上 下
5 / 26
召喚編

5話 この世界の主人公

しおりを挟む
「エコダ殿のギフトは上級魔術ですね。魔術は水風炎土の基本四属性に加えて光闇の6属性あります。上級魔術は基本四属性全てを上級まで扱うことが可能です。王国の宮廷魔術師でも持っている者は少ない強力なギフトです。カトウ殿の守護者は盾などの防具の扱いがうまくなりまた味方の傷を肩代わりできるギフトです。おそらく加藤殿の仲間を想う気持ちがあってこそ授かったスキルでしょう」


 マリウスさんが○○に役立つから頑張ってほしいや、こんな素晴らしい人格だからこのギフトを神が授けたなどと1人1人褒めながらギフトを確認していく。そしてそれを横で羽ペンを持っている男が手元の紙にメモをしていいる。

 すでに自分のギフトを確認したものは興奮気味に周囲の確認済みの人間と話し、まだの奴はそれをうらやましそうに見るというのが広間のそこかしこで確認できた。


「サトウ殿のギフトはアオキ殿と同じ治癒術ですね。一度の召喚で同じギフトを授かるのは珍しいのですが治癒術の使い手は常に不足しております。佐藤殿のおかげで救われる命がまた一つ増えます。では次の方どうぞ」

「神宮司と言います。お願いします」


 神宮司の番になると先ほどまで騒いでいた全員が静かになる。それも当然だろう。地球にいた時からリーダーとして俺たちを仕切っていた神宮司が一体どんなギフトを授かるのか。さぞや強力なものになるだろうとみんなが自然と考えていた。普通ならそれは大きなプレッシャーになるのだろうが一切それを感じさせないのも神宮司らしいと言える。


「ジングウジ殿のギフトは……おお!!」


 今までのクラスメイト同様に神宮司が水晶に手をかざすと明らかに他の奴らよりも強く大きく水晶が輝いた。思わず目をそらしてしまう俺だがマリウスさんの続きのセリフは当然聞こえてくる。


「最上級光魔術!! 光魔術の使い手は非常に希少なのですがその中でも最上級とは。記録によると前回魔王を討伐した勇者殿のリーダーも光魔術を使えたとか。流石ジングウジ殿です」

「すげー」

「流石神宮司だな」

「やっぱりここでもあいつが主人公か」


 主人公……誰かが言った言葉に思わず同意したくなる。容姿と頭脳と人格と三拍子そろっていた神宮司だがこれで四拍子になるわけだ。ますます遠い存在になった。そう考えずにはいられない。


「凄いね壮太! 魔術ならあんまり前で戦うこともないだろうしよかった」 

「なあなあ光魔術ってどんなことできんの? なんかやってみてくれよ」

「ワタシも早くギフト確認したいナァー。アメリカ式ならエミリーでもっと前のほうなのニ」

「落ち着けよみんな。それに隆吾、青木君の治癒術と違って危なくて試せないよ。あとで王様たちから詳しい説明があるだろうしその時にな。翔も笑ってないで言ってくれよ?」

「そうだな。下手に使ってみんなが青木や佐藤の世話になるわけにもいかないし。まあ壮太ならそんなへまはしないだろうが」


 俺の発言に確かにーといつものメンバーが頷く。神宮司ならすぐにでもギフトを使いこなせる。何故かそんな確信めいた思いを俺に限らずみんなが持っていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ダンマス(異端者)

AN@RCHY
ファンタジー
 幼女女神に召喚で呼び出されたシュウ。  元の世界に戻れないことを知って自由気ままに過ごすことを決めた。  人の作ったレールなんかのってやらねえぞ!  地球での痕跡をすべて消されて、幼女女神に召喚された風間修。そこで突然、ダンジョンマスターになって他のダンジョンマスターたちと競えと言われた。  戻りたくても戻る事の出来ない現実を受け入れ、異世界へ旅立つ。  始めこそ異世界だとワクワクしていたが、すぐに碇石からズレおかしなことを始めた。  小説になろうで『AN@CHY』名義で投稿している、同タイトルをアルファポリスにも投稿させていただきます。  向こうの小説を多少修正して投稿しています。  修正をかけながらなので更新ペースは不明です。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

食うために軍人になりました。

KBT
ファンタジー
 ヴァランタイン帝国の片田舎ダウスター領に最下階位の平民の次男として生まれたリクト。  しかし、両親は悩んだ。次男であるリクトには成人しても継ぐ土地がない。  このままではこの子の未来は暗いものになってしまうだろう。  そう思った両親は幼少の頃よりリクトにを鍛え上げる事にした。  父は家の蔵にあったボロボロの指南書を元に剣術を、母は露店に売っていた怪しげな魔導書を元に魔法を教えた。    それから10年の時が経ち、リクトは成人となる15歳を迎えた。  両親の危惧した通り、継ぐ土地のないリクトは食い扶持を稼ぐために、地元の領軍に入隊試験を受けると、両親譲りの剣術と魔法のおかげで最下階級の二等兵として無事に入隊する事ができた。  軍と言っても、のどかな田舎の軍。  リクトは退役するまで地元でのんびり過ごそうと考えていたが、入隊2日目の朝に隣領との戦争が勃発してしまう。  おまけに上官から剣の腕を妬まれて、単独任務を任されてしまった。  その任務の最中、リクトは平民に対する貴族の専横を目の当たりにする。  生まれながらの体制に甘える貴族社会に嫌気が差したリクトは軍人として出世して貴族の専横に対抗する力を得ようと立身出世の道を歩むのだった。    剣と魔法のファンタジー世界で軍人という異色作品をお楽しみください。

二度目の転生は傍若無人に~元勇者ですが二度目『も』クズ貴族に囲まれていてイラッとしたのでチート無双します~

K1-M
ファンタジー
元日本人の俺は転生勇者として異世界で魔王との戦闘の果てに仲間の裏切りにより命を落とす。 次に目を覚ますと再び赤ちゃんになり二度目の転生をしていた。 生まれた先は下級貴族の五男坊。周りは貴族至上主義、人間族至上主義のクズばかり。 …決めた。最悪、この国をぶっ壊す覚悟で元勇者の力を使おう…と。 ※『小説家になろう』様、『カクヨム』様にも掲載しています。

俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉

まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。 貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

おっさんの神器はハズレではない

兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。

処理中です...