8 / 73
本編
7
しおりを挟む
見張りがカークスに決定してみんなが寝静まったことを確認して僕は、外へと向かう。
「眠れないのか、キルド?」
「まあ、まだ早い時間だからね。普段はまだ活動時間だし」
僕の主な仕事は後方支援だ。弓での攻撃だけではなく街での情報収集なども含まれる。依頼はギルドから受けるのはもちろんだ。しかし、中にはギルドにも説明しない依頼主もいる。こういった場合に対応するために、僕は日ごろから酒場などを練り歩くようにしている。大体は自腹だけど、成果報酬としてカークスやフォルトからいくらかもらうこともある。改めて言うことでもないので2人には話していない。
「それにしてもわざわざ俺のところに来るのは珍しいな」
「ひどいね。これでもパーティーの一員なんだから気が向いて来ることもあるよ」
そう言いながらもカークスと2人でいることはまれだ。フォルトにはつまらない愚痴などを流し聞きしてもらうことはある。カークスは態度でうっとおしいと振られるので基本的には他の誰かがいる事が常だ。
「それで何か話があってきたんだろう」
「多分フォルトからも話があったと思うことだけどティアの事」
「お前もか」
「一応気にはなっていたからね。簡単な調査結果の報告だよ」
「はいはい。じゃあ報告を聞こうか」
「間違ってたら本当に無駄足なんだけどカークスが気になってたのってティアが持ってた杖なんじゃない?」
ビクリとカークスの肩が動く、間違いないみたいだ。
「どうしてそう思う?」
「この前の討伐依頼の帰りにティアが言ってた。カークスが強く当たるのは最初の合同討伐の時だって。でも、思い出してみても行きにはそんな感じではなかった。じゃあ帰りかなと思って思い返すと、戦闘後にみんなを見まわした後だったなってね。ひょっとしたらって思ってね、僕も杖の紋章は気になってたから」
「確かにその通りだが、よくそんなことを覚えていたな。半年前の些細な出来事なのに」
「そうでもしないと情報屋はやってけないからね。彼らは同じことを聞きなおすときでさえ報酬を求めるからね。それでそもそもあの杖は何なのかと彼女の生家を調べてみたんだ」
「結果は?」
「あの杖は元々宮廷魔術師用の支給杖だった。しかもあのモデルは今より治安の悪い時代のモデルで、実用性に特化していて唯一の飾りが宮廷所属を示す紋章だった。ただあの杖自体が古いもののようで、現在の紋章とは意匠が異なっていたためすぐにはわからなかったんだ」
「そんな高級かつ希少なものをなぜ彼女が?」
「そう思って僕も調べたよ。宮廷所属の紋章の入ったものはおいそれと持っていることを許されない。あの杖も本人及び本人が実力と人格を認めたもののみに譲ることを許されるものだったよ。あの杖の持ち主は彼女の祖母だった。長期の在任ではなかったけど、情報通のおばばに聞いたら当時はかなりの実力者だったらしい。若くして師団長になるとも目されていたけれど、数年で退任。退任までの数年間の働きを認めて杖に関してはそのまま所持を許可されたって」
「そういういきさつだったのか…」
「どう満足した?」
「ああ。しかし、彼女には申し訳ないな。つまらない誤解をしていたようだ」
「ホントだよ。理由まではとやかく言わないけど、機会があったらちゃんと謝りなよ」
「そうする。しかし、お前にしては本当に珍しく踏み込んで調べたな」
「まあね。カークスがそこまで感情的になるのも気になったし、彼女は妹みたいな存在だからね」
「エミリーのことか?まあわからないではないな」
「エミリーじゃなくてティアだよ。」
「ティアが?」
「しっかりしているし、実力もあるけどね。僕からしたら背伸びしている妹みたいなものさ。多くを見てるから無茶しそうで心配だよ。きっとティアのお兄さんも同意してくれるよ」
「あったこともないのに無責任なことを…。」
「気にしてあげてね。ティアはすぐに背負おうとする。エミリーのこともそうだし今回の討伐依頼のこともね」
「今回の依頼の事か?確かにやけに乗り気だったが…」
「あれは乗り気なんかじゃなくて、申し訳ないと思ってるんだよ」
「何にだ?」
「2人が入った一瞬だけDランク依頼でもギルドの確認が入ったことがあったでしょ。あの時の事、まだずっと気になってるんだよ」
あれは半年前に加入に合意して正式に5人パーティーになった時、ギルドでいざ依頼を受けるときに言われたのだ。
「新規加入2名のランクが低い為、今回の依頼に関してはギルドの方より詳細な行動計画の提示を求めます」
「しかし、依頼の内容としてもDランク全般への依頼で問題ないはずだが?」
「冒険者養成学校出身者の加入後の傷病率が大きい為、今後4度の依頼の間は必要というギルドの判断です」
「分かった。書類は都度まとめて提出する。」
その後、4つの依頼をこなす間は依頼の受注から行動計画書の提出とかなり手間がかかった。実力不足の身の安全を図るためとはいえ大仰なことだとも思う。都度ティアもエミリーも謝っていたが、二人に落ち度はないし実力的に言えば2人より下の者はもっと大勢いる。だが、ティアはよほど気にしていたようで行動計画のうち3つは彼女が受注後すぐに作成したものだ。
「今回の依頼が完了したら間違いなくCランクだからね。あんなことはもうなくなる。そう思って自然と力が入ったんだろう。フォルトも事前の話と違うこと以上に気にしていたみたいだ」
「そうだったのか。俺はもっと気を付けなくてはな。2人にそういうところは頼ってばかりだ」
「ははっ、そこは任せてもらわないと。人の心の機敏に疎いカークスじゃないとお小遣いの当てがなくなるよ」
おどけていって立ち上がった。明日は本番になるかもしれない。前衛の二人は大いに危険だし、ティアは魔法を使う。僕は後方で索敵と気を引くぐらいしか出番はないだろうからせめてみんなの負担にならないようにしないと。そう思って寝に戻る。
「今日はすまなかったなキルド」
「そう思ったなら帰ったときに1軒支払い持ってよ。いい店紹介してもらったから」
「わかったよ」
それっきり会話をせずテントに戻り僕は眠った。さあ、明日はどうなることかな。
「眠れないのか、キルド?」
「まあ、まだ早い時間だからね。普段はまだ活動時間だし」
僕の主な仕事は後方支援だ。弓での攻撃だけではなく街での情報収集なども含まれる。依頼はギルドから受けるのはもちろんだ。しかし、中にはギルドにも説明しない依頼主もいる。こういった場合に対応するために、僕は日ごろから酒場などを練り歩くようにしている。大体は自腹だけど、成果報酬としてカークスやフォルトからいくらかもらうこともある。改めて言うことでもないので2人には話していない。
「それにしてもわざわざ俺のところに来るのは珍しいな」
「ひどいね。これでもパーティーの一員なんだから気が向いて来ることもあるよ」
そう言いながらもカークスと2人でいることはまれだ。フォルトにはつまらない愚痴などを流し聞きしてもらうことはある。カークスは態度でうっとおしいと振られるので基本的には他の誰かがいる事が常だ。
「それで何か話があってきたんだろう」
「多分フォルトからも話があったと思うことだけどティアの事」
「お前もか」
「一応気にはなっていたからね。簡単な調査結果の報告だよ」
「はいはい。じゃあ報告を聞こうか」
「間違ってたら本当に無駄足なんだけどカークスが気になってたのってティアが持ってた杖なんじゃない?」
ビクリとカークスの肩が動く、間違いないみたいだ。
「どうしてそう思う?」
「この前の討伐依頼の帰りにティアが言ってた。カークスが強く当たるのは最初の合同討伐の時だって。でも、思い出してみても行きにはそんな感じではなかった。じゃあ帰りかなと思って思い返すと、戦闘後にみんなを見まわした後だったなってね。ひょっとしたらって思ってね、僕も杖の紋章は気になってたから」
「確かにその通りだが、よくそんなことを覚えていたな。半年前の些細な出来事なのに」
「そうでもしないと情報屋はやってけないからね。彼らは同じことを聞きなおすときでさえ報酬を求めるからね。それでそもそもあの杖は何なのかと彼女の生家を調べてみたんだ」
「結果は?」
「あの杖は元々宮廷魔術師用の支給杖だった。しかもあのモデルは今より治安の悪い時代のモデルで、実用性に特化していて唯一の飾りが宮廷所属を示す紋章だった。ただあの杖自体が古いもののようで、現在の紋章とは意匠が異なっていたためすぐにはわからなかったんだ」
「そんな高級かつ希少なものをなぜ彼女が?」
「そう思って僕も調べたよ。宮廷所属の紋章の入ったものはおいそれと持っていることを許されない。あの杖も本人及び本人が実力と人格を認めたもののみに譲ることを許されるものだったよ。あの杖の持ち主は彼女の祖母だった。長期の在任ではなかったけど、情報通のおばばに聞いたら当時はかなりの実力者だったらしい。若くして師団長になるとも目されていたけれど、数年で退任。退任までの数年間の働きを認めて杖に関してはそのまま所持を許可されたって」
「そういういきさつだったのか…」
「どう満足した?」
「ああ。しかし、彼女には申し訳ないな。つまらない誤解をしていたようだ」
「ホントだよ。理由まではとやかく言わないけど、機会があったらちゃんと謝りなよ」
「そうする。しかし、お前にしては本当に珍しく踏み込んで調べたな」
「まあね。カークスがそこまで感情的になるのも気になったし、彼女は妹みたいな存在だからね」
「エミリーのことか?まあわからないではないな」
「エミリーじゃなくてティアだよ。」
「ティアが?」
「しっかりしているし、実力もあるけどね。僕からしたら背伸びしている妹みたいなものさ。多くを見てるから無茶しそうで心配だよ。きっとティアのお兄さんも同意してくれるよ」
「あったこともないのに無責任なことを…。」
「気にしてあげてね。ティアはすぐに背負おうとする。エミリーのこともそうだし今回の討伐依頼のこともね」
「今回の依頼の事か?確かにやけに乗り気だったが…」
「あれは乗り気なんかじゃなくて、申し訳ないと思ってるんだよ」
「何にだ?」
「2人が入った一瞬だけDランク依頼でもギルドの確認が入ったことがあったでしょ。あの時の事、まだずっと気になってるんだよ」
あれは半年前に加入に合意して正式に5人パーティーになった時、ギルドでいざ依頼を受けるときに言われたのだ。
「新規加入2名のランクが低い為、今回の依頼に関してはギルドの方より詳細な行動計画の提示を求めます」
「しかし、依頼の内容としてもDランク全般への依頼で問題ないはずだが?」
「冒険者養成学校出身者の加入後の傷病率が大きい為、今後4度の依頼の間は必要というギルドの判断です」
「分かった。書類は都度まとめて提出する。」
その後、4つの依頼をこなす間は依頼の受注から行動計画書の提出とかなり手間がかかった。実力不足の身の安全を図るためとはいえ大仰なことだとも思う。都度ティアもエミリーも謝っていたが、二人に落ち度はないし実力的に言えば2人より下の者はもっと大勢いる。だが、ティアはよほど気にしていたようで行動計画のうち3つは彼女が受注後すぐに作成したものだ。
「今回の依頼が完了したら間違いなくCランクだからね。あんなことはもうなくなる。そう思って自然と力が入ったんだろう。フォルトも事前の話と違うこと以上に気にしていたみたいだ」
「そうだったのか。俺はもっと気を付けなくてはな。2人にそういうところは頼ってばかりだ」
「ははっ、そこは任せてもらわないと。人の心の機敏に疎いカークスじゃないとお小遣いの当てがなくなるよ」
おどけていって立ち上がった。明日は本番になるかもしれない。前衛の二人は大いに危険だし、ティアは魔法を使う。僕は後方で索敵と気を引くぐらいしか出番はないだろうからせめてみんなの負担にならないようにしないと。そう思って寝に戻る。
「今日はすまなかったなキルド」
「そう思ったなら帰ったときに1軒支払い持ってよ。いい店紹介してもらったから」
「わかったよ」
それっきり会話をせずテントに戻り僕は眠った。さあ、明日はどうなることかな。
0
お気に入りに追加
102
あなたにおすすめの小説
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)
いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。
---------
掲載は不定期になります。
追記
「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。
お知らせ
カクヨム様でも掲載中です。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
不貞の子を身籠ったと夫に追い出されました。生まれた子供は『精霊のいとし子』のようです。
桧山 紗綺
恋愛
【完結】嫁いで5年。子供を身籠ったら追い出されました。不貞なんてしていないと言っても聞く耳をもちません。生まれた子は間違いなく夫の子です。夫の子……ですが。 私、離婚された方が良いのではないでしょうか。
戻ってきた実家で子供たちと幸せに暮らしていきます。
『精霊のいとし子』と呼ばれる存在を授かった主人公の、可愛い子供たちとの暮らしと新しい恋とか愛とかのお話です。
※※番外編も完結しました。番外編は色々な視点で書いてます。
時系列も結構バラバラに本編の間の話や本編後の色々な出来事を書きました。
一通り主人公の周りの視点で書けたかな、と。
番外編の方が本編よりも長いです。
気がついたら10万文字を超えていました。
随分と長くなりましたが、お付き合いくださってありがとうございました!
捨てられた転生幼女は無自重無双する
紅 蓮也
ファンタジー
スクラルド王国の筆頭公爵家の次女として生を受けた三歳になるアイリス・フォン・アリステラは、次期当主である年の離れた兄以外の家族と兄がつけたアイリスの専属メイドとアイリスに拾われ恩義のある専属騎士以外の使用人から疎まれていた。
アイリスを疎ましく思っている者たちや一部の者以外は知らないがアイリスは転生者でもあった。
ある日、寝ているとアイリスの部屋に誰かが入ってきて、アイリスは連れ去られた。
アイリスは、肌寒さを感じ目を覚ますと近くにその場から去ろうとしている人の声が聞こえた。
去ろうとしている人物は父と母だった。
ここで声を出し、起きていることがバレると最悪、殺されてしまう可能性があるので、寝たふりをして二人が去るのを待っていたが、そのまま本当に寝てしまい二人が去った後に近づいて来た者に気づくことが出来ず、また何処かに連れていかれた。
朝になり起こしに来た専属メイドが、アイリスがいない事を当主に報告し、疎ましく思っていたくせに当主と夫人は騒ぎたて、当主はアイリスを探そうともせずに、その場でアイリスが誘拐された責任として、専属メイドと専属騎士にクビを言い渡した。
クビを言い渡された専属メイドと専属騎士は、何も言わず食堂を出て行き身支度をして、公爵家から出ていった。
しばらく歩いていると、次期当主であるカイルが後を追ってきて、カイルの腕にはいなくなったはずのアイリスが抱かれていた。
アイリスの無事に安心した二人は、カイルの話を聞き、三人は王城に向かった。
王城で、カイルから話を聞いた国王から広大なアイリス公爵家の領地の端にあり、昔の公爵家本邸があった場所の管理と魔の森の開拓をカイルは、国王から命られる。
アイリスは、公爵家の目がなくなったので、無自重でチートし続け管理と開拓を命じられた兄カイルに協力し、辺境の村々の発展や魔の森の開拓をしていった。
※諸事情によりしばらく連載休止致します。
※小説家になろう様、カクヨム様でも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる