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2人の王子 情と欲
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カノン嬢の婚約破棄の情報を聞きつけた俺は一路、王宮への道を急ぐ。
「馬車を待たずしてよろしかったのですか?」
「婚約破棄の会場に居ることが大事だ。今は一刻を争う」
「分かりました。では、道も少し変えましょう。多少道は悪いですが、うまくいけば数時間短縮出来ます」
「任せるぞ!」
馬の体力も心配だが今は時間がない。俺たちは街に着くとすぐさま新しい馬が居ないか確認する。
「悪いが、この馬と店で一番の馬を交換してくれ。この馬も優れた馬だが今は時間が惜しい」
「お、お客さん急に困りますよ。そんなこと言われても…」
直ぐに俺は王家の紋章を見せる。これは王族の証でもあるり、偽造でもしようものなら即刻首が飛ぶ代物だ。
「こ、これは…。分かりました。当店最高の馬を用意いたします」
「頼む。2頭だ」
「かしこまりました!」
店主は急いで奥から馬を連れてくる。毛並みや体格から見て悪い馬ではなさそうだ。
「こちらになります。しかし、本当にこの馬をいただいても?名馬に見受けられますが…」
「事情は話せんが、今は時間が惜しくてな。必要なら後で王宮まで手紙を寄越せ。正式な譲渡文を寄越す」
「ありがとうございます」
深々と頭を下げる店主を尻目に、急ぎ馬に飛び移る。
「達者でな!」
ヒヒーン!
私の元に来て2年になる良い馬だったが今回ばかりは仕方ない。気性も落ち着いた馬だし、悪い扱いはされぬだろう。
「よし!足は確保出来た。いくぞシリウス!」
「はっ!」
再びシリウスを伴い、王都へと駆けていく。店主が持ち出した馬だけあって、直ぐに俺にも慣れたようだ。走りも先ほどの馬に比べれば劣るものの、騎士団でも上位に来る馬だろう。
「良い馬を確保されましたね」
「そのようだ。だが、それも間に合ってこそだ」
パーティーは明日だが、通常の行程では3日はかかる。走り詰めで来たとは言え、まだ半分近く残っている。
「なんとか夜に間に合わせなければ…」
その後も小休止を挟んでは走り続けた。わずかではあるが、視察地に行くまでに寝ていて良かった。
「もうすぐ、王都に入ります」
「そうか、なんとか間に合いそうだな」
翌日、ほぼ日も落ちかけた頃、ようやく王都の街並みが見えた。パーティーは王族主催だから開会まではまだ時間がある。
「とはいえ、あまり余裕がありません。王都に入り次第、別行動を取らせて頂きます」
「任せた」
流石にいくら王族といえど、着いて直ぐにパーティーの準備が出来るわけではないからな。
「タイミングを計らんといかんし、まだまだ本番はこれからだ」
先に姿を見せて、婚約破棄の流れが壊れるのでは本末転倒だ。このチャンスを逃すわけにはいかない。
「残る問題は婚約者であるセティ=パーランド公爵令嬢だが、身分を踏まえて正妃にすれば問題はない。将来的なことは後で考えるとしてもだ」
現状では公爵家と言うことで、後継者もそちらからだろうが後々国にとってどちらが大事かはその時の才覚にも寄るだろう。期待を胸に秘めて王宮へと馬を走らせる。
「止まれ!ここから先は入城許可がなければ入れんぞ!」
「私だ。内密に連絡することがあって戻ってきた」
「こ、これは殿下!直ぐに通します。どちらの方へ?」
「いったんは自室に戻って用意をする。悪いが、ここを通ったことはしばらく隠しておいてくれ」
「はっ!了解いたしました」
よし、これで後はなるべく見つからずに部屋に戻るだけだな。軽くフードをかぶって姿が見えないようにして部屋まで戻る。
「お疲れ様です」
「ああ、手配は?」
「直ぐにでも侍女がやってきますので、パーティーへは問題なく出られます。ただ、待機する場所ですが流石に当日に会場近くの部屋を押さえることは出来ませんでした」
「そうか。まあ、急なことだから仕方ない」
「代わりと言ってはなんですが、バルコニーの一角を人が来ないように偽装しましたのでそちらで待機が可能です」
「助かる。では、会場で会おう」
「はっ!」
シリウスと分かれて着替えをする。
「殿下、今日は急に戻られたというのになんだか嬉しそうですわ」
「そうか?」
「はい、私たちも普段からお世話させて頂いておりますが、我々でも表情が分かるぐらいですから」
「まあ、弟の晴れ舞台だからな。もっともそれ以外の用事で戻ってきたのだが…」
「殿下は相も変わらず、お忙しくあらせられますね。体調は大丈夫でしょうか?」
「多少疲れはあるが、問題はない。それよりも急な出席になるとは言え、仮にも王族だ。抜かりの無いように頼むぞ」
「はい」
まあ、心配はしていないがな。仮にも第1王子の侍女たちだ。伯爵家の次女やら子爵家の長女など身分も成績も申し分ないものが集められているからな。パーティー出席の準備も終わり、いよいよ会場のバルコニーに身を潜ませるのだが…。
「しかし、これではバルコニーまで行けないな」
「こちらへ、バルコニーまで直通の通路です」
「はしごだろう?」
「便宜上の説明です。流石に王族をはしごに登らせたとは言えませんので」
「お前は?」
「一応これでも男爵家の次期当主ですので堂々と入ります」
「では、なにかあれば頼むぞ」
「御意」
それからはパーティーが始まるまでここで待機だ。会話がなく煩わしくないのはいいが、これは流石につまらんな。まあ、あと少しの辛抱だし我慢するしかないか。そうこうしているうちに参加者がどんどん会場に入ってきた。シリウスは男爵家だから早くに入っては来るものの、こちらを見向きもしない。
「まあ、今はこちらも幕の向こうからのぞき見しているから当たり前だがな」
続いて、子爵・伯爵と貴族が次々に会場入りする。世話になっているものに挨拶に行くもの、より上位の貴族を待つものなど様々だ。
「まあ、これを見ていても仕方ないな。流石にこんなに目立つ場所では挨拶もしないだろう」
アルター侯爵とつながっているのが誰か、今しばらくはかかるか。とはいえ、注意しているに越したことはない。
「どんなに注意しようと、ついうっかり目線が泳ぐこともあるからな」
ちらりと目を向けながら進行状況を確認する。後は公爵家のみか…。しかし、予想通り今回の出席者には若い世代も目立つ。このパーティーが祝いの席であるというのは周知の事実であるし、まだ決まっていない縁談がある貴族にとっては、縁を結びやすい場なのだろう。
「まあ、実際はこの会場で縁を結ぼうものなら、後日に笑い話の種となるものだろうがな」
いよいよ公爵の入場も終わり、王族を残すのみだ。ちなみに本来は最後に陛下が登壇されるのだが、今回ばかりは弟が最後になっている。何でも今回のパーティーの主役だからだそうだ。国王でもなくホストなら、きちんと出迎えろと思うものだが、許可が出てしまっては致し方ない。
「陛下のご入場!」
門を守る兵士の声とともに陛下が入られる。堂々と入ってきているが、出て行く時はどうなっているやら。一言も発さずに玉座に座るといよいよ本命の入場だ。
「馬車を待たずしてよろしかったのですか?」
「婚約破棄の会場に居ることが大事だ。今は一刻を争う」
「分かりました。では、道も少し変えましょう。多少道は悪いですが、うまくいけば数時間短縮出来ます」
「任せるぞ!」
馬の体力も心配だが今は時間がない。俺たちは街に着くとすぐさま新しい馬が居ないか確認する。
「悪いが、この馬と店で一番の馬を交換してくれ。この馬も優れた馬だが今は時間が惜しい」
「お、お客さん急に困りますよ。そんなこと言われても…」
直ぐに俺は王家の紋章を見せる。これは王族の証でもあるり、偽造でもしようものなら即刻首が飛ぶ代物だ。
「こ、これは…。分かりました。当店最高の馬を用意いたします」
「頼む。2頭だ」
「かしこまりました!」
店主は急いで奥から馬を連れてくる。毛並みや体格から見て悪い馬ではなさそうだ。
「こちらになります。しかし、本当にこの馬をいただいても?名馬に見受けられますが…」
「事情は話せんが、今は時間が惜しくてな。必要なら後で王宮まで手紙を寄越せ。正式な譲渡文を寄越す」
「ありがとうございます」
深々と頭を下げる店主を尻目に、急ぎ馬に飛び移る。
「達者でな!」
ヒヒーン!
私の元に来て2年になる良い馬だったが今回ばかりは仕方ない。気性も落ち着いた馬だし、悪い扱いはされぬだろう。
「よし!足は確保出来た。いくぞシリウス!」
「はっ!」
再びシリウスを伴い、王都へと駆けていく。店主が持ち出した馬だけあって、直ぐに俺にも慣れたようだ。走りも先ほどの馬に比べれば劣るものの、騎士団でも上位に来る馬だろう。
「良い馬を確保されましたね」
「そのようだ。だが、それも間に合ってこそだ」
パーティーは明日だが、通常の行程では3日はかかる。走り詰めで来たとは言え、まだ半分近く残っている。
「なんとか夜に間に合わせなければ…」
その後も小休止を挟んでは走り続けた。わずかではあるが、視察地に行くまでに寝ていて良かった。
「もうすぐ、王都に入ります」
「そうか、なんとか間に合いそうだな」
翌日、ほぼ日も落ちかけた頃、ようやく王都の街並みが見えた。パーティーは王族主催だから開会まではまだ時間がある。
「とはいえ、あまり余裕がありません。王都に入り次第、別行動を取らせて頂きます」
「任せた」
流石にいくら王族といえど、着いて直ぐにパーティーの準備が出来るわけではないからな。
「タイミングを計らんといかんし、まだまだ本番はこれからだ」
先に姿を見せて、婚約破棄の流れが壊れるのでは本末転倒だ。このチャンスを逃すわけにはいかない。
「残る問題は婚約者であるセティ=パーランド公爵令嬢だが、身分を踏まえて正妃にすれば問題はない。将来的なことは後で考えるとしてもだ」
現状では公爵家と言うことで、後継者もそちらからだろうが後々国にとってどちらが大事かはその時の才覚にも寄るだろう。期待を胸に秘めて王宮へと馬を走らせる。
「止まれ!ここから先は入城許可がなければ入れんぞ!」
「私だ。内密に連絡することがあって戻ってきた」
「こ、これは殿下!直ぐに通します。どちらの方へ?」
「いったんは自室に戻って用意をする。悪いが、ここを通ったことはしばらく隠しておいてくれ」
「はっ!了解いたしました」
よし、これで後はなるべく見つからずに部屋に戻るだけだな。軽くフードをかぶって姿が見えないようにして部屋まで戻る。
「お疲れ様です」
「ああ、手配は?」
「直ぐにでも侍女がやってきますので、パーティーへは問題なく出られます。ただ、待機する場所ですが流石に当日に会場近くの部屋を押さえることは出来ませんでした」
「そうか。まあ、急なことだから仕方ない」
「代わりと言ってはなんですが、バルコニーの一角を人が来ないように偽装しましたのでそちらで待機が可能です」
「助かる。では、会場で会おう」
「はっ!」
シリウスと分かれて着替えをする。
「殿下、今日は急に戻られたというのになんだか嬉しそうですわ」
「そうか?」
「はい、私たちも普段からお世話させて頂いておりますが、我々でも表情が分かるぐらいですから」
「まあ、弟の晴れ舞台だからな。もっともそれ以外の用事で戻ってきたのだが…」
「殿下は相も変わらず、お忙しくあらせられますね。体調は大丈夫でしょうか?」
「多少疲れはあるが、問題はない。それよりも急な出席になるとは言え、仮にも王族だ。抜かりの無いように頼むぞ」
「はい」
まあ、心配はしていないがな。仮にも第1王子の侍女たちだ。伯爵家の次女やら子爵家の長女など身分も成績も申し分ないものが集められているからな。パーティー出席の準備も終わり、いよいよ会場のバルコニーに身を潜ませるのだが…。
「しかし、これではバルコニーまで行けないな」
「こちらへ、バルコニーまで直通の通路です」
「はしごだろう?」
「便宜上の説明です。流石に王族をはしごに登らせたとは言えませんので」
「お前は?」
「一応これでも男爵家の次期当主ですので堂々と入ります」
「では、なにかあれば頼むぞ」
「御意」
それからはパーティーが始まるまでここで待機だ。会話がなく煩わしくないのはいいが、これは流石につまらんな。まあ、あと少しの辛抱だし我慢するしかないか。そうこうしているうちに参加者がどんどん会場に入ってきた。シリウスは男爵家だから早くに入っては来るものの、こちらを見向きもしない。
「まあ、今はこちらも幕の向こうからのぞき見しているから当たり前だがな」
続いて、子爵・伯爵と貴族が次々に会場入りする。世話になっているものに挨拶に行くもの、より上位の貴族を待つものなど様々だ。
「まあ、これを見ていても仕方ないな。流石にこんなに目立つ場所では挨拶もしないだろう」
アルター侯爵とつながっているのが誰か、今しばらくはかかるか。とはいえ、注意しているに越したことはない。
「どんなに注意しようと、ついうっかり目線が泳ぐこともあるからな」
ちらりと目を向けながら進行状況を確認する。後は公爵家のみか…。しかし、予想通り今回の出席者には若い世代も目立つ。このパーティーが祝いの席であるというのは周知の事実であるし、まだ決まっていない縁談がある貴族にとっては、縁を結びやすい場なのだろう。
「まあ、実際はこの会場で縁を結ぼうものなら、後日に笑い話の種となるものだろうがな」
いよいよ公爵の入場も終わり、王族を残すのみだ。ちなみに本来は最後に陛下が登壇されるのだが、今回ばかりは弟が最後になっている。何でも今回のパーティーの主役だからだそうだ。国王でもなくホストなら、きちんと出迎えろと思うものだが、許可が出てしまっては致し方ない。
「陛下のご入場!」
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