2 / 25
2
しおりを挟む
ローラント前侯爵夫妻が来られるなら、急いでドレスの支度をしないといけない。幸いにしてまだ着ていないドレスもあるし、どんな衣装にするか今から考えねば。
「テレサっ!」
「はい」
「衣装を今から考えるわよ。決まるまで食事も睡眠もなしよ!」
「そんな……横暴です」
「ローラント家に行けるかどうかなのよ、当り前じゃない! バカなのあんたっ!」
未使用ドレスを何着か持って来させ、宝石類も出してくる。
「う~ん、流石にフィスト様の瞳の色はやり過ぎね。淡い青を髪飾りかドレスのアクセントにして、ネックレスか指輪でアピールね。後はどうしてこんなうちに来るかよね。テレサ、聞いてないの?」
「私にはさっぱりです。後妻のケイト様が入られたから挨拶でしょうか?」
「なら普通当主が来るんじゃない?……でも、フィスト様は今は見回りで警備に出ているって夜会で言われてたわね。ならそれもありか……」
なんにせよ、これまでの人生の中でも大チャンスであることは確実だ。
「あ~あ、お兄様は良いわよね。実子だろうがそうでなかろうが、後ろに侯爵家の跡継ぎがついてくるから、程々に頑張れば婚約者は簡単に見つかるもの。私なんて、嫁ぐ方だからいつ実子でないと判明して援助も後ろ盾も打ちきり、なんて噂されてどこも相手してくれないし……」
「そうですね。学園での学力も魔力も人並み以上でしたのに、縁遠くなられるとは」
「そうよテレサ! あの頃の私はバカだったわ。頑張ればいい縁談が来ると信じてたのよ。そんなことありえないってのに。昔の私を殴りに行ってやりたいわ!」
シュッシュッ
私はドレス姿のまま、コンビネーションを繰り出して目の前に浮かぶ昔の自分を倒した。
「はしたないですよ、お嬢様。衣装はこれでよろしいですね?」
「ええ、しかし本当に惜しいことをしたわね。あの伯爵家には土地なしとはいえ、男爵家の位が余ってたから一つ貰おうと思っていたのに」
領地なしの爵位は国から各領主に少しだけもらえる。もちろん男爵家にはないけど。任命すればちょっとだけ、国からお金ももらえる。ただ、あまり簡単に与えると家の乗っ取りの危険性もあるし、大抵は子供用に取っておくんだよね。長男に何かあって次男が急な後継者になる際、平民落ちしてたら体裁悪いからね。
「男爵の爵位などどうするのです?」
「へ? テレサにあげるんだけど」
「わ、私にですか?」
「仮にも侯爵家から嫁ぐのよ。私の世話をするメイドが爵位の一つも持っていないなんておかしいわ! そ・れ・に! それを機に伯爵家の爵位を嫁の私が動かせるって実績を作って、わがまま三昧するつもりだったのに……」
「はぁ、向こうにとっては最善の結果だったのかもしれませんね」
「何言ってんの? テレサだって爵位の一つや二つあった方がいいでしょ?」
「土地のない男爵家なんて税金でトントンですよ。夜会に誘われる可能性も考えたらいりません」
「でも、いい男が捕まるわよ?」
「お嬢様を見る限り、いい男の条件があまりにもろくでもないので……」
「何でよ! 金持ちで気弱で爵位は伯爵以上だけよ。しかも、この中のニつでいいんだから私は優しい方よ」
「世の令嬢は強欲なのですね……」
「そうよ。ケイトだって子爵家の次女よ。それが侯爵家で後十年したら女盛りでついでに侯爵様が死ねば、若い男とやりたい放題よ!」
「それはお嬢様の願望では?」
「何言ってんのよ。ラインフォード夫人がこの前言ってたわ。とってもかわいいけど子供を産むのは痛いんですって。そんなの嫌よ!」
「でも、伯爵家に嫁ぐおつもりでしたけど……」
「あそこ弟居たでしょ? そいつから養子を貰えばいいのよ」
「そんな、物みたいに」
「いいでしょ別に。そいつだって自分の子が次期領主になるのよ。絶対ラッキーって思うわ」
「そんなにうまく行ったでしょうか?」
「行くんじゃないの、行かせるのよ! それだけ決めれば後は何もしないハッピーライフだったのに……。あ~あ、早く明後日にならないかしら」
待ってました明後日! とうとう今日は前侯爵夫妻が来られる日。手入れよし、服装よし、笑顔よし!
「来たら知らせて頂戴。奥で休んでるから」
「はい」
使用人と別れ、部屋の椅子でくつろぐ。
「あ‘‘あ‘‘~、髪決めちゃうとだらけられないのが不便だわ~」
暇なので周辺の最近の政治情勢などが載っている本を読む。月に一回発行される小冊子だ。暇つぶしに読み始めたけど、結構時間がつぶせるので、いまや愛読書になっている。
「いやぁ、やっぱりこういう本はいいわ。文字は少ないけど考えることが多くて結構時間つぶせるし……。大体、昼頃って言ったって十時だってまあ昼だし、十三時でも昼なんだよね。この時間って決めてくれたらな」
「お嬢様言葉遣い」
「テレサうるさい。どうしたのよ、入らないように言いつけてたけど……」
「来られました。ちなみにもう十二時前ですよ」
「へ?」
本を読むのに夢中でかなりの時間が過ぎてたらしい。
「じゃあ、行くわよ!」
決戦のフィールドへ!
「ようこそいらっしゃいました、グランツ前侯爵・カーラ前侯爵夫人。ご無沙汰しております」
侯爵様に続いて私も挨拶をする。
「ようこそいらっしゃいました。イリスと申します。侯爵様ともどもご歓迎いたします、前侯爵夫妻様方」
ひらりとスカートの裾をつまみきれいに挨拶をする。昨日の練習の成果だ。
「これはお二人ともご丁寧に。私たちのような引退した身にもこのような待遇をしていただき……」
「いえいえ、私との仲でございましょう。さあ、こちらへどうぞ」
客間に通して、お互いに着席する。それにしても今日は何の用だろう?
「そういえば、侯爵様は後妻を迎えられたとか? 社交界でも噂のようですな。私たちは人づてに聞いただけですが」
「ああ、まあ……」
「今日も奥様はいらっしゃるのですか?」
「いるにはいるのですが、子爵の出であればまだまだグランツ様やカーラ様にお会いさせるほどでは……」
「私たちは一線を引いた身です。そのようなお気遣いは無用です。お会いしても?」
ここまでいったら侯爵様も断れないだろう。ケイトがどれぐらいできるか知らないけど、まあ見てあげようじゃないの!
「分かりました。ケイトを呼んできてくれ」
「畏まりました」
「あ、あの、新しくこの家に来ました、ケイト=レイバンです。よろしくお願いいたします」
「ほう、噂通り可憐な方だ。侯爵様はどちらで出会いになられたのか?」
「王都でのパーティーで紹介されまして。ぜひにと先方から」
そりゃこっちから話は持ちかけないでしょうよ。そうだったら私は怒りのあまり財産持ち逃げしたわよ。まあ、話を受けたのも気にくわないけど。
「ご家族の方は心配なさいませんでしたか?」
「は、はい。父も母も侯爵様の眼に留まったのだから頑張るようにと……」
「なるほど、さすが侯爵様ですな。相変わらずの人柄だ」
「まあ、私ならば当然ですよ」
何を自慢してんだ!
「そういえば少々気になっていたのですが、そちらのお嬢様は前妻とのお嬢様ですな。家督はどちらが継がれるのですか?」
「御冗談を。家はすでに息子が継いでおりますよ。後は名義のみです。イリスはこの年になっても自由を謳歌しておりましてな、先日もようやくの婚約をふいにしてしまって困っているのです」
メキッ
あっ、ついお気に入りの扇子が。お前のせいなんだよ主に!
「……そうですか。うちの息子もまだまだ迎える気がないとごねておりまして、そろそろこちらで無理やりにでも結ばせてしまおうかと悩んでいるのです」
「フィスト侯爵殿ですな。彼も今や二十四歳でしたかな? あの年ならまだまだと思うのも致し方ないですよ。現に私も……」
「んんっ!」
いらないこと言わなくていいから。ケイトが変に聞きたがってるでしょ。今日明日に出て行かれたら、やり捨て侯爵のあだ名が新しく生まれるわよ。
「だが、わが家の後を継ぐのがあの調子では不安もありましてな。こうやって旅を楽しみながらも、何かいい縁談が無いかと捜しているのです」
「それならば、難しいとは思いますがイリスはどうでしょう。一応侯爵家としてマナーなどは出来ますし」
一応って何? 私、割とマナーはいいわよ。いい男をゲットするのに必要な技能だからね。
「レイバン侯爵様がそう言われるのでしたら……」
何という事でしょう。フィスト侯爵に姿絵を見てもらえるようになったわ。これで話が流れたら、絵師を変えましょう。私は悪くないんだから。
「テレサっ!」
「はい」
「衣装を今から考えるわよ。決まるまで食事も睡眠もなしよ!」
「そんな……横暴です」
「ローラント家に行けるかどうかなのよ、当り前じゃない! バカなのあんたっ!」
未使用ドレスを何着か持って来させ、宝石類も出してくる。
「う~ん、流石にフィスト様の瞳の色はやり過ぎね。淡い青を髪飾りかドレスのアクセントにして、ネックレスか指輪でアピールね。後はどうしてこんなうちに来るかよね。テレサ、聞いてないの?」
「私にはさっぱりです。後妻のケイト様が入られたから挨拶でしょうか?」
「なら普通当主が来るんじゃない?……でも、フィスト様は今は見回りで警備に出ているって夜会で言われてたわね。ならそれもありか……」
なんにせよ、これまでの人生の中でも大チャンスであることは確実だ。
「あ~あ、お兄様は良いわよね。実子だろうがそうでなかろうが、後ろに侯爵家の跡継ぎがついてくるから、程々に頑張れば婚約者は簡単に見つかるもの。私なんて、嫁ぐ方だからいつ実子でないと判明して援助も後ろ盾も打ちきり、なんて噂されてどこも相手してくれないし……」
「そうですね。学園での学力も魔力も人並み以上でしたのに、縁遠くなられるとは」
「そうよテレサ! あの頃の私はバカだったわ。頑張ればいい縁談が来ると信じてたのよ。そんなことありえないってのに。昔の私を殴りに行ってやりたいわ!」
シュッシュッ
私はドレス姿のまま、コンビネーションを繰り出して目の前に浮かぶ昔の自分を倒した。
「はしたないですよ、お嬢様。衣装はこれでよろしいですね?」
「ええ、しかし本当に惜しいことをしたわね。あの伯爵家には土地なしとはいえ、男爵家の位が余ってたから一つ貰おうと思っていたのに」
領地なしの爵位は国から各領主に少しだけもらえる。もちろん男爵家にはないけど。任命すればちょっとだけ、国からお金ももらえる。ただ、あまり簡単に与えると家の乗っ取りの危険性もあるし、大抵は子供用に取っておくんだよね。長男に何かあって次男が急な後継者になる際、平民落ちしてたら体裁悪いからね。
「男爵の爵位などどうするのです?」
「へ? テレサにあげるんだけど」
「わ、私にですか?」
「仮にも侯爵家から嫁ぐのよ。私の世話をするメイドが爵位の一つも持っていないなんておかしいわ! そ・れ・に! それを機に伯爵家の爵位を嫁の私が動かせるって実績を作って、わがまま三昧するつもりだったのに……」
「はぁ、向こうにとっては最善の結果だったのかもしれませんね」
「何言ってんの? テレサだって爵位の一つや二つあった方がいいでしょ?」
「土地のない男爵家なんて税金でトントンですよ。夜会に誘われる可能性も考えたらいりません」
「でも、いい男が捕まるわよ?」
「お嬢様を見る限り、いい男の条件があまりにもろくでもないので……」
「何でよ! 金持ちで気弱で爵位は伯爵以上だけよ。しかも、この中のニつでいいんだから私は優しい方よ」
「世の令嬢は強欲なのですね……」
「そうよ。ケイトだって子爵家の次女よ。それが侯爵家で後十年したら女盛りでついでに侯爵様が死ねば、若い男とやりたい放題よ!」
「それはお嬢様の願望では?」
「何言ってんのよ。ラインフォード夫人がこの前言ってたわ。とってもかわいいけど子供を産むのは痛いんですって。そんなの嫌よ!」
「でも、伯爵家に嫁ぐおつもりでしたけど……」
「あそこ弟居たでしょ? そいつから養子を貰えばいいのよ」
「そんな、物みたいに」
「いいでしょ別に。そいつだって自分の子が次期領主になるのよ。絶対ラッキーって思うわ」
「そんなにうまく行ったでしょうか?」
「行くんじゃないの、行かせるのよ! それだけ決めれば後は何もしないハッピーライフだったのに……。あ~あ、早く明後日にならないかしら」
待ってました明後日! とうとう今日は前侯爵夫妻が来られる日。手入れよし、服装よし、笑顔よし!
「来たら知らせて頂戴。奥で休んでるから」
「はい」
使用人と別れ、部屋の椅子でくつろぐ。
「あ‘‘あ‘‘~、髪決めちゃうとだらけられないのが不便だわ~」
暇なので周辺の最近の政治情勢などが載っている本を読む。月に一回発行される小冊子だ。暇つぶしに読み始めたけど、結構時間がつぶせるので、いまや愛読書になっている。
「いやぁ、やっぱりこういう本はいいわ。文字は少ないけど考えることが多くて結構時間つぶせるし……。大体、昼頃って言ったって十時だってまあ昼だし、十三時でも昼なんだよね。この時間って決めてくれたらな」
「お嬢様言葉遣い」
「テレサうるさい。どうしたのよ、入らないように言いつけてたけど……」
「来られました。ちなみにもう十二時前ですよ」
「へ?」
本を読むのに夢中でかなりの時間が過ぎてたらしい。
「じゃあ、行くわよ!」
決戦のフィールドへ!
「ようこそいらっしゃいました、グランツ前侯爵・カーラ前侯爵夫人。ご無沙汰しております」
侯爵様に続いて私も挨拶をする。
「ようこそいらっしゃいました。イリスと申します。侯爵様ともどもご歓迎いたします、前侯爵夫妻様方」
ひらりとスカートの裾をつまみきれいに挨拶をする。昨日の練習の成果だ。
「これはお二人ともご丁寧に。私たちのような引退した身にもこのような待遇をしていただき……」
「いえいえ、私との仲でございましょう。さあ、こちらへどうぞ」
客間に通して、お互いに着席する。それにしても今日は何の用だろう?
「そういえば、侯爵様は後妻を迎えられたとか? 社交界でも噂のようですな。私たちは人づてに聞いただけですが」
「ああ、まあ……」
「今日も奥様はいらっしゃるのですか?」
「いるにはいるのですが、子爵の出であればまだまだグランツ様やカーラ様にお会いさせるほどでは……」
「私たちは一線を引いた身です。そのようなお気遣いは無用です。お会いしても?」
ここまでいったら侯爵様も断れないだろう。ケイトがどれぐらいできるか知らないけど、まあ見てあげようじゃないの!
「分かりました。ケイトを呼んできてくれ」
「畏まりました」
「あ、あの、新しくこの家に来ました、ケイト=レイバンです。よろしくお願いいたします」
「ほう、噂通り可憐な方だ。侯爵様はどちらで出会いになられたのか?」
「王都でのパーティーで紹介されまして。ぜひにと先方から」
そりゃこっちから話は持ちかけないでしょうよ。そうだったら私は怒りのあまり財産持ち逃げしたわよ。まあ、話を受けたのも気にくわないけど。
「ご家族の方は心配なさいませんでしたか?」
「は、はい。父も母も侯爵様の眼に留まったのだから頑張るようにと……」
「なるほど、さすが侯爵様ですな。相変わらずの人柄だ」
「まあ、私ならば当然ですよ」
何を自慢してんだ!
「そういえば少々気になっていたのですが、そちらのお嬢様は前妻とのお嬢様ですな。家督はどちらが継がれるのですか?」
「御冗談を。家はすでに息子が継いでおりますよ。後は名義のみです。イリスはこの年になっても自由を謳歌しておりましてな、先日もようやくの婚約をふいにしてしまって困っているのです」
メキッ
あっ、ついお気に入りの扇子が。お前のせいなんだよ主に!
「……そうですか。うちの息子もまだまだ迎える気がないとごねておりまして、そろそろこちらで無理やりにでも結ばせてしまおうかと悩んでいるのです」
「フィスト侯爵殿ですな。彼も今や二十四歳でしたかな? あの年ならまだまだと思うのも致し方ないですよ。現に私も……」
「んんっ!」
いらないこと言わなくていいから。ケイトが変に聞きたがってるでしょ。今日明日に出て行かれたら、やり捨て侯爵のあだ名が新しく生まれるわよ。
「だが、わが家の後を継ぐのがあの調子では不安もありましてな。こうやって旅を楽しみながらも、何かいい縁談が無いかと捜しているのです」
「それならば、難しいとは思いますがイリスはどうでしょう。一応侯爵家としてマナーなどは出来ますし」
一応って何? 私、割とマナーはいいわよ。いい男をゲットするのに必要な技能だからね。
「レイバン侯爵様がそう言われるのでしたら……」
何という事でしょう。フィスト侯爵に姿絵を見てもらえるようになったわ。これで話が流れたら、絵師を変えましょう。私は悪くないんだから。
118
お気に入りに追加
655
あなたにおすすめの小説
皆さん勘違いなさっているようですが、この家の当主はわたしです。
和泉 凪紗
恋愛
侯爵家の後継者であるリアーネは父親に呼びされる。
「次期当主はエリザベスにしようと思う」
父親は腹違いの姉であるエリザベスを次期当主に指名してきた。理由はリアーネの婚約者であるリンハルトがエリザベスと結婚するから。
リンハルトは侯爵家に婿に入ることになっていた。
「エリザベスとリンハルト殿が一緒になりたいそうだ。エリザベスはちょうど適齢期だし、二人が思い合っているなら結婚させたい。急に婚約者がいなくなってリアーネも不安だろうが、適齢期までまだ時間はある。お前にふさわしい結婚相手を見つけるから安心しなさい。エリザベスの結婚が決まったのだ。こんなにめでたいことはないだろう?」
破談になってめでたいことなんてないと思いますけど?
婚約破棄になるのは構いませんが、この家を渡すつもりはありません。
悪役令嬢は死んでも治らない?! やり直しの機会を得た悪役令嬢はそれでも変わる気なし! しかもみんななぜか勘違いしてくれてチョロイw
高岩唯丑
恋愛
ヴィオラ・グリムは贅沢三昧わがまま三昧をする、貴族令嬢だった。そして、領主の座を受け継いだ後は、さらにひどくなり、財政が傾いてもなお領民に重税を課してつなぎとめ、生活を変えようとはしなかった。
そしてついに、我慢できなくなった領民が、グリム家の遠縁であるオースティに頼り、革命が起こってしまう。これまで周りの人間を愚物と見下し、人を大事にしてこなかったヴィオラは、抵抗しようにも共に戦ってくれる者がおらず、捕まってしまい処刑されてしまうのだった。
処刑されたはずだった。しかしヴィオラが目を覚ますと、過去に戻ってきていた。そして、懲りずに贅沢をする日々。しかし、ふと処刑された時の事を思い出し、このままではまた処刑されてしまうと気づく。
考え抜いたヴィオラは、やはり贅沢はやめられないし、変わるのも嫌だった。残された手段はいくら贅沢をしても傾かない盤石な領地作りだけだった。
ヴィオラが最初に手を付けたのは社会階級の固定の撤廃だった。領地に限らず、この国ではいくら頑張っても庶民は庶民のままだ。それを撤廃すれば、領民を味方にできると考えた。
その手始めとして、スラム街の適当な人間を近衛の騎士にしてそれを証明とし、領民に公約をしようと考え、スラム街へと向かうのだった。
アリシアの恋は終わったのです【完結】
ことりちゃん
恋愛
昼休みの廊下で、アリシアはずっとずっと大好きだったマークから、いきなり頬を引っ叩かれた。
その瞬間、アリシアの恋は終わりを迎えた。
そこから長年の虚しい片想いに別れを告げ、新しい道へと歩き出すアリシア。
反対に、後になってアリシアの想いに触れ、遅すぎる行動に出るマーク。
案外吹っ切れて楽しく過ごす女子と、どうしようもなく後悔する残念な男子のお話です。
ーーーーー
12話で完結します。
よろしくお願いします(´∀`)
【完結】私はいてもいなくても同じなのですね ~三人姉妹の中でハズレの私~
紺青
恋愛
マルティナはスコールズ伯爵家の三姉妹の中でハズレの存在だ。才媛で美人な姉と愛嬌があり可愛い妹に挟まれた地味で不器用な次女として、家族の世話やフォローに振り回される生活を送っている。そんな自分を諦めて受け入れているマルティナの前に、マルティナの思い込みや常識を覆す存在が現れて―――家族にめぐまれなかったマルティナが、強引だけど優しいブラッドリーと出会って、少しずつ成長し、別離を経て、再生していく物語。
※三章まで上げて落とされる鬱展開続きます。
※因果応報はありますが、痛快爽快なざまぁはありません。
※なろうにも掲載しています。
【完結】野蛮な辺境の令嬢ですので。
❄️冬は つとめて
恋愛
その日は国王主催の舞踏会で、アルテミスは兄のエスコートで会場入りをした。兄が離れたその隙に、とんでもない事が起こるとは彼女は思いもよらなかった。
それは、婚約破棄&女の戦い?
さよなら、皆さん。今宵、私はここを出ていきます
結城芙由奈
恋愛
【復讐の為、今夜私は偽の家族と婚約者に別れを告げる―】
私は伯爵令嬢フィーネ・アドラー。優しい両親と18歳になったら結婚する予定の婚約者がいた。しかし、幸せな生活は両親の突然の死により、もろくも崩れ去る。私の後見人になると言って城に上がり込んできた叔父夫婦とその娘。私は彼らによって全てを奪われてしまった。愛する婚約者までも。
もうこれ以上は限界だった。復讐する為、私は今夜皆に別れを告げる決意をした―。
※マークは残酷シーン有り
※(他サイトでも投稿中)
私が妻です!
ミカン♬
恋愛
幼い頃のトラウマで男性が怖いエルシーは夫のヴァルと結婚して2年、まだ本当の夫婦には成っていない。
王都で一人暮らす夫から連絡が途絶えて2か月、エルシーは弟のような護衛レノを連れて夫の家に向かうと、愛人と赤子と暮らしていた。失意のエルシーを狙う従兄妹のオリバーに王都でも襲われる。その時に助けてくれた侯爵夫人にお世話になってエルシーは生まれ変わろうと決心する。
侯爵家に離婚届けにサインを求めて夫がやってきた。
そこに王宮騎士団の副団長エイダンが追いかけてきて、夫の様子がおかしくなるのだった。
世界観など全てフワっと設定です。サクっと終わります。
5/23 完結に状況の説明を書き足しました。申し訳ありません。
★★★なろう様では最後に閑話をいれています。
脱字報告、応援して下さった皆様本当に有難うございました。
他のサイトにも投稿しています。
素直になるのが遅すぎた
gacchi
恋愛
王女はいらだっていた。幼馴染の公爵令息シャルルに。婚約者の子爵令嬢ローズマリーを侮辱し続けておきながら、実は大好きだとぬかす大馬鹿に。いい加減にしないと後悔するわよ、そう何度言っただろう。その忠告を聞かなかったことで、シャルルは後悔し続けることになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる