竜王陛下の愛し子

ミヅハ

文字の大きさ
上 下
65 / 126

一緒に※

しおりを挟む
 いつもと同じ、香が炊かれたレイフォードの寝室ではサイドテーブルに置かれたランプだけが室内を明るくしていた。
 ルカの過去に纏わる事柄は全てが解決した為もう香は必要ないのだが、悪夢を見ないに越したことはないと相変わらず毎晩レイフォードは炊いてくれている。おかげで夢も見ないくらい深く眠れる日もあり、ルカの体調はすこぶる良かった。
 心を落ち着かせてくれる香の甘い香り。
 だが、ルカの心臓は現在早鐘を打っていた。

「…っ、ん、は…」

 ヘッドボードに積まれたクッションに寄り掛かっているルカは、左手首を押さえ付けられレイフォードから激しく口付けられていた。

「ルカ…舌を出してごらん」
「ん……」
「いい子だ」

 大きな口で舌が吸われ頭の芯から痺れるような感覚が腰に走り下腹部が熱くなる。
 空いている手はレイフォードの服を掴んでいるのにどうしてか心許ない。
 懸命に応えていたら、レイフォードの左手が腰元のリボンを解き前合わせを広げて侵入し肌を撫でてきた。
 それと同時に唇が離れ今度は首筋に触れる。

「…ぁ……レイ…」
「ルカはどこもかしこも甘いな」
「そんな訳…ンッ…」

 キスされながら移動するたびチクリとした痛みが走り、ルカの頭がぼんやりしてくる。だがレイフォードの親指が胸の尖りに触れると勝手に身体が跳ね服を掴んでいた手を首に回した。
 軽く潰されそのままくるくると捏ねられる。

「んん…っ、ゃ、ん…」
「ここ、すっかり弱くなったな」
「レイが…ん、いつも触るから…っ」
「小さくて可愛らしいから、触りたくなるんだよ」

 完全に前が広げられきちんと身に着けているのは下履きのみの状態になったが、レイフォードはそれさえも脱がそうと手を掛ける。いつもと違う性急な動きにルカは少しだけ戸惑い軽く背中を叩いた。

「何で…今日…そんな、怒ったみたいに…なってんの…?」
「…っ…」

 問い掛けるとレイフォードの動きがピタリと止まった。上がった呼吸を整えながら顔を覗き込むと申し訳なさそうな彼と目が合う。
 掴まれていた手首が離され代わりに髪が撫でられた。

「…すまない、怖かったか?」
「ううん、怖くはないけど…何でかなって…」

 痛くはなかったし、触り方も優しかったからと首を振れば、胸元に倒れかかってきたレイフォードが深く息を吐く。

「あのあとからずっと母上がルカの傍にいただろう? 本当なら、夕食もいつものように膝に座らせたかったのに…」

 あのあと、というのは小広間での着せ替え後の話で、全てのプレゼントが広げられ部屋へと運ばれる間も、食堂に向かう道すがらも、夕食時でさえシルヴィアはルカの隣にいた。
 何度かレイフォードが文句を言っていたが、そこはさすがの母親、軽くあしらい彼に食べさせて貰うルカをにこにこと見ていたのだ。
 つまり、それが原因でいつもとは違う雰囲気だったらしい。

「……母上に嫉妬するなど、情けないな」
「でもそれって、好きだからするんだろ?」
「ああ。ルカを取られるんじゃないかと、気が気でなかった」

 腰の下に回された腕に力強く抱き締められる。
 何も知らなかったルカは、嫉妬も独占欲も少しずつ覚えてそれを自分も感じるまでには成長していて、たまに訪れる貴族の女当主と話している姿などを見た時は普通にヤキモチを妬いていた。
 だからレイフォードの気持ちはちゃんと分かっている。

「俺だって嫉妬するし、やだなって思う時あるよ。好きな人がいるならみんなそうだと思う。情けなくなんかない」
「ルカ…」
「俺はレイのだよ」

 自分とは違う硬くてシャープな頬に触れ額に口付けると、身体を起こしたレイフォードが優しく微笑んで唇を重ねてくる。先ほどと違い啄むだけのキスに夢中になって応えていたら、下履きが脱がされ既に勃ち上がり蜜を零している自身を握られた。

「…っ、あ…」
「こんなにして、可愛いな」
「や、ん、ん…っ」

 上下に扱かれ身体を震わせて小さく声を上げていると、尻に硬い何かが押し当てられ思わずレイフォードの胸に手を当て止めてしまった。「ルカ?」と呼ばれたが気になって仕方なくて、肘を付いてそこを見るとレイフォードのズボンが押し上げられている事に気付く。
 しばらく見ていたら気まずそうなレイフォードに目元が覆われそうになったが、それを押さえたルカはハッとして彼を見上げた。

「もしかして、レイもおっきくなってるのか?」

 自分の物も大きくなるのだから、同じ男であるレイフォードの物が大きくなったって不思議ではない。何となく嬉しくて問い掛けると、片手で顔を覆ったレイフォードが息を吐いたあと苦笑混じりに頷いた。

「そうだよ。ルカが愛しいから大きくなるんだ」
「見たい」
「え」

 知らない事は知りたい好奇心旺盛なルカは躊躇いなくそう口にしたが、言われたレイフォードはさすがに固まってしまう。
 だが、キラキラした無垢な瞳に見つめられると否と言えないレイフォードは、どうせ後々に見せる事になるのだからと諦めズボンと下履きから猛り切った自身を取り出した。
 それを見たルカが息を吐きしみじみと呟く。

「俺のより大きいし何か違う…」
「体格からして違うからな」
「触ってもいい?」
「……いいよ」

 本当は触られるとそれだけで達してしまう危険性が高いが、見せた以上駄目とはいえず少しの間のあと了承する。小さな白い手に遠慮がちに触れられ喉が唸った。

「…っ…」
「わ、ビクッてした! 人のって変な感じ…」
「ルカ…あまり動かさないでくれるか」
「何で?」

 何も知らない綺麗な手が性的な部分に触れあまつ撫でるように動かされると堪らない。
 レイフォードはルカの手を掴んで押し倒すと、血管が浮くほど膨れ上がった自身を大きくなっても小ぶりなルカの物に擦り合わせた。

「ひぁ…っ…や、何…」
「せっかくだから、今日は一緒にしようか」
「あ、待って…握らな…」

 二人の熱を握り込み先端が擦れるように手を動かすとルカが驚いたような声を上げ首を振る。だが抵抗がない辺り嫌ではないのだと舌舐りをしたレイフォードは、自慰とは違う快感に眉を寄せた。

「やぁ、あ…これ…だめ…っ」
「何が駄目なんだ?」
「ん…ぁっ、気持ちい、から…」
「それなら駄目じゃないな。…ルカ」

 ルカの足を広げアザを撫でながら唇を寄せると素直に受け入れて首に腕を回してくる。薄目を開け表情を見つつ手の動きを早めればルカの身体が小刻みに震え始めた。

「ん、んぅ…っ…ふ、ぁ…も……ん、んん…っ!」
「…ッは、…っ…」

 くぐもった声を上げビクビクと痙攣しながら果てたルカから手を離し、自身を数回扱いてルカの腹へと吐精したレイフォードは目に入った光景にごくりと生唾を飲み込んだ。
 呼吸に合わせて上下する腹に、ルカとレイフォードの精液が飛び散り混ざり合っている。

(堪らないな…)

 本当は奥の隠れた場所まで触れたいがそれは今ではない。
 ルカを抱くなら段階を踏んでからと決めていて、それはもう結婚式後しかないと思っている。

「ルカの事だから、初夜と言っても分からないだろうな」

 いつの間にか寝落ちたルカの足を上げアザに口付けたレイフォードは、本来なら人が触れないような場所に触れた時のルカの反応を想像して微笑むと、タオルでお互いの身を清め愛する恋人の隣に寝転んだ。
 自分の下で乱れるルカは、きっと大層可愛らしいだろう。
しおりを挟む
感想 41

あなたにおすすめの小説

完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

【完結】相談する相手を、間違えました

ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。 自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・ *** 執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。 ただ、それだけです。 *** 他サイトにも、掲載しています。 てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。 *** エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。 ありがとうございました。 *** 閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。 ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*) *** 2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。

何も知らない人間兄は、竜弟の執愛に気付かない

てんつぶ
BL
 連峰の最も高い山の上、竜人ばかりの住む村。  その村の長である家で長男として育てられたノアだったが、肌の色や顔立ちも、体つきまで周囲とはまるで違い、華奢で儚げだ。自分はひょっとして拾われた子なのではないかと悩んでいたが、それを口に出すことすら躊躇っていた。  弟のコネハはノアを村の長にするべく奮闘しているが、ノアは竜体にもなれないし、人を癒す力しかもっていない。ひ弱な自分はその器ではないというのに、日々プレッシャーだけが重くのしかかる。  むしろ身体も大きく力も強く、雄々しく美しい弟ならば何の問題もなく長になれる。長男である自分さえいなければ……そんな感情が膨らみながらも、村から出たことのないノアは今日も一人山の麓を眺めていた。  だがある日、両親の会話を聞き、ノアは竜人ですらなく人間だった事を知ってしまう。人間の自分が長になれる訳もなく、またなって良いはずもない。周囲の竜人に人間だとバレてしまっては、家族の立場が悪くなる――そう自分に言い訳をして、ノアは村をこっそり飛び出して、人間の国へと旅立った。探さないでください、そう書置きをした、はずなのに。  人間嫌いの弟が、まさか自分を追って人間の国へ来てしまい――

ぼくは男なのにイケメンの獣人から愛されてヤバい!!【完結】

ぬこまる
BL
竜の獣人はスパダリの超絶イケメン!主人公は女の子と間違うほどの美少年。この物語は勘違いから始まるBLです。2人の視点が交互に読めてハラハラドキドキ!面白いと思います。ぜひご覧くださいませ。感想お待ちしております。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。

みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。 生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。 何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺

福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。 目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。 でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい… ……あれ…? …やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ… 前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。 1万2000字前後です。 攻めのキャラがブレるし若干変態です。 無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形) おまけ完結済み

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

処理中です...