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素直で無邪気な小悪魔
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改めてゆっくりと告げられた言葉はどうやら聞き間違いでも幻聴でもなく、レイフォードは難しい顔をして眉間を摘んだ。
「…ちなみに聞くが、意味が分かって言っているのか?」
「ううん」
「………」
やっぱりというか何と言うか、ルカがその単語の意味を知っているはずがないのだ。予想通りと深く息を吐いたら、抱いていた枕が渡され細い腕が首へと回ってきた。目を瞬いていると綺麗な顔が寄せられ唇が重なる。
「…!」
まさかルカから口付けられるとは思ってもいなかったレイフォードは驚きのあまり固まるが、ハッとしてルカの頬を挟むと無理やり引き剥がした。
「…ルカ、分からないならこういう事をしてはいけない」
「何で?」
「夜這いは、あまり褒められたものではないからな」
「そう、なのか? でも俺…レイと口をくっつけるのは好きなんだけど」
言うなれば性的意味を持って寝ている相手のベッドへと入るようなものなのだが、今の何も知らないルカには到底似つかわしくない。だからこそ止めようと思ったのに、そんな事を言われると理性的なレイフォードであってもクラリときてしまう。
だがここで欲に負けてしまっては無垢なルカを傷付けるだけだ。
「私も好きだ。だが、これ以上は私の身が持たなくなる」
「持たなくなったらどうなるんだ?」
「ルカにひどい事をしてしまうかもしれない」
そんな事は絶対にするつもりはないが、いざそうなった時に箍が外れてしまう可能性は充分にある。
首に回されたままの手を解き指の背に口付けると、眉尻を下げ目を伏せたルカがポツリと零した。
「でも俺、レイになら何されても嫌じゃないよ?」
「またそういう事を…」
「…えっと…もしかして、困らせてる?」
正直に言えば困ってはいる。
だが、ルカの落ち込んだ顔を見るとこのまま据え膳を頂くのもありではないかと思ってしまうくらいには胸にくるものがあった。
苦笑混じりに首を振ったレイフォードは、枕をベッドに置くとルカを膝に座らせ髪を撫でる。
「いや、困っていない。でも私も男だから、愛しく思っている相手にそんな事を言われたら我慢出来なくなるんだよ」
「何で我慢するんだ?」
「私が我慢しなければ、ルカは丸一日ベッドで過ごす羽目になる」
「え、丸一日?」
何をどうしたらそんな事態になるのかと驚いた顔をするルカがまったく意味を分かっていない事は承知している。
恐らくは今、丸一日ベッドになる状況を必死に考えているだろうルカの額にキスをしたレイフォードは、眉を顰めて首を傾げるルカを見下ろして微笑んだ。
「それにしても、夜這いなんて言葉誰に教えて貰ったんだ?」
「え、セノール」
「……司書官か」
余計な事をと毒づいたが、基本的に図書館にいるセノールがこちらの事情を知っているはずはないから、もしかしたらルカに聞かれて案を出したのかもしれない。
二人が友人として仲良くしている事はリックスからの報告で知っていたから不思議には思わないが、もう少し違う事を教えてあげて欲しかった。
(だが、他人がルカに色事を教えるのは気に食わないな)
受け入れる本人が分かるようになるまではと思っていたが、勉強意欲の高いルカが誰かに聞かないという保証はなかった。その事をうっかり忘れていたレイフォードは自分を棚に上げ嫉妬心を燃やす。
「なぁ、レイ。俺、辛いのとか苦しいのはやなんだけど…」
「ルカ」
「うん?」
「それなら気持ちいい事だけしようか」
「気持ちいい事?」
「口を開けて、舌を出してくれるか?」
「え? うん…」
それならいっそ自分が手解きすればいいのではと思い頬を撫でながら言えば、ルカはキョトンとしつつも素直に言われた事をする。小さな舌がチロリと出され、それだけで下肢が疼くのを感じながらルカを上向かせると薄く開かれた唇に食らいついた。
「ん!?」
引っ込む前にと自分の舌で絡め取ればルカがビクリと肩を跳ね上げる。
擦り合わせ、軽く吸い、口内を舐め回していたらルカの身体から力が抜けてきた。
「ん…ふ…」
優しく刺激していると甘えた声が鼻から抜け始め、弱々しく服を掴むルカの手を握りリップ音を立てて唇を離せばくたりと寄り掛かってくる。その顔は真っ赤だが蕩けていて、唾液で濡れた唇を親指で拭ってやると若干潤んだ目がこちらを向いてきた。
「…いまの…」
「口付けにも種類があるんだよ」
「そ、なんだ……口の中…じんじんする…」
涙目で自分の唇に触れるルカは見た目は幼いのに煽情的で、これ以上手を出すつもりはないレイフォードは目を閉じて見ないようにする。それなのにルカは妙に色気を孕んだ息を吐くと、ポツリととんでもない言葉を零した。
「でも…ほんとに気持ち良かった…」
「………」
せっかく人が耐えているのにどうしてそう煽るような事を言うのか。
気を抜くとルカの尻の下にあるものが反応しそうで、心の中でアッシェンベルグの歴史をひたすら年代順に唱えていたレイフォードの頬に暖かな何かが触れた。
目を開けるとルカの手が撫でていて、見下ろせば大人びた笑みを浮かべるルカがいて思わずドキッとする。
「やっぱり俺、レイと口くっつけるの好きだ」
無邪気な言葉に、思い切り下心ありでやった行為に罪悪感が芽生える。もしかして、一つずつ教えるたびにこんな可愛らしい事を言われるのだろうか。
「またしような」
「……そうだな」
(勘弁してくれ…)
どんどんなけなしの理性が剥がされていくようで思わず心の中でボヤいてしまった。
これまで誰かに欲情した事など一度もないのに、ルカだけは今すぐ組み敷いて自分のものにしたくなる。それ故にいつか本当に暴走しそうで自分が恐ろしくなったレイフォードは、とりあえずまた変な知識を植え付けられても困る為セノールには忠告する事にした。
これ以上煽られたら、今度こそ絶対に耐えられない。
「…ちなみに聞くが、意味が分かって言っているのか?」
「ううん」
「………」
やっぱりというか何と言うか、ルカがその単語の意味を知っているはずがないのだ。予想通りと深く息を吐いたら、抱いていた枕が渡され細い腕が首へと回ってきた。目を瞬いていると綺麗な顔が寄せられ唇が重なる。
「…!」
まさかルカから口付けられるとは思ってもいなかったレイフォードは驚きのあまり固まるが、ハッとしてルカの頬を挟むと無理やり引き剥がした。
「…ルカ、分からないならこういう事をしてはいけない」
「何で?」
「夜這いは、あまり褒められたものではないからな」
「そう、なのか? でも俺…レイと口をくっつけるのは好きなんだけど」
言うなれば性的意味を持って寝ている相手のベッドへと入るようなものなのだが、今の何も知らないルカには到底似つかわしくない。だからこそ止めようと思ったのに、そんな事を言われると理性的なレイフォードであってもクラリときてしまう。
だがここで欲に負けてしまっては無垢なルカを傷付けるだけだ。
「私も好きだ。だが、これ以上は私の身が持たなくなる」
「持たなくなったらどうなるんだ?」
「ルカにひどい事をしてしまうかもしれない」
そんな事は絶対にするつもりはないが、いざそうなった時に箍が外れてしまう可能性は充分にある。
首に回されたままの手を解き指の背に口付けると、眉尻を下げ目を伏せたルカがポツリと零した。
「でも俺、レイになら何されても嫌じゃないよ?」
「またそういう事を…」
「…えっと…もしかして、困らせてる?」
正直に言えば困ってはいる。
だが、ルカの落ち込んだ顔を見るとこのまま据え膳を頂くのもありではないかと思ってしまうくらいには胸にくるものがあった。
苦笑混じりに首を振ったレイフォードは、枕をベッドに置くとルカを膝に座らせ髪を撫でる。
「いや、困っていない。でも私も男だから、愛しく思っている相手にそんな事を言われたら我慢出来なくなるんだよ」
「何で我慢するんだ?」
「私が我慢しなければ、ルカは丸一日ベッドで過ごす羽目になる」
「え、丸一日?」
何をどうしたらそんな事態になるのかと驚いた顔をするルカがまったく意味を分かっていない事は承知している。
恐らくは今、丸一日ベッドになる状況を必死に考えているだろうルカの額にキスをしたレイフォードは、眉を顰めて首を傾げるルカを見下ろして微笑んだ。
「それにしても、夜這いなんて言葉誰に教えて貰ったんだ?」
「え、セノール」
「……司書官か」
余計な事をと毒づいたが、基本的に図書館にいるセノールがこちらの事情を知っているはずはないから、もしかしたらルカに聞かれて案を出したのかもしれない。
二人が友人として仲良くしている事はリックスからの報告で知っていたから不思議には思わないが、もう少し違う事を教えてあげて欲しかった。
(だが、他人がルカに色事を教えるのは気に食わないな)
受け入れる本人が分かるようになるまではと思っていたが、勉強意欲の高いルカが誰かに聞かないという保証はなかった。その事をうっかり忘れていたレイフォードは自分を棚に上げ嫉妬心を燃やす。
「なぁ、レイ。俺、辛いのとか苦しいのはやなんだけど…」
「ルカ」
「うん?」
「それなら気持ちいい事だけしようか」
「気持ちいい事?」
「口を開けて、舌を出してくれるか?」
「え? うん…」
それならいっそ自分が手解きすればいいのではと思い頬を撫でながら言えば、ルカはキョトンとしつつも素直に言われた事をする。小さな舌がチロリと出され、それだけで下肢が疼くのを感じながらルカを上向かせると薄く開かれた唇に食らいついた。
「ん!?」
引っ込む前にと自分の舌で絡め取ればルカがビクリと肩を跳ね上げる。
擦り合わせ、軽く吸い、口内を舐め回していたらルカの身体から力が抜けてきた。
「ん…ふ…」
優しく刺激していると甘えた声が鼻から抜け始め、弱々しく服を掴むルカの手を握りリップ音を立てて唇を離せばくたりと寄り掛かってくる。その顔は真っ赤だが蕩けていて、唾液で濡れた唇を親指で拭ってやると若干潤んだ目がこちらを向いてきた。
「…いまの…」
「口付けにも種類があるんだよ」
「そ、なんだ……口の中…じんじんする…」
涙目で自分の唇に触れるルカは見た目は幼いのに煽情的で、これ以上手を出すつもりはないレイフォードは目を閉じて見ないようにする。それなのにルカは妙に色気を孕んだ息を吐くと、ポツリととんでもない言葉を零した。
「でも…ほんとに気持ち良かった…」
「………」
せっかく人が耐えているのにどうしてそう煽るような事を言うのか。
気を抜くとルカの尻の下にあるものが反応しそうで、心の中でアッシェンベルグの歴史をひたすら年代順に唱えていたレイフォードの頬に暖かな何かが触れた。
目を開けるとルカの手が撫でていて、見下ろせば大人びた笑みを浮かべるルカがいて思わずドキッとする。
「やっぱり俺、レイと口くっつけるの好きだ」
無邪気な言葉に、思い切り下心ありでやった行為に罪悪感が芽生える。もしかして、一つずつ教えるたびにこんな可愛らしい事を言われるのだろうか。
「またしような」
「……そうだな」
(勘弁してくれ…)
どんどんなけなしの理性が剥がされていくようで思わず心の中でボヤいてしまった。
これまで誰かに欲情した事など一度もないのに、ルカだけは今すぐ組み敷いて自分のものにしたくなる。それ故にいつか本当に暴走しそうで自分が恐ろしくなったレイフォードは、とりあえずまた変な知識を植え付けられても困る為セノールには忠告する事にした。
これ以上煽られたら、今度こそ絶対に耐えられない。
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