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第1部 1章 始まりの大地
新たなる騎士
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「だ、誰かいるのか?」
「あれ?人間のお客さんだ」
だけど、ガイエルとは声質が違う。一体誰が来たんだろう?
「あの~、どなたですか?」
「女の声?ひょっとしてあんたがリスティルか?」
「そうですけど…よく名前が分かりましたね」
私の名前なんてガイエル以外知らないはずなのに。ひょっとしてこの人はエスパー?
「俺は爺さん…ガイエル様の知り合いだ」
「ガイエルの?ひょっとして何か持って来てくれたの?」
エスパーではなかったか。でも、ガイエルの知り合いだなんて彼に何かあったんだろうか?
「いや、俺は使いで来たんだ。昔、あんたと町に行く約束をしたんだってな」
「う、うん。そうだけど…」
何だか、この騎士の話が良く解らない。まるですごく昔の話のような表現だ。
「一応事情は聴いているが、あんた本当にデュラハンなのか?俺には人間にしか見えないが…」
今日やってきた騎士はガイエルから話を聞いているのか、暗闇対策にランプを手にしている。なので、私がデュラハンだと一目瞭然のはずだけど…。
「あっ、今日は人間の姿だった。ちょっと待ってね。その前にライト!」
この真っ暗闇の空間で手持ちのランプでは足を取られると思い、光で辺りを照らす。
「うわっ!?血、血まみれ!」
「あっ、これはさっきまでワニさんを解体していたから…」
剣は全く使えなかったけど、ナイフぐらいなら人間の姿でも使えるのでそのままだったからなぁ。あっちじゃ適当に切っても血は飛ばないし、オートで浄化がかかるから鎧も汚れないんだよね。
「これはケイブクロコダイル!?よく無事だったな」
「そんなに強い魔物かな?別に人間形態でも簡単に倒せるけど」
大体、光の入らないこの空間ではちょっと照らすだけで魔物はひるむし、光の重圧魔法のライトクラッシュで一確なんだけどなぁ。
「Cランクの魔物の中でも物理寄りでかなり強いんだがな。まあいい。それで、ガイエル様に代わって俺が街に連れていくことになったんだが、大丈夫か?」
「本当!?やった~!!ようやく行けるんだ。ずっと前から準備してて良かった~」
私は小躍りするようにぴょんぴょん跳びはねる。まあ実際は、鎧は重いし人間だと力はないしで、ガシャンガシャンだったけど。
「そんなに前から準備してたのか?」
「具体的に言うと、ガイエルが来なくなって直ぐぐらい?」
なんてったって、引きこもりの私には時間だけはいっぱいあるからね!寿命も気にしなくていいし。
「そ、そうか。まあ、準備ができているなら行くか?」
「うん!あっ、それで私がデュラハンだってことは秘密なんだよね?」
一応だけど確認する。まさか、魔族と人間が共同生活してたりしないよね?ガイエルの言葉からもそういう感じだったし。
「当然だ。お前も昔、ガイエル様が世話になった人の孫ということになっている」
「そっか~、孫?」
せいぜい、娘ぐらいだと思うんだけど…。
「詳しい話は後だ。あまり時間がなくてな」
「そうなんだ。分かった」
どうやら、ここに来たのも事情があるみたいだし、私は最後にぐるりと空洞の中を見渡す。
「う~ん。ここにはこれまでお世話になったなぁ。ありがとう」
私は最後に一礼して、騎士の方に向き直った。
「もういいか?」
「うん。ところであなたの名前は?」
「おっと、まだ言ってなかったな。俺の名前はクウィ―ドだ」
「そっか、よろしくね。クウィード!」
「ああ」
クウィードの案内で空洞を出た私は、未知なる場所へと進んでいく。でも、進んでいくたびにこの先どんな光景が広がっているのかとドキドキとワクワクが止まらない。
「こんなことならもっと早くに出ておくべきだったかな?」
「何か言ったか?」
「ううん。何でもないよ。それより、メルキスの町へ行こう!」
「町の名前までよく覚えていたな」
「ずっと楽しみにしてたからね!」
いよいよ、憧れの異世界の町に行ける楽しみで私はウキウキだった。
「あれ?人間のお客さんだ」
だけど、ガイエルとは声質が違う。一体誰が来たんだろう?
「あの~、どなたですか?」
「女の声?ひょっとしてあんたがリスティルか?」
「そうですけど…よく名前が分かりましたね」
私の名前なんてガイエル以外知らないはずなのに。ひょっとしてこの人はエスパー?
「俺は爺さん…ガイエル様の知り合いだ」
「ガイエルの?ひょっとして何か持って来てくれたの?」
エスパーではなかったか。でも、ガイエルの知り合いだなんて彼に何かあったんだろうか?
「いや、俺は使いで来たんだ。昔、あんたと町に行く約束をしたんだってな」
「う、うん。そうだけど…」
何だか、この騎士の話が良く解らない。まるですごく昔の話のような表現だ。
「一応事情は聴いているが、あんた本当にデュラハンなのか?俺には人間にしか見えないが…」
今日やってきた騎士はガイエルから話を聞いているのか、暗闇対策にランプを手にしている。なので、私がデュラハンだと一目瞭然のはずだけど…。
「あっ、今日は人間の姿だった。ちょっと待ってね。その前にライト!」
この真っ暗闇の空間で手持ちのランプでは足を取られると思い、光で辺りを照らす。
「うわっ!?血、血まみれ!」
「あっ、これはさっきまでワニさんを解体していたから…」
剣は全く使えなかったけど、ナイフぐらいなら人間の姿でも使えるのでそのままだったからなぁ。あっちじゃ適当に切っても血は飛ばないし、オートで浄化がかかるから鎧も汚れないんだよね。
「これはケイブクロコダイル!?よく無事だったな」
「そんなに強い魔物かな?別に人間形態でも簡単に倒せるけど」
大体、光の入らないこの空間ではちょっと照らすだけで魔物はひるむし、光の重圧魔法のライトクラッシュで一確なんだけどなぁ。
「Cランクの魔物の中でも物理寄りでかなり強いんだがな。まあいい。それで、ガイエル様に代わって俺が街に連れていくことになったんだが、大丈夫か?」
「本当!?やった~!!ようやく行けるんだ。ずっと前から準備してて良かった~」
私は小躍りするようにぴょんぴょん跳びはねる。まあ実際は、鎧は重いし人間だと力はないしで、ガシャンガシャンだったけど。
「そんなに前から準備してたのか?」
「具体的に言うと、ガイエルが来なくなって直ぐぐらい?」
なんてったって、引きこもりの私には時間だけはいっぱいあるからね!寿命も気にしなくていいし。
「そ、そうか。まあ、準備ができているなら行くか?」
「うん!あっ、それで私がデュラハンだってことは秘密なんだよね?」
一応だけど確認する。まさか、魔族と人間が共同生活してたりしないよね?ガイエルの言葉からもそういう感じだったし。
「当然だ。お前も昔、ガイエル様が世話になった人の孫ということになっている」
「そっか~、孫?」
せいぜい、娘ぐらいだと思うんだけど…。
「詳しい話は後だ。あまり時間がなくてな」
「そうなんだ。分かった」
どうやら、ここに来たのも事情があるみたいだし、私は最後にぐるりと空洞の中を見渡す。
「う~ん。ここにはこれまでお世話になったなぁ。ありがとう」
私は最後に一礼して、騎士の方に向き直った。
「もういいか?」
「うん。ところであなたの名前は?」
「おっと、まだ言ってなかったな。俺の名前はクウィ―ドだ」
「そっか、よろしくね。クウィード!」
「ああ」
クウィードの案内で空洞を出た私は、未知なる場所へと進んでいく。でも、進んでいくたびにこの先どんな光景が広がっているのかとドキドキとワクワクが止まらない。
「こんなことならもっと早くに出ておくべきだったかな?」
「何か言ったか?」
「ううん。何でもないよ。それより、メルキスの町へ行こう!」
「町の名前までよく覚えていたな」
「ずっと楽しみにしてたからね!」
いよいよ、憧れの異世界の町に行ける楽しみで私はウキウキだった。
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