔物と戦闘した経験は?」
「あ、えっと、ちょっとだけ」
「このステータスってBランク…いえ、Aランクでもおかしくないわよ」
「そ、そんなにですか?」
「ああ、ここに各種属性のLVがあるだろう?」
「ありますね。10段階ですか?」
「まあ、一応はな…」
「じゃあ、半分と少しですから普通よりちょっといいぐらいですね!」
私があっけらかんと返すとみんなの目線が私に集中する。
「ミツキちゃん違うのよ。確かに10段階に分かれてはいるけど、LV3で初級、LV5で中級、LV6ともなれば上級魔法も使えるの。LV7以降というのは魔法使いなら王立魔導士団所属だし、冒険者ならその時代でも名前が知れ渡るぐらい凄いの。LV8なんて数えるほどよ?」
「つまり、この数字はそこそこ凄い?」
「そこそこではない。かなり凄い」
真顔でクウィードさん達に返され、ついボケっとした顔になる私だった。
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