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本編
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「ふぅ」
今日も見回りと訓練を終えて着替える。一応騎士団戦を控えているので、隊長も気合が幾分入っていたようだった。そういえば、手合わせの数が多かった気がするが、まあ気のせいだと思いながらさっさと部屋を出ようとする。なにせ、ティアナと待ち合わせしているのだ。校門の前で待たすようなことがないようにしなければ。
「おおい、もう帰るのか?」
「ああ、待ち合わせをしているからな」
「そうか…」
そういえば彼は既婚者だったな。話題が何かないか聞いてみるか。
「そういえば、既婚者だよな。何か話す話題とかないか?」
「どうしたんだよ全く。一応あいつは今は学園通りの奥にあるフルーツパフェだかなんかというのが人気だって言っていたぞ」
「そうか、すまない」
「変わったなお前…。早く行ってやれよ」
「ああ、ありがとう」
俺は詰所を後にして学園へと向かった。
「行ったか?」
「ああ、ほんとに不気味なぐらい変わったな」
「それより今日の訓練気付いたか?」
「とんでもねえなあいつ。今まで訓練は内容が一緒だったからわからなかったが、あいつだけ手合わせを大量にしたのに、ほとんど息も切らさなかった」
「最初と最後で剣先も下がっていなかったな。ありゃ、ひょっとするかもな」
「じゃあ、決まりだな。とりあえず一人目はガーランドということで、もう一人はアルスだ。残りはちゃんと投票だからなー」
「ええっ、俺ですか!」
「情報提供の代わりに貴重な経験をやるっていうことだ。うれしいだろ?」
「…はい」
「待ったか?」
学園に着くとすでにティアナが待っていた。早く着くようにと思ったんだが遅かったようだ。
「ううん、ガーランド様が来る少し前に来たの。まだ、秋の学園が始まってから間がないから、先生も早く終わってくれてるみたい」
「それならよかった」
「じゃあ、さっそく朝の約束お願いします!」
「約束?」
何かしたか?
「お話ししてくれるって言ったじゃないですか~」
ぷく~と頬を膨らませるティアナ。そのことだったのか。
「そのことなら覚えている。だが、朝も言った通り、面白い話でもないがいいか?」
「はい、よろしくお願いします」
それから俺は警備隊の簡単な仕事と訓練の内容などを話した。時たま彼女から質問が来るのでそれに答えながら。
「~じゃあ、剣振っていればいいってことでもないんですね」
「無論だ。基本的には王宮の受付は門番だが、不審なものがいないか見分けることも必要だし、それらの書類や隊長なんかは部下の訓練の報告などもしているな。あれは結構大変だ」
「大変って、ガーランド様も隊長だったことあるんですか?」
「残念ながら手伝わされただけだ。ああこれは言わないでくれ。一応個人の情報だからな」
「わかりました!」
そういって彼女はビシッと敬礼するような動作をする。それがおかしくて思わず笑ってしまった。
「あっ笑わないでください、ひどい!」
「すまん。しかし、こうしていると不思議だな。この前まではこの時間はまだ見回り中で、こうして女性と帰るとは夢にも思わなかった」
「それは私もです…」
そしてその後も2人で話しながら帰ったのだった。
今日も見回りと訓練を終えて着替える。一応騎士団戦を控えているので、隊長も気合が幾分入っていたようだった。そういえば、手合わせの数が多かった気がするが、まあ気のせいだと思いながらさっさと部屋を出ようとする。なにせ、ティアナと待ち合わせしているのだ。校門の前で待たすようなことがないようにしなければ。
「おおい、もう帰るのか?」
「ああ、待ち合わせをしているからな」
「そうか…」
そういえば彼は既婚者だったな。話題が何かないか聞いてみるか。
「そういえば、既婚者だよな。何か話す話題とかないか?」
「どうしたんだよ全く。一応あいつは今は学園通りの奥にあるフルーツパフェだかなんかというのが人気だって言っていたぞ」
「そうか、すまない」
「変わったなお前…。早く行ってやれよ」
「ああ、ありがとう」
俺は詰所を後にして学園へと向かった。
「行ったか?」
「ああ、ほんとに不気味なぐらい変わったな」
「それより今日の訓練気付いたか?」
「とんでもねえなあいつ。今まで訓練は内容が一緒だったからわからなかったが、あいつだけ手合わせを大量にしたのに、ほとんど息も切らさなかった」
「最初と最後で剣先も下がっていなかったな。ありゃ、ひょっとするかもな」
「じゃあ、決まりだな。とりあえず一人目はガーランドということで、もう一人はアルスだ。残りはちゃんと投票だからなー」
「ええっ、俺ですか!」
「情報提供の代わりに貴重な経験をやるっていうことだ。うれしいだろ?」
「…はい」
「待ったか?」
学園に着くとすでにティアナが待っていた。早く着くようにと思ったんだが遅かったようだ。
「ううん、ガーランド様が来る少し前に来たの。まだ、秋の学園が始まってから間がないから、先生も早く終わってくれてるみたい」
「それならよかった」
「じゃあ、さっそく朝の約束お願いします!」
「約束?」
何かしたか?
「お話ししてくれるって言ったじゃないですか~」
ぷく~と頬を膨らませるティアナ。そのことだったのか。
「そのことなら覚えている。だが、朝も言った通り、面白い話でもないがいいか?」
「はい、よろしくお願いします」
それから俺は警備隊の簡単な仕事と訓練の内容などを話した。時たま彼女から質問が来るのでそれに答えながら。
「~じゃあ、剣振っていればいいってことでもないんですね」
「無論だ。基本的には王宮の受付は門番だが、不審なものがいないか見分けることも必要だし、それらの書類や隊長なんかは部下の訓練の報告などもしているな。あれは結構大変だ」
「大変って、ガーランド様も隊長だったことあるんですか?」
「残念ながら手伝わされただけだ。ああこれは言わないでくれ。一応個人の情報だからな」
「わかりました!」
そういって彼女はビシッと敬礼するような動作をする。それがおかしくて思わず笑ってしまった。
「あっ笑わないでください、ひどい!」
「すまん。しかし、こうしていると不思議だな。この前まではこの時間はまだ見回り中で、こうして女性と帰るとは夢にも思わなかった」
「それは私もです…」
そしてその後も2人で話しながら帰ったのだった。
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