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「それじゃあ、今日もまたここで!」
「ああ、今日は早く来るようにする」
「気にしなくてもいいですよ。ガーランド様はお務めなんですから」
「それを言ったらティアナにとっては学業は務めだろう?」
「そうなんですけど…とにかく待ってるのも好きですから気にしないでくださいね」
「わかった、またな」
「はい!」
ガーランド様と別れて私は教室へと向かう。しかし、昨日だって見たというのにみんな私とガーランド様のことを見すぎではないだろうか?今まで男っ気がなかったのは自覚しているけれど、ちょっと送り迎えしてもらってるだけで注目しすぎじゃない。
「おはよう~」
「おはよう、ティアナ。今日も仲良く登校してたわね」
「もう、サーラまで。それに、登校っていっても門の前までだよ」
「当り前よ。さすがに中にまで堂々と入ってきたら引くわ…。それにしても、もうって誰かに何か言われたりしたの?」
「ううん。言われてはないんだけど、さすがにあれだけ視線を浴びてるとね、嫌でもわかっちゃうというか…」
「なるほど。でも、あきらめなさい。みんなも年頃なんだし、婚約者って言ってもほとんどが小さいころに決められた存在で、断りたい人だっているのよ?」
「そんなものなのかな、私にはわかんないや」
たしかに、父様が先走って決めた婚約だったけど、特に嫌なところもないしむしろ今まで婚約の話が無いから今回の話が来たと思えば、満足している私にとってはよくわからない。
「ほら、隣のリュシー伯爵令嬢いるでしょ。あの方また婚約者と喧嘩されたんですって」
「でも、喧嘩するぐらい仲が良いってことも…」
「何言ってるのよ。お相手の伯爵の子息はプレイボーイで有名でしょ。男爵家の子と仲良く腕を組んで街を歩いていたらしいの」
「うわぁ、それはきついね」
「ティアナだったら殴り込みに行きそうね」
「男の人の方にね。まあ、ガーランド様はそんなことしないけど」
「ふふっ、この前まで剣しか握ってこなかったのに、もう旦那様の手綱を握ってるの?ティアナは」
「そ、そんなことない!」
私はサーラの言葉に真っ赤になりながらぶんぶんと首を振る。ガーランド様を右へ左へなんて考えられない。むしろ私が…。って何を考えてるの!
「…そういえば、今日は荷物多いのね?」
私が変な動きをしていると気を使ってくれたのかサーラが話題を変えてくれる。
「うん、この前言ってたお菓子作ってきたから持ってきたんだ。今回は珍しくシナモンが安かったからたっぷり使ったんだよ」
「本当!ティアナの作るものは何でもおいしいけど、シナモン好きなのよ。ただね…」
「高いよね…でも、今回は余ったらしくてかなりお買い得だったから」
「それはよかったわ。いつも作ってもらっているけれど、ティアナは代金も受け取ってくれないし心配してたのよ」
「私の作るものなんて、売ってるのより地味だし食べて欲しいだけだから」
「じゃあ、今度お礼に学園通りの店でおごるわ」
「ほんと!…でも、次の休みはガーランド様とそこに行く予定だからちょっと先になるかも」
「ふ~ん…ちょうどいいんじゃない?私も一度話してみたかったし一緒に行きましょう。こっちもフォルトを連れてくるからこれでバランスもとれるわ」
「それなら今日の帰りにでもガーランド様に聞いておくね」
もう少しサーラと話していたかったけど、1限目の鐘が鳴り話はそこまでとなった。学園通りのあの店かぁ。結構、男女の客が多いから入り辛かったんだよね。思わぬ幸運に喜んだ私は授業を上の空で聞いていたのだった。
「ああ、今日は早く来るようにする」
「気にしなくてもいいですよ。ガーランド様はお務めなんですから」
「それを言ったらティアナにとっては学業は務めだろう?」
「そうなんですけど…とにかく待ってるのも好きですから気にしないでくださいね」
「わかった、またな」
「はい!」
ガーランド様と別れて私は教室へと向かう。しかし、昨日だって見たというのにみんな私とガーランド様のことを見すぎではないだろうか?今まで男っ気がなかったのは自覚しているけれど、ちょっと送り迎えしてもらってるだけで注目しすぎじゃない。
「おはよう~」
「おはよう、ティアナ。今日も仲良く登校してたわね」
「もう、サーラまで。それに、登校っていっても門の前までだよ」
「当り前よ。さすがに中にまで堂々と入ってきたら引くわ…。それにしても、もうって誰かに何か言われたりしたの?」
「ううん。言われてはないんだけど、さすがにあれだけ視線を浴びてるとね、嫌でもわかっちゃうというか…」
「なるほど。でも、あきらめなさい。みんなも年頃なんだし、婚約者って言ってもほとんどが小さいころに決められた存在で、断りたい人だっているのよ?」
「そんなものなのかな、私にはわかんないや」
たしかに、父様が先走って決めた婚約だったけど、特に嫌なところもないしむしろ今まで婚約の話が無いから今回の話が来たと思えば、満足している私にとってはよくわからない。
「ほら、隣のリュシー伯爵令嬢いるでしょ。あの方また婚約者と喧嘩されたんですって」
「でも、喧嘩するぐらい仲が良いってことも…」
「何言ってるのよ。お相手の伯爵の子息はプレイボーイで有名でしょ。男爵家の子と仲良く腕を組んで街を歩いていたらしいの」
「うわぁ、それはきついね」
「ティアナだったら殴り込みに行きそうね」
「男の人の方にね。まあ、ガーランド様はそんなことしないけど」
「ふふっ、この前まで剣しか握ってこなかったのに、もう旦那様の手綱を握ってるの?ティアナは」
「そ、そんなことない!」
私はサーラの言葉に真っ赤になりながらぶんぶんと首を振る。ガーランド様を右へ左へなんて考えられない。むしろ私が…。って何を考えてるの!
「…そういえば、今日は荷物多いのね?」
私が変な動きをしていると気を使ってくれたのかサーラが話題を変えてくれる。
「うん、この前言ってたお菓子作ってきたから持ってきたんだ。今回は珍しくシナモンが安かったからたっぷり使ったんだよ」
「本当!ティアナの作るものは何でもおいしいけど、シナモン好きなのよ。ただね…」
「高いよね…でも、今回は余ったらしくてかなりお買い得だったから」
「それはよかったわ。いつも作ってもらっているけれど、ティアナは代金も受け取ってくれないし心配してたのよ」
「私の作るものなんて、売ってるのより地味だし食べて欲しいだけだから」
「じゃあ、今度お礼に学園通りの店でおごるわ」
「ほんと!…でも、次の休みはガーランド様とそこに行く予定だからちょっと先になるかも」
「ふ~ん…ちょうどいいんじゃない?私も一度話してみたかったし一緒に行きましょう。こっちもフォルトを連れてくるからこれでバランスもとれるわ」
「それなら今日の帰りにでもガーランド様に聞いておくね」
もう少しサーラと話していたかったけど、1限目の鐘が鳴り話はそこまでとなった。学園通りのあの店かぁ。結構、男女の客が多いから入り辛かったんだよね。思わぬ幸運に喜んだ私は授業を上の空で聞いていたのだった。
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