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召喚編
21話 同じに見えて違うもの1
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俺たちが陣に戻ると丁度他の小隊も戻ってきているところだった。エコダがどんどん魔物を倒すので結構遠くまで先に行っていると思っていたんだが。ソーンさんがそれを見越して早めに戻ったのかもしれないな。陣の中を見ますと神宮司が石に腰かけて休んでいた。
「よう壮太。そっちはどうだった」
「翔か。鎧さんと一緒だったんだが彼女凄いぞ。最初に魔物と合った時一瞬で近づいたかと思ったらそのまま投げて地面に叩きつけてた。小隊長さんが止める暇もないほどの早業だったよ」
「……聞きしに勝る勇猛さだな」
「ああ。そんな彼女でも報恩寺には敵わないらしいがな。翔のほうはどんな感じだ?」
「エコダの魔術の威力を見れたよ。あれは凄いな。複数の魔物と会っても一瞬で殲滅してた」
「それは凄いな。俺の光魔術は多数よりも一対一に向いてる術が多いからな。きっとできないだろう」
光魔法は魔王を倒した勇者が使っていただけあり強力な一個体向けの魔術なのかもしれない。最もあくまで魔術なので前衛は必要だろうが。
「後半も別の班だが頑張ろう」
「おう」
拳をぶつけあうと神宮司と別れ俺は集合場所に向かった。
「では出発しましょう。みなさん前半で魔物と戦い慣れてきたかもしれませんが油断はしないでください。慣れてきた時が一番危ないですから。特にヨロイ殿絶対に私の指示に逆らわないでください」
「わかりました」
「はーい」
後半のメンバーは黛玲、横山哲也、鎧吟子、生田圭、そして俺だった。釘を刺された鎧は不満そうな顔をしていたが俺たちを率いるのが第1騎士団の隊長であるライルさんだったからか、それとも前半でよっぽど絞られたのか表立っては反抗しなかった。
「そういえばライルさんは第1騎士団の隊長だとお聞きしたんですが近衛隊とはどう違うんですか?」
「近衛隊は主に王族の護衛を任務としています。言わば王族の私兵ですね。そして騎士団ですがこれは主に天領の犯罪の取り締まりや外敵からの防衛を担っています。任務地域が広いため隊員は広く募っており貴族はもちろん平民も所属しています。同じ兵士でも近衛隊と騎士団では業務などは大きく変わります」
「そうだったんですか。じゃあ僕たちが近衛隊の人に守ってもらえたのは王族と同じくらい大切に扱ってもらっているからだったんですね」
「……はい。陛下はそれだけ勇者殿たちのことを考えておられます」
無邪気に笑う横山に比べてライルさんの返事は一瞬歯切れが悪かった。なんとなくひっかかる。俺はライルさんに聞こえないように声を小さくして生田に話しかけた。
「なあ生田。近衛の人たちが俺たちについていたのって見せつけるの意味もあったのかもな」
「恐らくね。この国は王族と貴族が常にシーソーゲームをしている状態らしい。僕たち勇者を20人も呼びおまけにそのうち1人は先代勇者と恐らく同じギフト持ち。そんな勇者を王族は近衛隊を使うほど重要視していると内外にアピールしているんだろう」
「じゃあ今回俺たちの護衛が騎士団なのは?」
「そこまではわからないけどバランスを取るため、とかじゃないかな。王族は勇者を20人呼びおまけに良好な関係を築いた。魔王復活が近い状況でこれはかなり大きな功績だろう。シーソーが自分側に大きく傾いたから今度はおこぼれをもらいたくて近寄ってきた貴族に与えているんじゃないかな。実際ライルさんも貴族だしね。」
「なるほど」
生田は口はキツイがこう見えて教えるのが得意だ。試験前に助けられた奴も多い。こう言い方はあれかもしれないが神宮司みたいな天才タイプではなく秀才タイプなのでわからない人間はどこが分からないのか知っているのかもしれない。最も自分で何も調べずに聞いたりすると毒舌を浴びる羽目になるのだが。
「よう壮太。そっちはどうだった」
「翔か。鎧さんと一緒だったんだが彼女凄いぞ。最初に魔物と合った時一瞬で近づいたかと思ったらそのまま投げて地面に叩きつけてた。小隊長さんが止める暇もないほどの早業だったよ」
「……聞きしに勝る勇猛さだな」
「ああ。そんな彼女でも報恩寺には敵わないらしいがな。翔のほうはどんな感じだ?」
「エコダの魔術の威力を見れたよ。あれは凄いな。複数の魔物と会っても一瞬で殲滅してた」
「それは凄いな。俺の光魔術は多数よりも一対一に向いてる術が多いからな。きっとできないだろう」
光魔法は魔王を倒した勇者が使っていただけあり強力な一個体向けの魔術なのかもしれない。最もあくまで魔術なので前衛は必要だろうが。
「後半も別の班だが頑張ろう」
「おう」
拳をぶつけあうと神宮司と別れ俺は集合場所に向かった。
「では出発しましょう。みなさん前半で魔物と戦い慣れてきたかもしれませんが油断はしないでください。慣れてきた時が一番危ないですから。特にヨロイ殿絶対に私の指示に逆らわないでください」
「わかりました」
「はーい」
後半のメンバーは黛玲、横山哲也、鎧吟子、生田圭、そして俺だった。釘を刺された鎧は不満そうな顔をしていたが俺たちを率いるのが第1騎士団の隊長であるライルさんだったからか、それとも前半でよっぽど絞られたのか表立っては反抗しなかった。
「そういえばライルさんは第1騎士団の隊長だとお聞きしたんですが近衛隊とはどう違うんですか?」
「近衛隊は主に王族の護衛を任務としています。言わば王族の私兵ですね。そして騎士団ですがこれは主に天領の犯罪の取り締まりや外敵からの防衛を担っています。任務地域が広いため隊員は広く募っており貴族はもちろん平民も所属しています。同じ兵士でも近衛隊と騎士団では業務などは大きく変わります」
「そうだったんですか。じゃあ僕たちが近衛隊の人に守ってもらえたのは王族と同じくらい大切に扱ってもらっているからだったんですね」
「……はい。陛下はそれだけ勇者殿たちのことを考えておられます」
無邪気に笑う横山に比べてライルさんの返事は一瞬歯切れが悪かった。なんとなくひっかかる。俺はライルさんに聞こえないように声を小さくして生田に話しかけた。
「なあ生田。近衛の人たちが俺たちについていたのって見せつけるの意味もあったのかもな」
「恐らくね。この国は王族と貴族が常にシーソーゲームをしている状態らしい。僕たち勇者を20人も呼びおまけにそのうち1人は先代勇者と恐らく同じギフト持ち。そんな勇者を王族は近衛隊を使うほど重要視していると内外にアピールしているんだろう」
「じゃあ今回俺たちの護衛が騎士団なのは?」
「そこまではわからないけどバランスを取るため、とかじゃないかな。王族は勇者を20人呼びおまけに良好な関係を築いた。魔王復活が近い状況でこれはかなり大きな功績だろう。シーソーが自分側に大きく傾いたから今度はおこぼれをもらいたくて近寄ってきた貴族に与えているんじゃないかな。実際ライルさんも貴族だしね。」
「なるほど」
生田は口はキツイがこう見えて教えるのが得意だ。試験前に助けられた奴も多い。こう言い方はあれかもしれないが神宮司みたいな天才タイプではなく秀才タイプなのでわからない人間はどこが分からないのか知っているのかもしれない。最も自分で何も調べずに聞いたりすると毒舌を浴びる羽目になるのだが。
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